中学3年生の全国学力テストの結果で見えて来た英語教育の課題 | 留学・ワーホリ・海外留学・語学留学は留学ドットコム

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中学3年生の全国学力テストの結果で見えて来た英語教育の課題

公開:2019/09/05 著者:中川 友康 785 Views

日本の英語教育の強化が叫ばれ始めてから、もう十数年経つでしょうか。

その大きなキッカケとして、2011年から小学校5・6年生に週1コマ「外国語活動」が実施されることになったのは大きな話題となりました。

2020年から英語教育のさらなる強化が実施されることが決まり、小学校3年生から「外国語活動」が前倒しされ、小学5年生からは英語が「教科」として開始されます。

 

2011年から小学校の英語教育を開始され8年を過ぎようとしてますが、その後本当に英語力向上につながっているのでしょうか?

 

2019年7月31日に文部科学省が4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表しました。英語の学力テストは、今回はじめての実施されたそうです。これは、日本全国の中学3年生に実施され、英語は今後3年に1度のペースで実施される予定です。

正直、小学校から英語教育がスタートしているのですから、全体的な英語力の向上が見られて当然だと思いますよね!ですが、全教科の中で英語の平均点が一番悪い結果となりました。

今回は、全国学力テストのデータを参考に、日本の英語教育についての課題を考察して行きたいと思います。

やはり「話す」技能が一番弱い!

全国学力テストでは、単なる筆記の問題だけでなく、「読み」・「書き」・「聞く」・「話す」の4技能の試験が行われました。

各技能の正答率の内訳は、読む(56.2%)、聞く(68.3%)、書く(46.4%)、話す(30.8%)、となりました。また、全国平均の英語教科の正答率は56.5%でした。

その他の教科は、国語(73.2%)、数学(60.3%)なので、英語の正答率(56.5%)を見る限り、まだ英語教育強化の結果が出ていない印象を受けます。

 

昔から日本の英語教育は文法教育偏重なので、読み書きはある程度できても、聞いたり話したりするのは苦手だと良く言われたものです。

 

今回の全国学力テストでも、「話す」技能に関しては30.8%ですので、他技能に比べると圧倒的に低い結果となりました。

ただ、英語教育に長く関わってきている立場から言わせると、当然と言えば当然じゃないかな…と思うワケです。なぜなら、英語を話す時間なんて皆無に等しいワケですから。

日本の英語授業の中で英会話をしたとしても、そこにはリアルな英会話は存在しません。テキストにあるシチュエーション別の会話例を生徒全員で読み上げても、それは会話とは言いません。

 

→ 日本人は昔から、「話す」技能が最も苦手と言われている。

 

「話す」技能を伸ばすためには?

会話力を鍛えるためには、会話する環境が何よりも重要です。

では、中学の英語の授業で、会話する相手は誰なのでしょうか?

 

先生ですか?それとも生徒同士?会話の相手が先生ならば、それはネイティブ教師なのか?それとも海外経験もない生粋の日本人教師?TOEICは少なくとも800点は持ってる?

 

→ 英語を教える立場なら、TOEIC800点くらいは当たり前に持っていて欲しい。

 

さらには、授業中にどれだけ会話できるチャンスがあるのでしょうか?1人当たり何分話せるのでしょうか?

こんな英語の授業をイメージするだけでも、この環境では会話力アップすることは誰が考えても難しいと分かるはずです。

海外経験のない先生と英会話しても、成果は高々知れてます。また、隣の生徒同士で会話をさせても、正直グダグダです。ネイティブ教師が生徒たちに向けて一方的に話してるなら、それは会話とは言いません。(授業を聞いてるだけ。)

 

やはり、日本の小中高の英語の授業で会話力アップさせることは、どう考えても限界があるワケです。

 

どうやったら会話力を伸ばせるのでしょうか?

