クレームの少ない学校は良い学校?オーストラリアとカナダの学校スタッフに「こだわり」を聞いてみた
前回のコラムで、フィリピンの語学学校でクレームが少ない学校の「こだわり」をインタビューしまして紹介しました。
【参考記事】
クレームの少ない学校は良い学校なのか?フィリピンの学校スタッフに学校運営のこだわりを聞いてみた
それでは、オーストラリアとカナダの語学学校ではどうでしょうか?
オーストラリアやカナダなどの欧米圏の留学は、フィリピン留学とは異なり、ホームステイ先やシェアハウス先など、自分が滞在している場所から学校に通学する形式になるため、フィリピン留学に比べて語学学校内で過ごす時間は短くなります。
世界各国から生徒を受け入れている語学学校では、様々な生徒に幅広く対応しなければいけないため、生徒が受けるストレスの種類も様々です。
オーストラリアとカナダの語学学校で目立ったのは、「コミュニケーションを取るように心掛けている」という意見と、意外にも「日本語でのサポートシステム」です。
共通点はコミュニケーションの大切さ
オーストラリアとカナダのいずれの語学学校でも、共通点として挙げられることは、生徒とのコミュニケーションの大事さを挙げています。
欧米圏の語学学校は、世界中からの留学生が集まってくるため、日本人生徒にだけ特化した学校作りはできません。人によっては、生活環境の中に日本国内にはない違和感を抱く部分もあるはずです。
クレームが声となって表面化するのは、「小さいストレスの積み重ね」です。そのため、学校スタッフは小まめに生徒に声を掛けて、生徒が抱える小さなストレスをつかみ取る努力をしていることが分かります。
まずは、オーストラリアの語学学校3校の回答について見て行きましょう。
La Lingua:
ラ・リングアではクレームを言える環境作りとして、スタッフと生徒一人一人との日頃のコミュニケーションをできるだけ取るようにしています。小さなことからですが、私は全ての日本人の生徒のお名前を覚えるようにし、できるだけお名前で声をかけるようにしています。
そうすることで何気ない日常の話や友達の話、アルバイトでの出来事など、色々なことを気軽に話してくれるようになります。その中で学校のこと、授業のこと、先生のことも聞いておきます。
日本語でのオリエンテーション、授業の受け方、復習の仕方のアドバイスを日本語で個別に行い、クラスに対するフィードバックも確認しています。
Lyceum:
当校はアットホーム環境が特徴で、スタッフと生徒の距離がとても近いです。これはライセアムで最も大切にしている特徴の一つです。これは何か問題があった時、受付に来て誰にでも気軽に話しかけてもらえるようにという意図があります。
また、レッスン開始の週には生徒さんにアンケートを取り、一週間を終えての意見を伺いますので、何か問題があったら早めに気が付けるように心がけています。
IH Brisbane:
当校には、生徒が何か困った時にまず初めに行って頂く相談窓口、スチューデントサービスセンターがあります。授業・宿泊先・日常生活や学生生活を送る上で、発生する様々な悩みや困っていることなどを親身になって一人ひとりをサポートするスタッフがいます。日本語でも相談して頂けるので、安心して学校生活を送って頂けます。
次にカナダの語学学校の回答も見て行きましょう。
UMC:
初日オリエンテーションにて、日本人新入生全員と私がお互い日本語で自己紹介をする機会を作り、お互い親近感を持てるよう取り組んでおります。学校外でも食事やスポーツ、スポーツ観戦等を通して生徒との交流機会を作っています。
通学開始から数カ月経つと、少しモチベーションが低下しがちになる方も少なくありません。そういった様子が見受けられた生徒へは、こちらから声がけをして、まずは近況を本人に話して頂きます。そして、新しい目標設定等をカウンセリングの中で行い、生徒のモチベーション低下を防ぐよう取り組んでいます。
ILAC:
いつでも相談できるオープンな環境や、お客様に様々なオプションをご用意しています。具体的には、様々な言語に対応できるスタッフを設置することにより、お困りの際には母国語で相談ができます。ILACは複数キャンパスがあるため、電話にてスタッフとご相談いただける環境を整えたりし、ご不便を感じずに留学生活を送っていただけるようサービス向上に努めております。
ILSC:
