オーストラリアでアシスタントナースのお仕事 ~訪問介護の会社に就職~
日本の看護師さんで、オーストラリアでのアシスタントナース(AIN)の仕事に興味のある方は多いのではないかと思います。
これまで、オーストラリアでAINの資格取得までの道のりをお伝えしてきました。今回は、AINとしての仕事の実際を紹介します。
今回は、訪問介護の仕事について書きたいと思います。
オーストラリアの日系在宅ケアサービス会社に就職!
まずは、私にとってAINとして初めてのお仕事である、訪問介護についてご紹介します。
この仕事は、オーストラリア在住の日本人向けの掲示板で見つけました。在宅ケアは、日本で看護師をしていた時から興味のある分野でした。しかし、オーストラリアの在宅ケア関係の派遣会社は、車や免許が必須条件にあったので応募できずにいました。
この日系の会社では、ワーキングホリデー中の日本人AINが多く、「車や運転免許がなくても大丈夫!」とのことだったので、仕事をもらうことが出来ました。
上司は日本人看護師(RN)のため、書類やシフト調整、報告などのやり取りはすべて日本語になります。
なので、オーストラリアでの初めての仕事ならば、日本語で必要書類やシステムを学ぶという面では少し気楽に始められます。
例えば、納税者番号やスーパーという年金のようなものに加入して申告するなど、オーストラリアで仕事を始める上で必要不可欠なプロセスを知ることが出来ます。
仕事の流れと内容について
仕事の依頼メールが会社から届き、都合がつく場合に返信し、シフトをもらうという流れです。各々の都合や他スタッフ、利用者さんの状況によりますが、1シフトは平均2〜3時間になります。カジュアル契約の場合は、1日2時間~4時間、週10~15時間前後のシフトが平均的になるかと思います。(あくまで私の経験上)
学生や永住権など他のビザで長く働ける場合は、パートタイム契約も出来、最低週20時間は確保されるそうです。
訪問先は、シドニー北部が多いですが、ほとんどが公共交通機関で通勤できるお宅のため、車の無い私でも問題なく仕事を受けられます。しかも、なんとさすが日系会社!
オーストラリアでは通常、交通費は自己負担なのですが、交通費も一部負担してもらえます。
バスや電車を駆使してシドニー中の色々なお宅へ伺うので、公共交通機関や地名に強くなりますし、通勤中に素敵な郊外を知る事ができたり、様々な景色を楽しんだりすることができます。
私の場合は、普段はシドニー中心部にいるため、緑が多くて鳥のさえずりが聞こえるような静かな郊外に訪問する時は、とても癒されます。
訪問AINとしての主な仕事の内容は、掃除、洗濯、買い物代行、簡単な食事の準備、シャワー介助、お散歩など、在宅で生活されている高齢者の生活のお手伝いが多いです。
これだけではなく、Disability Care Worker(DCW)といって、障がい者介助の依頼もあり、様々な分野での経験が積めます。また、家事代行やベビーシッターの仕事もあり、これらの依頼はAINの資格がなくても可能です。
私も時間が空いている時は、この手の仕事も引き受けることがあります。黙々と掃除をしたりアイロンがけをしたり、子供のお世話をするのもたまには気分転換になるので、結構楽しんでいます。
日々の記録物は特になく、訪問の後に簡単なケア内容と実務時間をメールで報告します。その代わり、退職前に次の担当者へ引き継ぐために業務内容をまとめた業務メモを作成します。
そこには、業務の流れだけではなく、注意する点や、利用者さんの嗜好、担当当時の利用者さんの活動状態などを記載します。
このような引継ぎ作業により、より良い継続的なケアに繋げられるようにしています。
在宅ケアのやりがいと困難
利用者さんの割合は、日本人とオーストラリア人(移民を含む)半々くらいです。そのため、英語を使う機会はたくさんありますし、シドニー在住の日本人と関わる事も出来ます。
利用者さんの多くは、日本人にケアされたいという希望があり、依頼をされているそうです。
「綺麗好きで、細やかなケアが出来る日本人は素晴らしい!」と、利用者さんからありがたいお言葉をたくさんいただいたこともあります。
