第二回CMAコンテストレポート
2019年9月1日(日)、英単語をネットで調べたことがある方なら誰しもが一度は利用したことがあろう”Weblio辞書”。
その運営会社が主催する、”英語4技能×探究学習推進協会”のプレゼンテーションコンテスト「Change Maker Awards(CMA)」の第2回大会本選が東京のお台場近くの東京国際交流会館で開催されました!
第二回である今回は、なんと前回よりも参加校が2倍・参加チームは4倍となる大盛況で、全国から実に226校(計412チーム)もの中高生が参加し、その中から予選を通った個人・団体部門の各10チーム(計20チーム)が本選大会に出場しました。
個人部門のテーマは「世界に伝えたい私のこと」―Show your Potential to the World―
団体部門のテーマは「私たち×〇〇」―Attract the World with your presentation―
各部門、非常にレベルの高いコンテストとなりました。
今回は特に英語技能の秀でている中高生が多く、自身の海外経験に基づく異文化から見た日本/日本から見る異文化の観点を元にユニークなアイデアを発表していました。
東京オリンピックの開催が近いことを意識したテーマもあり、若い世代の物の捉え方にハッとする発見もある有意義な大会となりました。
留学ドットコムは、本大会最大の目玉である受賞者への”海外留学学習支援”特典の手配担当をさせていただいているため、この度協賛企業として観覧させていただきました。
では、早速大会概要と本戦の様子を見ていきましょう。
コンテスト概要
本戦進出の20チームそれぞれに最大7分のプレゼン時間と、審査員4名からの質疑応答の時間が設けられました。
本大会の審査員のご紹介
・吉田 研作氏(上智大学 特別招聘教授言語教育研究センター長)※審査員長
・斎藤 裕紀恵氏(中央大学 国際情報学部准教授)
・野原 佳代子氏(東京工業大学 環境・社会理工学院融合理工学系教授)
・Kristoffer Kullengren氏(EF International Language Centers アカデミックディレクター)
コンテストの受賞特典
個人/団体各部門から金賞1組、銀賞2組、銅賞3組がそれぞれ選ばれ、各総額680万円の学習支援が提供されます。
その中には留学ドットコムが担当させていただく海外語学留学から、大学訪問やインターンシップなどの選択肢があり、受賞者の目的に合わせて選ぶことができます。
また審査員特別賞である“Global Link賞“も設けられ、シンガポールで2020年8月に開催される中高生の課題研究コンテスト「Global Link Singapore」への出場権を得ることができます。
出場校と発表テーマ一覧
~個人部門~
愛知県 南山中学校女子部 「アクアリウムセラピーにおける可能性の追求~アクアリウムセラピーとストレス軽減の関係性」
山梨県 北杜市立甲陵中学校高等学校 「今、人生が動く。」
秋田県 鹿角市立花輪第二中学校 「全ての人に教育を」
愛媛県 松山市立東中学校 「科学技術で全ての人により良い暮らしを!」
神奈川県 自修館中等教育学校 「フェアトレードを普及するためには」
東京都 東京都立国際高等学校 「ディスカッションしようよ」
兵庫県 神戸女学院中学部高等学部 「結婚する権利」
千葉県 渋谷教育学園幕張高等学校 「JK ヘルスブック」
神奈川県 横浜市立南高等学校 「私がつくる二つのネット」
東京都 東京学芸大学附属国際中等教育学校 「ドキュメンタリー作品による原子力発電に対する意識改革」
~団体部門~
福岡県 福岡雙葉中学校 「みんなのためのフェミニズム」
徳島県 城ノ内高等学校 「エシカル消費~世界へ繋がれ~」
長野県 飯山高等学校 「高齢社会の豪雪地域におけるエネルギー消費と安全に考慮した屋根の形状についての研究」
福井県 高志高等学校 「昆布が貢献する持続可能な社会」
東京都 頌栄女子学院 「質の高い教育をみんなに」
神奈川県 慶應義塾湘南藤沢高等部 「サードカルチャーキッズ」
東京都 東京学芸大学附属国際中等教育学校 「外国人観光客が日本の医療を受けやすくするための改善策」
兵庫県 甲南高等学校 「ボランティアをしよう!」
東京都 頌栄女子学院 「3Rs→5Rs」
※北海道ブロック本戦通過チームの藤女子中学校・高等学校は残念ながら棄権
大会の様子
当日は多くの観覧者が集まったため最初はみなさん緊張した面持ちでしたが、いざ始まってみると立派に素敵なプレゼンをされていました!
