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カテゴリー:現地生活情報

「スマートサーブ」の無料キャンペーンに50,000人が殺到!オンタリオ州でお酒を扱う仕事に就くなら必須の資格をご紹介!

公開:2020/04/10 著者:坂元 ちひろ 1531 Views

こんにちは、カナダ在住のちひろです。

カナダのオンタリオ州で仕事をする場合、「スマートサーブ(Smart Serve)」という資格保持が絶対条件になる職種があります。

 

スマートサーブが必要となる業界は、「レストラン・バー、酒屋などのアルコールを取り扱う店舗全般」です。

 

資格取得が義務付けられている人は、お店のオーナーやマネージャーはもちろん、サーバー(ウエイトレス)や販売者といった、フルタイムもしくはパートタイムで働く人々もスマートサーブ取得が必須です。

つまり、ワーキングホリデーや学生ビザで上記の職に就く際に、この資格が必要となる可能性があります。

ただし例外があります。飲食店で仕事をする場合でも、調理場や食器洗いのポジションを希望するならスマートサーブは不要です。アルコールメニューがないカフェなども対象外です。

 

あくまで、「接客をする立場で、なおかつお客さんにお酒を提供する人が取得せねばならないのがスマートサーブ」と言うことができます。

 

今回は、そんなスマートサーブや日本とは少し異なるカナダでのお酒の取り扱い方についてご紹介させていただきます。

これからお届けする情報は随時変更になる可能性があるので、最新情報はスマートサーブの公式ページ(https://smartserve.ca)よりご確認ください。

そもそもスマートサーブとは?

スマートサーブは、お酒の提供者がオンタリオ州のアルコールに関する法律や規則を把握し、正しい知識で安全にお客さんにお酒をサーブするための資格です。

 

雇用主がスマートサーブを所持していない従業員にお酒を提供させたり、無資格でお客さんにアルコールを給仕したりすることは違法行為です。

 

カナダでは日本以上にアルコールの取り扱いが厳しいです。例えば、レストランやバーなど、お酒の提供が認められている場所以外での飲酒は禁じられています。

日本のように公園でお花見をしながらお酒を飲んだり、仕事帰りに路上や電車内で缶ビールを開けて飲み歩いたりする行為は厳禁です。

また、アルコール販売が許可されているお店ですら、提供可能時間が決められているため、朝方までお酒を飲み続けたり夜が明けるまでバーをハシゴしたりすることはできません。

 

仮にお客さんが酔って怪我をした場合は、お酒を提供した側がその責任を負うことになります。

 

お客さんがお店で飲酒した後で酔って起こしたトラブル(暴力行為や飲酒運転による事故など)は、たとえ発生場所が店外であっても、オーナーや従業員の管理体制の甘さを指摘され、罰金や留置、最悪のケースは営業停止命令が下る可能性があるのです。

そのような理由から、アルコール提供者はお客さんを酔わせないための知識やお酒によるトラブル回避対策を把握しておく必要があります。お客さんが入店時にすでに酔っている場合は、お店側に入店拒否する権利があります。

それ以上のお酒の提供は断らねばなりません。それらの知識や権利を学ぶために取得するのが、このスマートサーブと呼ばれる資格というわけです。

 

→ 酒量コントロールを自分でできない人は飲むべきじゃないですよね…。(心の声)

 

スマートサーブ取得までの流れは?

