カナダの語学学校で通訳翻訳スキルを磨く!Upper Madison College(アッパーマディソンカレッジ)トロント校通学レポート!
こんにちは、カナダ在住のちひろです。
私はワーホリビザでカナダ滞在中に2つの学校に通いました。まず大学附属語学学校のEAPコースで就学し、次に今回ご紹介する語学学校へ入学しました。
どちらも留学生が英語を勉強するために開講されていますが、それぞれのメリットは異なります。これは、留学目的が異なれば、選ぶべき語学学校も変わってくることを意味します。
本日のコラムは体験レポートの第二弾という形で、トロントに校舎を構える語学学校Upper Madison College(アッパーマディソンカレッジ)、通称UMCでの学習の様子をお届けします。
私はUMC内で「日英通訳翻訳プログラム」を専攻していたので、本記事ではそちらのコース内容をメインに紹介していきます。
語学学校UMCの特徴は?
語学学校は、英語を母国語としない留学生と一緒に学ぶ場所です。そのため、カナダ生まれカナダ育ちのネイティブは通学していませんが、世界各国から生徒が集まります。ですから、日々の授業やコミュニケーションを通じて、日本人にはない価値観に触れられる点が魅力でもあります。
また、生徒の出身国によって、英語に独特のアクセントやイントネーションがあるので、広い意味でリスニング力の強化にもなります。
懸念事項としては、同じ国籍の生徒同士でかたまって、母国語で会話をしてしまう恐れがあります。わざわざカナダに来たのに、日本人グループで日本語だけを用いて会話したり、韓国人グループで韓国語を話したりするのは勿体ないことです。
そんな理由から、語学学校の中には「校内では母国語禁止ルール」を設けている場合もあります。
UMCも校内での会話は英語に限定されていて、母国語で話している生徒は先生から注意を受けていました。
また、語学学校の特徴として、留学生向けアクティビティの充実も挙げられます。UMCでは、授業終わりに希望者で集まってレストランで一緒に食事をしたり、週末に観光地へ出かけたりする企画を学校側が用意してくれていました。
英語学習だけでなく「自由時間も積極的に外に出て海外生活を楽しみたい!」という方にとっては、メリットとなる特色かもしれません。
UMCの日英通訳翻訳プログラムの授業内容は?
私はUMCで「日英通訳翻訳プログラム」に参加しました。学校規定のテストでレベル8以上(全12段階)の成績を取れば受講できるコースです。コースの正式名称は〈ACE-Japanese〉で、こちらのコースに限り授業が日本語で進められます。
そうは言っても、演習問題は英語と日本語双方を使います。日本語資料を英語に訳出することもあれば、同様にして英語から日本語へ変換する作業も行いました。
題材となる資料は、紙に印刷された文章や音声テープ、映像など複数の媒体でした。翻訳の訓練として文書、通訳の練習としてはオーラル(口頭または、口述)素材を使用します。
通訳翻訳にはジャンルがあり、専門的な分野として医療通訳や法廷通訳などがあります。
ACE-Japaneseでは、一般的な通訳翻訳者としてのノウハウを学びつつ、医療・法廷・金融・社会保障など、特定分野の知識を養うことも目的のひとつとされています。
英語と日本語力の底上げはもちろんですが、カナダの各業界事情に触れることもできたため、カナダを理解するという意味でも面白さを感じる授業内容でした。
実はこのACE-Japaneseは「CILISAT(シリサット)試験の対策プログラム」としても開講されています。「CILISAT」は、カナダのオンタリオ州移民局が認定している通訳翻訳検定を指します。
既にご紹介した医療・法廷・金融・社会保障などの専門分野にまつわる文書と会話を正しく訳出することで得られる資格です。
IELTS(アイエルツ)やTOEFL(トーフル)とは違うタイプのオフィシャルスコアですが、「カナダに来たからには、勉強の成果を目に見える形で残したい!」という方は、帰国前に受験しておくと良いでしょう。
日本人と日本語で学ぶメリットは?
