【外国人が10年間も日本で働ける!?】外国人労働者があなたの街や職場で どんどん増えていく
「今後は外国人が10年間も日本で働けるようになる?」
そうしたニュースを最近見聞きした人も多いのではないでしょうか?
「ふーん。そうなんだ」
「うーん、とりあえず自分には今のところ関係ないかな?」
きっとそんな風に思っている方も多いと思います。
しかし、この「外国人が10年日本で働けるようになる」というニュースは、これまでの日本では考えられないかつてない大転換だったりします。
2018年の6月に行われた閣議決定(内閣が「こうします」という意志表示)を出発地点として、今後は日本の地域、職場で外国人がさらに増え「家の近くや職場に外国人がいる」という状況は間違いなく一般的になっていきます。
この大きな大転換と現在の日本の状況を踏まえながら、あなたの留学についてもちょっと考えていきましょう!
技能実習生とは?
まず、2018年6月に大転換した政府方針を説明する上で、まず知っておいて頂きたいのは「技能実習生」という制度です。
これは簡単に説明すると…
「発展途上国から外国人が日本の企業にやってきて、日本の技術、技能、知識を働きながら習得して、その習得したものを自国へ持って帰り、その国の発展に活かす」
という制度の事です。
もともとは「日本の技術、技能、知識で他国を助けよう!」という目的でスタートしたこの技能実習生という制度なのです。現実問題としては、企業や外国人にとってはこんな風に考えられたり、利用がされていたりします。
・外国人:「日本へ出稼ぎのような形で長期間働ける制度だ!」
日本では、働けるビザを取得するのがものすごく難しいのが現状です。
外国人を長期間雇用できる技能実習生制度は企業側にとっても、日本で働きたい外国人にとってもすごく魅力的な制度だったりします。
ちなみに、技能実習制度がスタートしたのは1993年です。その当初は「一定以上の技術などを習得した外国人は日本の企業で2年間実習という名目で働いて良いよ(在留資格=技能実習)」というルールでした。
また、1997年4月には「技能実習の期間を2年から3年に延ばすよ」と働ける期間の変更がありました。
その後も、基本的には外国人の受け入れには否定的な日本でしたので…
・単純労働とされる分野での外国人労働の受け入れはできるだけやりたくない!
というスタンスがずっと続いていました。
しかし、時が進むにつれて…日本も「これから人口も減って行くし、人手不足が深刻になりそうだな…。」という心配や不安が国としてどんどん強くなっていきます。
2018年6月の大転換!
去年の2017年6月に閣議決定した成長戦略(政府の方針)では…
「経済・社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ、外国人材受入れの在り方について、総合的かつ具体的な検討を進める」
という内容が発表されていました。
つまりは、「外国人の労働力なくしては、もう国や地方の経済が成り立たないから外国人の受け入れについて政府としてもしっかり考えるね!」という発表です。
もともと外国人の受け入れにネガティブだった日本が、こうした発表をする事自体が”時代の変わり目”だとも言えそうです。
そして、その方針に従い2017年の11月には、「技能実習生の在留期間をこれまでの3年から5年に延ばすよ」というルール変更がなんと“半年も経たずに”すぐに行われました。
「1997年から20年ものずっと3年間だった在留期間」をなんと政府がたった半年間でパパッと2年間延ばしたのです。
さらに、2018年2月の国会では安倍首相が…
「受け入れた外国人材が、地域における生活者、社会の一員となることも踏まえ、(中略)幅広い観点から検討する必要があると考えています」
と「外国人が日本で生活する事も前提する内容」まで言及しています。
これまで政府は「あくまで外国人の人に”一時的”に日本へ来て働いて貰いたい」というスタンスでしたが、「外国人の人が一時的に日本に滞在するのではなく、永久的にその地域で生活する事も今後は考えていくよ」というスタンスへ変わったのです。
そして、こうした動きの中で2018年6月に閣議決定した「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」では、「外国人労働者の新資格(特定技能)」が新たに設定され、外国人の受け入れ政策が大転換したのです。
新資格(特定技能)とは?
この新しく設定された新在留資格(特定技能)ですが、簡単に説明すると「技能実習制度で日本で5年間滞在していた人が、さらに5年間日本に滞在可能な制度」というものです。
・「特定技能」在留資格 → 技能実習に加えて5年(合計10年)滞在
つまりは、「2017年の11月に5年に伸ばしたものを、さらに追加で5年伸ばす」という制度です。
政府は、この特定技能の新設で「2025年までには50万人超の労働者が確保できる」と試算しています。対象の業種は特に人が足りないとされる「建設、農業、宿泊、介護、造船の5分野」になってます。
ちなみに、特定技能を申請する時には、技能や日本語の試験をしなければいけません。しかし、技能実習制度で5年間を修了している人は試験を免除されるため、事実上は特に規制などなく「実習生の5年間を10年に伸ばす」という内容だったりします。
また、政府は上記の新資格設置に加えて「高い専門性を持つという事であれば、別の在留資格へ移行して、在留期限が無期限、家族の同伴も可能」という事も検討しているという状況にもなっています。(現在の技能実習や特定技能では日本への家族同伴などはできないため)
そもそも何で外国人労働力が必要?
政府が20年間も変えなかった技能実習の在留資格を3年から5年へすぐ伸ばしたり、さらに約半年程度でその期間を実質5年から10年へ2倍にしたりしているのはなぜでしょうか!?
