新型コロナウイルスにまつわるカナダ政府の対応に感動!カナダのトルドー首相ってどんな人?
こんにちは、カナダ在住のちひろです。
新型コロナウイルスの蔓延が日本でもいよいよ深刻化してきましたね。私もカナダから日本のニュースを頻繁にチェックしています。外出自粛要請や日に日に増す感染者数の報道を見聞きしては、日本にいるみなさんの無事を祈るばかりです。
さて、日本よりもひと足先にコロナウイルスの影響が拡大したカナダですが、私にとっては、日々カナダ政府が打ち出す声明に感動したり、いい意味で驚かされたりする毎日でもありました。
特に、トルドー首相からのメッセージは心に響くものが多くあり、「やっぱりこの国でもっと生活を続けたいな。」と何度も思わされました。
もちろん、トルドー首相がカナダ国民から100%の指示を受けているかと問われれば、そんなことはないですし、欠点がひとつもない完璧な指揮者というわけでもありません。
でも、この誰もが先行きが見えずに不安な状況の中で、トルドー首相から発信されたメッセージは、一国の主として非常に頼りに、そして安心感を国民に与えるものに感じています。
そこで今回は、新型コロナウイルス問題の渦中に、カナダ首相であるトルドー氏から発信されたメッセージの要点をピックアップしてみなさんにシェアさせていただきます。
子供達の自立心を育むメッセージ
私がトルドー首相の声明に好感を抱いたのは、全国民に対してフワッと当たり障りのないメッセージを投げかけるのではなく、医療従事者なら医療従事者、日用品供給者(スーパーやドラッグストアで働く人)なら日用品供給者の心に直球で響くような感謝や励ましの言葉をツイッターや定例会見で発信している点です。
たとえ外出自粛が要請されたとしても、世の中で働く人全員が自宅にとどまってしまっては経済や社会が破綻してしまいます。感染者が出る以上は患者を治療する人が必要ですし、市民にとって食料品や日用品の購入も必須です。
ですから、このような状況でもリスクを背負って病院で働いている人、生活用品を生産・陳列・販売してくれている人々に国民全体が感謝せねばなりません。
首相が率先して、そのようなメッセージを発信してくれることで、「お互いに思いやりの心を持って日々生活せねばならない。」と気が付くきっかけになります。
このことは、極端な買占めや自己中心的な行動を取ろうとする人を抑制することにつながります。また、外出自粛の中でも働き続けてくれている人の志気や使命感を高めることにもなるでしょう。
さらに、トルドー首相の声明は、時には子供達へも直接的に向けられます。彼は、先日子供達に以下のようなメッセージを投げかけました。
私は、トルドー氏が子供の立場にも自分の身を置いたこの発言は素晴らしいと感じました。このメッセージを受け取った子供の自立心は非常に育まれるように思うのです。
子供までを含めて、首相が国民のひとりひとりのことを認識していることを伝える姿勢に非常に感動を覚えました。
予定通りの開催ならばオリンピックには不参加という意思表明
トルドー首相を見ていて気持ちがいいのは、全ての事柄に対する「決断の早さ」があるからではないかと私は考えました。
そして、即断即決ができるという点においては首相だけでなく、カナダのオリンピック委員会にも通じるものがありました。
新型コロナウイルス関連の報道が連日続く一方で、日本では、オリンピックを予定通り2020年の夏に開催するよう政府が動いている旨のニュースが流されていました。経済的・社会的事情があって計画変更が難しいことは重々承知です。
しかし、世界で何万人というコロナウイルス感染者が出ている中で、あれだけ大規模な国際的大会を開催するのは、正直言って現実的ではない状況でした。
中止や延期を望む人が一定数いたにも関わらず、国際オリンピック委員会と東京2020組織委員会から大会延期の発表がなされるまでに相当な時間がかかり、視聴者は終始もやもやした気持ちで毎日を過ごしていました。
そんな世界情勢の中で、いち早く自国の意思を示したのがカナダでした。カナダのオリンピック委員会は以下のように明言しました。
