長期留学するなら高校生がベストな理由と体験談
「いつかは留学させたいけど、やっぱり早い方がいいのかしら?」
そうですね、長期で行かせてあげられるなら、早くても良いかもしれません。
しかし、「夏の一週間」であれば、それは留学ではなく旅行です。
もちろん大きな経験になりますし、たった一週間でも子供たちはすばらしい成長を見せてくれるでしょう。
ただ、「英語が話せるようになること。」を目的とするならば、一週間や二週間のプチ留学では、望むような結果は得られません。
そう、「英語を好きにさせる。」では無く「英語が話せるようになること。」が目的なら、プチ留学を繰り返すよりも、お金を貯めて1~2年の長期留学に出す方が確実なんです。
そしてそのタイミングとしてベストなのは「高校生」!
今回のコラムでは、筆者の留学経験をふまえ「長期留学には高校生がベストな理由」をお伝えしていきます。
・若いうちに留学した方が良い理由とは?
高校生が長期留学する年齢にベストな理由
長期留学に高校生がベストタイミングである理由は3つ。
1つ目: 判断力・責任能力ともにちょうど良い年齢であること
中学生ではまだまだ判断力が備わっておらず、家族としても単身海外に出すのは不安が大きいことと思います。子供の立場としても、中学生では制限が多く、海外生活を自由に楽しめないストレスが生まれるでしょう。
長期留学先になるような海外の土地には、当然「大人の日本人」も多くいます。日本人コミュニティに入ることは留学でひとつの大事な要素になりえますが、年齢差が大きすぎると上手く付き合えないことも。
「大人の日本人」の多くは大学生~20代半ばが予想され、その年代は高校生にとってベストな距離感の大人です。親でも友人でも先生でも無い、そんなナナメの関係を築ける大人から良い刺激をもらえることでしょう。
2つ目: 語学力が一気に伸びる時期であること
ここでみなさんにお聞きしたいのですが、日本の英語教育ってどう感じてますか?少なくとも「良い」と言える人はあまりいないのではないでしょうか。
無論、わたしも良いとは思いません。ただそれは学校のカリキュラムや教師の英語力・指導力というよりも…10代ですでに作られてしまう同調圧力社会が原因だと思います。
例えば、日本の中学や高校の授業で「きれいな発音」で教科書を読み上げたら、どんな反応をされるでしょうか?ロールプレイングゲームで本気で役に成りきったら、どんな反応をされるでしょうか?
「なんだよ、おまえ、ガイジンかよ~!」なんて、周りの生徒が笑っている姿を想像できるのではないでしょうか。
とても残念なことではありますが、「一生懸命な人を冷やかす」ことが日本には多くありますよね。
この環境でネイティブスピーカーのクリアな発音を学校の授業内で真似するというのは、高校生にはちょっと酷。
でも、留学先では、誰も笑いません。当然なことですし「そんな事が重要なの?」と思われるかもしれません。
しかし、英語において「きちんと発音する。」、「恥ずかしがらない。」のはとても重要なポイントなんです。
むしろ、この点さえきちんと出来る環境が作れるならば、留学に行かずとも英語はマスターできるはずです。
3つ目: 留学をする場合、そこには必ず本人の意思がある
将来像もより具体的に考え始める年齢ですし、SNSやネット情報と共に生きている今の子たちは、よりシビアに考えているかもしれません。
つまり、本人が「本気で英語に取り組みたい!」、という気持ちがあるんです。
「意思があるか無いか?」 この違いは大人の皆さんなら、多くを語らなくとも実感できるのでは無いでしょうか。
【体験談】 私が高校生で留学した時の英語力
さて、ここからはわたしの体験談。わたしは高校二年生が終わったタイミングで休学届を出し、カナダに一年間の語学留学へ渡りました。
留学前から英語が好きで、毎日英語で日記を付けたり、海外ドラマを見たりしていたことを覚えています。
…とは言え、留学前に英会話スクールに通っていたわけでもありませんでしたので、英語力はかなり低かったと思います。
今でもたまに、初めてカナダの空港に到着した時、うろうろしていたら女性に声をかけられてパニックになったことを思い出します。「大丈夫?迷ってるの?」って聞かれただけでした。(笑)
留学した初月に受けたTOEICは500点台。高校生にしてはまぁまぁかもしれませんが、ホームステイ先での会話もつたないような状態です。喫茶店でCoffeeが通じなかったり、友達との意思疎通に苦労したり。そんな留学先での話はまた別な機会に!
現地では高校に通いながら、ESLクラスで英語を学びました。
一年後、TOEICは700点を越え、カナダ育ちに間違われるほどにまで英語力は成長。
わたしは決して留学することが全てとは思いませんし、大人になってからの留学でも遅いことは無いと思っています。
しかし、自分自身の英語力が驚くほどのスピードで成長した経験から、「いつかは留学」と考えているなら高校生がベストと感じるのです。
当時の留学先には、わたしの他に2人の日本人高校生が同じタイミングで留学に来ていました。そしてわたし達3人の英語力は、一年間で同等程度に成長しました。このことからも、決してわたしが特別上達したわけでも無いことが分かります。
「TOEIC700点以上」や「ネイティブ並みの発音力」は、本人の意思があっての高校生留学なら、誰でも到達出来るレベルなんです。
高校留学は国よりも地方(地域)で選ぶのがオススメ!
