カナダ在住の著者がおすすめ!リピートしたいトロントのエンタメイベント!<後編>
こんにちは、カナダ在住のちひろです。
私は、日本に住んでいた頃からライブショーやミュージカルが好きで、カナダのトロントに移住後も数々のエンタメイベントに足を運びました。
前回記事では、私が実際に参加して「またリピートしたい!」と感じたトロントのイベントとして、NBA(北米で展開されている男子プロバスケットボールリーグ)とVELD MUSIC FESTIVAL(EDMやHip-Hop中心の野外音楽フェス)をご紹介しました。
本日のコラムは前回の後編記事という形で、引き続きお勧めイベントをお届けします。
読者様の中には「ガイドブックに載っている観光スポットだけでは物足りない!」と感じている方や、一通りの観光を終えて目新しいものをお探しのトロント居住者もいらっしゃるかもしれません。
今回の記事が、そんな方々の参考になれば嬉しく思います。
CNE@Exhibition Place
CNEはCanadian National Exhibition(カナディアン・ナショナル・エキシビション)の略で、トロントで楽しめる「移動式遊園地」のことを指します。
8月下旬から約2週間に渡って開催されます。このイベントが最初に立ち上げられたのは今から遡ること140年、なんと1879年だと言うのです。元々は、農業や科学技術、芸術を促進するための催しだったそうで、現在でも少しずつその形を変えて継続開催されています。
CNE会場には射的や軽食を楽しめるフードスタンド(屋台)といった夏祭り要素があれば、観覧車やフリーフォールなどのアトラクション、アイススケートやジェット機のショーもあり、子供だけでなく大人も参加しやすい構成となっています。
子供にとっては「夏休み最後のイベント」、大人にとっては「夏の風物詩」とも言うべきCNEはトロント市民にとって夏を締めくくるイベントです。
2週間という短期開催にも関わらず、毎年100万人以上が会場を訪れるというので驚きです。
入場料は事前オンラインと当日購入とで差はありますが、1,300円前後となっています。
場内では別途、飲食やアトラクション利用料を支払う必要があるので、遊び方によって全体予算が異なります。
Legends of Horror@Casa Loma
Legends of Horror(レジェンズ・オブ・ホラー)はハロウィン時期に行われる期間限定の「お化け屋敷」です。会場として使用されるCasa Loma(カサ・ロマ)はゴシック様式の大豪邸で、映画撮影にも利用されたことがある歴史的観光名所の一つです。
建設は1911年にスタートし、そこから完成まで3年の歳月を要しました。その間、約300人の労働者が建築に従事したと言われています。
巨額の費用をつぎ込んでカサ・ロマを造り上げたのはカナダの大富豪(ヘンリー・ミル・ペラット卿)で、完成後は実際に彼が居住していた時期もありましたが、現在ではその管理権利はトロント市が握っています。
その邸宅内部はカナダ国民や旅行客向けに観覧開放されていて、個人の屋敷とは思えない敷地の広さと豪華絢爛さが見どころの一つです。
ウェディングパーティー会場として貸し出しされることもあるカサ・ロマは、秋にはその姿をお化け屋敷へと変貌させます。
2019年は9月下旬から約1ヶ月間、「レジェンズ・オブ・ホラー」と冠を付けて運営されていました。
特筆すべきは、やはりその敷地面積の広さです。公式案内では出発地点から終点までの所要時間は60分とされていますが、私は全順路(2kmあるそうです)を歩き終えるまで2時間ほどかかりました。
昨年は、通常の施設開放時には非公開になっているエリアも含めて巡回することができ、まさに期間限定の貴重な体験となりました。
すでにカサ・ロマの平常時の姿を見たことがある方も、普段とは似ても似つかぬハロウィン中の不気味な邸宅の様子を楽しむことができるでしょう。
また、内装以外にも暗闇にそびえ立つ豪邸へと投影されるプロジェクションマッピングも見応えがありました。13歳以下の子供でも大人と一緒であれば入場可能ですが、私が訪れたタイミングでは成人の友達同士やデートで利用している人が多い印象でした。
チケット価格は前売りと当日券とで差はあるものの、日本円で3,000円弱が相場(通常公開時は大人料金で2,000円弱)です。
別の時期には日本で言うところの脱出ゲーム企画もあるため、ハロウィン時以外にも体験型イベントとしてカサ・ロマを楽しむ機会が用意されています。
Halloween on Church Street
お金をかけずにハロウィンイベントに参加したい場合は、10月31日のハロウィン当日にChurch Street(チャーチ・ストリート)に繰り出すのも良いかもしれません。
