英語力ゼロから挑戦!オーストラリア大学卒業は難しい?

「元々、英語って得意だったんですか?」
留学カウンセラーとして働いていたら、実はこの質問ってものすごく良く聞かれます。
もし目の前に海外の大学を卒業した留学カウンセラーがいたら、「この人も英語が元々得意だったんだろうな~」ときっと思いますよね。
しかし、私の場合は事実はそうではありません!(笑)
実は、留学前の私の英語力ときたら本当に悲惨なものでした…。。
そこで、このコラムでは私がオーストラリアの大学を卒業するまでの道のりをお話します。
海外への大学進学を考えている人の少しでもご参考になれば幸いです!
私の英語力について
当時私の英語力は、「My name is Mizuki」というだけで精一杯で、自分の年齢を伝えるのは「ワン、エイト…」というような感じでした(笑)
また、日本での高校の通知表の英語評価は「2」。
テストの点数が悪いため、放課後単語テストの参加が強制されていた時期もありました…。
ちなみに高校は中学の通知表がオール3であれば合格できるような所でしたので、決してものすごい進学校だったり、めちゃくちゃ偏差値の高い高校というわけでもありません。(金髪の学生も学校に普通にいましたし…)
当時、私の英語力はこんな状態でしたので…きっと今このコラムを読んで頂いている方の方が当時の私よりもだいぶ実力があると思います(笑)
オーストラリアに留学することになった経緯
私がオーストラリアへ行く事になった理由なんですが、自分でも結構珍しいケースだと思っています。
それは、高校3年生の時、突然両親に「オーストラリアへ移住するよ!」と言われたのが理由です(笑)
もともと私の父は、仕事で海外に滞在する機会が多かったのもあり、海外での永住にずっと憧れがあったので、父主導のオーストラリア留学だったのです。
(しかし、ビザ申請中にビザ申請条件が変わってしまった、結果として残念ながら父の永住の願いは叶わず、両親と私はオーストラリアで5年間の滞在を終えて日本へ帰国する事になりましたが…)
私の留学はこうした経緯からスタートしているので、私自身もともと英語や海外に興味があったり、好きというわけではありませんでした。
逆に、どちらかと言えば環境の変化を好まず、ずっと日本で平凡に暮らせれば良いなぁ~と思っていたくらいです。
当時、私自身は英語もまったく出来ず(通知表2の英語力でしたし…)、誰も知っている人がいない土地へ行くのには不安しかなく、泣きながら渡濠したのを今でも覚えています(笑)
こんな感じで私のオーストラリアでの生活が幕を開けるのです。
計画性のなさが招いた悲劇
オーストラリア到着後は、まず父の知り合いの紹介で語学学校に通う事になりました。
また、これは普通ならありえない話だとは思うのですが…実は、私たちは事前にどういった流れで大学へ入学するかなど、何のプランも立てずに渡航していたのです!
出発当時18歳だった私は現地の高校に入学する予定で、そのための英語力をつけるために語学学校で勉強をしていました。
…が、語学学校開始から5ヶ月ほど経ち、気付けば19歳。
この時点で現地高校へは入学できない事を知ります…(笑)
留学カウンセラーの仕事を始めて知ったことは、東京だけでもかなりの数の留学エージェントがあるということです。
無料で相談に乗ってくれる会社もすごく多いです。
私自身の経験から、費用や時間など無駄なく自分の目的を達成するには、やっぱり渡航前にこそきちんとしたプランニングが必要だと強く思います。
当時、オーストラリアの高校へ入学するために通っていた語学学校での勉強は無駄ではないとは思いますが、もっと良い選択肢はあったのかな?と今では思います。
なぜなら、語学学校によって「高校進学に強い」、「大学進学に強い」とそれぞれの特徴や強みが大きく異なるからです。
当時の私も、もし初めからきちんと計画し学校選びをしていれば、もう少しスムーズに語学学校を卒業して大学入学できたかもしれませんね(苦笑)
EAP(大学進学準備コース)の受講開始
現地高校への入学ができなくなったことで、ここからは目標を大学入学へ切り替えての学校選びがスタート。
実はオーストラリア現地にも無料の留学エージェントがあります。
そこで、私は次こそはしっかりプランを立てるぞ!とプロのカウンセラーさんと相談しながら大学との提携数が多い語学学校に決め、まずはEAPコース(English for Academic Purposes=大学進学準備コース)の受講を目指します。
