ヨーロッパの英検!?「ケンブリッジ英語検定」ってどんな試験か簡単解説!
留学やワーキングホリデーを経験されている方ならば、海外滞在中に一度は「ケンブリッジ検定」という言葉を耳にしたことがあると思います。
日本では英検やTOEICといった有名英語試験が既にあるので、ケンブリッジ英検は日本での認知度はまだまだ低く、私もワーキングホリデーを検討するまでは知りませんでした。
また、日本語でインターネット検索しても詳細があまり出てこないのも手伝って、ケンブリッジ英検への理解が深まらないのだと思います。
ですが、このケンブリッジ英検は日本での知名度は低くても、世界レベルでは非常に有名な試験なのです!
留学経験のある方や、仕事の中で英語を使っている人であれば、ケンブリッジ英検の存在を知らない人はいないはず。
帰国後に英語環境の職場で働きたい方、また外資系に就職を希望している方は、このケンブリッジ検定の資格を持っていると有利になります。
今回は、「ケンブリッジ検定とは何ぞや?」というところから、勉強方法や受験までをお伝えできればと思います。
ケンブリッジ検定ってどういうもの?
ケンブリッジ英検とは、ケンブリッジ大学英語検定機構が運営する英語検定試験です。日本語での試験の呼び方は以下のように色々ありますが、全て同じものだとご理解ください。英語では、「Cambridge English Qualifications」となります。
・ケンブリッジ英語検定
・ケンブリッジ英検
・ケンブリッジ試験
・ケンブリッジ英語試験
ケンブリッジ英検は、英語を母国語としない国の受検者を対象にした、世界的に認められている国際英語能力試験です。日本の英検と同じで、試験レベルが分かれているのが特徴的です。全部で5段階に設定されており、レベル毎に試験時間や内容が異なります。
英語の全技能(スピーキング、リーディング、ライティング、リスニング)の能力を測るものであり、合否形式で、一度取得すると一生有効というのも特徴として挙げられます。
TOEICやIELTS、TOEFLのように点数ではなく、合否と言う部分も特徴的ですね。
試験レベルの低いほうから順に、以下のようになっています。
PET(Preliminary English Test)
FCE(First Certificate in English)
CAE(Certificate in Advanced English)
CPE(Certificate of Proficiency in English)
全レベルの中間にあたる受検者数が一番多いとされているFCEの試験内容は、2019年12月時点では、以下のような内容になっています。FCEはTOEICで言うと、750~900点レベルとされています。
解答方式は科目によって異なり、記述式とマーク式の混合です。試験時間は合計して約3時間30分の長丁場です。
ケンブリッジ英語検定のメリット・デメリット
ヨーロッパ圏や英語圏で仕事や進学をするのに役立つ検定であり、1回合格すれば一生有効な資格である点がメリットとしてあげられると思います。
デメリットは、テスト開催日が少なく、受験料が高いことと、スピーキングの試験では受検者2名のペアで挑む点です。語学学校で団体受験する場合は、パートナーが顔見知りのクラスメイトなので安心ですが、個人受験する場合は当日に初対面の人とスピーキングテストを一緒に受けることになり、思うように進められない可能性があります。
またもし国内で受検する場合は、日本ではあまり普及していないため、パートナー探しも簡単ではないかもしれません。
ケンブリッジ英語検定の勉強方法
基本的には、語学学校で「ケンブリッジ英語検定準備コース」を受講する方法と独学の大きく分けて2パターンがあると思います。
もちろん語学学校の授業を受けているだけで合格できるほど簡単な試験ではないので、前者の場合でも授業以外は自分で勉強する必要があります。
私も語学学校で勉強しましたが、語学学校で使用する以外のテキストは買わず、すべてインターネット上で練習問題を探して勉強していました。
世界的に有名なケンブリッジ検定ですので、勉強方法や練習問題はインターネット上にたくさん転がっています。ポイントは、英語で検索することです!