さて、次は、スマートサーブ取得までに辿る全体的な流れについてご紹介します。学習方法は大きく分けて2つあります。

具体的には、「オンラインで自主勉強」もしくは「資格取得のためのコースを設けている学校に通う」の2通りの方法です。

私は前者のオンラインでの自主勉強を経験しましたので、以下では、オンライン学習について詳細をお伝えいたします。

 

オンライン学習を選択した場合、スマートサーブ取得までの勉強(以下、トレーニング)から受験までインターネット上で完結することができます。トレーニングは、資格取得に必要な知識をビデオやテキストで学んでいく形になります。

学習中はオンライン英会話のように画面の向こうに講師がいるわけではなく、自分で資料を読み進めたり練習問題を解いたりしながら試験に備えます。

トレーニングと試験に用いるデジタル機器については、パソコン以外に携帯などのモバイルデバイスを使用することも可能です。スマートサーブの公式案内では、スマホでも受講・受験はできるけれどもコンテンツにはビデオ視聴が含まれるため、Wi-Fi環境下で利用するよう推奨されています。

 

そうでないと、モバイル通信料が膨大になってしまう可能性があるからです。

 

また、受験する際はデバイスにウェブカメラがついていることが必須条件です。これは試験前にカメラを通じてID確認(パスポートなどの身分証明書が必要)をしたり、試験中にカンニング行為がないかを監視したりするために使用されます。つまり、テスト時はカメラの向こう側に試験官がいるのです。

ちなみに、トレーニングはオンタリオ州外から受けることもできるので、日本にいる間に勉強しておくこともできます。一度資格を取ればそれが失効することはないので、時間の余裕があるうちに取得しておくのも手かもしれません。

このトレーニングと受験には、通常であれば税込39.49カナダドル(日本円で約3,000円)の費用がかかります。

 

今回の新型コロナウイルス蔓延の影響を受けて「2020年4月1日(水)~30日(木)までオンライントレーニングを無料にする。」という発表がライセンス管理組織からなされました。

 

しかし、発表から5日足らずで新規受講者が50,000人に達したため、4月5日(日)にキャンペーンを一旦休止することを決定しました。世間からは、「新型コロナウイルス蔓延の渦中は常時無料にしてほしい。」という声が上がっています。

管理側は、「なるべく早く何かしらの対策を取りたい。」と回答しているため、今後の動向にも注目です。

そもそも、「この無料キャンペーンはなぜ始まったのか?」について、もう少し掘り下げます。

 

カナダではコロナウイルス感染拡大を防ぐために、飲食店が配達とテイクアウト営業のみとなりました。オンタリオ州民の生活や飲食店業界の売り上げは大打撃を受けています。そんな現状を踏まえて、政府が期間限定でお酒に関する法律の一部を修正しました。

オンタリオ州は一時的に、飲食店からビールやワインを配達する行為を許可することにしたのです。これは2020年12月31日まで有効とされる予定です。そこで急遽、「配達員として各家庭にお酒を届ける人もアルコール提供者」という認識のもと、資格取得が必要になりました。

現在カナダでは、経済不況の煽りを受けて少しでも生活費を稼ぐために、配達員として仕事を始める人が急増しています。日々の食費の確保さえ危うい人もいます。そんな人々をサポートするために、今回の無料キャンペーンは実施されたという流れです。

 

ちなみに、ここでも「配達元のレストランやバーはお酒の提供が認可されている店舗が対象。」という規制や、「アルコールは食事と一緒に配達されねばならない。」といった制限があります。

お客さんが自宅でお酒を摂取するとなると、飲酒量を観察する第三者がいないケースが想定されます。配達した時点で既に酔っている人にはお酒を渡さない判断も必要です。

配達人と言っても、正しい分別で泥酔者を出さないようにアルコールを提供できる人であることが求められるというワケです。

 

→ 1日でも早く、お店でお酒が楽しめる日が戻ることを祈ります。

 

スマートサーブ取得にどれくらいの時間がかかる?

