今オーストラリアワーホリ界隈のTwitterが荒れている!?新型コロナウイルスの蔓延をきっかけに分断された人々
こんにちは、ちひろです。
最近、とても悲しい出来事が私の周囲で起きています。これまで平和な投稿で埋め尽くされていたTwitterのタイムラインが、なんだか荒れてきているように感じるのです。
そのきっかけになったのは、他でもない「新型コロナウイルス」です。
SNSは今や、貴重な情報収集源のひとつです。現在のような非常事態で先行きが見えない不安を誰もが抱えている中では、普段よりも余計にSNSの最新情報や他人の動向を参考にしたくなる人が多いのではないかと考えます。
これから留学しようと考えている人であれば、すでに海外に居住している人のアカウントをフォローしているでしょう。留学先から日本への帰国を検討している人は、日本に住んでいる人達の投稿から母国の様子を知ろうとするでしょう。本来は、それぞれがSNSを通してお互いの国の様子を確認したり、前向きに情報交換をしたりする場でした。
でも、近頃、そんな建設的な雰囲気であったSNSのタイムラインの様子が変わりつつあるのです。そこで本日は、「新型コロナウイルスの蔓延がきっかけで人々の間に生まれた対立」をご紹介させていただきます。本コラムの終盤には、私なりの解決方法も綴らせていただきますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
対立1: ワーキングホリデー組vs永住権保持者
みなさんご存知かもしれませんが、オーストラリアでは現地の領事館からワーキングホリデービザや短期査証で滞在している日本人に対して、日本への帰国を促すメールが配信されました。
政府は現状、オーストラリア国籍もしくは永住権保持者の経済援助のみを行うつもりだからです。要は、「当面の間、仕事や政府からの支えがなくても生活できる人以外は、日本へ帰ることを検討してください。」という意図の要請です。
この要請を受けて、ワーキングホリデービザで滞在している人々は強烈な不安を覚えました。やっとの想いで実現したワーホリですから、できることならオーストラリアに留まりたい。でも、職場ではシフトを減らされたり、完全に解雇されたりしてお金がないのも事実です。
自国籍ではない人への政府援助がないのはやむを得ないことも理解しています。それに万が一、コロナウイルスに感染した際の医療費や治療のことを思うと、どう考えても滞在を続けることはリスクが大きすぎます。それでも、悩みに悩んでそれぞれの事情でオーストラリアに滞在することを決意した人が一定数います。
彼ら彼女らがようやく現地残留の決断を下した頃、オーストラリアの永住権を持っている日本人達が前述の領事館からのメールを引用して、ワーホリ勢の帰国を再度促すツイートをし始めました。最初はどれも「自身もワーホリ経験者なのでここに残りたい気持ちは分かるけれど、今は冷静に判断することが必要です。」という内容でした。
しかし、それはコロナウイルスの被害拡大が加速し、日を追うごとに「すでに日本へ帰国した人はきちんと危機管理ができている。一方、未だにオーストラリアにいるワーホリ組は考えが甘い。これだからワーホリ勢は現実を分かっていない人が多くて困る。」といったメッセージに変化してしまいました。
この発信を目にしたワーホリ勢の中には、永住権保持者から攻撃されていると感じてしまう人もいました。
でも、これって元々は、現地に定住している日本人が親切心でオーストラリアに来ているワーホリ組に対して発した単なる警鐘だったはずです。
現地に滞在し続けている人への注意喚起だったものがいつの間にか、非難とも取れる内容に変貌してしまったのです。
海外に残ることを決めたと言っても、「本当にこの決断は正しかったのか?」という疑問は常々頭をよぎります。決心したタイミングよりもさらに身を取り巻く環境が悪化する可能性もあります。毎日が不安です。
そんな中、まず頼りにできるのは現地で生活している日本人が発信している情報です。永住権を持っている人に憧れを抱いているワーホリ勢もいるでしょう。そんな憧れている人々からのメッセージの言葉尻の強さに落ち込んだり、気を病みそうになったりする人々がいたのです。
対立2: 海外在住者vs日本在住者
これは、私自身も気をつけねばならないと実感したことです。
日本よりも一足先にコロナウイルスが蔓延した海外では、現地の留学生やワーホリ勢達がSNS上で日本在住者に向けて「コロナは本当に怖いから、お花見や飲み会なんかには行かずに、外出は控えて!」という内容を発信し始めました。