日本語で検索すると情報量の少なさに愕然とします。(笑)
科目毎に噛み砕いて説明すると…
科目毎の特徴を解説したいと思います。
・リーディング
インターネット上の練習・過去問題をひたすら解きます。「Cambridge test ○○○ listening practices」で検索するとヒットします。※○の部分は受検するレベルを入力(例:FCE、CAE)
自分の受験予定の試験レベルで検索をかけて、サクサク取り組んでいきましょう。
なおリーディングは、本番の解答用紙では大文字で書かなくてはいけないため、日頃から大文字で書く練習をしておくことを強くおすすめします。日本人は大文字で書くことに慣れていない人が多いので、余計な時間を取られないように練習しておくべきです。
・ライティング
語学学校のコースで学んでいる場合は、毎回ネイティブにチェックしてもらえる環境であれば問題ありません。しかし、独学で勉強している方は、インターネット上に採点・添削・アドバイスをくれる無料サイトがあるので、そちらを活用して進めていきます。
また、手書きする練習も忘れてはいけません。本番ではボールペンで清書するところまで求められます。
・リスニング
インターネット上の練習・過去問題をひたすら解きます。ただ、答えがない問題もYoutubeなどにはよくあるので、問題を解く前に確認することをおすすめします。できれば、答えだけでなく、スクリプトがあるものがふさわしいです。
・スピーキング
ケンブリッジ検定の運営側が公式でYouTubeにアップしている動画がいくつかあり、解説もついているので、ぜひ参考にすると良いでしょう。
流れを掴んだら、自分だけで成立するパートはブツブツひとり言で練習し続け、それ以外はペアの人とひたすら練習です。
リスニング以外は、必ずタイマーをセットすることをお忘れなく。
そして、試験を時間内に問題を解くためのコツがたくさんあります。語学学校で学んでいない方は、そうした情報も自分で調べておきましょう。情報はインターネットで簡単に入手できますので要チェックです!(すべて英語サイトです。)
「Cambridge test ○○○ tips」 ※○の部分は受検するレベルを入力(例:FCE、CAE)などで適当に検索をかけると、動画でも文章でもたくさんヒットしてきます。
ケンブリッジ英語検定の受検当日
受検当日は、テスト開始30分前までに会場に到着していなくてはなりません。また身分証明としてパスポート持参が求められます。
試験会場に持ち込めるものに関しても非常に厳しく、以下のモノのみとなっています。
・鉛筆もしくはシャープペン
・鉛筆削りもしくはシャープペン芯の替え
・消しゴム
・何も書かれていない透明のボトルに入った水
ただし、鉛筆やペンは試験官に言えば借りることができます。
テスト自体は、以下の順番で進んでいきます。
合格ラインですが、ケンブリッジ検定の場合は平均して60%以上取れれば合格とされています。
ケンブリッジ英語検定はどんな人におすすめ?
ケンブリッジ検定の必要性は、目的とその人の英語レベルによるとしか言えませんが、全技能を満遍なく勉強しないといけないため、英語力の底上げをしたい人にはおすすめです。
私が通っていた語学学校では、ケンブリッジ英語検定準備コースは一般英語コースと比べるとインプット量は約4倍だと聞きました。
個人的には、「Upper-intermediate」~「Advanced」のレベルの人たちに効果的だと思います。準備コース受講層や受験検討者は、これらのレベルの人たちが多くを占めているのではないでしょうか。
TOEICの足りない部分である「スピーキング」と「ライティング」の補完証明としての位置付けとしても最適です。
TOEICにもスピーキングとライティング試験が別途ありますが、現状は非常にマイナーです。語学学校でもTOEICのスピーキングとライティング試験対策をやっているところも聞きません。
つまり、スピーキングとライティング技能を証明するために、TOEIC以外の英語資格を持っていると強いアピールにつながります。TOEICはスピーキングとライティング能力を測れない試験だと指摘する人も多いので、この2技能の証明としてケンブリッジ検定はおすすめです。
