オーストラリアでアシスタントナースを目指してTAFE留学! ~実習・卒業編~
これまで、TAFE留学の準備と授業内容について、詳しく解説をしてきました。
今回はいよいよドキドキの臨地実習編です!実習の準備、実習の内容と感想、コースを終えて感じた学校選びのポイントに分けて書きたいと思います。
前回・前々回記事をご覧頂いていない方は、是非読んでみてください。
実技テストには全て一発合格!でも…
前回の記事で、実技試験に全て合格することが実習に行ける条件の一つと述べました。その実技試験は無事に一発合格することができました。
実習前にやる事がまだたくさんあるのです。具体的には、揃えないといけない書類があるのです…。また書類か、とトラウマになりそうでした。
留学準備編で触れましたが、病院や介護施設で実習をするには予防接種歴記録(Vaccination record)を完成させる必要がありました。これにも苦労したので、もう少し詳細を書きたいと思います。
まずはGP(General Practitioner)という、かかりつけ医にかかります。そして、GPに必要な項目(麻疹、風疹、水痘など)の血液検査の依頼をします。
血液検査の後、抗体が十分にあることを確認して、GPにサインをもらいます。ちなみにジフテリア、破傷風や百日咳などは最終予防接種より10年以上経っている場合は再接種をした方が良いとのことでした。
日本にいる母親に母子手帳を確認してもらいましたが、とっくに10年以上経っていたので再度予防接種を受けることにしました。値段は40ドルくらいだったかと思います。
ちなみに、結核の項目は、オーストラリアが定めた特定の国の出身でなく、最近の渡航歴もなければ検査は免除になります。記載されていたURLを調べ、日本は指定国ではないため、その旨をGPに伝えてサインをしてもらいました。
お恥ずかしい話ですが、この記録用紙をよく読んで理解していなかったため、GPに何度も通う羽目になりました。学生保険で半分のお金は返って来ましたが、1回の診療やサインをもらうだけで80ドル近くかかるので、最小限の診察回数で済ませることをお勧めします。
B型肝炎は、全く記憶に無かったのですが、日本で看護学生の時に打っているということでした。既に接種している場合は、接種日と抗体の値と医師のサインが記載されている証明書が必要と書かれていました。(汗)
親や大学の友人、事務に問い合わせて、英文の証明書を急いで発行してもらうことになりました。これらの手続は、誰にも日本語でサポートしてもらえるワケもなく、新しい環境で勉強やアルバイトをしながら、これらの手続きをこなすのは本当に大変でした。でも、何とかなった!
この予防接種記録に加え、JP(Justice of Peace)からのサインが必要な書類もありました。日本語では治安判事と言うそうなのですが、それでもよく分からないシステムです。私的な解釈でいうと、「私のサインや申請した住所、名前は私のもので間違いありません。」という宣言を彼らにして、公的なサインをもらうものになります。
彼らから公的なサインをもらうことで、私自身をちゃんとした個人だと証明してもらうといった感じです。日本ではやったことも聞いたこともなかったので、てっきりGPと言っているものだと勘違いし、土壇場でJPを探し回る羽目になりました。(泣)
JP(Justice of Peace)とは?
オーストラリアでは公的な書類(パスポートやビザのコピー)を提出する際、JPのサインを求められるケースが良くあります。原本を提出できないケースで利用され、JPに原本とコピーを持って行き、間違いないという証明サインを貰います。
なお、JPは様々な場所で、ボランティアで活動してくれています。サインを貰う手続きは無料です。シティではタウンホールハウスが主な場所でしょうか。郊外では薬局や郵便局にいる場合もあります。
また、1か所に1名しかいない場合が多く、お休みやランチに出ている場合は、出直す必要性があります。
オーストラリアナースの商売道具!服装や持ち物は?
