どうしたら語学が上達するのか?有効なインプットの方法とは? | 留学・ワーホリ・海外留学・語学留学は留学ドットコム

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どうしたら語学が上達するのか?有効なインプットの方法とは?

公開:2020/02/05 著者:小松 久里子 931 Views

私は現在フランスの大学院に留学しています。とは言え、留学期間もかなり長いため、留学中と言って良いのかどうかも分からないのですが、言語学系の論文を書いています。

最初の留学は12歳の時からなのですが、その後色々な言語を勉強し、日本語、英語、フランス語で大学の勉強をし、文献などの読み書きをしたりしています。

また、日常会話や旅行会話レベルですが、イタリア語とスペイン語は多少理解します。たまに「語学に長けている。」、「語学が得意。」と言われることもあるのですが、元々はアルファベットも苦手でしたし、学校の英語もそんなに得意ではありませんでした。

 

けれど、外国に行ったら現地の人とコミュニケーションを取りたいと思う気持ちが強く、また、レストランで好きなものをちゃんと食べたいと思うので、語学の勉強をする事が好きなんだと思います。

 

実は先日、カフェに行くと、フランス人の友達が日本人の学生さんとお茶をしていました。その時に友達と2、3言フランス語で声を掛けました。

その時、そこにいた日本人の方々に「どうやってフランス語を勉強したんですか?」と聞かれました。

私がフランス人の友達と話をしているのを聞いて、フランス語が上手いと思っていただけたそうです。

 

実は私は自分の語学レベルは、比べる対象が現地の大学生でした。つまり、イギリス留学中は現地イギリス人学生で、現在のフランス留学中はフランス人学生になります。そのため、いつも自分は語学的に『劣等生』だと思っていました。

もっと言うと語学的に読み書き、読解、話すことという全ての能力に関して、ネイティブの人には劣るので、語学的ハンデがあると思っています。なので、他の方にそう言って頂けることくらいしか、自分の語学力というのはあまり分からないです。

でも、一応専門として言語学、語学習得、語学教授を勉強しています。以下、その学生さんたちにお話した、これまでの自分の経験などを元に語学学習のコツなどをお送りします。

留学や語学学習を始める年齢

当たり前のことかもしれませんが、「私は12歳でフランスに来て、もうフランスに10年以上住んでいます…。」と答えたのですが、それである意味先ほどの学生さんたちは納得してしまいました。

年齢と滞在期間がそれだけあればもちろん語学ができるようになる、と考えるのが普通でしょう。そして、もちろんこれも1つの答えです。

留学をするには年齢が若い方が良いという方もいますし、留学期間や海外滞在期間が長ければ語学ができるようになるのは当たり前、とも考えられています。

 

年齢が幼い方が、外国人の中に囲まれても物怖じせず話に行けるとか、耳に言葉が慣れやすいなど色々な話を聞きます。ですが、急に現地の幼稚園や小学校に入れられて、周りとのコミュニケーションや学校の授業についていくのが大変だったという話も耳にします。

年齢が低ければ低いほど、母国語でも話す内容も簡単ですよね!一方、大人になればなるほど、母国語でも難しい話もします。さらに、日本語で言えば漢字の習得数なども年齢によって大きく変わってきます。

以前の記事で紹介したのですが、12歳でフランスに来た時には3年間の滞在で日常会話もできるレベルではありませんでした。

 

つまり、語学習得は年齢そのものではなく、その環境も重要だという事が分かるかと思います。

 

 

年齢が低い方が確かに物怖じせず、心を開いてが誰とでも話をする傾向にはあります。「上手く話せなかったらどうしよう…。」という気持ちは、大人になればなるほど強くなってしまうものです。

また、先ほども触れましたが、年齢が低い方が覚えなければいけない語彙や表現も少ないので、そういう意味では語学を覚えやすいとも言えるでしょう。

年齢が低い方がより上達し易くなりますが、一方で語学学習に適切な環境に身を置いていなければ若くても語学向上しないケースもあることを知っておきましょう。

 

留学期間や語学学習期間

もう一つ、10年以上フランスに住んでいれば、「フランス語ができるのは当たり前だよね!」と思われるでしょう。

重複しますが、私はフランスに3年間留学しても、フランス語がそこまでできるようになりませんでした。

 

つまり、長期でその国に滞在していることで、言葉ができるようになるとも限らないのです。

 

