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カテゴリー:現地生活情報

欧米社会で頻繁に意識される「性差別」や「LGBT」の知識と理解を深めよう!全ての人が平等に向き合える日を願って…

公開:2020/07/12 著者:水谷 けいこ 761 Views

皆さん、こんにちは!けいこです。

コロナウイルス感染防止のため、未だにソーシャルディスタンスを保つ事が改善への最大の鍵だと言われている中、世界各国で大規模な人種差別抗議デモが行われています。

コロナウイルスの深刻な状況下でも、立ち上がり訴えなければいけないことがあるからです。

 

全米を中心に行われているデモのきっかけは、2020年5月25日にアメリカのミネアポリスでアフリカ系アメリカ人が警察官に拘束されている中、警察官が膝で首を押さえつけたことで亡くなった事件でした。

 

トロントでも2020年6月5日と6日にダウンタウンにて大規模な人種差別抗議デモがありました。

コロナウイルスの 改善が少し見られ、路面店の営業再開が見られた最中のことでした。路面店に張り付けられていた木の板は、今回のデモのために再度打ち付けられていました。

さらに、コロナウイルスの時よりも、さらに大規模に貼られていました。それだけ欧米社会における人種差別はセンシティブな問題だと言うことを意味します。

 

→ 暴動から守るため路面店前には木の板が張り付けられていました。

 

Racism(人種差別)も大変大きな問題ですが、今回の記事では同様に世界的に大きな問題であるSexism(性差別)についてお話ししたいと思います。

海外は日本以上に性差別に敏感

私自身が日本に滞在している時、Racism(人種差別)については学校で学んだり、考えたり、話し合いをすることがありました。ですが、正直Sexism(性差別)に関して深く考えた事がありませんでした。

私自身カナダに来て、 日本はsexism対する考えが世界に比べ少し遅れていることに気づきました。

World Economic Forum(世界経済フォーラム)より、政治・経済・教育・保険の各分野の総合値の平均数による各国の不平等状況を表すGlobal Gender Gap Report(世界ジェンダーギャップ報告書)のデータ(2019年12月16日付)が発表されました。

 

そのデータによると、対象国153国に対し日本は121位にランクされました。ちなみに、カナダは19位となっています。

 

最近では日本でもキャリアを重ね、一線で活躍されている女性が増えてきています。

また、政治の世界においても女性議員が増えていますが、2020年2月18日にInter-Parliamentary Union(連国議会同盟)により発表された世界の女性議員割合結果によると、日本は147位(14.40%)、カナダは43位(33.40%)と日本はまだまだ女性議員が世界に比べて少ない事が明らかになりました。

2020年3月5日にUnited Nations Development Programme (UNDP: 国際連合開発計画)により、75カ国すなわち地球上の80%以上の人口を対象に行われた指数分析の結果では、“男女が平等の国は地球上に存在しない”と結論付けました。

 

UNDPは、約90%の男女が何かしらの偏見を女性に対し抱いていると発表しました。また、40%以上 の男性が「男性のほうが女性よりも良い仕事が出来る。」と答え、28%の男性が「男性が女性を叩く事は容認出来る。」と答えたとも明らかになりました。

性別のみで、ここまで人は線引きをするということに対し、正直衝撃を受けました。女性であることが理由で、嫌な思いをした方は上記に示した発表文を見ても沢山いるのが現状です。

例えば、以下のような表現はどういう意味なのでしょうか?

 

・女性らしく…
・女性のくせに…
・女性だから…

 

女性らしく振舞いなさい…。これも何が、誰が、女性らしい定義を決めたのでしょうか?

女性のくせに偉そうに…。女性は意見を口にしてはいけないのでしょうか?

女性だから家事をする…。家事は性別関係なく誰でもできますよね?

 

男性も女性も体のつくりが違うだけで、同じ心を持った人間です。女性には男性との間の子供を出産することができます。女性無しには、人類の進化は起こり得ません。

最近耳にした日本の芸能人ニュースで、奥様が妊娠中に旦那様は浮気をしていたという報道がありました。浮気どうのこうのと言うよりも、妊娠中の人に対して人として許されない行為ではないのでしょうか?

