新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による町の様子をレポート@タスマニア(オーストラリア)
こんにちは!現在ファームジョブでタスマニアに滞在中のマユミです。
私は、タスマニア島の北西に位置するSmithton(スミストン)という人口4,000人弱の小さな町に住んでいます。
タスマニアの州都Hobart(ホバート)からは389km、第二の都市Launceston(ロンセストン)から231km離れた位置にあります。
私はセカンドワーキングホリデービザの権利取得のために、タスマニア島でファームジョブに挑戦しています。
現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行による混乱がとどまることなく続いていますが、オーストラリアでもロックダウン状態となっています。
今回は、田舎の小さな町にその影響がどのように現れているのか、また実際に自分が感じる様子を皆さんとシェアしたいと思います。
はじめの状況と異変
私が新型コロナウイルスについて知ったのは、1月に入ってから日本にいる母からの連絡でした。日本では既にマスクが売り切れているという状況。しかし、その頃はまだアジア圏内の話。「オーストラリアはこんな騒ぎにならないといいねぇ…。」なんて話していたものです。
しかし、1月末にはシドニーにて、武漢からのフライトで到着した1名の感染が確認されました。じわじわと異変を感じ始めたのは、2月の中頃からでしょうか。オーストラリア本土での感染者が少しずつ出てきたこと。
そして、3月の初めには日本でも起こったように、本土でトイレットペーパーの買い占めがあると言うニュースも出てきました。
この時期にちょうど休暇を取ってタスマニアからアデレードへ行っており、経由空港のメルボルンでも感染者は見つかっています。ちょうど休暇前に鼻風邪を引いていたので、自分自身は大丈夫だろうか?もし感染していたら…?と不安も感じました。
そしてついに3月2日(月)、タスマニアで初めての感染者がロンセストンにて確認されました。このニュースは周りにショックを与えました。
私も含め、「タスマニアは大丈夫だろう。」と楽観的に思っていたところはあったと思います。感染者が出たというその影響は、人々の行動にダイレクトに影響していきます。
こちらはSmithton、町のスーパーマーケットのWoolworth(ウールワース)です。まずはトイレットペーパーの買い占めが起こりました。
本土でのトイレットペーパーの買い占めのニュースを見ていたものの、まだこの町のスーパーにはあるし、買い占めは必要がないと報道されているし大丈夫だろう…なんて思っていた翌週には消滅しました。(笑)
3月の第1週に購入制限がアナウンスされましたが、未だにトイレットペーパーの棚はスカスカです。
その後は食料の買いだめが発生。2日ほどパンが陳列棚から消滅した日は、流石に恐怖を感じました。他の棚も確認したところ、ロングライフ牛乳(日持ちするパック牛乳)、卵、パスタの棚がスカスカになっていました。
さらに油、小麦粉、お米、乾物、缶詰等。その他食料品の棚もチラホラと空きが見えます。田舎町ではそのぐらいといったところでしょうか。
都市部であるメルボルンでは、場所によっては生鮮食品もごっそりと消えてしまったようです。(日によって、商品充実度にはばらつきはあります。)
それから衛生用品であるサニタイザー(消毒用アルコール)も直ぐに入手困難となりました。
マスクはもともとオーストラリアでする人はいないので、あまり陳列されていることがないのですが、薬局窓口で健康な人は買い求めても買わせてもらえません。
また、手洗いを奨励されればハンドソープが売り場から消える…などと、人々の行動が売り場へダイレクトに表れていました。
医薬品棚では鎮痛剤が無くなってしまいました。
色々な商品に対して、購入制限が行われています。
スミストンの町の様子
日々増加する感染者数に、オーストラリア政府の対応も厳しくなります。政府の対応が強化される度、町の様子はどんどん寂しくなってきている感じがします。
今は何より感染者を増やさない、感染スピードを遅らせることが大事です。後になって「心配し過ぎたね。過剰反応だったね。」と思えるぐらいが幸せかと思います。それでも、残念ながら日々状況は悪くなっていくように感じます。
