長期留学生の8割以上はワーホリ?多くの人がワーホリで渡航する理由を検証してみた
長期で欧米圏に滞在している留学生は、「みんな語学学校に通っている語学留学生」と思っていませんか?
留学ドットコムでも「留学に行きたい。」というご相談をたくさん頂きます。
そのうち長期留学をする8割ほどは、「ワーキングホリデービザ(ワーホリ)」でカナダやオーストラリアなどの欧米圏に渡航しているのが実情です。
では、なぜ多くの方がワーホリビザを使って渡航するのか、その理由を検証してみたいと思います!
ワーホリは年齢制限がある!行けるのは今だけだから
既にご存知の方も多いかとは思いますが、ワーホリビザの申請には年齢制限が定められています。一部例外もありますが、ほとんどの国が18~30歳までとなっています。
そのため、年齢制限(上限)のない学生ビザと比べて、「行くなら今しかない!」と思って焦ってしまいがちなのがワーホリです。
もちろんワーホリビザを申請できる年齢の内に「取り敢えず行っておく!」という考え自体は悪いことではありませんが、18~30歳といえば日本ではまさに働き盛り。
そして、一般的には年齢が上がれば上がるほど、再就職のハードル段々と高くなる傾向にあるのが、日本の就職事情なのは誰もが知るところでしょう。
ワーホリはアルバイトも自由にできるため、予算が50万円くらいあればバイト収入で1年間生活できてしまいます。その気軽さから、あまり深く考えずに「え~い、行っちゃえ!」という勢いだけで出発する方がいるのも事実です。
そのように「取り敢えず」行ってみて、楽しいだけのワーホリで帰国すると、帰国後なかなか就職が決まらない…といったことにもなり兼ねません。
大事なことは、学生ビザにしろワーホリビザにしろ、帰国後の進路を見据えて計画的に準備していく必要があります。
英語力が無くても海外に長期滞在できるから
「パスポートがあれば、好きな国に行って、自由に滞在ができるんでしょ?」と思ったら大間違い。
確かに日本のパスポートは万能なのでビザなしで「入国」できる国の数は世界の中でもトップレベルですが、入国できたからその国で「長く生活」できるかというと、そうはいかないものです。
学生ビザで長期滞在するのであれば、滞在期間分は学校に授業料を払う必要があります。また、仕事で滞在したいのであればその国のワークビザ(ビジネスビザ)を取得する必要があります。しかし、ワークビザは、限られた一部の人しか取れない特殊なビザです。
そんな中、ワーホリビザは唯一「何をしても良いビザ」です。
学校に通う人もいれば通わない人もいますし、仕事をしたり観光したり、極端な話何もせずにただその国に住むことも可能です。
しかも英語ができなくても、“とりあえず住んでみる”ことは誰にでもできます。長期の海外生活ができる一番簡単な方法がワーホリですので、大多数の方がワーホリに魅力を感じるのも納得です。
予算が足りないから
結論を言うと、この理由でワーホリを決める方が一番多いです。
上記でも触れましたが、ワーホリビザはアルバイトが自由にできるビザなので、アルバイトをフルタイムでしていれば、その収入の範囲で生活が成立します。
語学学校に通うとなると授業料がかかりますし、インターンシップは参加費がかかる上に無給であることが多いため、予算がカツカツの方はワーホリという選択肢に逃げがちです。
英語力が無ければ英語環境の職場で働くことは不可能ですから、残された道は日本食レストランで働くしかありません。
海外に行ってまで日本語環境の職場で働き、日本人に囲まれて生活することは価値ある時間とは言えないのではないでしょうか?
また、お金が無いからと言う理由で、物価の安い田舎の地域に行かれる方もいます。でも考えてみてください。田舎には日本食レストランは殆どありません。
日本での仕事を辞めて海外に行ったけど、英語ができなくて仕事が見つからなくて生活費がただ無くなっていく…なんてことになってしまった場合、どうでしょうか?
もともと日本でも貯金が無かったのに、帰国して再就職もなかなか決まらないと後々の人生大変なことになりかねません。
特に社会人になってからの留学を検討している方には、「お金がないからワーホリ」という安易な考えはお勧めできません。
大変なことはできるだけ見ぬふりをする方もいますが、海外で情けない思いをしなためにも、きちんと現実を理解した上でワーホリに出発したいものです。
目的もキャリアプランもないワーホリが就活でアピール材料になる?