留学と留学期間の研究も多くされていますが、やはり短期=数週間~3カ月ほどの留学と1年以上の留学で比べた場合は、語学学習にも大きく影響してきます。長く滞在すればするほど、その言語を話す機会も耳にする機会も多くあると思います。

「滞在期間=学習言語のインプットの量」という考え方であれば、もちろん語学もできるようになると言えます。

ですが、それも環境にもよるのです。私のように3年間フランスに留学していても、日本語環境で暮らしていれば語学上達には繋がらないのです。現に、フランス留学している子でも英語で授業を受けられる学科もあり、そのような学科で勉強している学生の場合は、フランス語を勉強できる環境が少ないため、フランス語ができるようにならないケースもあります。

 

駐在で来られた方でも、社内は英語(日本語)でいると、現地の言葉はできない状態で生活している人もいます。もちろん、レストランで注文ができたり、お買い物ができたりするくらいのレベルくらいまではできるようになるケースが大半ですが…。

私の場合ですと、12歳の留学の後、大学を卒業してからフランスの大学に改めて留学をしました。フランスの大学ではアジアの学生が私1人で、当初は授業についていくのもやっとでした。それから、3年ほどフランスの大学で勉強したお陰で、ようやくフランス語ができると言えるレベルになりました。

1年間の留学よりは、3年間いたからこそ語学力も伸びたと思います。ただ、語学が上達した、という表現に関しては、スタート地点と比べた時のことなのか、自分の目標レベルまで達したのか、という認識の違いでも変わってくると思います。

 

単純に考えれば、滞在期間が長ければその言語インプット量も増えるわけなので、語学学習には影響するはずです。

しかし、自分の身を置く環境が現地の言語にあまり触れることのない環境であれば、インプット量は増えません。

海外滞在(留学)時期や期間はある意味1つの語学学習における要素の1つではあるのですが、自分自身の経験も踏まえて考えると、それよりも語学に触れる環境が重要かもしれません。

 

学術的にみる年齢と語学学習の関連性

それでは年齢と語学学習に関連性はないのか、という事になりますが、以前の記事でもお話したのですが、一応年齢と語学学習に関する仮説があります。

 

“第二言語習得における臨界期仮説(りんかいきかせつ、英: critical period hypotheses)とは、臨界期とよばれる年齢を過ぎると言語の習得が不可能になるという仮説である。”
一方で、以下のようにも紹介されています。
“はたして臨界期なるものが本当に存在するのか、また存在するとしたらそれがいつなのかなどについては長い議論があり、仮説の域を出ていない。”

 

第二言語習得の場合、この仮説からすると15歳が年齢の限度だとも言われています。私の場合、フランス語学習そのものは12歳から始めましたが、その後にフランス語を全く勉強しない期間もありました。

その後、フランス語を改めてきちんと勉強し始めたのは20代になってからですし、フランス語がちゃんと話せるようになったのは20代後半になってからでした。

ネイティブスピーカーと同等になることは難しいかも知れませんが、語学学習する年齢は関係ないという方もいますし、私の実体験からもそう思います。

 

語学学習にはインプットが重要

言語習得において、インプットが大事だと言われています。(KRASHEN,1981)ですが、これもインプット仮説と言われる仮説があって、やはり科学的根拠はありません。

けれど、私の経験からしても、語学ができるようになる1つのポイントは、日常生活の中でどれだけその言語に触れているのかが重要だと思っています。

個人的な意見ですが、それは音声だけではなく、読みも含まれると思います。最初はとにかくできる限りのインプットを入れることです。

 

インプットと一言で言っても、その質と量も重要です。KRASHEN(1981)は、自分のレベル+1のインプットが重要だと主張していますが、これもまた科学的根拠がありません。言語学者の中には、反KRASHEN派もいるほどです。

けれど、やはりインプットの量は重要だと主張する学者は多いのが現状です。

そうなると、やはり外国に住んでいる、留学をしている方が有利だとも考えられます。外国に住んでいると生の話し相手がいるので、相対的(双方向)なコミュニケーションが可能だからです。

 

今のご時世、日本に滞在しながらでもインターネットのお陰で外国語に触れる機会は多くあります。日本国内での言語学習の場合は、映画やドラマを観るなど一方通行の学習になってしまいますが、それでもある程度のところまではできます。

英語に関して言えば、最近ではNETFLIXなどでアメリカのドラマなども視聴が代表的です。また、YouTubeなどでも語学学習のための動画も多くあります。まず語学に必要なことは、インプット量を増やすことが語学向上の第一のポイントです。

一方、海外に滞在していても、現地の言葉に触れないで生活していくことも可能なので、海外に在住しているからと言って絶対に語学ができるようになるとも限りません。日本人同士で固まって生活している留学生は、その典型的な例と言えるでしょう。

 

→ 語学学習はなるべく多くのインプットを!

