乳幼児の英語教育ってほんとに必要?効果的な学習のポイントとは
いよいよ2020年、「外国語活動」が小学校で必修化される年がやってきますね。
30代40代以上の世代では「まさか英語(外国語)が必修化されるなんて…。」という思いではないでしょうか?
と同時に、新米ママパパや乳幼児を抱えているご家庭では、「今のうちから英語をやっておくべき?」という気持ちがあることでしょう。
でも英会話スクールへの投資は決して安くはありませんし、お子さまへの負担なども考えると「本当に必要なの?」と悩んでしまいますよね。
結論をいうと、「乳幼児に英語教育は必要か?不要か?」に答えはありません。
最終的にやってて良かったと思うかどうかはお子さま自身ですし、英語に限らず言語学習は人それぞれ学ぶペースも目標も異なるからです。
さて、少し前置きが長くなってしまいましたが、そんなあいまいな「乳幼児の英語教育」について、今回はさまざまな視点からほりさげて考えていきましょう!
乳幼児の英語教育にまつわる意見を検証
乳幼児の英語教育については、賛否両論のように白黒ハッキリついているわけではありません。この点が、難しいところでもありますよね。
例えば、人気塾講師の林修さんは自身のテレビ番組の中で以下のように言っています。
「英語力よりも思考力が重要だから、幼児に英語教育は不要。ただし、将来的に海外居住を考えているなら、思考言語を幼児のうちから英語にしておくのはあり。」
また、教育評論家の’’尾木ママ’’こと尾木直樹さんは、乳幼児の英語教育に否定的で「英語よりも国語力が大切。」としています。
お二人とも、英語教育を全面否定しているというよりは、言語よりも人間性や創造力を高めることが大切と説いているようにも感じますよね。
反対に、「乳幼児に英語教育は必要!」と言っているのは、主に英会話サービス業界でしょう。
私が勤めていた子ども英会話教室でも、「赤ちゃんのうちから英語のシャワーを浴びせることが大切。」と言っていました。当然、英会話サービス業界が自ら乳幼児の英語教育に否定的になるわけにはいきませんよね。(笑)
正直なところ私は「ふーん、英語のシャワー…ねぇ。」と思っていました。(もちろん心の中で!)これは完全に私の経験による独断と偏見ですが、別に十代や二十代になってからでも英語は話せるようになります。
赤ちゃんのうちから英語を習っていた子が、中学生くらいでネイティブレベルになった子はほぼいません…。
さらに私は、たくさんのお金と時間を投資して乳幼児から英語教育を受けさせるなら、十代の早いうちに長期で語学留学に行った方が良い、と思う派です。
それは習い事だらけの日々でストレスアウトしている子ども達の様子をたくさん見て来たから、という理由もあります。
私が勤めていた英会話教室では1才からの親子レッスンコースがありましたが、母国語すら安定していないのに…と思う気持ちがあったのも事実です。
また、言語に関しては人それぞれ発達スピードが異なるのです。体や心の成長も年齢には必ずしも比例しないのと一緒です。私は「言語センス」と勝手に名付けて呼んでいるのですが、年齢問わず言語学習が得意な人は得意ですし、苦手な人は苦手なんです。
そういった言語センスの違いもあるのに、一概に「とにかく早いうちからやるべき!」とは言えないのではないでしょうか。
と、ここまで読んでくれた人の多くが「結局、乳幼児に英語教育は必要なの?どっちなの?」とイライラしてしまったことでしょう。
答えとしては、尾木ママのような専門家からSNSで多くの人が発信している意見まで通して、「乳幼児の英語教育」は賛否両論ですらなく、もっとあいまいなグレーゾーンにあると個人的には感じています。
脳科学的にみた乳幼児の英語教育効果
さて、ここからはもう少し客観的に「乳幼児の英語教育」をみてみましょう。
まずは、よく言われる「英語耳」について。
「英語耳」ってつまりどういうことかと言うと、周波数の違う言語でも臨機応変に聞き分けられるってことです。
英語は日本語と比べて周波数が非常に高く、音の種類も日本語の何倍もあります。
