コロナの渦中でヘルスケアワーカーとしての取り組みを紹介@オーストラリア
私は現在、オーストラリアでアシスタントナース(AIN)として、在宅ケア分野での仕事をしています。
エッセンシャルワーカーのため、新型コロナウイル対策でのロックダウンがされても変わらず仕事はありますが、これまでの仕事の仕方や心持ちに影響が全くないわけではありません。
今回は、ヘルスケアワーカーとして、ここ数ヶ月の取り組みについてお伝えしたいと思います。
正しい知識と情報のアップデート
SNS等からの新型コロナウイルスに関わる誤った情報の流出や、過度な表現により人々がパニックに陥り、パニックバイや差別行為などが起きてしまっています。
何よりも大事なのは、正しい知識を得て冷静に考え、正しい行動をすることだと思います。
とは言え、新しいウイルスのため医療関係者であっても知らないことばかりなので、プロフェッショナルとして正しい知識をつけるためには、信頼できる情報元にアクセスする必要があります。
オーストラリア保健省公式のサイトでは、オンラインでコロナウイルについて学習することができるトレーニングコース(COVID-19 infection control training)があります。
仕事上、このコースを修了するのが必須だったので、修了後はサティフィケートをダウンロードして職場に提出しました。
また、オンラインコースだけではなく、同ホームページでは定期的に新しい情報のアップデートがされています。その度に会社から情報共有としてサイトURLが転送され、熟読するように促されています。
これらの正しい情報のアップデートは、ヘルスケアワーカーのみならず誰もが必要だと思います。SNSのように勝手に入ってくる情報と比べると、わざわざアクセスするというのは少し手間かもしれませんが、是非正しい知識をつけて正しい行動をとりましょう。
オーストラリア保健省ホームページ(https://www.health.gov.au)から「Resouce」 → 「App or tool」と進んでいくと「COVID-19 infection control training」のページを見つけらます。
仕事をする上での変化
今回のコロナウイルスの影響により、仕事のルールには以下のような変化がありました。
・出勤や訪問時のルールの徹底
はじめに、出勤前に体温測定をするという新たな取り組みが、会社の決まりとして始まっています。そして、平熱より1度以上上がった場合は、会社に連絡するというルールになりました。もちろん、他の症状が出た場合も同様です。
体調不良の場合、勤務はできません。新型コロナウイルスに限らずですが、もし今回のような新型のウイルスを自分が媒介してしまった場合、高齢者や持病のあるクライアントにとっては命の危険にさらされるため、よりルールが厳しくなっています。
また、自分の家族(一緒に暮らす人)の中に新型コロナウイルスに感染した人がいる場合や呼吸器関連の症状がある場合は、自分の症状の有無を問わず14日間のクライアント宅への訪問が禁止されています。クライアント訪問時は、以下のようなルールが徹底されています。
これは看護師をしていた時に、感染症の患者さんを受け持った時とほとんど同じ対策です。見えないウイルス対策のため、自分や訪問先のクライアントがウイルスを持っていると仮定した行動をとっていると言えます。
また、私たちのようなヘルスケアワーカーの場合は、認知症高齢者の身体的介護や障がい者の付き添いや見守りなどのケアをする場合、彼らと1.5メートル以上のソーシャルディスタンスを保つのはほぼ不可能です。そ
のため、念には念を入れた厳しい体調管理と、現場での感染予防対策、清潔管理が必要とされています。
・エッセンシャルワーカーとしての証明書を持ち歩く
不必要な外出が禁止されているため、警察がパトロールをしている姿を時折見かけます。医療系のユニフォームを着ていれば、医療関係者やケアラーとみなされ問題ないそうです。
しかし、実は看護師のユニフォームを着ている人に向かってウイルス扱いをするような口撃や暴力をふるうなどといったケースも少なからずあるようなので、積極的にユニフォームを着用しないようになりました。
そのため、もし私服で出勤中に職務質問されたときは、証明書(Certificate of Essential Service Employee)を見せるようにと会社から電子版の証明書が送られてきました。
今のところ出番はありませんが、当たり前だった出勤のための外出に証明書が必要になるなんて思いもしませんでしたね。
・インフルエンザワクチンの早期接種
政府から、ヘルスケアワーカーも早めにインフルエンザワクチンを接種するようにと推奨がありました。昨年、オーストラリアではインフルエンザの感染者数が過去最悪だったそうです。
そのため、新型コロナウイルスの感染者と合わせての患者数や重篤者の増加による医療崩壊を防ぐために、高齢者や基礎疾患を持つ人、そして医療介護関係者全員のワクチン早期接種が勧められています。
そのため、各訪問ケアエージェントでは、5月までにワクチンの接種または予約をしていなければ、それ以降ケアラーとして働けないという異例の通達がありました。
これまでは病院や施設で働いていたので、職場で接種できました。しかし、今回は在宅ケアエージェント所属のため自分で予約、摂取して後から職場に費用を負担してもらうという方法でした。
参考までに、私が実施したオーストラリアでのインフルエンザのワクチン接種方法をご紹介します。
職場に提出する証明書や領収書が必要な場合は、接種後にその場で依頼する必要があります。
これからオーストラリアではインフルエンザも流行する季節ですので、必要な方は参考にしてください。
ケミストウェアハウス以外でも接種できますが、予約時期や場所によっては売り切れていることがありますので注意してください。
ちなみに、インフルエンザの予防接種は、新型コロナウイルスの予防にはなりません。
コロナ対策はより厳重になっている!
つい数週間ほど前から、電車の各駅にハンドサニタイザーが設置されました。
シティ中心部の駅のみならず、郊外の小さな駅でも見られるので、国を挙げて対策が進められている証拠だと思います。そうした国の対策の成果もあり、1日あたりの感染者数はかなり抑えられてきています。
自分が持っているハンドサニタイザーにも限りがあるので、公共交通機関を多用する訪問ケア従事者としてはありがたい取り組みです。
また、駅構内やスーパーマーケットなど人が集まる場所では、スタッフが常に掃除や消毒をしており、ソーシャルディスタンスの確保のための誘導やアナウンスなどを徹底しています。彼らの働きがあるからこそ、私も生活に困ることなく、安全に出勤して在宅ケアを利用者さんに提供できています。
まだ先の見えない中ですが、周りの働きや自宅待機をしてくれている方々に感謝しつつ、自身の体調管理と感染予防対策をしっかりとって、これからもケアラーとしてクライアントにケアを届けていきたいと思います。
各々が出来ることを続けて、コロナウイルスの感染拡大による困難を乗り越えましょう!