ミスコミュニケーションが無いように母国語が話せる学生アドバイザーを常勤し、学生の声を聞くように心がけています。学生アドバーザーだけではなく、アカデミック部署、ホームステイ部署、アクティビティ部署も学生がいつでも相談できるようにしています。
学校初日アンケート、各セッション修了時アンケート、学校修了時アンケートと、できる限り学生の声を直接聞くよう心がけ、事前に対処するよう努めています。
オーストラリアの語学学校とカナダの語学学校の間では、クレームを減らすための取り組みに関して、大きな差異は見られませんでした。これは、オーストラリアやカナダなどの欧米圏の語学学校の運営スタイルが似ているためでしょう。
どちらの国の語学学校でも、生徒がいつでも相談に行けるような環境作りと、日々のコミュニケーションの積み重ねによって、相談しやすい関係性を作る努力をしています。
一般的には小規模な学校の方が生徒との距離が近いため、毎日のコミュニケーションが取り易い環境と言えます。一方、学校規模が大きい語学学校では学生数も多くなるため、相談しやすい環境の整備や定期的なアンケート・カウンセリングなどを行うことで、カバーしている姿が見受けられます。
日本語で相談やサポートが受けられる体制を重視
オーストラリアとカナダの語学学校では、日本語で相談やサポートが受けられる体制を大事にする学校も目立ちます。欧米圏の学校は、日本人以外にヨーロッパ、南米、東南アジアなど様々な国から生徒が英語を学びに来ています。そのため、母国語使用禁止ルールを行っている学校は多く、語学学校の中には日本人のスタッフが不在の学校も存在します。
母国語をできる限り使用しない意識を持たせる一方、いざという時に日本語で相談できる場所がある安心感は、生徒にとっては大きな助けになるのでしょう。
日本人の生徒はなかなか相談に来ず、事態が悪化してから相談に来るという現象は、多くの学校担当者から聞くことです。特に内気な性格の生徒に関しては、自分の意見を伝えることや悩みを自ら打ち明けることに抵抗がある方もいます。
日本人留学生の特徴として、いざ体格の大きな南米やヨーロッパの生徒に英語で話しかけられると、固まってしまうという人が多いのも事実です。同様にオーストラリアやカナダの語学学校の現地スタッフに対し、英語で相談することもハードルが高いことなのです。
一部には「海外で日本語を話すことは良くない!」という意見もあります。その意見も分からなくありませんが、全員が全員サバイバル性の高い留学生活にはついて行けないのも事実でもあるのです。
最初から英語100%の環境で生活できる人もいますし、海外生活が不安で委縮してしまう人もいるのです。
海外生活に慣れるまでの期間は、困った時には日本語で相談できる体制があるのも、安心して海外留学できる要素でもあるのです。
クレームが少ない要素も学校選びのポイント
海外留学中は、日本では考えてもいなかった壁にぶつかることが多くあります。クレームの少ない学校は、トラブルが大きくなる前に防いでいく工夫と、トラブルが起こってしまった後に生徒をしっかりと受け止めるサポートシステムがしっかり考えられて作られていることが分かります。
語学学校選びの基本は、自分が希望する条件に適した学校が良い学校と言えます。しかし、クレームは自分が予想していない場面で発生するものです!
クレームを未然に防ぐ体制、そしてクレームが出た時に迅速に対応してくれる体制があることも、学校選びのポイントとして考慮しましょう。
学校のパンフレットやインターネットからでは、学校の内側にある運営体制までは見えません。つまり、自分のリサーチだけでは、おのずと限界があるのです。
留学エージェントは、各語学学校のスタッフと頻繁にコミュニケーションを取り、多くの留学生の声をヒアリングし続けることで、体感的な総合評価を持っています。大体の希望条件が決まったら、留学エージェントに表面からは見えない部分の意見を聞きましょう!
クレームの少ない学校では、クレームを少なくできるだけの努力がされています。ぜひ学校選びの判断材料にしてみてください。
アンケートにご協力頂いたオーストラリア留学の語学学校
- La Lingua Language School
- Lyceum ENGLISH LANGUAGE AUSTRALIA
- International House, Brisbane-ALS(IH, Brisbane)