この一帯はLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字を組み合わせて性の多様性を表す総称)のコミュニティエリアとしても知られています。31日の夕方から明け方までは車の侵入が禁止され、一時歩行者天国となります。
様々な仮装に身を包んだ人々が通りに集結し、写真を撮り合ったりパフォーマンスをしてお互いを楽しませたりしながら各々の時間を過ごします。
チャーチ・ストリート沿いに立ち並ぶお店でもイベントが開催されているので、気になるレストランやカフェ、ナイトクラブがあれば飛び込んでみるのも良いでしょう。
若い世代だけでなく、年配者までもが仮装を楽しんでいて、日本のハロウィンパーティとは異なる雰囲気を味わうことができます。
トロントの10月末は冷え込むこともあってか、露出度の高いコスチュームは少なかったように思います。既製品ではなく、本格的に作り込んだ衣装で参加している人も多く、その見応えは抜群です。
Cirque du Soleil@Big Top
Cirque du Soleil(シルク・ドゥ・ソレイユ)は、カナダのケベック州で設立されたエンターテインメント集団です。動物を使った曲芸ではなく、人間の身体能力や表現力を用いたパフォーマンスをひとつの特徴としています。
空中ブランコやトランポリン、ジャグリング、アクロバット、軟体演技など、その凄ワザは多岐に渡っています。シルク・ドゥ・ソレイユはレジデントショー(ホテル等での常設公演)とツアーショー(テントを用いた巡回公演)を複数並行していて、トロントでもツアーショーを楽しむことができます。
テントを用いた巡回公演と言っても、1公演あたりの収容人数は2,000人以上に達し、空調システムや客席も仮設の割にはしっかりと設営されている印象です。巡回公演自体は日本でも2年に一度の間隔で行われていますが、ツアー演目は20種近くあります。
そのため、タイミング次第では日本未上陸の公演を一足先にカナダで観ることが可能です。
常設公演は例えば、アメリカのBellagio Las Vegas(ベラージオ・ラスベガス)というホテルで上演されています。日本でも一時期、常設公演を楽しむことのできる会場がありました。
千葉県の東京ディズニーリゾート内にある舞浜アンフィシアターの前身は、実は「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京」だったのです。その劇場では2008年から2011年まで「ZED」という演目が上演されていましたが、東北地方太平洋沖地震や東日本大震災の影響を受けて安定した集客が次第に困難となりました。
そこで、劇場の運営元はシルク・ドゥ・ソレイユとの主催契約を途中で解除し、日本における常設劇場は消滅する結末を迎えました。カナダにも現状は常設小屋がないので、日本同様、ツアーショーは貴重なシルク・ドゥ・ソレイユ観劇の機会になっています。
チケット価格は席種によって異なりますが、数千円~1万円弱で設定されることが大半です。ステージ付近の席はチケット代が高めに設定されますが、演者の表情や汗、衣装の細部まで目視できます。
一方、舞台とは距離がある席は、単価が低めでも悪席を意味するわけではありません。ステージと一定の間隔があることで全体を俯瞰して観ることができるメリットがあります。
特に、シルク・ドゥ・ソレイユの演目は空中や上空でのパフォーマンスも盛り込まれているため、舞台から離れた席をあえて好む人もいるほどです。私も日本とアメリカ、カナダで何度もシルク・ドゥ・ソレイユ公演を観たので、すっかりファンの一員です。
【まとめ】 イベント体験で思い出がより濃厚に!
エンタメイベントの中には、用意されたショーを観客として見るだけでなく、実際に自分で体験できるものも含まれています。
今回ご紹介したコンテンツの中では、移動式遊園地の「カナディアン・ナショナル・エキシビション」やお化け屋敷の「レジェンズ・オブ・ホラー」が、体験型イベントとしての要素が強いです。
自分の五感全てを使って経験するからこそ希少性があり、より思い出深い旅や海外滞在になる可能性があります。
シルク・ドゥ・ソレイユも日本と同じ巡回公演とは言え、日本人に囲まれて観劇するのとトロントでネイティブカナディアンと一緒になって観るのとでは、全く違う演目のように感じさえもします。
それは恐らく、日本人と非日本人とではライブエンタメを楽しむ姿勢が異なっているからでしょう。文化遺産や美術品、街並みなどを見て楽しむ観光プランも良いですが、季節性のイベントにも参加してみることで貴重度の高い現地経験ができるかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。