私がUMCでACE-Japaneseを専攻する際、「わざわざカナダに来たのに、日本人と日本語で勉強するのはアリなのかな?」と若干の不安がありました。
留学やワーホリ時の英語上達には欠かせないとされている「英語漬け」が、コチラのコースでは実行できないのでは…と考えたからです。
耳にするもの、目にするものが全て英語だからこそ、早く英語力を身につけられると信じていたのです。
その不安は実際に授業の初日を迎え、先生もクラスメイトも全員日本人という光景を目の当たりにした時、一気に増大しました。
しかし、授業を受け始めてみると、日本語で学習するメリットに気がつきました。
以下では、母国語で語学学校に通う長所についてご紹介します。
① 授業中のメリット
1つ目は、「疑問点や不明点を100パーセントクリアに解決できる。」という点です。
私が以前に通学していたジョージアンカレッジのEAP(進学準備英語コース)は、先生もクラスメイトも全員非日本人でした。そうすると、授業や課題を進める中で疑問点が出た際に、不慣れな英語で質問し、これまた不慣れな英語で解答を得る展開になります。
つまり、英語だけに限定された学習環境では、「分かったような、分かっていないような…。」という消化不良を引き起こす可能性があるということです。
逆に、日本人相手であれば母国語で会話ができるので、お互いの意図を伝え合うことが容易です。似通った環境で育ってきた者同士なので、日本人がつまずきやすいポイントに関する共通認識もあります。
ここで「共通認識」について、ひとつの例を挙げてみましょう。それは、授業中にクラスメイトが作成した英文を日本語に訳す演習をしていた時のことです。
彼女が文章の中で「maple(メープル)」という単語を使っていて、私はそれを「メープルシロップ」と訳出しました。彼女もシロップを指すつもりでメープルという単語を使用していたので、翻訳としては正解です。
けれども、先生からは「メープルと言えば、カナダ人はシロップではなく、カエデの木そのものを連想するよ。」と指摘を受けました。
日本人同士では、この例のように「察する」行為が可能になります。しかし、国籍が違う人と会話をすると、私は「シロップ」を想像していても、相手は「木」をイメージしているというチグハグが発生する可能性があるのです。
単語ひとつを取ってもそのような状態なので、国籍が異なる者同士が完璧に意思疎通をするためには、相当な努力が必要になります。
② 日常生活でのメリット
2つ目は、「悩み事やトラブルを抱えた際に情報収集がしやすい。」という点です。例えば、現地で生活するにあたって、学習方法や住居、仕事のことなどで悩みが生じた時に、日本語の情報が欲しくなる場面が出てくるはずです。
そんな時に頼れる日本人コミュニティがあると、情報集めが容易です。特に英語力に自信がない方には、「英語半分・日本語半分」の状態からスタートして、徐々に現地の生活に慣れることをオススメします。
なぜなら、英語が全く話せないのにいきなり英語のみの環境に飛び込んでいくと、苦しい思いをする可能性があるからです。相手が何を言っているか分からなかったり、伝えたいことが伝えられなかったりするストレスは想像以上の負担になります。
海外にいるのに日本人ばかりと過ごすのは、本格的な英語学習をする観点から見るとマイナスですが、極度に日本人を避ける必要もないでしょう。
要はバランスが大切で、日本人を含む各国からの留学生とカナディアンとの付き合い両方を生活環境に取り込む意識があると、海外生活を最大限に満喫できるかもしれません。
③ 留学終了後のメリット
3つ目は、長い目線で見た時の人間関係にまつわるメリットです。渡航先で繋がった人脈は、その場限りで終わってしまう関係もあれば、生涯継続できる縁もあります。
私は、ワーホリ期間が終了してからもそのままカナダに残っていますが、滞在延長には現地で出会った日本人から受けた影響が作用しています。
出会った当初は、その巡り合いが自分の進路を変えるとは予想していませんでした。
渡航先で出会った人が自分の人生にどう関わってくるかは、表面的には分からないものです。
留学目的は人それぞれですが、「とにかく英語力が伸びれば良い!」という人ばかりではないと推測します。「人生を変えたい!」と一大決心して日本を出る人もいれば、「何か新しい夢を見つけたい!」という目的で渡航する人もいるはずです。
ですから、「英語を話す機会が減ってしまう…。」という短絡的な損得感情ではなく、国籍を問わずに新しい人脈構築を楽しむ姿勢で日々を過ごせば、自分では想像もしなかった目標や進路を見出す瞬間が訪れるかもしれません。
渡航先で会う日本人には、自分との共通点がある可能性が高いです。「本場の英語や海外生活に憧れて留学を決行した者同士」なので、感性や価値観が似ている人も多く、仲良くなりやすい条件も揃っているように思います。
【まとめ】 英語で将来的に何をしたいのか考えてみよう!
私はカナダで日常会話レベル以上の英語学習ができるように、ワーホリに出発する前から予習を始めました。当たり前ですが、英語で何かを学ぶためには、それなりの英語力が求められるからです。
大学附属の英語学コースや語学学校の通訳翻訳コースは、各クラスが規定している英語力に達していないと専攻できません。最低限の英語力が身につくまで、初級クラスから地道に勉強して進級する形になります。
特にワーホリビザで渡航する場合は、滞在できる期間も資金も限られています。自己満足のようで恐縮ですが、私はワーホリビザの最大有効期限である1年という短い期間中に、全く性質が異なる学校で英語力の底上げができて非常に満足しています。
日本での事前学習がなければ、カナダで基礎レベルを構築するハメになり、「まさにこれから応用編!」という段階で帰国時期を迎えていたのではないかと予想します。
留学やワーホリ先で実現したいことには個人差がありますが、英語で専門的な勉強をしたり仕事をしたりする未来を想定している場合は、「英語で何を学びたいか?」という観点を判断材料とした学校選びをオススメします。
例えば、英語を学術的に使用したいのであれば、大学附属語学学校や私立の語学学校の進学英語コースでの学習が最適です。
仕事で活用したい場合は、語学学校のビジネス英語コースや通訳翻訳コースが有効かもしれません。自分の目的に沿ったカリキュラムでの英語学習は有意義なものです。
現地生活においては、自分の英語レベルを高く見積もりすぎず低くも評価しすぎず、適度な英語環境を選ぶことが成功する留学の秘訣と言えます。
語学学校の数が沢山あり過ぎて迷っている方がいますが、語学学校間でも競争があります。それぞれビジネスの世界で生き残っていくために、各学校で力を入れているポイントが異なります。
自分で語学学校をリサーチする中で違いが良く見えてこない人は、留学エージェントに相談してみるのも1つの方法です。
これから海外で就学される方のスクールライフが充実したひと時になるよう願っています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。