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「謙遜(けんそん)」の文化は日本独特?カナダ人の自己肯定感の高さをご紹介します!

公開:2021/05/04 著者:坂元 ちひろ 4280 Views

こんにちは、ちひろです。

私がカナダに住んで気づいた日本独特の文化のひとつに「謙遜(けんそん)」が挙げられます。

そこで、今回の記事では日本とカナダの文化比較をします。以下では、「謙遜って何?」という疑問から日本とカナダの違いまでをご紹介していきます。

謙遜(けんそん)とは?

「謙遜(けんそん)」は他人とコミュニケーションを取る時に、控えめな態度で接する行動を指します。

一方、対義語は「不遜(ふそん)」で、へりくだる気持ちがなく思い上がっている状態を表します。「あの人は不遜な態度だ!」という言葉を聞くと、偉そうにしている人の姿が思い浮かびます。

謙遜はその逆で、自分の能力や権威を自慢することなく振舞う謙虚(けんきょ)な人をイメージします。

 

日常生活で見られる謙遜の例

日本では人々の謙遜表現を日常生活のあらゆるシーンで見かけます。

いくつか例を見てみましょう。

 

ケース① お土産を渡す

先日、九州旅行へ出かけてきました。こちらはその時のお土産です。

 

つまらないもので恐縮ですが、みなさまでお召し上がりください。

 

この例では、「つまらないもの」の部分が謙遜にあたります。

受け取る側からすると、「つまらないものなら持ってくるな!」と言いたくなってしまいそうです。

ですが、元々は「自分では気持ちを込めて選びましたが、あなたのような立派な人に差し上げるとなると、つまらないものに見えます。」と相手への敬意を表すための表現です。

 

ケース② 新入社員の挨拶

本日からお世話になります〇〇(名前)と申します。至らない点も多々あるかと存じますが、なにとぞよろしくお願いいたします。

 

この例では、「至らない」の部分が謙遜にあたります。

こちらもケース①と同様に、相手や周りの人に敬意をあらわす意図があります。

「あなたのような素晴らしい功績を残している立派な人と比べると、私なんてまだまだ未熟ですがよろしくお願いします。」という気持ちが込められた表現です。

 

ケース③ ママ友同士の会話

ママA「うちの子、先週のテストで赤点だったのよ!それにひきかえ、Bさんのところの息子さんは成績優秀でうらやましいわ!」
ママB「そんなことないですよ~!うちの子なんて言うこと聞かないし遊んでばかりで本当に出来の悪い息子なんです!」

 

この例では、「そんなことないですよ!うちの子なんて~」の部分が謙遜にあたります。

「出来の悪い息子」という表現も、同じようなものですね。場合によっては「愚息」と言われることもあります。

仮にママBがママAの言葉を受け取って、「そうなんですよ!うちの子は本当に優秀で~!」なんて言うと、自慢っぽい嫌味な母親だと捉えられる可能性があります。

 

この親同士の謙遜は、子供時代に耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

ケース①とケース②では自分を下げて表現することで、相手への敬意をあらわしました。

しかし、このママ友同士の会話では身内である子供を下げるという手段で相手の子供を上げる表現をしています。

 

謙遜文化の問題点

 

日本では長らく美徳とされてきた謙遜文化ですが、やはり問題点もあります。ここでも具体的に3つのポイントを見てみましょう。

 

① 褒めた相手は否定されたように感じる

日常会話の流れで謙遜した場合はどうでしょうか?誰かが「その新しいヘアスタイルかわいいね!すごく似合っているよ!」と褒めてくれたとします。

“ここは謙遜したほうがいいんだな!”と考えて、「いえいえ、全然かわいくなんかないですよ!」と返したら相手はどう思うでしょうか?