Woolworthでは、店内でSocial distance(社会的距離)を取ることを求められています。要するに前後左右の人との距離を保つようにと言う指示です。
精肉エリアでは注文の際に、「ガラスケースをタッチしない、スタッフから離れて。」という注意を受けました。
セルフレジも人が利用する毎に触る可能性のあるところを、アルコールスプレーと使い捨てのワイパーでくまなく清掃されます。
レジを待っている間も、床に記されたガイドに従って人との距離を保ちます。
町の小さな店々ものぞいてみました。クローズされているのは、セカンドハンドショップ、バーやギャンブル場。生活に必須ではない人が集まる場である図書館や教会なども閉まっています。
オープンしているお店も、入店前に手の消毒を求めるお店、入店人数を制限するお店と様々な対応がされています。カフェ等の飲食店もテイクアウェイ(持ち帰り)のみの営業となっていました。
また、このコロナウイルスの事態に対して、都市部だけでなく私が住む田舎の地域のお店であっても、かなり素早く対応している様子に驚きを感じます。
3月25日(水)時点でのスーパーマーケット。テープを貼ってレジ待ちでも距離を取るようにしています。
4月8日(水)時点でのスーパーマーケット。テープからステッカーに変わっていました。よりわかりやすく表示されています。
スーパーマーケットの出入り口です。入口と出口を分けて一方通行にしてあり、接触を減らす努力がされています。入店後は一人一人にサニタイザーを手に塗布するよう求められます。
レジは全て開いていません。背中合わせになるレジは閉じてあり、間隔を持てるようにされています。
一度のお会計が終わる度に商品を並べるレーン、レジ本体、全て拭き掃除されます。レジ前にはアクリル板のシールドがあり、スタッフ・お客を接触や飛沫から守る努力があります。
アジア人に対しての反応
残念ながら、アジア人に対して嫌悪感を顕にする人、悪意のある差別行為をする人はいます。
私が目の前を通ると、笑って口をふさぐ動作をする子どもに出会いました。こんな時、びっくりして言葉も出てこないものですね。精一杯の言葉が「Don’t do that.」でした。
私の友人でも実際に罵声を浴びせられたり、「コロナ!」と言われたりしたことがあったそうです。その度に何とも言えない気持ちになるのですが、それらはごく一部の無教養な人間の行為、無邪気な子供の悪ふざけ、という風に理解しようとしています。
日本人の中にも中国人のせいで…、海外からの帰国者のせいで…などとひとまとめにして思う人がいるのと一緒でしょう。
目の前の人が悪いわけではないですし、誰もがわざと広めようとしているわけでもありません。ですがやはり自分の状況が切迫してくると、普段は表に出てこない人間の黒い部分が現れるようです。不安や恐怖から自分を守ろうとする気持ちかと思います。
自分が日本ではなく海外にいる限り、あまりこのような出来事に傷付いていても仕方がない部分もあります。顔を見た途端に相手から距離を取られた出来事に対し、始めはショックを受けていた友人も「距離を取ってくれるおかげで自己防衛できる。」と、ポジティブにこの出来事を捉え直していました。
また、ある知り合いは、「ウイルス持ってないだろうな?」と言われたから、「目の前で咳してやったわ!」となんともアグレッシブな対応を…。どんな対応が返ってくるのか分からないので危険です。やめましょう。
自分たちで出来ること
「私の目の前で咳をした人がいる!」と人々の行動に不安になってしまうルームメイトがいました。人の行動はコントロール出来ないものですから、私のルームメイトのような不安は、自分自身にストレスを与え疲れるだけです。
単純に私たちができることは、自己防衛をするだけです。手を洗う、うがいをするなどという基本的な衛生行動や、不要な外出を控える、密集したところへ行かないというリスク回避行動等です。
まだまだ先が見えない新型コロナウイルス(COVID-19)の出口。たくさんの制限で知らないうちにストレスも溜まります。
今この瞬間は大変ですが、いずれ終息する時が来ますので、自分たちの出来ることをして時間が解決するのを今は待つしかありません。
やれることをやったら後は、あまり悲観的にならないよう自分に優しくしてあげたいものです。
またこんな時だからこそ、人への思いやりも忘れないように、協力して乗り切っていきましょう。