病院や介護施設での実習で、必要なものを解説します。
① ユニフォーム(正装)
TAFEの学生は、写真のポロシャツがユニフォームとして1枚支給されます。数枚欲しい人はキャンパス内の本屋さんで購入できますが、確か$17くらいと高かったので、実習中は毎日洗濯をしました。
下は黒かネイビーのスラックスやナーシングパンツ、靴は防水加工の黒の靴が指定されます。日本でよく見られる白衣のナース服、白のナーシングシューズは、オーストラリアではほとんど見たことがありません。
理由は、汚れが見えないようになんだそうです。
日本では逆に白で汚れがないことを表しているので、ちょっと衝撃でした。
それに、オーストラリアのナース達はユニフォームでの通勤が許可されています。勤務後、その汚染された服で町をウロウロするなんて、しかもそれを家に持ち帰るなんて、「汚な過ぎるっ!」と最初は思いました。
しかし、そこは郷に入れば郷に従え。そして、恐ろしいことに慣れてしまうんですね~。
② ナースウォッチ
ナースウォッチは、独特の可愛らしい形とカラーバリエーションが豊富です。安全ピンで服につけるタイプです。
これもTAFE校内の本屋で買えますが、クラスメート曰く、ネットで買うと半額以下らしい…。
オーストラリアのネット通販事情がよく分からなかったので、結局は高いのを買ってしまいました。
③ ペン
これもナースあるあるですが、ペンは無くすことを前提に、安いのを多めに用意しておくことをお勧めします。日本製のスラスラ書ける良いペンはお家に待機!貸したら返ってきません。(笑)もちろんお供のメモ帳もお忘れなく。
④ モーニング(アフタヌーン)ティー用のスナック等
朝のシフトの場合は昼ごはん、夜のシフトの場合は夕ご飯を持って行きます。それ以外にも小休憩がありますので、何かつまめるものがあるともう少し頑張れそうです!
特に朝シフトの場合は、朝がとても早いので朝ごはんをゆっくり食べる時間がありません。ちなみに、私は5時前に起きていました。
なので、10時のモーニングティータイムにはお腹ペコペコなのです。施設によってはコーヒーやお茶などがスタッフ用に置いてある(しかも学生が飲んでもいい)こともあります。
いよいよ病院での実習!
実習は、シドニーの大きな2つの病院でそれぞれ1週間ずつでした。介護施設は調整出来なかったため、実習はしませんでした。
看護師と介護士はでは実習の内容は違うのかもしれませんが、日本では考えられないようなリラックスした雰囲気でした。あと、記録物が日本で学生をしていた時と比べ物にならないくらい少ないです!ラッキー。
ナースコールは基本、私たちアシスタントが取ります。
シーツ交換、シャワー介助、食事介助など日本の病院では看護師がする仕事を、オーストラリアでは基本アシスタントナースが行います。病院では、日本の看護助手よりも幅広い役割を担っているのが大きく違った点でした。
アシスタントナースもバイタルサインの測定は出来ますが、ほとんどの施設では正看護師が服薬も含め、それらの役割を担っています。
実習を通して実際に働いているアシスタントナースや正看護師、医師などとも報告という形で英語でのコミュニケーションがとれたのは大きな収穫だったと思います。
また、私立の病院では、食事の配膳、下膳、モーニングティーを配って回る飲食専用のスタッフがいました。看護側としては大変助かります。それより、入院患者さんにもモーニングティーやアフタヌーンティーのサービスがあるんだ!ということにとても驚きました。文化の違いって面白いですね。
1つ困ったことは、オーストラリアの病院ではまだ紙カルテを併用していることが多いのですが…ドクターの手書きが読めない!