特に自分の子を身ごもっている相手に対して…。一方、実際に私が目にした経験ですが、私の知り合いが妊娠していた際に旦那様は以下のような発言をされていました。

 

「僕たちのために彼女は頑張っている!」
「何も出来ない僕は心苦しい。」
「本当に有難う。」

 

→ 日本と海外では男女の性意識にまだ大きな隔たりがあるように感じます。

 

単に口だけでなく、実際に行動でもご自身の仕事をセーブして、奥様のサポートに専念されていました。

この例が正しいから、全員従うべきだとは言いません。しかし、少なくとも私は生まれ持った体のつくりは変えられなくても、お互いがお互いのためにベストを尽くし、対等に互いが敬い合う彼らの姿勢に感動しました。

出産のためにキャリアを諦めた女性はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?逆に、キャリアの為に出産を諦めた方もたくさんいらっしゃると思います。会社で昇進した男性ばかりが敬われるのは、何かおかしな気がします。

 

自分自身のためだけでなく、家族のために不安と恐怖を抱えながらも命がけで出産する女性は、十分に敬われるべきでしょう。

 

トロントに来てすごく納得させられたことの1つに、日本ではディナーデートに行くと男性がお会計をしてくれることが多いですよね?

こちらでも同じで、男性が基本お会計をしようとしますが、カナダの女性たちの多くははっきりとそれを断ります。

ディナーデートの楽しい時間を共用しただけで、本来デート代は男性が支払うという決まりはありません。女性たちも働いているのだから、自分の食べたものに対しては自分で支払うのが当たり前という考えが強くあるのです。

 

自立した女性のプライドでもあると思います。そして、その考えに男性も尊重し、お支払いを分けることを受け入れるのです。

 

このように男性も女性も対等に接する光景をカナダでは良く目にします。先ほどの女性の話と同様に、男性にしかできないこともたくさんあります。

そして、男性のくせにと、女性同様に嫌な思いを経験された方も多くいらっしゃるかも知れません。

男性も女性も性別で考えるのでなく一人の人間として向き合うことで、そこには素晴らしい一人一人を尊重しあった自由な社会があると思うのです。

 

欧米社会はLGBTへの理解も進んでいる

 

Sexism(性差別)の問題は、単に女性男性だけではなく、LGBTの方々も含まれます。

LGBTの内訳を説明すると以下の通りです。

 

L: レズビアン
G: ゲイ
B: バイセクシャル
T: トランスジェンダー

 

また、たまにLGBTQA と言う表現も使われます。

 

Q: クエスチョニング(自分の性別に確信がなく、決められない人)
A: アセクシュアル(性に興味のない人)

 

最近では、この2個を追記して記載される機会も多くなってきました。日本でも、2015年11月に世田谷区と渋谷区で日本初のパートナーシップ証明を発行するといった動きは見られました。しかし、まだ国全体としては、理解が薄いのが現状だと思います。

それに比べ、カナダでは、2005年7月20日に同性婚が認められるようになり、性に対する偏見の壁はほとんどありません。

トロントには、LGTBの方々の憩いの場であるチャーチストリート(Church St)というエリアがあります。

 

→ LGBTの人々の憩いの場と言われるチャーチストリート。

 

 

ここは他の場所とはまた違って、陽気で自由な雰囲気を感じることが出来ます。

 

→ 建物の外壁に描かれているLGBT理解へのメッセージ。

 

→ 歩道や建物、外に飾られている旗など、至る所でレインボーカラーを見かけます。

 

なぜレインボーカラーかと言うと、レインボーはLGBTの象徴とされているからです。

70年代にまだLGBTへの理解がない中、サンフランシスコにて性差別に対するパレードが行われました。

その際にLGBTのみならず、“全ての人間の多様性を守ること”という思いを込めて、このレインボーフラッグがデザインされたそうです。

 

→ レインボーカラーは、LGBTの象徴とされている。

 

トロントの街では、毎年6月はプライドマンス(Pride Month)と言ってトロントのメインストリートがレインボー一色に染まる大規模なプライドパレードが 行われます。

