相槌(あいづち)の打ち過ぎには注意が必要?外国人と話す時に気をつけたい文化の違い | 留学・ワーホリ・海外留学・語学留学は留学ドットコム

カテゴリー:現地生活情報

相槌(あいづち)の打ち過ぎには注意が必要?外国人と話す時に気をつけたい文化の違い

公開:2020/09/13 著者:坂元 ちひろ 8390 Views

こんにちは、カナダ在住のちひろです。

今回のコラムでは、非日本人と話す時に気をつけたい「相槌(あいづち)のマナー」についてご紹介します。

日本人同士の会話で頻繁に用いられる「相槌」ですが、外国人と話す際には少し注意が必要です。

 

これは留学やワーホリ、オンライン英会話で非日本人と会話する機会がある方には、特に知っていただきたい側面です。

なぜなら、せっかく上手に英語が使えていても、他の文化圏での会話マナーを知らなければ相手に不快感を与えてしまう可能性があるからです。

私自身の経験も交えながら、以下で詳しくお伝えしていきます。

そもそも、相槌(あいづち)とは?

まずは会話内で相槌がどのような役割を持っているかを、改めて見てみましょう。会話の中では、話し手と聞き手という2つの立場があります。

話し手が発言している間に聞き手はうなずいたり、感嘆/間投詞(例:なるほど!ええ!すごい!そうなの?本当に?あ~確かに!)を投げかけたりするのが一般的でしょう。

これらの聞き手のリアクションが「相槌」ですね。

 

聞き手は相槌を打つことで「私はあなたの話を真剣に聞いていますよ!」、「今のところ、あなたの話をきちんと理解していますよ!」という意思を話し手に伝えることができます。

逆に話し手は聞き手の相槌で「相手は私の話を聞いてくれている!」、「自分の話はしっかりと相手に伝わっている!」と認識して話を進めることが可能になります。

次に、実際の会話でどのようなタイミングで相槌を入れるかを見てみましょう。以下、私と日本の友人との会話例です。(関西で生まれ育ったせいか「リアクション命」、「会話は盛り上げてなんぼ」タイプの人間なので、少しオーバーリアクションです。)

 

友人: 昨日さぁ、
私: うん!
友人: 新しい洋服が欲しかったから、
私: うんうん!
友人: 買い物に行ってきたんやけど、
私: へぇ~そうなんや!
友人: たまたまセールしてたから、
私: へぇ~めっちゃラッキーやん!
友人: そうやねん、安く買えてかなりラッキーやったわ~!

 

いかがでしょうか?話し手である友人が一文を言い終えるまでに聞き手の私は4回もリアクションを挟んでいます。

日本にいた頃はなんの疑問も抱かなかったこれらの相槌ですが、今ならこれは本当にダメな聞き手の典型であることが理解できます。

このような過度な相槌は北米では「話し手を妨害する行為」として嫌われる可能性があります。

 

さらに上記の会話例で私は、「ラッキーなことがあった」という相手の結論まで先回りして言っています。

話し手が主張したい結論を聞き手が勝手に予想して言ってしまうのは、もっての他です。

私ほどの過剰な相槌頻度になると、日本ですら嫌われるかもしれませんね!

 

→ カナダのビーチでのんびり会話を楽しんだ日の写真。

 

非日本人の相槌はどうか?

ここからは、非日本人の相槌の様子をご紹介していきます。

私はカナダに来た当初、自分の英語力に自信がありませんでした。それでも、ホストファミリーや現地大学の先生と会話をする機会が多くありました。

彼らはそんな私の話をいつも静かに聞いていて、彼らのリアクションは非常に薄いと感じました。当時の私はそれが文化の違いではなく、自分の英語力の無さが原因だと考えていました。

 

「私が話している英語は彼らに通じていないのかもしれないな。きっと私の話は面白くないのだろうな。」と悲しい気持ちになっていました。

そのため、立場が逆転して自分が聞き手になった時は、「あなたの英語が理解できています!」と伝えるために、多くの相槌を打ちながら話を聞いていました。それが私なりのコミュニケーション術でした。

そうやって現地の人々とコミュニケーションを取っていると、ある日、カナダ人の友人から衝撃的な事実を告げられました。

 

「日本人って、本当に相槌が多いよね!日本では相槌は良い文化だよね?でも、カナダでは、相槌が多い人は話を聞いていない人間だと思われるよ!」

 