実は、EAPコースを受講するのにも最低の英語条件があります。(英語がまったくできない人が、大学進学用の英語=EAPをいきなり学ぶのは難しいため)
幸い、私は事前に語学学校で数ヶ月勉強していたので、EAPコースの受講可否については、比較的すぐにパスすることができました。
また、EAPコースでは、その名の通り「大学で使う英語力」を訓練し、身に付けるコースになります。
具体的には、プレゼンテーションやディスカッション、エッセイやレポートの書き方といった大学生活のあらゆるシーンで使う英語力を身に付けます
例えば、語学学校のEAPコースで、ある日のディスカッションでは「オーストラリアと母国の違い」についてクラスメイトと話し合いをしました。
また、プレゼンテーションでは、私は「貧しい国が抱える問題」というテーマでセネガルやマリの子供たちを題材にクラスの前で発表しました。
プレゼン発表中は一切メモなどを見てはいけないので、とにかく自分の書いたレポートを何回も何回も読み込んで暗記しました。
プレゼンの発表時間は最低でも20分は必要だと言われ「日本語でもそんなの難しい!」と思いながら、必死で頑張ったのを覚えてます(笑)

→ EAPコースの卒業時に先生と一緒に撮影。
EAPコースでは、クラスメイト全員が同じ目標(大学進学)に向かって頑張っているので、一般英語コースの時よりも皆とより仲良くなれた感じがします。
ちなみにクラスメイトは韓国人、中国人、ベトナム人、タイ人など、アジア圏の学生がほとんどです。
実は、通常の日常英会話を学ぶ一般英語コースでは、南米やヨーロッパ人の留学生がかなり多かったりします。
しかし、進学を目指すEAPコースでは国籍に偏りがあり、学歴社会が根強いアジア系学生がメインとなります。
これは、ヨーロッパ系や南米系の学生は、海外で大学進学する人はほとんどいないためです。
いよいよ大学へ進学
10週間のEAPコースを無事修了する事で、私は「大学進学に必要な英語力」という部分を満たす事ができました。
しかし、私の場合には、オーストラリアの高校に入学ができなかったため、「大学進学に必要な学歴」という部分も追加で満たす必要がありました。
そのため、EAPの次はまずは大学でのファウンデーションコースがスタートする事となるのです。
ここは少しわかりにくいと思いますので下記EAPとファウンデーションコースの違いも解説したいと思います。
EAPコースとは?
EAPコース(English for Academic Purposes=進学英語準備コース)とは、大学という高等教育機関でしっかり勉強ができるようにと、主に英語面を訓練するコースになります。
大学側も「大学の勉強が難しくてついていけない…」という学生が増えてしまったら困りますので、そうした事がないように「一定の英語ができる人だけが大学に入学してください!」という規定を設けているんですね。
ちなみに、このEAPコースは大学以外の教育機関(主に語学学校)で提供されるコースになっています。
ファウンデーションコースとは?
次に、ファウンデーションコース(Foundation Courses=大学準備コース)とは、「英語面」というよりもどちらかというと「学歴面」をカバーするようなコースとなります。
実はオーストラリアの高校生は「レポートやエッセイの書き方」「プレゼンテーションのやり方」などの大学で使う知識やスキルを既に高校からみっちり学んでいます。
一方、私たち日本人は高校でこうした訓練はないですし、学んでいません。
この両者が、もし同じように大学に入ったらどうなるでしょうか?
となってしまいますよね?
つまり、簡単に言うとこうした事にならないように、大学側が下記のような配慮をしてくれているのが、ファウンデーションコースになるのです。
ファウンデーションコースはどんな感じ?
EAPの次のステップであるファウンデーションコースですが、私の場合、授業内容はEAPとさほど変わりありませんでした。
ただ、ファウンデーションコースは直接大学が提供しているものになりますので、キャンパスは当然大学内になります。
なので、語学学校とは違う雰囲気が印象的でしたね。
ファウンデーションコースを終えた先輩留学生からは、「ファウンデーションの時期が一番授業時間も多くて大変だよ!」と聞いていましたが、まさにその通り!