もちろんワーホリを選ぶ理由には、ポジティブなものもあります。
例えば、国によってはワーホリビザを取得していないと参加できないインターンシップやボランティアのプログラムがありますので、こういったプログラムに参加するためにワーホリビザを取得する方もいます。
ただ、何の目的も将来の計画も無しにただワーホリをしたところで、帰国後の就活の苦労は目に見えています。
皆さんが企業の採用担当になったつもりで、想像してみれば簡単に分かることです。
例えば、一年間語学学校に通ってTOEIC800点を取得して帰国したAさんと、一年間ワーホリをして大して英語力も変わらずに帰国したBさんがいた場合、どちらが人材として魅力的に見えるでしょうか?誰が見ても前者でしょう。
今や誰でも海外に行くことができる時代ですので、ただ目的もなく海外に行って来ました…というのでは何のアピールにもなりません。
むしろ企業にとっては、何も結果を残せていない海外経験者には、「この人はただ目的も無くふらふらしてきた人」とのレッテルを貼られてしまいます…。
「勉強は嫌い!」と言うのも分かります。「英語力以外で海外経験をアピールする方法はないの?」と思っている方もいらっしゃると思います。
他人とは違う何かを持っていないと企業は認めてくれません。例えば、あなたがYouTuberとして、視聴者数がどの動画も即座に1万人アクセスが来る、またはチャンネル登録数が1万人以上いるといったことであれば、それには付加価値があります。
今後のビジネスはYouTubeやSNSも活用しなければ生き残れない時代ですから、そこにあなたの強みがあるなら、英語ができないくらいの弱みは十分にカバーできるでしょう。
企業は付加価値のある人材にしか興味を持ちませんし、評価をしません。あなたが海外留学(ワーホリ)することで、どんな付加価値を身に着けるプランを考えているのかが重要です。
そこに明確な答えを持っているのであれば、帰国後も何ら問題ないでしょう。
多くの方にとっては、人気ユーチューバーや人気ブロガーになるのと、TOEIC800点を取るのとでは、圧倒的に後者の方が楽で確実な方法です。
人気ユーチューバーになれるのはほんの一握りなのに対し、TOEIC800点を取るのは英語学習者の上位10%強なので10人に1人の世界なのですから。
学生ビザでもアルバイト可能な国がある
ワーホリを希望されている方からは、「海外で働く経験を積みたいから。」とか「生活費を稼ぎたいから。」という意見がよく挙がります。
しかし、仕事ができるのはワーホリビザだけではありません。オーストラリアやニュージーランドなど一部の国では学生ビザでもアルバイトが可能です。(週20時間のパートタイム限定)
確かにフルタイムで働けるワーホリと比較するとお給料は少ないですが、それでもある程度生活費の足しにすることはできますし、ワーホリ同様自分の好きなアルバイト先を探すことができます。
また、カナダには「Co-op(コープ)プログラム」という、就学と有給インターンシップを組み合わせたプログラムもあります。
こちらは入学に一定レベルの英語力が必要となりますが、ビジネスやホスピタリティを現地のカレッジで学び、その後学んだ分野と関連する企業(お店)で、有給で働けるプログラムです。こちらは、年齢制限がないので31歳以上の方でも参加できます。
さらに就学期間中も週20時間までのパートタイム就労が認められていますので、有給のインターンシップと合わせて費用をかなり抑えることができます。
こうしたプログラムで留学すれば、英語力や専門知識も身に着けた上で、英語環境で働く経験もでき、さらに留学費用も抑えることができます。
帰国後の就職活動で、前職以上の待遇で仕事が決まる人は、こうした計画的に動いた人だったりします。間違いなく、無計画なワーホリより濃密な時間を過ごしているのは明らかではないでしょうか。
「働けるビザ = ワーホリ」だけではないことを強調しておきます。
このように学生ビザでも働けるという選択肢がある中で、本当にワーホリで渡航するという決断が正しいのか、今一度考えるきっかけになっていれば幸いです。