「高校生になったら、長期留学させるのも良いかもなぁ。」
そんな考えが浮かび始めると同時に、「どこの国にすればいいの?」と具体的な悩みが浮かんでくると思います。
私の留学先はカナダのド田舎でした。人口五千人にも満たない小さな小さな山に囲まれた村で、電車やバスも通っていないような場所でした。
余談ですが、現地の空港で「どこまで行くの?」と聞かれ、村の名前を答えると「そんな場所、カナダには無いよ。(笑)」と失笑されたほど知名度も低かったです。
なぜその土地になったのか、それは当時通っていた高校の卒業生が、その村で日本人留学生を受け入れていたから。
本当にたまたまというか、ご縁としか言えないつながりでした…。
結論を言うと、高校生にとっての留学先としてはベストだったと感じています。その理由は、「田舎であること」。
海外の地方も、日本の地方と同じように大した娯楽はありません。お金を使って遊ぶことと言えば、たまに行く隣町での映画程度でした。
その代わり、地域の飲食店などでボランティアをすることが出来ます。わたしはB&Bやパン屋さんなどへ、ボランティアとして毎週通っていました。
もちろん、必ず出来るとは限りませんが、地方は都会よりも地域との連携が濃いはずです。(私は日本でも地方移住をしておりますので、より実感しています。)
高校生にとって危険な遊び場が少なく、地域に溶け込みながら生活することが出来るのは、ご両親としても安心ですよね。
留学する本人にとっても、誘惑が少ないことはベスト環境と言えます。
近所付き合いの濃さや噂話が広がるスピードの速さも日本の地方と同じなため、その点では多少ストレスを感じましたが。(笑)
「国」に関しては、その都度治安情勢や物価などで決めるのが良いと思います。「英語の訛り」はどこに行ってもあるものですし、そこまで神経質に考える必要はありません。
高校生の留学先の決め方は、「国」という大きなくくりよりも、その中で「どの地方に行くか?」まで絞って考えることをおすすめします。
日本人はいた方が良い
留学やワーホリの話になると、「日本人の少ない場所が良い。」という意見を多く耳にします。
個人的にはまったく逆で、「日本人がそれなりに居る場所が良い。」と感じています。
長期留学になると、程度の差はあれどホームシックを経験する可能性大。特に高校生であればなおさらその可能性は高くなります。わたしも、留学三ヶ月目頃に重いホームシックにかかり、電話で泣いたことがありました。(笑)
そういう時、日本人の友人の存在はとても大きな支えになるのです。日本人グループで鍋パーティーをしたり、似たような悩みを共有したり。日本語が通じるというだけでホッとします。
日本人が多い場所への渡航は、「英語の上達が遅くなるのでは?」と不安に思われる方も多いのですが、決してそんな事はありません。…と言うよりも、それは人それぞれなんです。
十年以上など長く海外に居るひとでもカタカナ英語が抜けなかったり、一年間であっという間にペラペラになる人もいたり。これは、「日本人コミュニティに入っているかどうか!?」は全く関係ありませんでした。
その点で変にストイックになるよりも、留学する本人の精神衛生が良い状態で過ごせる環境を考える方がベター。
ちなみにこの点に関しては、高校生では無く大人の留学でも同様に感じています。
留学後はどうする?語学力は落ちないの?
留学を経験しても、放っておけば語学力はどんどん落ちていきます。
日本は想像以上に「英語を必要としない国」です。いくらオリンピックがあっても、企業が英語を重要視し始めても、地方にいればなかなか実感は湧きません。
自力で英語を勉強し続ける・国際交流に積極的に参加する・英会話スクールに通う…などなど。
なんらかの手段で、留学後に英語力をキープすることは絶対に必要です。
文字を書く習慣が少なくなった昨今、みなさんも「簡単な漢字が思い出せない。」という経験があると思います。
文章を仕事にしているわたしでさえ、「これはどっちの漢字が正しいんだっけ?」なんてことが多々あるのです。
そう、語学力はネイティブでさえ使わなければ落ちていくもの。
さらに言えば、「英語が話せる。」だけでは希望の仕事に就けるとも限りません。今の世の中、英語が堪能という人はごまんと居ます。
「専門的な何かが出来るけど英語はまぁまぁ。」という場合と、「英語は出来るけど専門知識も何も無い。」という場合では、おそらく採用されるのは前者でしょう。
起業するにしても、前者のタイプの方が可能性は高いのです。もちろん英語を使った仕事、たとえば通訳・翻訳などの道もあります。しかしこれもまた「英語が普通に出来る。」だけでなれるものではありません。
高校生で長期留学するリスクは、この点にあると私は感じます。長期留学したことで達成感を覚え、英語力も身に付くことでしょう。それ自体は問題ないのですが、それだけで満足してしまうことが問題です。
留学前から「英語を使って将来何がしたいのか?」をぼんやりでも考えておくこと。
そして、留学後は英語力をキープするための努力より具体的な将来像を描いて進んでいくことが重要です。
【まとめ】 高校生での留学はあくまでも通過点!
最後に、「中学生では早すぎる。」・「大学生では遅すぎる。」・「留学しないと英語は話せない。」という誤解はしないでくださいね。
あくまでも、「自由なタイミングで一年間という限られた期間の留学をするなら!?」、という前提のもと、高校生留学をおすすめしています。
そして、高校生留学は通過点。決してゴールでは無いのです。その先にある未来が開ける選択をしていきましょう!