まぁ、これは私に限らず世間一般で「ドクターハンドレター=読解不可」の様に言われています。経験のある先生からも、「これは慣れるしかないよ。(笑)」と言われてしまいました。
海外での病院実習は憧れていたものばかりではなかった
実習に至るまで、英語での講義に必死についていき、たくさんの表現や単語を覚え、実技試験にも全て合格してきました。「いよいよ、憧れていた世界が見られる!」と思って実習に臨み、実際に学びは多く充実した日々だったと思います。
しかしながら、それだけでは無かったのも事実です。合計2週間、2病院しか見ていないので、「オーストラリアの看護はこうです!」とは語れませんし、日本でも1つの病院で3年しか働いていないので比べられることも出来ません。
ですが、実習中に内服をアシスタントに任せようとする(私たちの資格では出来ません。まして当時は学生でした。)、自力で内服するのが明らかに困難な患者さんの内服の見守りをせず、後でベッドサイドに落ちている薬を学生の私たちが何度も発見するなど、看護師の服薬の責任の無さに正直言って悲しくなりました。
また、仕事を教えてくれたアシスタントナースの1人は、仕事が一通り終わったら、明らかに私用で携帯電話を使用していたこともありました。
いくら異文化の労働環境とはいえ、同じナースとしてはショックだったのを記憶しています。いろんな事がありましたが、実習メンバーと支え合い、無事に実習を終えました。
12月中旬に実習を終えてから、クリスマスと年末年始のホリデーを挟んで約1ヶ月でCertificate(終了証)が受け取れます。就職活動は修了見込みということで行うことが出来るそうです。
学校を選ぶ際のポイントとは?
TAFEでの授業内容、実習体験談は以上になります。
おそらく、ここまで読んでいただいた方の中に、まだTAFEのHSAにするか、他の学校やコースにするか迷っている方がいらっしゃるかと思います。最後に、TAFEを卒業した私からの視点になりますが、学校選びのポイントについてお伝えしたいと思います。
学校選びのポイントはズバリ、自分に合った「レベル」、「ペース」、「予算」の3つのポイントになります。
ポイント1.自分にあった英語のレベル
まずはレベルについてですが、既に述べたようにTAFEでは最低IELTS⒌5以上が必要です。学校やプログラムによっては、ワーキングホリデーで渡豪した日本人ナース向けのものもあります。
それには英語学習もプログラムに組まれているのだそうで、その場合はIELTSなどの英語力証明が免除で入学できるコースもあります。TAFEにも英語プログラムがあり、それを卒業したらIELTSのスコア免除で専門コースに進めます。
様々なパスウェイがあるので、どの方法が自分に最適かを検討しましょう。王道の入学方法は英語試験で規定のスコアを取ることですが、試験が苦手な方は語学学校経由で入学する形となるでしょう。
ポイント2.自分に合ったペース
次に、ペースですが、これはコース期間のことを指します。TAFEのアシスタントナースのコースは6ヶ月かかるため、留学生は学生ビザである必要があります。その場合、学生ビザで学んだ後、ワーキングホリデーを丸々1年仕事に使えるという利点があります。
一方で、日本人ナース向けのプログラムでは、ワーキングホリデービザで入学する事が出来、期間は3~4ヶ月の集中型とのこと。(詳細はそれぞれ学校によります。)
その後、最長半年間働いて旅行して帰国、または指定の農場での仕事をして2年目のワーキングホリデービザを取得して、2年目でアシスタントナースとして働くという流れになるでしょう。
ポイント3.自分にあった予算
最後に学費の予算についてですが、個人的にはこれが1番の悩みどころでした。TAFEは先に述べたように1年半前は日本円で約50万円と少しでした。(現在はその倍以上?)もう1つ紹介されていた学校は、$1,000以下(およそ7万円)という大きな違いがありました。
私の場合は、せっかく取れたIELTSのスコアですし、オージー(オーストラリア人の愛称)と共に看護を学んでさらに英語力を伸ばしたい!という思いが勝ち、最終的にTAFEを選びました。
かなり高い投資になってしまいましたし、日本人スタッフがいなくて事務作業には苦しみました。しかし、それを英語で解決する力を身につけられた上に、望んでいた通りネイティブの環境で看護を学べたので個人的には満足しています。
次回はアシスタントナースとしての実際の仕事について書きたいと思います。