私だったら、「本当にかわいいと思ったから褒めたのに…。」と残念に感じてしまいます。自分が発した褒め言葉を受け入れてもらえず、否定されたような気持ちになってしまうからです。

 

② 自信がないと思われる

ビジネスシーンではどうでしょうか?既にご紹介した「至らない点も多々あるかと存じますが…」以外にもビジネスで使われる謙遜表現はたくさんあります。

 

「つたない説明文で恐縮ですが~」
「行き届かない点もあるでしょうが~」

 

など、自分を下げようと思えば、いくらでも下げられます。ただ、こういった言葉が多すぎると「自覚しているならもっと頑張れよ!」と感じる人が出てくるでしょう。

あまりにも「自分は未熟なので」とか「至らない点ばかりなので」を連発されると、“仕事ができないことに対する言い訳か保険か!?”とも疑ってしまいます。

何となく自信がないビジネスマンに見えて、頼りない印象になります。

 

③ 子供は親の謙遜によって自己肯定感が下がる

親が身内の子供を下げる謙遜表現は、子供に悪影響があると言われています。なぜなら、親の謙遜を聞いた子供の自己肯定感が下がってしまうからです。

子供が親の謙遜を言葉どおりに受け取ってしまうと、「自分は親に認められていない。」と感じます。

目の前で親にけなされて「自分はこれでいいんだ!愛されているんだ!」と考えられなくなるのは当然の流れでしょう。

 

カナダには謙遜がない?

 

実は、日本の謙遜文化の問題点はカナダに来てから気付きました。

ご存知のかたも多いかもしれませんが、北米では謙遜が一般的ではありません。

 

どの人も自分に自信があって、自分のことを好きでいるように見えます。

 

それでいて、まったく嫌味な印象がなく、むしろ堂々としていて気持ちがいいくらいです。日本語学習者に「あなたは日本語を上手に話しますね!」と褒めると、素直に「ありがとう!これからも頑張るよ!」と受け入れます。

母親に「あなたの娘さんはかわいくて元気がいいですね!」と言うと、「そうでしょ~?本当に彼女が愛おしいわ!」と返ってきます。

その娘さん本人に「あなたはかわいいね!」と声をかけると、「そんなことは分かっているよ~!でもありがとう!」と答えるほどです。

 

カナダに来たばかりのころは、この会話の流れが衝撃でした。

「え?自分で認めるの?謙遜しないの?」と本当に驚きました。

けれど、それと同時に自分が発した褒め言葉をそのまま受け取ってもらえる心地良さに気が付きました。

 

ネガティブな言葉がない会話は本当に気持ちがいいものです。

 

カナダでは親も子供も伸び伸びしていて楽しそう

 

とても感覚的な見方になってしまうのですが、カナダではどの親からも自分の子供を愛している・誇りに思っている様子がよく伝わってきました。

また、子供たちは親の目を気にせず伸び伸びと生活している印象がありました。

これはなにも、“親の目をぬすんで悪いことをしてやろう!”という意味ではありません。

 

私が言いたいのは、“親からの批判や否定を気にしていない”ということです。

「うちの子なんて~」といった類の謙遜がない分、カナダの子供たちは親に愛されて受け入れられている自信を持っています。

その結果、赤の他人から自分の容姿や能力を褒められた時にも素直に受け取れます。

 

親に「うちの子なんて~」と言われながら育つと、その子供が成人した時に「私なんて~」という考えかたが当たり前になってしまいます。

そうなると他人からの褒め言葉をそのまま受け入れられなくなるでしょう。

謙遜は度が過ぎると、ただの自己否定になる危険性があるのです。

 

【まとめ】 謙遜はほどほどにして自分で自分を認めよう!

 

子育てに関しては、他人に迷惑をかける恐れがある場面ではしっかりとしつけをすべきでしょう。

しかし、それ以外のシーンではカナダのように、人前でも自分の子供を認めてあげることが子供の自己肯定感の向上につながります。

「褒められっぱなしはなんだか落ち着かない!」という人は、褒められたらいったん素直に受け止めて、褒め返すのも一案です。

 

カナダでも褒めてもらったら「ありがとう!でもあなたの〇〇も素敵ね!」と返すリアクションをよく耳にしました。

日本人も自己肯定感を失わない程度に、謙遜で相手への尊敬や奥ゆかしさを大切にできればいいな…と感じました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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