 

語学習得に有効なインプットとは?

それでは、どんなインプットが有効的なのでしょうか?インプットは質と量が大事ですが、その質を高めるということはどういう事なのでしょうか。

インプットには2種類あります。動画などから得る一方からのインプットと、会話などから得るインタラクション(相対)的なインプットです。インタラクションというのは対人関係によるインプットです。 (LONG,1983)

どちらの方が良いということは一概に言えないのですが、人間相手にコミュニケーションをする方が、予測不可能な話の展開もあるため、楽しみながら学習を継続しやすい傾向があります

 

また、相対的インプットの場合は、相手から発話されて分からない場合でも、もう一度繰り返して言ってもらったり、ゆっくり言ってもらったり、という具合に確認をすることができるので、言語理解力を高めることができます。

それでは、動画などによる一方的な言語の場合は、どうやってその理解力を高めたら良いのでしょうか?

外国語メデイア順で考えると、声だけの音楽やラジオよりも音声と画像のある動画の方が、理解しやすくなります。

 

つまり、学習言語は音声だけではなく、視覚的(字)の両方からのインプットの方が語学の理解力も上がります。

 

今ならYouTubeなどでも英語、フランス語など他言語に渡る学習の動画などもあります。日本語から学べるような動画もありますが、英語でその言語検索をする方がさらに多くの言語学習系の動画を見つけることができます。

特に語学初心者の方は、こういった言語学習用のYouTube動画は結構役に立ちます。文法を教えてくれるような動画もありますし、単語だけを覚えていけるような動画もあります。また、中にはドラマ仕立てのおもしろい言語学習動画も存在します。

YouTube動画ですと、動画そのものにちゃんと字幕が付いているものもあれば、自動字幕が付いている時もあります。そう言った字幕を利用すると、音声と視覚(字)の両方で学習言語のインプットができるので、語学学習にも役に立ちます。

 

例えば、映画のDVDを観る場合、以下のような観方をすると、発音だけではなく言語の理解力も含めて言語学習に役立つと思います。

 

・日本語字幕を付けて内容理解をする。
・原語字幕を付けて視覚的、聴覚的にその言語のインプットをする。
・最後に字幕無しで映画を観る。

 

映画のDVDやYouTube動画を観る時は、英語の映画なら英語字幕を、フランス語の映画ならフランス語字幕をなるべく付けて、どんな語彙が使われているのか意識して観ると良いです。

そうすることによって、動画そのものを楽しみながら、語学学習につなげることができます。

 

アウトプットの前にインプット

私はフランスで日本人留学生と日本語学習者のための日仏会話サークルというのを開催していたのですが、ここでもいつも思うことがありました。

日本人留学生はフランス語の勉強がしたい、日本語学習者(フランス人)は日本語の勉強がしたいと思っています。

そのため、日本人留学生はフランス語を話し、日本語学習者(フランス人)は日本語を話すという傾向がよく見られました。

 

つまり、言語学習者は、自分の学習している言語を積極的に話そうと前のめりになる傾向にあります。

 

ですが、これだとお互いが間違った言語を話し続けてしまうケースが多いのです。

初期段階では、お互いがネイティブの言葉を話すようにして、インプットを重視したコミュニケーションが重要です。

 

アウトプットの前に多くのインプットを増やし、それからアウトプットしていく方が有効的ではないかと思います。

 

語学学習を意識した会話であるならば、逆に1時間ずつ2言語を混ぜずに1言語を話す方が効果的な気がします。具体的には、最初の1時間はお互い日本語で話し、その後の1時間はお互いフランス語で話すイメージです。

また、友達同士の会話では、分からない単語がある場合、話が流れていくことが多くなります。これだとその知らない単語が分からないままになってしまいます。

そのため、分からない単語が出てきた場合は、相手に意味を聞いて確認するか、メモしておいて後から意味を調べてインプットすることも大事です。

 

留学中はコミュニケーションを多く取る

当たり前ですが、留学した時には多くの人とコミュニケーションを取るという事を重視しましょう。

では、コミュニケーションを取るにしてもどのような人、どのようにコミュニケーションを取るといいのでしょうか?