なんということでしょうか。自分ではしっかりと話を聞いているアピールをしていたのに、実は逆効果だったのです。

日本人同士の会話でも、「あーはいはい」、「わかったわかった」と同じフレーズを二度繰り返す相槌は、相手の話を適当に聞き流している印象を与えます。カナダ人の感覚は、日本人がこれらの相槌に対して持つ感情と似ているのかもしれません。

相槌の多さを指摘されてから周囲をよく見てみると、英語話者の友人の多くは発言者が全て話し終えるまで静かに聞いていることに気が付きました。

 

私はその時、「相手が話している最中に口を挟むのはマナー違反」だという概念があることも知りました。

英語にも「No way!(まさか!)」や「Really?(本当に?)」といった相槌表現がもちろんありますが、相手が話している途中には口にしません。会話の際に発言するのは、どちらか片方だけです。

一方が話し終えるのを待ってから感想を伝えたり、疑問点を確認したりするのが一般的なように思います。

 

確かに、タイミング悪く相槌を挟んでしまうと話し手の発言と重なり、相手が話すテンポを乱してしまいます。

ですから、「過度な相槌は話し手を邪魔する行為に当たる」という北米人の考えに納得がいきました。

そうは言っても、長らく日本で育ってきた人は相槌が少ない文化に慣れるまで、戸惑いがあるかもしれません。私自身もその文化に馴染むまで少し時間がかかりました。

 

すでにお伝えしたように、自分が話す時には相手のリアクションが薄いと感じて、自分の英語がしっかり伝わっているか不安になる瞬間がありました。

特に音声のみの電話で会話する場合は、自分が発言している最中は電話口の向こうが無音になることに違和感がありました。

相手の表情が目視できないので「私の話はきちんと理解してもらえているのか?」と、いまだに心配になります。

 

→ 英語の感嘆詞の例です。日本語と同様にたくさんの種類があります。(出典: Learn Instar / Interjections Exercises for Class 7 CBSE with Answers)

 

話が通じているか途中で確認したい時のフレーズ!

次は、自分の話がきちんと相手に伝わっているか確認するためのフレーズをご紹介します。

私自身は自分が話し手の立場にいる時、相手の理解度を把握するために、以下のようなフレーズを使うようにしています。

 

「Am I making sense?」
「Does it make sense?」

 

これは「私の話は理にかなっていますか?筋が通っていますか?」と訳せます。もう少し自然に和訳するなら、「私の話はあなたにきちんと伝わっていますか?」でしょう。

中学校で習った英語の知識では、「Do you understand?」(あなたは理解していますか?)と言っても良さそうです。

けれども、上から目線で失礼な表現だと感じるネイティブの英語話者もいるので、私はこの言い方は避けています。

 

また、私の周囲のカナダ人は、「Am I right?」というフレーズも使っています。これは「私(が話している内容)は正しいですか?」を意味する表現で、自分の知識や理解が間違っていないかを確認できます。

自分が聞き手の場合は、まだまだ相槌を打つ癖が抜けず反射的にリアクションをしてしまいそうになります。そんな時は、何か言いたい気持ちをグッと堪えて、声は出さずにうなずきだけにとどめるようにしています。

ちなみに、私のネイティブの友人はうなずく動作すらほとんどしません。ですから、うなずく相槌の頻度も徐々に減らしていけるよう意識しています。

 

→ レストランの一角を撮影。サングラスをかけたまま会話をする人も多いため、目の動きや表情から相手の感情を読み取るのが一層難しいです。

 

【まとめ】 日本の当たり前は海外では違うかも…

日本文化が本来持っている良い性質が、非日本人にとっても良いものだとは限りません。私はカナダ留学で、物事の良し悪しの基準は人種や生活環境によって想像以上に大きく異なるのだと知りました。

「異文化」といえば、社会問題やファッション、食べ物の違いが想像しやすいです。しかし、それだけでなく今回ご紹介した相槌のようにコミュニケーション手段にも異文化は存在しています。

私の場合は、運よく日本とカナダ文化の違いを認識している人と出会えて、比較的早い段階で相違を知ることができたので良かったです。その差異を知らずに留学生活を続けていたら、現地で多くの人に不快感を与えていたかもしれません。

 

そのような失敗を避けるためには、海外生活ではどのような場面においても「文化や根本的な価値観の違いがあるかもしれない。」という意識を忘れないことが大切だと考えます。

カナダの大学で日本文化コースを専攻している非日本人の友人達は、授業で日本の相槌文化について学び、日本語会話で相槌を打つ練習をしているそうです。

彼らがそのように日本文化を勉強しているのと同様に、私たちも相手の文化を理解しようとする姿勢が円滑にコミュニケーションを取る秘訣だとも感じました。

 

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