【看護留学】アシスタントナース・正看護師の徹底比較 ~英語力・費用・期間を比べてみた~
看護師の仕事を少しお休みして、オーストラリアに留学やワーホリに行きたい…。
海外で看護師として働いてみたい!
せっかくなら永住権もゲットしたい!
最近増えている「看護留学」ですが、留学される方によっていくつかのプランがあるのはご存知ですか?
オーストラリアでは、日本の看護師資格を持っている方が留学するときに取れる主な資格が2つあります。
1つは正看護師、もう1つはアシスタントナースという資格です。
このコラムでは、正看護師とアシスタントナースを費用や期間の面から比較して、あなたの目的に合う資格はどちらなのか考えていきたいと思います!
オーストラリアで取得できる看護師資格
正看護師
正看護師とは、日本の看護師とほぼ同じ職業ではありますが、実は少し異なります。オーストラリアは、世界でも有数の医療福祉先進国なのをご存知でしょうか?
オーストラリアの正看護師資格は、看護学部の学士を持っていないと取得できません。つまり、日本でいう4年大学の卒業生しか正看護師にはなれないんです。
また、日本の看護師との最大の違いは、医師の指示を待たずに看護師の責任で看護行為ができる点です。
そのため、看護師を目指す大学での教育は日本以上に充実していて、臨床時間数が日本より25%多いなど、在学中に多くの経験を積むことが重視されています。
特に患者の権利を守ることが日本よりも重視されているため、プライバシーなどに関して徹底的に訓練がされます。
アシスタントナース
アシスタントナースとは、バイタルサイン(血圧・体温・脈拍・呼吸数)測定や意識レベルの観察、簡単な創傷処置などが行える資格です。
アシスタントナースは日本の看護師とは少し業務内容が異なり、病院だけでなく老人ホームやナーシングホーム(介護施設)などの施設で働くことも多いです。
そのような施設で働くアシスタントナースの方は、施設利用者の食事や排せつなどの日常動作のサポートも行います。
つまり、正看護師のサポート+介護士のような役割のイメージです。
看護系資格の取得方法
正看護師になるには
オーストラリアの正看護師になる道のりは、現在の学歴や資格によって変わってきます。
ここでは、日本の4大卒で看護師資格を取得した人と、日本の短大 or 専門学校卒で看護師資格を取得した人の2パターンを紹介していきます。
① 4大卒の看護師の場合
日本の4年制大学看護学部卒で看護師資格を持っている方は、「英語の試験」と「オーストラリア看護師認定協会の審査と研修プログラム」の2つを受けることで、オーストラリアの正看護師資格を取得することができます。
必要な英語スキルはIELTS7.0以上、もしくはOET(Occupational English Test)と呼ばれる、医療英語に特化した英語試験でB判定以上です。
OETは医療従事者向けのテストなので、勉強しておくとその後の仕事で役立つ可能性が高いですが、OETは受験料が高く、オーストラリアでは580ドル、その他の国で受験すると775ドルかかります。
IELTSも395ドルとTOEICに比べると高いのですが、OETよりは受けやすい値段です。また、試験の開催回数もIELTSの方が多いため、オーストラリアで正看護師を目指す方はIELTSを取得することが多いです。
また、オーストラリア正看護師協会の審査については「コンピューターベースの選択問題、実技試験」という2種類で行われます。その審査の結果に沿って看護師協会からの研修プログラムに参加して正看護師の登録を行います。
② 短大・専門学校卒の看護師の場合
日本では、4大・短大・専門学校のどの教育機関でも看護師資格を取得することができます。
しかし、オーストラリアでは先ほど書いたように、学士(大学卒業資格)を取得していないと正看護師にはなれません。
そのため、日本の短大や専門学校を卒業した方は、オーストラリアの大学で学士を取得する必要があります。
オーストラリアの看護学部に入学するためには、IELTS7.0の英語力が必要です。
ちなみに他の学部ではIELTS6.0が基準となっているため、医療系の学部は他に比べてハイレベルな英語力が求められています!