留学生が住んでいる欧米での生活は、本当に短期間で激変しました。スーパーからは物がなくなり、日常生活に必須ではないお店や会社はどんどんクローズされて、街からは人が消えました。病院ではベッドや人工呼吸器が足りていないという報道を目にする毎日です。
しかし、海外からYouTubeやInstagramなどを通して見た日本は、まだまだ外で遊んだり感染症予防が万全ではなかったりする人が多いような印象を受ける様相でした。そこで、海外在住者の発信は、少しずつヒートアップしはじめました。
その内容は、徐々に「日本人危機感なさすぎ!海外のニュース見てないの?」という文言に変化してしまったのです。
でも、これも元を辿れば日本在住者を心配する気持ちから発されたメッセージだったはずです。日本ではまだ海外ほどの被害は出ていません。そこで留学生達は考えました。
「今ならまだ、日本での感染拡大を防げる!日本にいる家族や友達を感染から守りたい!」
このパンデミックは、人生で初めての恐怖体験という留学生もいるでしょう。
海外からの発信の根底には、そんな想いがあったはずです。しかし、前述の通り、その語気は一部で強まりすぎてしまいました。
「日本人の危機感のなさにはびっくりした。日本のみんな平和ボケしすぎ。」
そんな言葉を日本在住者はどう捉えるでしょうか。上から目線で説教をされている気分になる人もいるでしょうし、マウントを取られている(海外在住が優位だとアピールされている)ように感じる人もいるでしょう。
本来、海外在住者が伝えたかったメッセージが完全に隠れてしまったのです。
そうこうしているうちに、日本では「日本国外に約4,000人の帰国困難者がいる。」という報道がなされました。今度は一部の日本在住者が海外残留組に対して発した言葉が、留学生やワーホリ勢の胸に痛く突き刺さることになりました。
「WHOがパンデミックを宣言したのは何十日も前なのに、いまだに海外にいる人は頭悪すぎ。」
「今さら日本に帰ってこられても迷惑です。一生海外にいて下さい。」
これは私自身も海外在住者の立場なので、あまり強く反論はできませんが、海外にいる人全員がフラフラと遊びで滞在しているわけではありません。
仕事で駐在員として住んでいる人もいれば、家庭の事情だったり、志あって勉強したりお金を稼ぎにきたりしている人だっています。
過去のコラムでもお話しさせていただきましたが、自分がウイルス拡大の媒介になりたくないからあえてそのまま海外にいる人もいます。金銭的事情や帰国後の隔離先が確保できないために、日本へ帰りたくても帰れない人もいるのが実情なのです。
今は誰だって精神的に過敏になりやすい時期
自分自身のコロナ感染リスクや将来的な経済状況を考えた時、ついついネガティブになってしまいやすい今日この頃です。SNSで見かけるひとつひとつの情報や、他者の言動の重みがこれまでとは全く違うように感じます。
日本へ帰国した人も、海外に残ることを決めた人も、自分で下した判断が本当に正しいのか毎日不安で、些細なことで一喜一憂しやすいです。心がとても繊細になっています。
TwitterやInstagramを通して一般人から発信される情報やコメントは、芸能人のアカウントのように文章を校正する広報やマネージャーが不在です。その人の言葉でその人の想いがそのまま表現されます。誰もが手軽に投稿できます。
一度投稿しても、まずい表現があれば後から何事もなかったかのように削除することもできます。だから、「私とは逆の立場の人が自分の投稿を見たらどんな気持ちになるだろう?」などと深く考えずに自分の意見を発信してしまう人もいるかもしれません。
さらに、SNSの一部にはひとつの投稿に対して文字制限が設けられています。ブログのように長々と補足説明をすることには不向きです。
短い文章で表現しようとすると、どうしても内容の取りこぼしがでてしまいます。文章をできるだけ簡潔にするために言葉遣いも簡素になりがちです。
リアルタイムでの情報収集には頼りにできるツールですが、発信者の真意と情報の真偽を正確に汲み取ることが必要です。逆もまた然りです。
自分が発信する立場になる際にも主観的になりすぎていないかを意識して、本当に伝えたい内容を上手く言葉にできているか自分で校閲する作業が必要だと感じました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。