ケンブリッジ検定以外の試験としては、IELTSとTOEFLがあります。ちなみに、TOEFLは海外大学入学のための英語証明資格としての認知度が強いのが特徴です。そのため、就活等での英語力証明としては、IELTSかケンブリッジ検定を選択する人が多いです。
IELTSとの比較
上記でも触れましたが、ケンブリッジ検定はよくIELTSと比較されることが多い試験です。大きな違いとしては、IELTSは合否ではなくスコアであること。
また、スコアの有効期限は2年間、一方でケンブリッジ検定は合否形式で1回合格すれば永久に有効という点が言われています。
ただし、大学進学など有効期限が厳密に求められるケースでなければ、個人的にはあまり気にする点ではないと思います。
仮に5年前に取得したIELTSスコアでも履歴書に書くことはできます。あとはそれを会社側がどう判断するかだけです。同じく5年前に受験したケンブリッジ検定でも、5年前の資格である事実は変わりません。
それよりも就職活動の英語力証明として活用する場合は、どういった目的でつくられた検定で、出題される内容などはどういったものなのかに着目した方が良いと思います。
以下は、私の思うIELTSとケンブリッジ検定の違いです。優劣はなく、その人それぞれの目的に合ったものを選ぶことが大切です。
IELTS(アイエルツ)
・テストタイプ: アカデミック(留学用)、ジェネラル(移民・就職用)の2種類
・採点形式: バンドスコア(0.0~9.0)※スコアは0.5刻み
・有効期限: 試験日から2年間
・傾向: 専門的な内容や難しい単語が出題される傾向にある。英語力だけでなく持っている知識も問われる。
ケンブリッジ英語検定
・テストタイプ: KET、PET、FCE、CAE、CPEの5段階
・採点形式: 合否
・有効期限: 一生
・傾向: 日常生活にまつわる英語力が問われる。
すごくざっくり分けると、個人的には、IELTSは留学向き、ケンブリッジ検定は就職向きだと思っています。
「絶対ケンブリッジ検定を受験した方がいいです!」とか「IELTSを受けるべき!」など断言する人もいたりしますが、他者の意見を鵜呑みにせず、自分自身できちんと見極めて判断していけるといいですね。
両試験とも世界レベルでは超メジャー試験なので、どちらを選んでも間違いはありません。あとは、試験には傾向があるので、試験形式や問題の出題傾向などを見て、自分が勉強しやすいと思う方を選ぶと良いと思います。
ケンブリッジ英語検定に興味を持った理由
最後に、私がケンブリッジ検定に興味を持った経緯について触れたいと思います。
それまで名前は聞いたことがあったものの、「仕事や大学進学などでどうしても必要な人が受験するんでしょ?私には関係ない。」とずっと思っていましたが、とある転機が訪れます。
オーストラリアにワーキングホリデーで来て、語学学校の一般英語コースに通っていたのですが、クラスの人数が多すぎて発言の機会も多くなく、英語の上達スピードに不安を覚えていました。
セミスパルタのフィリピン留学を少し経験していたこともあり、オーストラリアの語学学校の一般英語コースで展開される楽しく学んでいく緩やかな授業スピードにも少し不満を持っていました。
そこでコース変更を視野に入れて、IELTS(アイエルツ)のお試し授業を受けてみました。しかし、実際に参加してみると、何だかクラスの雰囲気が楽しくなさそうに見えました。
IELTSを勉強する生徒の多くは、専門学校や大学への進学目的の英語証明として勉強している理由が大きいのかも知れません。試験で規定のスコアを取るための勉強、つまり受験勉強といった雰囲気になりがちです。
他の生徒たちの評判を聞くと、ケンブリッジ英語検定準備コースの授業を教えている先生がすごく人気だと知りました。その時は検定自体への興味はゼロでしたが、途中でコース変更をして、受講を始めました。
授業中、一般英語コースのようにゲームやクイズはありませんでしたが、先生とクライスメイト全員の士気が高く、噂どおり先生の教え方も素晴らしく、それだけでもコース変更の価値がありました。
元々試験を受験するつもりはなかったのですが、どうせ勉強するなら受験してみようと、完全に気持ちが変わりました。
検定自体は受けても受けなくても正直どちらでもいいと思っていますが、留学中に本気で英語を勉強したいと思っている方には、ケンブリッジ英語検定準備コース受講も選択肢に入れることをおすすめしたいです。