オーストラリアの大学は基本3年間通う必要がありますが、日本の看護師資格を持っている場合は一定の知識や経験があるとみなされ、編入の形を取ることもできます。もし編入ができれば、大学に通う期間は1~2年程度と短くなります。
必要な行程 | 詳細 | |
日本の4大卒 (看護学部) | ➀英語の試験 + ②審査と研修プログラム | ➀英語の試験詳細 ・IELTS7.0以上 or OETでB以上+②研修プログラム詳細 ・3ヶ月~半年程度 |
日本の短大・専門卒 (看護師資格取得) | オーストラリアで大学編入 ↓ 学士取得 | ➀大学入学に必要な英語力 ・IELTS7.0+②大学在学期間 ・1年~2年程度(編入) |
日本の看護師免許なし | オーストラリアで大学入学 ↓ 学士取得 | ①大学入学に必要な英語力 ・IELTS7.0+②大学在学期間 ・3年間 |
アシスタントナースになるには
アシスタントナースになるには、オーストラリアの職業訓練学校TAFEへ半年~1年通うことが一般的です。
しかし、留学生向けの専門学校では、日本での看護師免許を活用してそれよりも短い期間でアシスタントナースの資格を取得することもできます。
Charter Australiaという学校を例にすると、日本の看護師免許を持っている方は、約4か月間の医療英語や、アシスタントナースの勉強・実習などを受けることで、アシスタントナースの資格を取得できます。
また、求められる英語力もIELTS4.5。中級程度の英語力なため、正看護師と比べるとはるかにハードルが低いです!
必要な行程 | 詳細 | |
日本の看護師免許所持 (最終学歴問わず) | ➀専門学校へ入学 + ②専門学校の卒業 | ➀専門学校入学に必要な英語力 ・IELTS4.5~+②専門学校卒業期間 ・4ヶ月(医療英語勉強も含む) |
日本の看護師免許なし | ➀TAFEへ入学 + ②TAFEの卒業 | ➀TAFE入学に必要な英語力 ・IELTS5.5~+②TAFE卒業期間 ・半年~1年程度 |
資格取得に必要な期間と費用
では、正看護師やアシスタントナースになるためには実際どれくらいの期間と費用が必要なのか見ていきましょう。
どちらの資格を取得する場合でも、IELTSスコアの条件がありましたよね?
今回は、中学高校で習った英語はもう結構忘れてしまったな…という、英語初心者レベルの方(TOEIC350点ほど)を想定して、大学や専門学校入学までの英語学習を含めてみていきます!
正看護師の場合
① 4大卒の看護師の場合
先ほど書いたように、IELTS7.0の取得と研修への参加が必要になります。
IELTS7.0はかなり上級レベルの英語力で、TOEICに換算すると950点にもなります!
ではTOEICの点数を350点から950点、合計で600点あげるためには何時間の学習が必要になるのでしょうか?
TOEICの点数を100点あげるために必要な学習時間は200時間~300時間と言われています。そのため、600点あげるためには1200時間~1800時間の学習が必要です。
この学習時間をフィリピン留学で換算すると約1年、欧米圏留学だと1年半~2年ほどかかる計算です。
また、正看護師になるために受ける研修は大体3か月~半年ほどかかるので、合計で1年半ほどかかることになります。(フィリピン留学の場合)
また、フィリピン留学は1年間で約200万円~(滞在費・食費含む)、オーストラリアでの研修は学校にもよりますが大体14,000ドル~かかります。
オーストラリアの研修費には生活費が含まれていないので、生活費を月12万円として計算すると、半年の研修で生活費が70万円くらいかかります。
そうすると、フィリピン留学から研修終了までのトータルコストは400万円~くらいになります!
② 短大・専門学校卒の看護師の場合
短大・専門卒の方はオーストラリアの大学に編入することが必要で、大学入学に必要な英語レベルはIELTS7.0でしたね。
英語を勉強する時間が先ほどと同じフィリピン留学1年だとすると、大学に通う時間も含めトータル2年~3年ほどかかります。
また、オーストラリアの大学は学費が1年あたり約200万円かかるので、オーストラリアでの学費はトータル400万円。
生活費が2年間で約300万円かかかるとすると、フィリピン留学とオーストラリアでの大学生活を全て合わせて900万円必要になります!
アシスタントナースの場合
看護師資格を持っていてアシスタントナースを目指す方は、IELTS4.5を取得した後に4か月ほど学校に通うことで資格が取得できます。
IELTS4.5はTOEICに換算すると約700点弱。英語初心者の方がTOEIC350点から350点アップさせるためには、700時間~1000時間の学習が必要です。
この時間をフィリピン留学で補うとすると、約3か月半~5ヶ月ほどの留学になります。
そのため、英語学習と学校の時間を合わせると、最低でトータル7カ月ほどの期間が必要です。
また、3か月半のフィリピン留学が約70万円で、専門学校の授業料が約60万円、4か月間のオーストラリア滞在で生活費が約50万円かかるとすると、トータルの費用は180万円~です。
たくさん数字が出てきてややこしいと思うので、ここまで見てきた資格取得の期間と費用を表にしてみました!
