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英語初心者必見!多国籍環境のメリットとデメリット

更新:2024/09/27(公開:2019/04/05) 著者:松尾 怜奈 921 Views

語学学校を調べると「インターナショナルな環境!」や「世界何十カ国からの留学生が集まります!」といった多国籍な環境を強くアピールしている学校があります。

海外留学の目的が国際交流なら、学校にいろんな国籍の留学生がいた方が良いですよね?

 

でも、多国籍な環境はメリットばかりでデメリットは一切ないのでしょうか?

 

そこでこのコラムでは、私の留学経験(オーストラリア)を踏まえて、多国籍な学校環境が私自身の英語力にどう影響を与えたのかをご紹介したいと思います。

私がオーストラリア留学した時の環境

まず、私が留学した時の環境をご紹介します。

私は9カ月間のオーストラリアの内、半分を語学学校で、半分を現地大学で勉強をしました。

語学学校は紛れもない多国籍な環境で、学校全体で10~20名ほどの生徒しかいないかなり小規模な学校でした。

留学生の国籍分布も偏りなどもなく、アジアの国々・中東・南米・ヨーロッパなどから幅広く世界各国の学生が集まっていました。

 

一方、後半の大学での留学環境はそこまで多国籍な環境ではありませんでした。

大学は基本的に現地オーストラリア人がメインで通う場所なので、海外から来る留学生は少数派と言うこともあり、そもそも多国籍な環境にはなりにくいんですね。

 

また、オーストラリア自体が移民の国ですので、在籍している学生も起源としては様々な国の出身となっていますが、生まれた頃からずっとオーストラリアに住む生粋のオーストラリア人ばかりでした。

一方、大学の学生寮では数多くの留学生が住んでいたので、他の英語圏から来た留学生を含む、語学学校とはまた異なるタイプの多国籍環境でした。

 

多様な英語の訛りに慣れることも大事

綺麗な英語を身に付けるためには、ネイティブと過ごすのが一番だと考えがちですが…実は、英語の生粋ネイティブというのは私たちが思うよりもずっと少なかったりします。

なぜなら世界の英語話者の大多数が非ネイティブスピーカーだからです。

 

そして、当然語学学校に学びに来る留学生も全員が非ネイティブスピーカーになります。

非ネイティブスピーカーは、英語が母国語ではありませんので、当然発音やイントネーション、訛り方など、人によって異なります。

 

まず私が多国籍な語学学校環境でなにより良かった!と思えたのは、何と言っても「多様な英語訛りや表現に慣れることができた」という部分です。

 

世界中の言語に関する情報を集めたデータベースであるEthnologueによると、世界の総人口約80億人のうち英語を実用レベルで使用できるのは約20億人となっています。

そして、その20億人のうち、ネイティブスピーカーはなんとわずか3.8億人だけとなっています。

 

つまり、真に「英語を使える」という意味を考えると「3.8億人のネイティブだけと英語でコミュニケーションを取れる」ではダメなのです。

圧倒的多数である非ネイティブスピーカーを含む20億人の英語を全部理解して、コミュニケーションでくる事が真の実用的な英語力と言えるんですね。

 

実際、私も語学学校の先生の英語は聞き取れても、それに対するクラスメイトの発言を聞き取るのには正直苦労しました。。

 

特にヨーロッパや南米の学生は強い訛りがあるのにも関わらず、彼らはペラペラと速いスピードで話します。

慣れるまでは「何も聞き取れない!」と焦ってしまい、会話にならなりませんでした(苦笑)

しかし、時間が経つにつれ、ゆっくり話すよう頼んだり、分からない部分を聞き返したりすることでコミュニケーションが取れるようになりました。

 

英語のリスニング力や理解力は、少し勉強した程度では身に付きません。

しかし、聞き取れない言葉がある中で、何とかしてコミュニケーションをとるという経験を多く積むことによって、会話を繋げるコツや意思疎通のコツをつかみ、少しずつできるようになるんですね。

 

こうした聞き取れない言葉がある中でする会話のコツや経験は、ネイティブスピーカーと話す時にも活かすことができます。

分からない言葉を聞き返し、そこから会話を繋げられるような異文化コミュニケーション能力は何よりも大事なスキルと言えます。

 

一方、試験などのスコアは高くても、分からない言葉がある度に会話が止まってしまうような人は「実用的な英語力を持っている人」とは言えません

 