そう言ってくださる方々の、ご自宅で過ごしたいという思いを支援できることに、とてもやりがいを感じます。
また、介護施設や病院では、複数人を担当するため常に時間に追われていますが、訪問介護は対象が1人なので、その人に集中したケアが出来ます。
介護者自身も時間に焦ることなく、対象者の気分やペース、生活リズムに合わせてケアが出来るのは、訪問介護ならではのやりがいではなかと思います。
反対に、在宅ケアをしていての困難も、もちろんあります。高齢者介護の場合では、加齢による活動量の減少や持病の進行が訪問の度に見られたことがあり、残念ながら在宅での生活を続けられることが出来ずに、施設に入居されるという例を数件見てきました。
また、訪問の準備をしている朝に利用者さんが自宅で亡くなっていたという連絡を受けたこともあります。とても悲しい出来事ですが、それも疾患を抱えた方の看護や介護をする上では避けられないのです。
もし自分が1人で訪問していて発見者となっていたら、落ち着いて正しく対応できていただろうか…と改めてAINとしての気持ちが引き締められた経験でした。
ちょっとしたDay Trip!バックパックの中身紹介
自宅から遠い場所に訪問する場合や、訪問と訪問の間に時間がある場合もあります。そんな日は、ちょっとした遠足状態です。
時間の有効活用や遠足中に困らないために持ち歩いているものをご紹介します。
① スマートフォン
訪問先の住所を登録し、GPSを頼りに迷うこと無く訪問することができるので、必需品中の必需品です。本当に便利な時代です。ありがたや〜。
② 充電器
ポータブル充電器か、コード自体を持っていくこともあります。空き時間を図書館で過ごすことが多く、充電できるときはなるべくしています。
③ メモ帳、ペン
上司の連絡先や利用者さんの連絡先、移動方法(バスや電車の駅名や時間など)を記載します。通話とテキスト用の携帯電話を別持ちしていますが、万が一、スマホの電源が切れてしまった時のために紙に控えておきます。
④ 水筒
訪問と移動、待機で1日中外にいる場合は、特に多めに水を用意した方が良いです。お水を補給できる場所は公園などにありますし、利用者さんがたまにお茶やお水を下さることもありますが、自分で用意しておく方が良いでしょう。
⑤ 折りたたみ傘、レインコート
雨が少ないオーストラリアですが、降るときは降ります。私の初回訪問は大雨でした。朝から雨とわかっている時は、防水加工の靴を履くだけではなく、替えの靴下とビニール袋を持っていくこともオススメです。
靴下が濡れた場合、土足禁止のお宅に入るのは失礼だと思うので…実は一回、びしょ濡れになってしまったので裸足になったことがあります。(恥ずかしい!)
⑥ ハンドクリーム
掃除や食事準備など家事代行を行うと手荒れを起こすので、よく使っています。
⑦ 昼食、お菓子
腹が減っては戦はできませんので…。移動中にこっそり食べています。
⑧ Opal card
シドニー版Suicaのようなものです。このカードを利用してシドニー中を訪問しています。
⑨ タブレット&キーボード
これで空き時間にこの留学コラムを書かせていただいております。
訪問介護のお仕事のまとめ
どんな仕事であっても、メリットとデメリットの両面があります。
以下、訪問介護のメリットとデメリットをまとめました。
メリット
・車がなくでも訪問介護の仕事が経験できる。
・利用者さん1人に集中したケアができる。
・通勤でシドニーの色々な場所を探索できる
・1日や週あたりのシフトを自分で調整できる。
・空いた時間を勉強やライター活動に有効利用できる。
デメリット
・訪問先によっては通勤時間が片道1時間以上かかる。
・施設や病院と比べると、週あたりの労働時間が少ない。
「貯金をガッツリしたい!」という人にとっては、シフトが物足りないかもしれません。
しかし、とっても勉強になる事もありますし、私は現在はこの訪問介護の仕事をしながら、空き時間を使ってライターやインターンシップなど新たな事に挑戦しています。
興味がある方は、Japan Total Care Service(http://jtcare.com.au/)で検索してみてくださいね!(上司から会社の名前を出す了承を得ています。)