VIVA College倒産劇から学ぶ学校選びで大切なこと
他人事じゃない!
申し込みをした語学学校が倒産したらどうなるの?
2018年3月28日、オーストラリア・ブリスベンにあるViva Collegeという語学学校が倒産したというニュースが入ってきました。英語圏の大都市であれば100~200校もの語学学校が存在しています。全世界規模となれば、総数は1,000校を軽く越えます。
それだけ多くの学校があれば、残念なことに「語学学校が倒産した」という知らせが、不定期ではあるものの、私たちの耳に入ってきます。学校関係者も大変な状況かと思いますが、授業料を支払った側が一番の被害者であることは変わりません。
VIVAの倒産の背景と、対応策についてご紹介します。
倒産は突然起こる!何の予告もない!
語学学校の財政・経営状態を詳細に把握しているのは、通常たった数人の限られた経営陣のみです。それ故、倒産のニュースは、先生・学校スタッフ・生徒そして私たち留学エージェントにとっても、全く予期していなかったという表現以外見つからないのが現実です。
他校での倒産ケースでは、「週明けに学校に行ったのだが、先生もスタッフも困惑していた、学校の様子がいつもと違う…」という報告を生徒から受けました。何となく雰囲気が体感できるだけ、まだ良い方なのかもしれません。
今回のViva Collegeは、3月27日の火曜日夕方ごろ、学校ウェブサイト並びに学校のFacebookページに、倒産の知らせがアップされていました。
それ以外の連絡はありませんでした。
何とも酷いものです…
語学学校が倒産するとどうなるのか?
語学学校の倒産した場合、留学生に対して補償があるか否かは、以下の2つのポイントを見る必要があります。
1.Tuition Protection Service(TPS)
これは「学生ビザの方」に適応される補償です。未受講の授業に関して、同じようなコースを提供してくれる学校を探し、転校できる補償になります。しかしながら転校先が自由に選べるということでもありません。
授業料が同等あるいはそれ以下の学校への転校はあり得ても、希望する転校先の授業料が高いとあれば、差額の支払いが必要になる場合があります。どうしても転校先が見つからない場合は、返金という流れになります。
2.English Australia(EA)
オーストラリアにはEnglish Australia(以下EA)という団体があります。この団体に加盟している語学学校に関しては、学校の倒産にあっても未受講の部分に関して、他のEA加盟校に転校措置の補償があります。
これは観光ビザやワーキングホリデービザの方も対象となります。
ただし、EAは閉鎖した学校の学生を受け入れる学校を探すことはしますが、未受講分を返金することはしないため、そこはTPSと異なる部分です。
以上の2点にあてはまらない人。
つまり、EAに未加入の学校を選んだ方は、学校の倒産に関して全く補償が無い可能性があるということです。
具体的な例を言いますと、4月からワーキングホリデービザで渡航し、最初の3カ月(12週)は学校に行きたい。2月中に学校申込をして、支払いも済ませたが、3月下旬に学校が倒産。まだ渡航もしていないし、学校の授業も全く受けていない。
このような状況でも、申し込んだ語学学校がEAに所属していない場合は、学校に全く通っていないにも関わらず、全く費用が返ってこない可能性が高くなります。
学生ビザあるいは学校がEA加入していれば、倒産しても補償はあります。しかしながら、その後の手続きが面倒なことに違いはありません。保障を受けられても、転校先の候補に満足できないリスクもあります。デメリットがあることには変わりありません。
※他都市にキャンパスを持つ学校は、1キャンパスのみ掲載しています。当リストの掲載校は代表的な学校のみ抽出しており、EA加入の一部となります。
語学学校にホームステイや滞在先を手配した場合
学校側に依頼したホームステイや学生寮は、補償の対象外です。TPSやEAでの補償対象は、あくまでも語学学校の授業料のみです。学校側が倒産した場合は、再度の出費が増えてしまうことになります。
万が一のことを常に想定するなら、語学学校に宿泊施設を手配する場合は、最低限の滞在期間(2~4週間程度)で申込みをした方が良いでしょう。
または、滞在先手配に関しては語学学校に依頼するのではなく、留学エージェントに宿泊先手配を依頼するのも良いでしょう。
EA未加入かつ、安い授業料の学校に倒産確率が高い!