私どもが考える、会話力アップにふさわしい学習環境は以下の6点です。

 

1. 先生はネイティブ教師がベスト。
2. またはフィリピン人などの英語を公用語としている話者。
3. 日本人教師ならば、1年以上の海外経験があり、TOEICは900点以上。
4. 授業は1クラス10名以内の少人数制クラス。
5. 週1~2回はマンツーマン授業を行う。
6. 毎日英語の授業を行う。

 

これができるならば、日本国内でも英語力アップは期待できるでしょう。

ただ、小中高の教育現場では、現実的には難しいことは、誰が考えても分かることです。

 

国(文科省)は海外留学のハードルを低くすべき!

誰だって、これからの時代はグローバル化が進んで、英語力がより重要であることは頭では分かっています。

でも、大学によっては、「周囲に誰も留学する人がいない!」なんてこともあります。私も理系出身で、工学部の建築学科でしたが、周囲に留学する人なんて誰もいませんでした。

周囲からは、「変わった人」という目で見られていた部分もあると思います。そして、それは私が留学した20年前の話ならまだしも、現在の大学生でも変わっていないことに本当に驚かされます…。その実態は、以下の記事をご覧ください。

 

 

文科省は、全国の大学に対し、4年間の大学在籍期間に海外経験を必須にさせることはできないのでしょうか?

 

大学在籍中に半年~1年間の留学経験を必須とする。そして、TOEICなどの語学試験のスコアも単位として認める。海外経験を積むことは、ハンディになると不安に感じている若者が多いのが現状です。

現在は、海外留学は行きたい人だけが行く状況。だから、英語ができる人は、全体の一部に留まっているワケです。

大学3年で単位を取って、大学4年では時間を持て余してる大学生が沢山います。意識の高い子は企業インターンシップを行っていますが、バイトや遊んでる子はそれ以上です。そんな自由な時間を持て余してる大学生が全国に沢山いるのに、なぜその自由時間を有効に活用させないのでしょうか。

 

全体の英語力アップの底上げをするなら、もっと無理矢理にでも海外に出ることを国が強化すべきではないでしょうか。

 

多くの若者は、海外に出ることを怖がっています。大学休学して留学したら、卒業が1年遅れて友達がいなくなって、単位が取れないかもと心配する学生。そして、就職活動が遅れることに対して不安を持つ学生。

日本の若者が海外に臆病になる理由は、海外に不安なく挑戦できる土壌が整っていないからなのです。

1カ月程度の短期留学だったら、残念ながら成果を出すことはできません。一定の成果を出すためには、最低でも半年間、理想は1年間。可能なら1年以上の期間があっても良いくらいです。

 

 

文科省も数年前に「トビタテ!留学JAPAN」と言う、留学を推進するプロジェクトを行いました。しかし、これは一部の高い能力のある人しか参加できません。

こうした一部の高い能力を持った方々への支援も良いですが、正直能力の高い人は必要ならば黙っていても海外に挑戦するでしょう。

もっと裾野を広げる支援をした方がよっぽど効率的です。

 

中学高校生は基礎力を固める意識も大事!

この十数年、「日本人は英会話が苦手」と言うイメージが先行して、英会話偏重の教育が実施されて来たように思います。

私どもがお客様へのカウンセリングを行っていても、「英会話力を伸ばしたい!」と言われる方が圧倒的多数です。

ですが、その多くは、語彙力も無い、文法の知識もチンプンカンプンな方が多く見受けられます。単語も知らず、文法知識も曖昧で、どうやって英会話が成立するのでしょうか?

 

先の全国学力テストでは、「3人称のSを付ける文法の基本中の基本が、全体の7割も理解していない。」と言う結果でした。

 

私が高校生だった20年近く前は、単語や文法をキッチリ勉強していた時代です。英語を聞く・話す機会が殆ど無いという事で、当時は問題視されていました。その反動もあって、現在では英会話偏重の兆しになっています。

正直、日本の中学高校の授業では、まともな会話の授業を行う事が難しいワケです。

全校にネイティブ教師を揃えることもできず、少人数クラスの実施も難しい。ましてや、マンツーマン授業の実施なんて無理でしょう。日本人教師でも海外経験があり、TOEIC高得点を保持してる教師はほんの一握りしかいません。

 