正看護師 | アシスタントナース | |||||
期間 | 費用 | 英語レベル | 期間 | 費用 | 英語レベル | |
4大卒 | 1年半 | 400万円~ | IELTS7.0 OETでB以上 | 7カ月 | 180万円~ | IELTS4.5 |
短大・専門卒 | 2~3年間 | 900万円~ | IELTS7.0 |
こうしてみてみると、アシスタントナースの方がよりハードルの低い資格だと分かりますね!
給料面の比較
ここまで正看護師とアシスタントナースに「なるまで」を見てきましたが、ここからは「なった後」を見ていきましょう!
給料面で比較をすると正看護師の方が、責任範囲が広い分、当然給料も高くなります。
正看護師の給料は一般的に、1年目から8年目辺りまで順当に給料が上がっていき、時給換算約30ドルから始まって、45ドル程まで上がることが多いです。それ以降は大学院に行って修士をとるなど、更なる教育・研修を受けることでキャリアアップ(=給料アップ)が望めます。
フルタイムで働く正看護師の場合、新卒1年目の月収は4,500~5,000ドル(=36万~40万円)ほどが平均です。
ちなみに、日本で看護師の実務経験がある方は、その経験を考慮して2年目以上のお給料水準でスタートしてもらえることもあるようです。
また、アシスタントナースも正看護師ほどではありませんが、比較的高い時給で働くことができる職業です。
アシスタントナースとして働く場合、特にワーホリで来た方は、パートタイムで働く選択肢に加えて「オンコール」という形式もあります。
オンコールというのは、急に人手が必要になった病院や介護施設などに派遣される形の働き方です。派遣会社から人が足りない日に電話がかかってきてシフトが決定する形のため、オンコールナースと呼ばれています。
オンコールナースは、パートタイムやフルタイムで働くのに比べどうしても不安定なため、不安定な呼び出しでも生計を立てれるようにと、実はその分時給も高めに設定されています。
アシスタントナースのお給料は、パートタイムで約25ドル(=約2,000円)、オンコールで30ドル(=約2,400円)ほどが相場です。
このお給料は正看護師には劣りますが、ワーホリでオーストラリアに行った方がカフェなどで働いた時の時給と比べても高い金額だといえます。
永住権申請への影響
最後に、数年間の留学ではなく、「オーストラリアでずっと生きていきたい!」という方のために、永住権申請について少しご紹介していきます。
オーストラリアで永住権を取得するためには、永住権申請ができるビザの種類で滞在する事が必要です。
そのビザには就労ビザや配偶者ビザなどがありますが、就労ビザの場合は条件を満たせるスポンサー(雇用主)、配偶者ビザならもちろんパートナーの存在が必要不可欠です。
しかし、実は正看護師資格を持っていると、自分の資格や経歴だけで申請できる特別な永住権ビザを申請することができるんです!
それは、Skilled Independent Visa(技術独立ビザ)と呼ばれるビザになります。
技術独立ビザは、正看護師をはじめとするオーストラリア国内で人手不足が深刻な職業に付ける外国人を積極的に受け入れるためのものです。
最大の特徴は、オーストラリアで正看護師として働ける資格を持っている人は、スポンサー(雇用主)がいなくても永住権申請ができる点です。
一般的な就労ビザの場合、自分を雇ってくれる現地企業から内定をゲットしたのちに、その雇用主にスポンサーという形で保証人になってもらい、ビザ申請をすることになります。
この時、企業側も金銭面や時間の面で多大なコストがかかるため、そのコストを払ってでも「この人が欲しい!」と思ってもらえないと、どうしてもビザのいらないオーストラリア人に負けてしまいます。
しかし正看護師資格があれば、ビザ申請に協力してくれる企業を見つけなくても、自分の資格や経歴を見せるだけで永住権申請をすることができるため、比較的簡単に永住権をゲットできます。
そのため、「オーストラリアに移住したい!」という方にとっては、正看護師資格はとても魅力的です。
永住権申請については移民局が毎月、毎年のように不定期でルールや規則を頻繁に変えてしまいます。
そのため、本気で永住権を考えている方は、ビザのプロであるビザコンサルタントに相談していくのがベストです。
まとめ
正看護師とアシスタントナースの違い、理解していただけましたか?
お金や時間・英語力の面を考えるとハードルが低く、気軽に挑戦しやすいのはアシスタントナースになります。
資格取得までの道のりは厳しいけれど、資格取得後のオーストラリア生活が安定しやすいのは正看護師です。
あなたが「オーストラリアに移住したい!海外で看護師になりたい!」という気持ちなら、正看護師。
一方で、「ワーホリで1年間だけ行きたい!」、「海外で看護師になることに興味はあってもまだ勇気が出ない…。」という方にはアシスタントナースをおすすめします!
アシスタントナースの資格が取れる学校は、以下の記事をご覧ください!