ただ日本で生活していると、日頃耳にするのはほぼ日本語のみのため、普段必要のない周波数や音の認識力はだんだんと衰えていきます。
だから、私たちはLとRを聞き分けるのがちょっと苦手なんですね。
それが生後6ヵ月までの赤ちゃんは世界中のありとあらゆる音を聞き分け、その後1才くらいまでの間に「母国語」を決定します。
さらに、0~6才までの間は人間の脳がグンッ!とアップする発育期です。そして脳の発育ピークは人生で二度と訪れることはありません。「どんな音もインプットできる赤ちゃんのうちに英語をはじめましょう!」と言われるのはこのためなのです。
私の経験でも、たしかに受け持った生徒のなかでも1~6才くらいまでの子は、音の記憶力が抜群でした。
「apple」は「アップル」ではなく「apple」と発音してくれるように、’’真似る’’ということに長けているんですね。
この’’真似る’’というのは、英語学習において最も重要で、最も効率よく学ぶポイントでもあります。
反対に乳幼児の英語教育における客観的デメリットとして多く挙げられるのは、「ダブルリミテッド(日本語も英語も中途半端にしあがってしまうこと)」や、「日本人としてのアイデンティティが育たない」などがありますよね。
しかし、この辺りについては英語圏居住家庭やインターナショナルスクール、国際結婚家庭…などなど、英語と日本語に触れる量が同じ程度までいかないと心配する必要はないでしょう。
一般的な日本の家庭における乳幼児の英語教育について、脳科学的にはそこまで大きなデメリットはないように思えます。
乳幼児の英語教育はNGではないがスクールや教材任せにしない!
つまり、「乳幼児の英語教育」については、大きく以下のようにまとめられます。
あくまでも個人的な意見ですが、乳幼児の英語教育はどっちでもいいと思います。
もちろん、強要はしない・母国語を大事にする・思考力も身に付けるなどは大前提。それでもお子さま本人が楽しんでやっているなら、きっかけは保護者の希望であっても問題ないでしょう。
ただし、保護者の希望の中に「英語を好きになってもらいたい。」、「英語が得意な子に育ってほしい。」といった期待があるならば、大切にしてほしいことはただひとつ。
それはスクール任せ・教材任せにしない、ということです!
いくらスクール通いを頑張っても、「ママ分かんないから!」、「パパは英語苦手だから言われても分かんないよ。」などと家庭で拒絶していては伸びるものも伸びません。
「今日はどんなことをやったの?」、「りんごが好きって英語でなんていうんだっけ?」など、ご両親から積極的にインプットした英語をアウトプットする機会を作ってあげること。
そして、これはワシントン大学の学習脳科学研究所でも明らかになっていることで、特に自宅で教材を活用しているご家庭へのアドバイスとなりますが、「機械の音声」よりも「生身の声」のほうがずっと効果的です。
できれば家庭で英語を話す機会をもうける、または教材ではなく実際に対面で英語を話す相手を見つけてあげることが英語力アップのカギとなるでしょう。
また、多くの英会話スクールが「英語を好きになってもらう。」という目標を掲げ、かつては私もそれが目的だと思っていましたが、最近は「別に好きでも嫌いでもいいのでは?」と感じます。確かに楽しめるに越したことはありません。
しかし、それ以上に大事なことは、「抵抗を無くす」ことだと思います。
別に英語そのものが好きじゃなくても楽しくなくても、あくまでもひとつのコミュニケーションツールとして、日本語と同じように英語に接することができるのがベストではないでしょうか。
【まとめ】 親御さんとしては焦る必要はない!
世のお母さん、お父さんたちへ。英語の早期学習がうたわれているからといって、そこまで焦る必要はありません。
「なんだかよく分からないけど、やらせなきゃ…!」、という強迫観念からお子さまを追い込むよりは、小学校からの授業を丁寧に受けるだけの方がいいかもしれませんね。
そしてもし乳幼児から英語学習をスタートさせるなら、ご家庭内での生のコミュニケーションやインプット・アウトプットを大切にしてください!