今年はコロナウイルスの影響を受け、残念ながらプライドパレードはキャンセルになりました。

毎年、凄い迫力のプライドパレード中、人々は派手な可愛いコスチュームで身をまとい、皆で差別ない世の中を作り上げようと呼びかけられています。

 

→ ブライドマンスのパレードの様子。

 

また、パレード中は面白い無料サポートグッツを配っていたり、たまに有名人が参加していたりと、とても楽しいトロントのイベントの一つです!過去には、ジャスティントルドー首相も参加され話題になったこともあります。

YouTubeにも、その様子がたくさんアップされていましたので、以下動画をご覧ください。

皆さんもトロントに来る機会があれば、是非参加してみて下さいね!

 

 

私自身、トロントに来てから出会った友達の中にも、たくさんLGBTの子がいます。その中の1人の子は、もともとカナダ以外の国で生まれ育ち、小学生の時に自分の感情が
少し人と違うことに気づいたみたいです。

しかし、「今いる友達との関係性が変わってしまったら…。」などを考えると周りの友達や家族には伝えられず1人でずっと抱え込んでいたそうです!

そんな時、親の勧めでたまたまトロントに留学に来ることになり、違う環境に来たこと、またトロントの街が当たり前のように彼女を受け入れてくれたことで気が楽になり、彼女もできて自分らしくいられると言っていました。

 

→ 海外ではLGBT理解のパレードは一般的ですが、日本では見かけることは殆ど無い。

 

しかし、そんな今でも母国に住む親には未だ言えないらしく、いつどのタイミングで言えば良いのか、また親の反応に不安を抱えています。

その子に言われて私も同感したのですが、今の世の中インスタグラムなどで世界を覗くことはすごく簡単で毎日見ているうちに、自分自身新しい考えなどを取り入れることができます。

ですが、私達の親の世代やその上の世代の人たちは、インスタグラムを使っている人も少ないですし、過ごしてきた時代の背景も違うため、オープンな考えを持つことは少し難しいかもしれません。

 

ですが、自分の子が自由かつ幸せに生きられないこと以上に悲しいことはないのでしょうか?

 

その子が悩んでいるのを間近で見て、とても苦しくなりました。

それに比べて、私の周りのトロントで生まれ育ったLGBTの子達は、全員気付いた時には親に即伝え、親も疑問なく接しています。なぜなら、親に伝えられる環境がトロントにはあるからです。

私自身、日本に居た時からLGBTに対して偏見は無かったものの、目の当たりにする機会もなかったので、深く考えたこともありませんでした。

 

トロントに来て新たな価値観を学んだ

 

トロントに来て色々な友達に出会い、たくさんの新しいことを知り、中には苦しんでいる人にも出会いました。自分は違うから、他人事だからと話を聞き流すのでなくて、自分に出来ることがあるならと行動に移そうと思うようになりました。

これもトロントの環境が私に教えてくれたことの一つです。今回このトピックを選び、自分が今思うことを紹介しようと思ったキッカケです。

自分が言われて傷つく言葉は、相手を必ず傷つけます。また、自分がされて傷つく行動は、相手を必ず傷つけます。

 

ですが、自分が言われて嬉しい言葉は、相手を喜ばせます。自分がされて嬉しい行動は、相手を喜ばせます。

言葉では簡単に言えますが、実際日々の中で行動にするのは難しいですよね。でも、行動に起こさない限り何も変わらないと思います。今起きているデモがまさにそうですよね。

このコラムを読んでいただき、何か伝える事が出来たなら、とても嬉しく思います。

 

性別や人種を超え、全ての人々が平等に向き合える、全ての人々が平等に扱われる、全ての人が自分らしく生きられる、そして全ての愛がリスペクトされる、そんな世界になることを願っています。

 

過去を変えることはできませんが、未来は私たちによって作られていきます。今以上に笑顔のあふれる地球をみんなで築いていきましょう。

意見、感想、質問など皆さんの声を聞きたいと思い、インスタグラムのページを開設していますので「keikoblog」で検索してみてください!

今回も最後までお読みいただき有難うございました。

 

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