多国籍環境に身をおいて自分の英語に自信が持てた

学生寮では、英語をネイティブとする方々、またネイティブとほぼ同等レベルの英語力を持つさまざまな国の方々と生活を共にしました。

 

学生寮での多国籍環境が良かった点は、皆が私を一般的な英語話者の一人として扱ってくれたことです。

 

留学中の印象的なエピソードがあります。

私が寮の友人(オーストラリアのネイティブ)と会話をしていた時、私の単語の発音を理解してもらえず、数回発音してようやく理解してもらえたことがありました。

 

その時、私は自分の発音が間違っていたのかと残念な思いでいっぱいでした。

彼女も申し訳なさそうに「私まだあまり日本語訛りに慣れていなくて…理解してあげられなくてごめんね」と私に謝ってきました。

それは、当時非英語圏からの学生が集まる語学学校で、散々発音を矯正されてきた私にとっては衝撃的な言葉でした。

 

オーストラリアンネイティブの友人は、私を「英語ができない外国人」として見るのではなく、オーストラリア英語、アメリカ英語、インド英語とあるように、多様な英語訛りの1つとして私に向き合ってくれていたのです。

そして「あなたの話す英語がしっかり理解できなかったのは聞き手である私の問題」と話してくれました。

 

彼女の言葉を聞いてから、私は一人の英語話者としての自信を得ることができ、より自分の思うことを自分の言葉でどんどん語ってみようと思えるようになりました。

 

インターナショナルな環境であればあるほど、人々の多様な英語に対する許容力が高くなり、そして自分の英語についても自信を深めていくことができるんですね。

 

多国籍な環境で使える語彙や表現が増える

同じ英語圏であっても、オーストラリア、アメリカ、イギリスとそれぞれ異なる発音やイントネーションを持っています。

さらに、英語は国によって、使う英単語や言い回し(表現)が異なります。

 

つまり、多国籍環境に身を置くことで、より多くの英単語、言い回し(表現)に触れることができます。

 

例えば、オーストラリアにいると毎日のように「How’s it going?」と挨拶されます。

一方、アメリカ人の友人からはよく「Hey, what’s up?」と声を掛けてきます。

 

オーストラリア人ばかりの環境にいては、この「What’s up」を学ばずに過ごし、いざアメリカ人と話した時に戸惑うでしょう。

英語圏の学生でなくても、歴史的背景や文化によって学んできた英語が異なりますので、同じことが言えます。

 

他にも国によって、意味が完全に変わってしまう単語もあります。

世界どこでも通用する英語力を身に付けるには、その国毎に異なるそれぞれの意味を知っているとより自然に会話ができます。

 

TOEIC等のリスニング試験でも、1つの国の言葉で試験が作成されていることは少なく、2つ以上の国の英語表現、あえて訛りを混ぜて出題していることはご存知でしょうか?

 

TOEICはアメリカ英語圏の試験ですので、元々はTOEICもアメリカ英語の範囲の出題しかされませんでした。

しかし「それでは本当に使える英語力を証明したことにならない。」という理由から、アメリカ人以外をリスニング問題に採用することになったという経緯があるんですね。

具体的にはアメリカ人、イギリス人、カナダ人、オーストラリア人の4カ国の人が問題を吹き込んでいます。(こうしたリスニング問題の変更は2006年5月実施分からスタート)

 

このように語学試験でもアメリカ英語やイギリス英語の区別などをなくすように努めているように、グローバル社会では様々な英語表現に対応できることが英語話者にとって重要なんですね。

 

つまり、多国籍な環境はボキャブラリーや会話表現、試験英語という知識的な面においても、私たちの英語力にプラスの影響を与えることになるのです。

「ネイティブスピーカーの英語が全てではない!」という事は、ぜひ頭の隅っこに置いておいて欲しいと思います。

 

英語を教え合いコミュニケーションを深める

人はそれぞれ、得意な点、不得意な点が違います。

リーディングが得意、スピーキングが得意、色々な人がいます。

 

このような英語の得意・不得意は、教育を受けた出身国の影響を受けることも少なくありません。

 

日本人であれば文法が得意で、スピーキングが苦手です。

ヨーロッパ人は話せるけれど、よく聞いてみると文法が間違っていることが多いと言われます。

このように出身国によって、得手不得手があるケースが多いのです。

 