「オリンピック・パラリンピックが1年延期されない限りは、カナダの選手団を日本へ派遣しない。これはコロナウイルスからアスリートを守るためでもあるし、公共衛生を保つためでもある。」
その後、トルドー首相は即座に上記のオリンピック委員会の決断を支持する声明を発表しました。「この判断は、選手やコーチ、スタッフやファンにとっては残念なニュースでしょう。けれど、これは明らかに懸命な決断であり、皆が従うべきものである。」と述べたのです。
そして、これらの判断は非常に困難なものだったと彼らは説明しています。カナダのオリンピック委員会も首相と同様に決断の速さが際立ちました。
でも、「日本へ選手を派遣しない。」と断言してくれたことで、「今はとてもじゃないけど、そんな状況ではない。」という深刻さを世界に向けて代弁してもらった心地がして、妙な安心感がありました。
感染症の本当の恐ろしさを提言
私は、感染症が広がった当初は、「自分がコロナウイルスに感染したら怖いから外に出たくない。」という気持ちで自粛生活を送っていました。でも、日々、トルドー首相やカナダ政府の宣言に触れるうちにその意識が徐々に変わっていきました。
それは、「自分がウイルスを運ぶ媒介(中継ぎ)役になってしまう可能性がある。」という新たな認識です。特に若い人の場合は免疫も体力も十分にあります。
外で花見をしようが飲み会をしようが、万が一、手や口にウイルスが付着してしまっても発症することなくやり過ごせるかもしれません。
でも、そのコロナウイルスを持った状態でお年寄りや子供と接触した時には、どうなるでしょうか?冒頭からお気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、そこには免疫力が低い人達に菌を遷してしまうことになる危険性が潜んでいるのです。
ただ単に「ウイルスが蔓延しているから家にいてください。」と言われただけでは、「私はまだ若いし外で遊んでも大丈夫だ!」などと、どこか他人事に捉えてしまう人が出てきてしまうと思うのです。
トルドー首相が子供達に向けた言葉のように「家にいることが、お年寄りや医療従事者を助けることにつながる。」と言ってもらえると、本当の感染症の恐ろしさに気がつくきっかけとなります。
また、カナダのオリンピック委員会がアスリートの安全だけでなく、公共衛生について言及した点も同様です。
自分のことだけでなく周囲の人間、ひいては社会全体への思いやりを想起させる声明に私は大変心を打たれました。
海外経験を持つことで、こうした各国政府の対応における温度差も感じることができて、大変学ぶところがあります。
【まとめ】世界の政治を比較してみよう!
お恥ずかしながら、私はこれまで世界政治に熱心な興味はありませんでした。「勉強しないといけない。」と考えつつも、なんだか小難しいような気がして、ついつい後回しにしてしまっていました。
でも、新型コロナウイルス問題で、受動的にでも各国の情報が入ってくるようになり、各国政府の対応の違いを知ることになりました。世界的に同じ現象が起きているのに、出される声明や国民への保障が異なっていて、自国の対応を誇りに思う人もいれば非難する人もいました。
「政治に興味がない若者が多い。」とか、他国と比較した際の投票率の低さが問題にされがちな日本ですが、今回のコロナウイルスの件で日本政府の対策に疑問や不満を持った人が一定数いるのではないかと考えます。
私は、カナダの一連の対応は素晴らしいと感じましたが、カナダ人の中にはトルドー首相を支持しない人ももちろんいます。何年もこの地に住んでみたら、別のネガティブな側面を見つけることになるのかもしれません。
でも、自国のリーダーや政治に関心を持つことで、見えてくるものがたくさんあります。「自分は今後もこの国で生活を続けていきたいのか?」とか、そこでの生活に不満があるのならば、「次に自分が取るべき行動は何なのか?」とか、将来の課題が見えてきます。
みなさんは今の日本、そして世界の動きをどう見ているでしょうか?日本で生活を続けたいと思いましたか?それとも、他国にも目を向けてみたいと感じましたか?もしかすると、今こそ自分の進路を改めて見つめ直す良い機会なのかもしれません。