→ 最近の英語教育の議論は、英会話偏重の傾向にある。

 

そうならば、会話の授業はソコソコにして、基礎の基礎である単語や文法をもう少し丁寧に教える教育に少し立ち戻る考えもアリではないかと。

 

その上で、大学生になったら、必須科目として半年~1年程度海外経験を積ませるという流れに持って行くとベストだと思うのです。要するに、英会話は海外メインで学ばせる。

そうすれば、日本人教師であっても全員が海外経験を持ち、TOEIC800点を当たり前に持っている小中高の教師が全国に広がることでしょう。

このように考察していくと、日本の英語教育は国内で何とかなると思ってる部分が、まだまだ根強く残ってる気がします。でも、国内の教育改革で解決できるなら、既に解決できていないとおかしいでしょう。

 

【まとめ】 国の対応は遅い!自分で何とかするには?

私の中では、「どうすれば効率的に英語力を伸ばせるのか?」の結論が出ています。

小中高の間は、基礎を固めることを大事にすべきです。英会話は補助的な位置付けでOKだと考えます。

日常会話レベルであれば、最低限の単語や文法で会話は成立します。でも、英語を仕事で使うとなれば、難易度の高い単語の知識はもちろん、しっかりとした文法力が求められます。そうした基礎を、特に中高では大事にして欲しいところです。

 

言語習得は少しでも若い方が良いと言われますが、若すぎる年齢で留学するのも、逆にマイナスの側面があります。

 

私たちは日本人ですから、日本人であることを前提とした英語の使い手になる意識が必要です。もっと言うならば、ネイティブレベルになる必要性はないという事です。

日本語が中途半端で、英語が平均以上のレベルの人材であれば、日本人であることの人材価値は半減します。

また、英語力が重要ならば、企業は最初からネイティブスピーカーを雇えば良いということになるからです。

 

私たちは、第一に日本人であることを忘れてはいけません。日本人であることを前提として、英語が使いこなせる人材になることが重要です。

 

 

未成年の多感な時期に親元を離れての海外生活は、その時期に日本で学ぶ礼儀作法や高度な日本語に触れることなく時間を過ごすことになります。

英語は上達するでしょうが、産まれてからずっと英語環境で生活してきているネイティブスピーカーと同レベルにはなれません。

テレビを見ていると、敬語を使えないタメ口の帰国子女のタレントを目にすると思います。タレントだから許されても、社会人として働いていくなら許されません。

 

そういった観点から、海外留学する最適な時期を提言するならば、私は「大学時代がベスト」だと考えています。

 

そして、国の対応は遅いので、意識が高い人は自分で道を切り開くしかありません!

中高ではしっかり基礎を固めて、英会話は大学進学後に休学して留学プランを提唱しています。基礎を固めておけば、あとはひたすらコミュニケーションの反復練習ですから。

フィリピン留学に半年も行けば、1日6時間のマンツーマン授業の効果で、日常会話は問題ないレベルになります。また、しっかり勉強すれば、半年でTOEIC800点は現実的に取れますし、1年あれば900点も目指せるでしょう。

 

今後の日本の国力強化のために、日本人の英語力アップを国が推し進めるのであれば、「多くの人に海外経験を積ませる。」ことを真剣に考えた方がよっぽど良いでしょう。

 

国内で英語教育を強化するのも1つの手ですが、そこには限界があるのも事実です。もっともっと強烈に、国(文科省)が大学側に海外経験を積ませるように働きかける必要性があります。また、留学することがハンディキャップにならない社会制度の確立が大切です。

お隣の韓国では海外経験は当たり前ですが、日本も「もはや海外経験があるのが当たり前!」となる時代が早く訪れて欲しいものです。

そのためには、国が若者を海外に後押しする制度を、早く整えることが重要になってくると思うのです。

 

→ 海外に挑戦する若者がハンディを負わない社会制度の構築が重要!

 

参照サイト
・平成31年度(令和元年度) 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料(国立教育政策研究所)
(http://www.nier.go.jp/19chousakekkahoukoku/index.html)

 

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