それは、日本の人口減少による労働不足がかな~り深刻だからです。
だいたい10年前くらいであれば、外国人労働者というのは都会だけの問題で、地方都市や田舎では「田舎には関係ないね~」という感じでしたが…今では地方の農業、漁業、水産業などまで人手不足が広がっています。
実は、現在の労働状況はこんな風になっていたりします。
・2017年の時点で既に120万人以上の労働者が不足
・2030年には労働力人口が300万人ほど減る
・2017年での外国人労働者は約128万人
・2016年に外国人労働者は108万人だったので1年で約20万人アップ
・在留外国人は256万人(2017年末)
・在留外国人は2016年から18万人増加し、5年連続で増え続けている
・2016年ごろから飲食店で特に「人が採れない…」という状況になり始めた
・飲食店はこれまで大学生などのアルバイトが多かったが、少子化で人が足りない
・飲食店では主婦やシニア層なども既に働いた上で、人が足りない事もあるため、外国人の採用にも積極的に動いている
・現在、東京などでは中国、ベトナム、ネパールなどのたくさんのアジア人留学生が飲食店などで働いている
・日本語が得意な留学生はコンビニ、少し苦手な人は居酒屋のホール、苦手な人は居酒屋のキッチンという職場で働いている
・特定技能でも指定されている「建設、農業、宿泊、介護、造船」の5分野
・警備業界、製造業、介護分野などでも人手が足りないとされている
・既に介護分野では外国人人材の受け入れを拡大しているが、日本語能力が高い外国人スタッフは少ない
・日本人の就労希望者が少なく人手が足りない業界では「今までは外国人の受け入れを考えていない!」といった企業であっても最近では「とにかく人が足りないから、外国人で日本語しゃべれたら全然ウェルカムだよ」という企業へ変わってきている
・経済産業省が2017年に実施したアンケートでは全国の製造業の94%が「人材不足」と回答
数字やデータ、文字などではなかなか実感しにくい部分もあるかとは思いますが…。
それでも「1年も経たずに外国人の滞在期間を2倍にせざるを得なくなった」のは、それだけ労働力不足が厳しい状態だと日本が国として認めているという事でもあります。
私たちに何ができる?
正直今回の「技能実習、特定技能の制度が直接みなさんの生活にすぐ関係してくる!」という事は少ないと思います。
しかし、それでも国が「今後、もっと外国人労働者が日本で働きやすいように制度を整えていく」、「それに伴って、私たちの生活圏内や職場に外国人労働者がどんどん増えていく」というのは間違いありません。
世界レベルでみるとまだまだ閉鎖的な日本ですので…「外国人が多いとなんだか怖いなぁ…」、「自分達と仲良くできるかな…」と感じる人もきっと多いのではないでしょうか?
そうした時に役に立つのが、やはり「異文化の海外で生活した」、「海外の人と一緒に働いた」、「海外の人とトラブルがあったけど、きちんと話し合えた」というような経験です!
一度でも海外生活や留学経験がある人であれば…
・考え方や文化の違いで衝突をしてしまった!
・外国人と仲良くなって、お互いに良い友達になれた!
という経験は必ず持っています。
もしあなたにこうした経験があれば「留学時にいろいろあったけれども、何とか生活できたんだから、これから日本でどんどん外国人が増えても、問題なく生活や仕事も一緒に出来そう!」という自信につながるはずです。
また、日本の生活や文化に戸惑っている外国人の人達に対しては「わかるよその気持ち!私も留学時に苦労したよ!やっぱり慣れない海外での生活は大変だよね~」とその人達へ寄り添うこともきっとできるのではないでしょうか?
それから、もし外国人の方で「日本語はうまくしゃべれないけれども、英語はしゃべれる」という人がいた場合には、周りの人達の代わりにあなたが英語でコミュニケーションして「双方の橋渡しをする」という事もできるかもしれません。
さらに、企業としても「Aさんは海外留学の経験があるから、やっぱり外国人の人達とも分け隔てなくコミュニケーションできていてすごいな」、「Aさんは外国人の人達とも、仲良く仕事したり、うまくまとめてくれているから助かるよ」という評価やあなたの強みにも繋がるはずです。
今後、日本の地域や職場に外国人の方が増えて行くのは間違いありません。
あなたは、そうした時になってから初めて、戸惑いながら対処を考えますか?
それとも、留学と英語を今のうちから準備して、その時に備えますか?
今回の「外国人労働者の制度改革」だけではなく、「大学入学共通テスト」、「小学校での英語教育」などを考えると、今世の中は着実に大きく変わり、動いています!
【参考記事】
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【2020年 小学校での英語教育とは】大きく変わる小学校での英語教育改革まとめ
そうして大きく変わっている今の世の中で、あなたはこのままの生活をずっと続けていきますか?いいえ、世の中の変化に合わせて、あなたもぜひ変わっていきましょう!
今すぐは無理でも「英語を少しずつ勉強する」、「留学を少しずつ検討してみる」と…まずはあなたができる事から少しずつスタートしていけると良いですよね。
【参考記事】
英語力を必要としない職が無くなる日も遠くない
→このコラムにも外国人労働者のテーマがありますので、興味がある方はぜひチェックしていきましょう!
【TOEIC対策、留学前の英語準備】留学カウンセラーが教えるオススメ英語勉強方法
→社会人の方、学生の方もスキマ時間でコツコツ英語を勉強していきましょう。