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カテゴリー:その他

今から10年後、2030年に「必要とされるスキル」と「必要とされないスキル」とは?

公開:2019/08/22 著者:中川 友康 202677 Views

皆さんもテレビや雑誌・ネットメディアを通じて、AI(人工知能)や5G(第5世代移動通信システム)により、今後劇的に時代が変わることはご存知でしょう。

IT技術の進歩のスピードを犬の成長が人と比べて速いことに例えた「ドッグイヤー」なる言葉が2000年頃に流行りました。

この10年だけでもかなりの技術の進歩が見られましたが、AIと5Gが本格稼働するようになると、このスピードはもっと加速度的に早まるとされます。

 

その結果、今ある職業や技術が必要とされなくなる日もそう遠くありません。

 

IT技術が劇的なスピードで進化することは既に分かっていることなので、我々人間が時代の流れを先読みして行動しなければいけません。

今現在、文科省が力を入れている「英語」や「プログラミング」といった知識や技術は、今後必要とされるスキルなのでしょうか?

今回のコラムでは、その辺の事情を調べてみました。

2030年に必要とされるスキルとは?

まずは、今から10年後の未来の姿を調べてみました。

海外留学に関心を持つ方々の中心世代は、10代後半~20代後半が中心です。10年後の彼らは、まさに働き盛りの年齢。どんな知識やスキルが10年後には必要なのでしょうか?

オックスフォード大学の「2030年に必要とされるスキル」という論文では、120種類の知識・能力・スキルをランキング化したデータを発表しました。

 

1位: 戦略的学習力(Learning Strategies) ※スキル
2位: 心理学(Psychology) ※知識
3位: 指導力(Instructing)  ※スキル
4位: 社会的洞察力(Social Perceptiveness)  ※スキル
5位: 社会学・人類学(Sociology and Anthropology)  ※知識
6位: 教育学(Education and Training)  ※知識
7位: 協調性(Coordination)  ※スキル
8位: 独創性(Originality)  ※能力
9位: 発想の豊かさ(Fluency of Ideas) ※能力
10位: アクティブラーニング(Active Learning)  ※スキル
11位: 心理療法・カウンセリング(Therapy and Counseling)  ※知識
12位: 哲学・神学(Philosophy and Theology)  ※知識
13位: 伝達力(Speaking)  ※スキル
14位: サービス志向(Service Orientation)  ※スキル
15位: アクティブリスニング(Active Listening)  ※スキル
16位: 高度な問題解決力(Complex Problem Solving)  ※スキル
17位: オーラルエクスプレッション(Oral Expression) ※能力
18位: コミュニケーション学・メディア学(Communications and Media)  ※知識
19位: 活舌(Speech Clarity)  ※能力
20位: 判断力・意思決定力(Judgment and Decision Making)  ※スキル
21位: 英語力(English Language)  ※知識

44位: 外国語(Foreign Language)  ※知識

66位: プログラミング(Programming)  ※スキル
出典: The Future of Skills: Employment in 2030 – University of Oxford

 

これを見て分かることは、具体的な職業に直結する(イメージできる)ようなスキルは少ないことです。

この論文述べられている、2030年に求められるほぼ全てのスキルとは、人と人との関わりの部分。つまり、「人間の感情」や「創造性」の部分、そして「教育」だとされています。AIやIT技術は、人間の心の感情部分まではカバーできないと言ったことの現れなのでしょう。

英語力とかプログラミングなど、もっと具体的なスキルが上位に来るのかと思ったら、ランキングを見る限りパッと具体的な職業がイメージし難い印象ですね…。

 

さて、注目の「英語力」ですが、21位にランキングされていました。

 

あと数年もすれば高性能な翻訳機が登場するから、「英語なんて必死に勉強する必要ない!」と言う人もいます。

しかし、翻訳機で人間の繊細な感情や、言葉の裏にある微妙なニュアンスを伝えることは不可能ではないでしょうか?

どんなに技術が進歩したと時代であっても、世界共通言語である英語は必須のスキルとして考えて良いでしょう。

 

では、英語以外の外国語に関しては、学ぶべき付加価値はあるのでしょうか?

 

外国語が44位にランクインしてました。120位中44位なので、上位スキルであることは間違いないものの、まずは21位である英語力の習得が先決だということです。

英語を学んだ後に、その他の言語も習得しておくとプラスになることでしょう。

しかし、言語の習得は多くの学習時間を費やすのがネックです。外国語学習が好きなら構いませんが、職業を意識する場合は、外国語習得にこだわらず言語以外のスキルを身に着けた方が良いでしょう。

 

母語話者・第二言語話者数の合計数ランキング
1位: 英語 11億3,200万人
2位: 中国語 11億1,600万人
3位: ヒンドゥー語 6億1,540万人
4位: スペイン語 5億3,430万人
5位: フランス語 2億7.980万人
出典: List of languages by total number of speakers – Wikipedia

 

上記は世界の言語話者数のランキングです。人口の多い中国語が2位、ヒンドゥー語(インド)が3位にランクインしてます。

中国は先進国と言っても良い状況なので、英語以外を学ぶことを考えた場合、中国語は良いかも知れません。インドはまだ発展途上国の域を脱していないため、中国語以外ならばスペイン語かフランス語が良いのではないでしょうか。

いずれにせよ、時間は有限ですので、言語学習ばかりに時間を割いてるワケにも行きません。英語を身に着けたら、言語以外のスキルに目を向けた方が賢明だと思います。

 

プログラミングは必要なスキルか?