第一回に引き続き司会をされていた本間正人さん(京都造形芸術大学 副学長)がとても気さくに場を和ませてくださったおかげです。(写真は第一回大会時)
プレゼン風景
個人部門はみなさんジェスチャーやプレゼン資料を交えつつ、TEDトークさながらの熱弁を繰り広げており、とても引き込まれました。
1人での発表ということもあり、個人の経験や考え方をふんだんに盛り込めるため、ユニークな発表が多く終始興味深く聞いていました。
団体部門は人数の利を生かしたビジュアルにも訴えかける工夫の凝らしたプレゼンがとても印象的でした。
当大会の根底にあるテーマSDGsを意識した、知識面でも非常に参考になる発表が多くありました。
受賞者の発表
午前・午後と計19チームの審査を終えた後、本間先生の楽しい講義を1時間程度挟み、満を持して受賞者が発表されました。審査員の方が”本当に僅差で選ぶのが難しかった”と頭を抱えるほどの大接戦。
私自身も400チームから選ばれた19チームということで、誰から見ても甲乙付けがたいハイレベルな大会だと思いました。
銅賞
まず初めに発表された銅賞は、個人/団体で下記の各3チームに決まりました!
~個人部門~
・佐々木 健人さん 北杜市立甲陵中学校高等学校(山梨県)「今、人生が動く。」
・加藤 陽菜さん 自修館中等教育学校(神奈川県)「フェアトレードを普及するためには」
・江嶋 柚香子さん 神戸女学院中学部高等学部(兵庫県)「結婚する権利」
佐々木さんは、些細なきっかけでも人は変われることや新たな道が見えることを体現する素晴らしいプレゼンでした。まさしく自身の志を世界に伝えることでより大きく羽ばたこうというCMAのテーマそのものでした。
加藤さんは、多くの方にとって身近なチョコレートを例にしたフェアトレード情勢について訴えかける熱意あるプレゼンで、普段意識せずに消費している我々を考えさせる意義深い内容でした。
LGBTに関する問題提起を行った江嶋さんもとても立派でした。特に中高生という多感な時期にこのようなデリケートな問題に真っ向から向かっていける問題意識の高さに感心しきりでした。
~団体部門~
・六車莉菜さん/三枝千詠美さん 頌栄女子学院(東京都) 「質の高い教育をみんなに」
・中村翔音さん/湯本深月さん 飯山高等学校(長野県) 「高齢社会の豪雪地域におけるエネルギー消費と安全に考慮した屋根の形状についての研究」
・村部大騎さん/泉奈那さん/浅野千帆莉さん/山川智大さん 城ノ内高等学校(徳島県) 「エシカル消費~世界へ繋がれ~」
頌栄女子学院は今回2チーム参加していましたが、Chiemuguチームは高校1年生ながら質の高い教育を実現するためのABC(Appreciation, Belief, Cooperation)という理念を提案し立派にプレゼンをしていました。
飯山高等学校は自身の地元の積雪問題を取り上げ、図や検証を元に適切な屋根の建造について非常に実用的にプレゼンし、個人的にはとても即戦力的なアイデアだと感心しました。
城之内高等学校は4名での息の合った発表と工夫の凝らした内容、校内でエシカル消費を認知させる活動などが非常にユニークで心に残るプレゼンでした。
銀賞
続く銀賞は下記の各2チームが選ばれました!