私は、語彙の暗記とプレゼンテーションが得意なので、よくクラスメイトにやり方を伝授していました。

一方でディスカッションが苦手なので、ディスカッションが得意な学生と日頃からよく接して、会話に入り込むコツを学びました。

 

得意ジャンルを教えることは、自分にとっても復習やコツを改めて再確認する作業になりますので決して無駄にはなりません。

そして、友人に「教えて!」と声を掛けられる環境は、授業外で友人とのコミュニケーションのきっかけにもなります。

 

多国籍環境であれば、それだけ多くの得意・不得意がある可能性が高く、お互いに教え合い、高め合える環境が作りやすくなるんですね。

 

そして、交友関係が深まれば、学校生活も楽しくなり、会話相手が増えればそれだけ会話力も上がります。

 

多国籍環境のデメリットは?

これまで多国籍環境の良いところを挙げてきましたが、デメリットもいくつかあります。

 

多国籍な環境でのデメリットは、多様な英語を耳にするあまり、その国の英語が定着しにくいという点です。

 

私はオーストラリア留学中ほとんどの時間を多国籍環境で過ごしていたため、自分自身の英語は、オーストラリア英語ではないと思っています。

もちろん、私の中でオーストラリア英語が最も聞きやすく、理解し易いのは確かなのですが。

 

一方で、アメリカ英語が大好きで、留学中ずっとアメリカ人と過ごしていた留学生は、キレイなアメリカ英語を身に付けて帰ってきました。

その国の英語が好きでその国の英語の発音になりたい方は、多国籍環境は最適な条件にはならないのかも知れません。

 

さらに掘り下げると、「カナダ英語は綺麗な発音」という理由でカナダ留学する方がいます。

しかし、多国籍環境な学校ではなく、カナダ人ネイティブだらけの環境で過ごさなければ、カナダ英語の発音にはなりません。

 

オーストラリアやニュージーランドは訛りがあると言われる方もいますが、その訛りが自分の発音になるためには、ほとんどの時間をオーストラリア人またはニュージーランド人ネイティブと過ごさないといけません。

語学学校で勉強している限りは、多国籍環境での英語学習となります。

つまり、(訛りのある)オーストラリアを選ぼうが(綺麗な)カナダを選ぼうが、自分の発音にはさほど影響を及ぼさないのです。

 

そのため、英語の発音を気にして留学国を選ぶというよりは、自分の行きたい国を素直に選んだ方が良いでしょう。

 

多国籍な環境の善し悪しはあなた次第

多国籍環境が私たちの英語力に与える影響はさまざまです。

私自身は、多国籍環境は私たちの英語力を良い方向に変えてくれる環境であると考えました。

そして実際に、多国籍環境での留学を終えて得た結果には私自身はすごく満足しています。

 

なぜなら真の英語力とは「どんな人であってもスムーズかつ正確にコミュニケーションがとれるか英語力」と考えているからです。

 

例えば「私はアメリカ人の英語は分かるけど、中国人やヨーロッパ人の話す英語はちょっと分からないや~」という人は、本当に使える英語力がある人とは言えません。

 

私は海外留学を終えて、どんな人とでも会話をするのが億劫ではなくなり、どんな英語環境でも発言をすることに抵抗を感じなくなりました。

また、多国籍環境で英語耳も鍛えられたので、TOEICをはじめとする英語能力試験のスコアも格段に伸びました。

 

しかし、もし私が留学前にキレイなアメリカ英語、イギリス英語を身に付けたいと思っていたのであれば、これは必ずしも満足のいく留学の結果とは言えませんよね?

 

そのため、一般論としては、あなたがどのような英語力、どのような結果を求めるのかによって、多国籍環境の良し悪しは変わってくるという事になるのです。

 

もしあなたが英会話初心者であったり、はじめて留学をする方、またスコアを伸ばしたい、単純に会話力を伸ばしたいのであれば、多国籍環境は最適な条件の1つと言えます。

 

一方で、その国のネイティブの発音や表現を身に付けたいという場合には、多国籍な環境はその目的に沿わない選択肢と言えます。

皆さんも、自分の留学目的や英語力をぜひしっかり確認した上で、自分の目的に合うのであれば、ぜひ「多国籍環境」で英語を学んで欲しいと思います!

 

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