2020年から小学校の授業で開始される「プログラミング」ですが、プログラミングスキルは上位に入っていると思った方も多いのではないでしょうか?

しかし、AI技術は確実に自動化が進んでおり、プログラミングは上記のランキングでも10位どころか20位にも入っていません。

実際、プログラマーは、10年後に人工知能に発達よって仕事が無くなる職業と考えられています。

 

コチラも徐々にシフトしていくのでしょうが、このようなデータがある以上、プログラマーを職業として目指すのはあまり最善ではないかも知れません。

 

しかしながら、世の中は間違いなくIT業界が牽引していくことは間違いありません。

IT業界の中でも、マニュアル化またはパターン化されたコーディングを行うプログラマーという職業は、人工知能に置き換わっていくとされています。

 

一方、IT業界で人間が行うべきは、クリエイティブな領域の仕事です。

 

新たな技術やサービスが社会に必要なのか、創造性が求められる領域は、引き続き人間が行う仕事です。そのため、クリエイティブ性が求められるSE(システムエンジニア)は、引き続き需要がある職業とされています。

また、AIもコンピューターですので、全自動で動いてくれるワケではありません。つまり、AIをメンテナンスするAIエンジニアも必要とされる職業になります。

SEにしろAIエンジニアにしろ、プログラミング知識は必須です。プログラマーは必要無くなる職業かも知れませんが、プログラミング知識が不要になると捉えるのは間違いです。

 

では、「2030年に必要とされるスキル」でプログラミングが66位(120位中)にランキングされた事実をどうとらえるべきでしょうか。

 

同じくオックスフォード大学の「雇用の将来」という論文(The Future of Employment – University of Oxford)では、人工知能などの技術進展から影響の受けやすい職業と言うテーマで、702種類の職業をランキング化しています。

その中で、コンピュータープログラマーは410位(702位中)にランクされています。(※1位が最も影響を受ける職業で、702位が最も影響を受けない職業。)

プログラマーは、中間(351位が中間点)よりも少し下なので、それなりに影響を受ける職業と捉えて良いでしょう。今後のIT業界はクリエイティブな人材が残り、プログラマーは人工知能が対応するため、IT業界の労働者数は現在よりも少なくなるのでしょう。

 

「必要とされないスキル」とは?

必要とされないスキルについても触れておきましょう。正直、ランクインしている項目を見ると、教育で学ぶようなモノではありませんので、参考までにご覧ください。

1位の「操作の正確さ」なんかは、不必要なんでしょうか…。おっちょこちょいの人よりもずっと良いと思います。仕事をする上で正確性を求める作業は、一通り人工知能に置き換わるので必要ないということなのでしょうか…。

ここにランクインしている項目は、必要とされないスキルと発表されているものの、人間として大事なスキルが多いと個人的には思います。

 

1位: 操作の正確さ(Control Precision) ※能力
2位: 手作業のすばやさ(Wrist-Finger Speed) ※能力
3位: レート制御(Rate Control) ※能力
4位: 手作業の器用さ(Manual Dexterity) ※能力
5位: 指先の器用さ(Finger Dexterity) ※能力
6位: (機材やシステムの)捜査力(Operation and Control) ※スキル
7位: 応答のすばやさ(Reaction Time) ※能力
8位: 手作業のぶれなさ(Arm-Hand Steadiness) ※能力
9位: 機材管理力(Equipment Maintenance) ※スキル
10位: 反応の正確さ(Response Orientation) ※能力
出典: The Future of Skills: Employment in 2030 – University of Oxford

 

「必要とされるスキル」は教育で補えるか?

上記でも触れた通り、2030年に必要とされるスキルですが、「人間の感情」や「創造性」の部分、そして「教育」でした。

具体的に10位までに入ってるスキルで、具体的な職業をイメージできるものは正直少ないです。そして、20位まで広げても同様だと思います。

教育で身に着けられるスキルは、10位の中からは「心理学」、「社会学・人類学」、「教育学」になるでしょうか。しかし、このキーワードから具体的な職業を挙げると、心理カウンセラー、学校の先生、大学の研究職、くらいしか思い浮かびません。

 

それ以外のスキルの多くは、学校で勉強することで学ぶよりは、元々生れ持った人間力や、育ってきた環境、仕事を通じて身に着けるようなスキルが多くランクインしています。

 

1位の「戦略的学習力」、3位の「指導力」4位の「社会的洞察力」などを例に取ると、学校で教えて貰うタイプのスキルとは異なります。何となく、ビジネス書籍やハウツー本を読んで、自己啓発により身に着けるイメージのものが多いような気がします。

多くの方が教育によってカバーできるスキルの中で、幅広いジャンルで応用が利くのは、「英語力」だと思います。

一層グローバル化が進むことは明確な事実なので、英語力は持っておきたいスキルなのは、誰もが思うところでしょう。

 

正直なところ、10年後・20年後の職業構造がどうなっているかは、その時になってみないと分かりません。

 

多くの職業が人工知能によって置き換わることは分かっているのですから、何も対策を打たずに時間を過ごすのはナンセンスではないでしょうか?

今回のコラムを参考にして、IT技術による社会的影変化を前提にしつつ、ご自分の10年後の姿をイメージして欲しいと思います。

10年後も「英語は必要とされるスキル」で間違いないので、しっかり身に着けていきたいものです!

 

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