~個人部門~
・加藤 舞さん 横浜市立南高等学校(神奈川県)「私がつくる二つのネット」
・矢座 孟之進さん 東京学芸大学附属国際中等教育学校(東京)「ドキュメンタリー作品による原子力発電に対する意識改革」
加藤さんは、高校1年生ながらアジアの教育支援のためにクラウドファンディングまでも使いこなし教材を製作したその行動力と、早くも次はNZでの実施を考えているというその向上心の高さと継続力は見事の一言でした。
「日本一大きいやかんの話」という自主制作映画を作り原発問題への意識改革に取り組む矢座さんは、そのプレゼン力の高さはもちろんのこと、日本とアメリカでの上映実施やフィールドワーク、さらには有識者へのインタビューなど行動力の高さなど、発表内容で言えば頭一つ飛び抜けている印象でした。
~団体部門~
・竹中俊平さん/岡本孟士さん/小澤柊生さん/濱田孝太さん 高志高等学校(福井県) 「昆布が貢献する持続可能な社会」
・廣岡沙和さん/八尋有彩さん/山下ももさん/吉田理紗さん 東京学芸大学附属国際中等教育学校(東京都) 「外国人観光客が日本の医療を受けやすくするための改善策」
高志高等学校は、昆布の成分に着目し食物繊維フコイダンを含んだオリジナルのK-Saltを自作したというのには驚きました。審査員の方からも実際の塩との違いや促進方法などの質問も飛び交い、いかに実用的でリアルに考えることができる内容だったかがわかるプレゼンでした。
個人で銀賞を受賞した矢座さんと同じく、東京学芸大学附属国際中等教育学校の4名は訪日外国人の医療機関受診に対する改善策をプレゼンしました。病院の探し方や診断の流れの簡易化および参考パンフレットの作成は非常に実用的で、審査員の方からは東京オリンピックに向けて医療機関との連携を図った方が良い、と提案されるほどの実用性が評価されていました。
Global Link賞
本大会の特別賞であるGlobal Link賞は下記のチームが選ばれました!
・菊池里々花さん/川﨑瞳子さん 頌栄女子学院(東京都)「3Rs→5Rs」
日本でも近年問題となってきているプラスチックゴミの環境汚染問題とフードロス問題を取り上げたタイムリーな内容でした。特に既存の3Rs(Reduce, Reuse, Recycle)の理念に独自のRethinkとRefuseを加えた5Rsを提唱。
お店でビニール袋やストローをもらわずにマイバッグ/ストローを使う姿を実践した、わかりやすいデモンストレーションは素晴らしいの一言です。
ぜひシンガポールでも日本の代表として、堂々と発表をしてほしいと思います!
金賞
本大会のMVPである金賞を勝ち取ったのは下記のチームでした!
~個人部門~
・今西 はなさん 渋谷教育学園幕張高等学校(千葉県)「JK ヘルスブック」
発表テーマは高校生のダイエットおよび健康問題。自身の怪我や挫折の経験をポジティブに人のために役立てようというその心意気に感嘆しました。
高校生のネット普及率が9割を超える中、信頼できる情報を同じ立場の女子高生が提案していくことは非常に意義のあることだと思います。
日本以上に海外ではファッションアイコンとなっているアーティストの影響を受けて、過度なダイエットに励む人が続出し社会問題になっているため、金賞にふさわしい議題と発表の文句なしの受賞でした。
~団体部門~
・井上千愛さん/稲垣栞さん/五十嵐玲奈さん/中村美佐さん 慶應義塾湘南藤沢高等部(神奈川県) 「サードカルチャーキッズ」
栄えある団体部門の金賞を受賞した彼女たちは、日本の国際化による影響の陰の部分とも言える、親とは異なる文化で生まれ育つ子供たちに関する発表をしました。
彼女たちもその異なる文化で生まれ苦悩した”サードカルチャーキッズ”であり、自身の苦い経験を今後同じ境遇になるであろう子供たちのための手助けをしよう、というポジティブな姿勢が多くの人に響き称賛されました。
マイナスをプラスに替えることは大人でも容易でない中で、人のことを想い行動できる彼女たちはまさしく金賞にふさわしい誰もが納得の受賞となったはずです。
最後に
本大会を観覧し、今回も現代の中高生の考えの柔軟さや広大さを改めて強く実感しました。
第二回は国際系の参加校も多く英語力面でも非常にレベルの高い大会でしたが、それ以上に広い視野を持ち課題に取り組む中高生の立派な姿に何より感銘を受けました。
第二回の時点で前回比4倍増の参加者と規模も大きくなっており、回を重ねるごとに参加者の数も競争も良い意味で活性化していきます。我々留学ドットコムもそんな学生を応援すべく、これからも誠心誠意サポートさせていただきます!
こちらを読んでくださっている学生の方で当コンテストに興味のある方は、ぜひ下記ページから応募要項の確認や問い合わせをしてみてくださいね!
第三回は来年初めを予定しているため、ぜひ定期的にページをご確認ください。