これまで幾つかの語学学校の倒産劇を見て来た限り、過去の語学学校倒産に共通する特徴があります。
平均的な相場よりも授業料が安い学校で、EA未加入ということが共通点です。
もちろん授業料が高い学校でも、経営状態が思わしくないことはあるでしょう。普通は授業料が高いことで生徒が集められないなら、授業料を安くできる余地があります。すなわち、授業料が高い強気な学校に関しては、経営状態は良好な可能性が高いでょう。
授業料が比較的安い学校は、「安くしないと生徒を集められない」という悪循環、つまりビジネス競争から遅れている状況にあり、必然的に倒産確率が高いと言えます。
現状として、大学付属やTAFE(公立の専門学校)の語学学校、その他平均的な相場以上の授業料である学校は、EAに加入をしている傾向が高いです。
留学ドットコムのEA取り扱い校の対応に関して
2016年にオーストラリアに到着した留学生に関して、申込校のデータを調べてみました。申込の多い学校の上位10校のうち、8校がEA加盟校でした。範囲を広げて上位20校をみても、15校がEA加入した。
EA未加入の5校の中には、平均相場よりかなり低い授業料の学校もあります。
学校の倒産が起きた場合でも、留学エージェントが学校に代わって、被害を受けた方に対して、返金の補償をすることができません。学校側に交渉して少しでも返金して貰うことや、他校の受け入れ先を探すことは、もちろん最大限お手伝いしますが。
もしかしたら「留学エージェントは、授業料の高い学校しか勧めてこない」という印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この理由の一つは、学校申込にはものすごく小さいながらも倒産リスクが存在していることがあります。海外留学を考えている方には、ほんの少しだけ頭の隅に入れて頂いた上で、学校選びをして頂けたらと思っています。
EAの加入・未加入に関して、料金面以外に目を向けると、学校の生徒数が少なく個人経営や家族経営といった学校も、EAの加入率が少し低いように思えます。
EA加入校を選ぶことは保険に入るのと同じ
学校が倒産する確率は、微々たる確率と言えるでしょう。ただ、今回のVIVAの倒産において、留学ドットコムのお客様での被害者は2名いました。VIVAはEA未加入校でしたので、何の補償もありませんでした。
その2名はどうなったのか?
倒産を知った翌朝から、当社スタッフが各学校に連絡して、受け入れ先を探しました。語学学校側も快く受け入れてくださり、この2名の被害者は「追加費用なし」で、語学学校に転校することができました。
協力してくれた語学学校は、 Imagine Education です。
留学ドットコムスタッフ一同、心から感謝申し上げます。
今回のように、常に金銭的被害ゼロで済むワケではありません。今回はたまたま快く被害者救済のために動いてくれた語学学校があったため、運よく助かったというだけに過ぎません。
語学学校の倒産とは、急病や大怪我で病院に行ったら、びっくりするほどの高額請求される確率と同じようなものです。99.9%の確率で大怪我を経験する人はいませんが、稀に大怪我をする方も実際にいます。
余談ですが、留学ドットコムのお客様で過去一番の大怪我は、背骨骨折で大手術を受けられたケースがあります。緊急手術や入院代の総額が約500万円と聞いています。
留学ドットコムの利用者の大半は、海外旅行保険に加入しています。そのため、上記のような大怪我の治療費も保険で全額カバーされることとなりました。
語学学校に関しても、EAという保険があることを知っておきましょう!
学校選びに関して、EA加入校を少しだけ意識して欲しいと思います。
どの学校がEA加入校なのかは、留学ドットコムでカウンセリングを受ける際に、カウンセラーに確認して頂ければと思います。
多くの方にとって、海外で語学学校に通うことは、人生にとって1度ないし、2度も無いのが現実です。留学エージェントとして、万が一の事態を避けるためにも、こうした倒産劇がある度、EAに加入している学校がベターだとつくづく思います。
もしEAに加入していない学校だったとしても、授業料が安すぎない学校を意識してみてください。安い料金には、安い理由があると言うことを、この機会にご理解して頂けると助かります。