これは個々の第二言語力によって大きく異なります。なぜならトレーニングもテストも日本語非対応だからです!(涙)現状の対応言語は、英語・フランス語・中国語・韓国語・パンジャブ語・スペイン語となっています。

私の周囲の日本人に資格取得までにどれくらいの時間を要したか聞いてみましたが、2~3週間が大半で最短は3日でした。短期集中派は朝から晩までパソコンに向かい、みっちり頭に叩き込んだそうです。

ちなみに私は、のんびりと1日3時間×3週間程度をトレーニングと練習問題に費やしてから受験しました。

 

さて、ここで嬉しい情報と悲しい情報です。まずは良いお知らせからです。試験には、なんと時間制限がありません。しっかりと設問を読み込み、落ち着いて問題を解くことができれば勉強の成果を発揮しやすいです。

試験合格には80%以上の正解率が求められますが、一度の申し込み(支払い)には再試験費も含んでおり、チャンスが二度あるのです。仮に最初のテストで得点が80%を下回ってしまっても、再試験を同じパッケージ内で受けられるという保険があります。

続いては、少し悲しいお知らせです。試験はトレーニングの申し込みを済ませてから30日以内に受けなければなりません。この項の冒頭でお伝えした通り、トレーニングもテストも日本語非対応です。これから英語を勉強しはじめる方は、トレーニング内容の読解を難しく感じてしまうかもしれません。

 

もし二度の試験が不合格になっても、再びお金を払えば追加受験は可能です。でも、支出を抑えたいならば、ある程度の英語力(リーディング力)を身に着けてからの申し込みがおすすめです。

 

私の場合は、履歴書を作成するタイミングまでにスマートサーブを取得することを目標に勉強を始めました。レストランやバーでは採用必須条件として「スマートサーブ保持者」としているお店が多いです。

しかし、中には、「採用が決まってから勉強を始めてもらって構いません。」という文言で求人広告を出している店舗もあります。

でも、そのような店舗でも面接時にスマートサーブ取得済みの状態にしておくことで、無資格の応募者と差をつけることができます。実際、無資格の応募者の場合、いつスマートサーブを取得できるかの保証はありませんから、やはりそこは有資格者の方が好まれます。

 

逆の立場になれば分かりますが、キャリアや性格、伸び代が似たり寄ったりの応募者が2人いたとして、雇用枠が1人分だけであれば、おそらく無資格者より有資格者を採用しますよね?

私はそのような考えで、履歴書上で資格アピールができるように面接前にスマートサーブ取得の準備を進めました。

…と言うと若干聞こえが良いですが、TOEICやIELTSなどの英語のオフィシャルスコアはおろか、履歴書の資格欄でアピールできることが何もなかったので、せめてもの賑やかし要素が必要だったのです。(小声)

 

→ 試験合格後はこのようなカードが自宅に届きます。

 

【まとめ】カナダの文化を学ぶ楽しさもある!

 

私がスマートサーブの勉強を始めた頃は、英語の長文を見聞きし慣れていないタイミングだったのでトレーニングには割と苦労をしました。分からない単語の意味を調べる必要がありましたし、情報量の多さにメモを取らないと頭の中を整理できないこともありました。

でも、カナダと日本の法律の違いを把握することができたのは良い経験でした。また、アルコールに関するオンタリオ州の厳しい規則に触れ、「どうりで路上で泥酔している人がいないわけだ!」と普段疑問に思っていたことに対して、妙に合点がいったりもして嬉しい気持ちがしました。

ワーキングホリデーで渡航される方の中には、少しでも多くお金を稼ぎたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。カナダにはチップ制度があり、サービスや飲食店で働く店員には大きな特典です。

 

客単価が高いお店であるほど、従業員が受け取ることのできるチップも多くなる可能性があるでしょう。

 

高報酬が期待できるお店はそれだけレベルの高い接客が求められますが、スマートサーブを取得すれば、そうしたお店にも飛び込んで行ける環境があります。

スマートサーブがないことには該当業種のサーバーポジションで働くことができません。語学学校を卒業してから資格取得の勉強を始めるとなると、滞在期間上限が1年しかないワーホリビザの場合は、取得に時間がかかった分だけ就労期間が短くなります。

すぐに仕事を始めたいという方には特に、試験のための計画的な学習と早期取得をおすすめしたいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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