 

語学学校では自分よりも上のクラスの友達を作る

語学学校に通っている場合は、現地(ネイティブ)の人に会える可能性が少ないこともあります。語学学校には、ネイティブの生徒はいないためです。その場合は、語学学校内の自分より言語が上手い人と話すことをオススメします。

特に上級言語学習者もその言語を勉強してきた人なので、文法なども詳しいはずです。また、相手も外国人話者であるため、ゆっくりはっきり話してくれる人も多いですし、逆に分かりやすい発話の事も多いので、初心者には母語話者の会話よりも理解しやすいでしょう。

また、語学学校によっては、学校の授業以外でも先生との交流が持てるような学校もあります。語学学校の先生は語学学習者との会話にも慣れていますし、語学の先生なので会話がしやすい相手とも言えます。

 

語学学校によっては、語学教授法を勉強している大学の学生が研修として語学学校で教えているケースもあります。

そういう場合は、彼らも学生という身分なので、上手くいけば学校以外でも仲良くなれるかもしれません。語学の先生、もしくは語学の先生の卵であればやはり会話がしやすいかもしれません。

しかし、そうした機会に恵まれるかは運次第の部分が強いため、授業外で先生との交流を許可しているフィリピン留学の語学学校を選ぶのも1つの手です。

 

同じような言語学習者とのコミュニケーション

ランゲージエクスチェンジでパートナーを見つける。または、語学に興味を持っている人とコミュニケーションを取る方が、語学上達に繋がります。

特に日本語学習者は日本語の難しさも分かっていますし、もしお互いに分からない単語などがあっても、お互いにそれを確かめあう事もできます。

その関連でTANDEMというスマホアプリを使って、語学パートナーを見つけるという方法もあります。これだとお互いが語学学習という目的を持って会うので語学学習には最適です。

 

語学に長けている人、外国人とよく接している人とのコミュニケーション

どういう人たちと一緒に過ごすかで、自分の語学力にも大きく影響してきます。

語学の先生もそうですが、語学に長けている人で、さらに外国人とよく接している人ははっきりゆっくり話してくれたり、語学学習者の発話も直してくれたりするケースもあります。

ネイティブとのコミュニケーションは大事ですが、どういう人と一緒にいるかで自分の語学力にも大きく影響してきます。

 

留学や海外滞在を1年間ほどしている言語学習者の中には、たくさん話せる人がいます。

しかし、一方で綺麗な発音や文章で話せていない人もいます。

これは以下のような原因が挙げられます。

 

① 若者とばかり話していて、若者言葉でしか話せなくなっている。
② 学習言語を話した時に、間違えて発話しても相手がその意味を理解してしまっていて、全く直してもらえないで過ごしてしまった。

 

外国人から見ると、その人はすごくよく話せるように見えても、ネイティブから見ると綺麗に正しく話せているかというと、YESとは言えません。

語学に長けている人や外国人と一緒にいることが多いネイティブの人だと、上手く発話を直してくれながら会話を進めてくれる人がいます。

ただし、これはとても稀なケースですが…。そういう人に出会えるとかなりラッキーです。例えば、英語でその例を挙げると、以下のような修正をしてくれるイメージです。

 

A. Do she want to go to Japan ?
B. Does she want to go to Japan ? Yes, I think she wants to go to Japan.

 

このように、自分の発話に対して質問確認として間違いを修正しながら話してくれる人がたまにいます。日本語で例を挙げると、以下のような感じです。

 

A. 毎日朝ご飯 “が” 食べますか?
B. はい、毎日朝ご飯 “を” 食べます。

 

このように、相手の発話(質問など)を相手の間違いを直して繰り返すような感じで話してくれる人がいます。

これは語学の先生はよくやってくれるケースですが、日常会話の中でこれが行われると有効的です。

プライベートで、自分の言語の間違いを修正してくれる友達が見つかるとベストです。

 

語学力に必要なのは…

今回は語学を勉強するには、どんなインプットをどうやって得ると良いのかということに焦点を置いてお送りしました。

語学力上達と言っても、どのレベルを目指すかにもよると思います。

また、次回改めて語学上達させるためのコツをお送りしたいと思います。

 

参考文献

Krashen, S (1981) ‘Second Language Acquisition and Second Language Learning’ Pergammon Press

Long, M. H. (1983). Native speaker/non-native speaker conversation and the negotiation of comprehensible input1. Applied linguistics, 4(2), 126-141.

 

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