大学1年生になると1科目あたり2時間の授業ですが、ファウンデーションコースの授業は1科目あたり3~4時間、1日2科目授業がある時は最低6時間の授業があることになります。
日本の学校にいた時は、1日6時間の授業なんてごく当たり前でしたが、これが英語の授業となると集中力を保つのは結構大変です(笑)
ちなみに、私が選んだ大学は、メルボルンにメインキャンパスを持つ La Trobe University(ラ・トローブ大学) です。
この学校は日本の大学とも提携があり、留学生の受け入れも広く行っていたので馴染みやすいかなと思い、ここのシドニーキャンパスに決めました。
大学での授業内容はまさにハード
ファウンデーションコースは、主にEAPの延長のような形で英語の勉強がメインとなりますが、このコースを終え大学1年生になると、いよいよ専門的な分野を学んでいきます。
私が専攻したのは、 ”International Business(国際ビジネス)” です。
当時特に将来やりたい事や就きたい職業も決まっていなかったので、ひとまず幅広くいろんな事が学べるコースを選びました。
中には将来オーストラリアの永住権を狙って、その際有利になると言われている専攻(Accounting:会計学)を選んでいる生徒もいました。
少し前の記憶になるのでちょっと曖昧ですが…確か1年間の3セメスター(学期)のうちに12科目履修する必要があったかと思います。
つまり1セメスター(学期)で、4科目取る計算です。
国際ビジネスでは、専攻え指定されている必修科目に加えて、その他に自分の好きな選択科目を選ぶことができました。
こんな感じで毎学期のタイムテーブルがオンライン上に表示されるので、自分の必修科目、好きな時間帯、先生を考慮して時間割を決めていけます。
学校に慣れてくると、「この先生は試験に出る範囲を細かく教えてくれるな!」というのも分かってくるので、選択科目は興味のある分野というよりは先生で選ぶことも多かったですね(笑)
また、先生はオーストラリア人だけでなく、中国人やフィリピン人など様々な国籍の先生がいました。
単位を取得するにはAssignment(課題)とFinal Examination(学期末試験)をパスする必要があります。
100点満点中50点を取れれば合格で、Assignmentは30%、Final Examinationは70%という内訳でした。
「半分の50点取れればいいなら簡単じゃない!?」と思うかもしれませんが、実際私は一度だけ単位を落としたことがあります…。
その科目は法律。
冗談ではなく、凶器になりそうなくらいの分厚い教科書を使用し、「こういったケースの場合はこういった法律が適用できる」というのを学んでいく授業でした。
弁護士になる訳でもないのにこういった授業も必須になっているんです…。
そして、Assignment(課題・宿題)では、エッセイやプレゼンエーションで指示されます。
私が専攻していたInternational Businessでは、主にManagement、Marketing、Macro Economicsについて勉強していました。
例えば、Marketingのプレゼンテーションの課題では、「Biomeというオーストラリアの会社が作っている水筒をベトナムで売るための市場参入戦略」というトピックでグループ発表を行いました。
その他、情報システム、数学、ビジネスデータの分析などといった科目もあります。
また、エッセイでは決められた課題について、膨大な文字数のレポートを提出しなければいけません。
Managementの授業では、赤十字国際委員会(ICRC)という戦争や武力紛争によって犠牲になった人々に対し、保護や支援を行う機関について課題が出たこともあります。
最近インターネットでは色々な情報が検索できるので、「その情報をコピーしてエッセイを書こう!」なんて人もいるかもしれませんが、海外の学校は割とハイテクです。
課題のエッセイは、紙媒体とウェブ上の2つの方法での提出が義務になっています。
先生は紙ベースで課題の内容をチェックするのですが、じゃあウェブは何のためか分かりますか?
そう、インターネットの情報をコピペしてないか確認するためです!
インターネット上の情報と照合し、コピペした文章があるとその部分が赤文字になるシステムを導入しているのです。
もちろん、これも採点の対象になります。
Final Examination(期末テスト)では、テスト前に先生から「この辺りがテストに出るよ!」というレビューの時間があります。
テスト前はバイトも休み、手にペンだこができるまで1日中図書館にこもってテスト勉強をしていました。
ちなみに、私の試験対策の勉強方法は、「とにかく暗記する!」でした。
レビューの時間に聞いた出題範囲から「こういう問題が出るな!」というのを予想し、まずその問題への解答文を作成する。
そこから、その解答文を一字一句間違うことなく書けるようになるまで、ひたすら紙に書いて暗記するというものでした。
この勉強方法が正解かは分かりませんが…自分に合った勉強方法を見つけるのも大切です!
最近は脳科学の観点から効率的な勉強法を紹介した書籍も色々と出てますから、勉強の仕方を勉強するのもお勧めします!
あとは勉強へのモチベーションも大事ですね。
とにかく私は「大学卒業できなかったら、中卒になってしまう!」という思いだけで、必死に頑張れた気がします(笑)
オーストラリアへ留学して良かったこと
私の性格上、きっと両親に言われていなければ一生自分から留学をすることはなかったと思います。
「高校を卒業して、日本国内で無難に入れる大学に入学して~」という人生だったかと思います。
そういう意味では、一生に一度でも「死ぬ気で頑張った!」と言えることができて良かったと思います。
また、留学をしていなかったら絶対に出会うことのない人たちと関わることができたのも留学の魅力ですね。
大学中も友達が前期で提出したレポートを参考に送ってくれたり、過去のテスト問題をコピーしてくれたりと、多くの人に助けてもらえたからこそ無事卒業することができました。
留学をしていなかったら全く別の人生が待っていたかと思うと、少しそっちの人生も気にはなります(笑)
ですが、間違いなく色んな困難を乗り越えた今の人生の方が良かったと断言できます!
もし、「英語が全くできないからなぁー」という理由で海外への進学を諦めかけている人がいれば、このコラムで少しでもその後押しができていれば嬉しいです。

→ 頼れる人がほとんどいない海外で、死ぬ気で頑張った時間は一生ものです!