留学やワーホリ前から独学で語学力を上げる5つの方法とは?
こんにちは、カナダ在住のちひろです。
私は現在、日本語講師の仕事をしています。外国人に対して日本語を教えているのですが、生徒達の日本語習得の速さに驚かされる毎日です。
もちろん生徒間の個人差はありますが、1年未満の独学で日常会話を完璧にマスターしている生徒も複数います。私も英語を勉強している身ですが、彼らがどんな方法で第二言語を習得しているのか興味津々でした。
そこで、彼らにどうやって独学で日本語を上達させたのかを聞いてみると、いくつかの共通点がありました。
今回のコラムでは、生徒達から教えてもらった話をもとに、独学で進める言語学習方法について、5つの方法をまとめて紹介します。
いま現在、日本国内で留学やワーホリに向けて英語勉強中の方もいらっしゃると思います。
本日の記事が、そんな方々の参考になれば幸いです。
① 期限つきの目標を設定する
私が200人近くの生徒に日本語を教えて感じたのは、明確な目標がある生徒は上達スピードが早いということです。
言語学習の際にはただ漠然と学ぶのではなく、資格試験合格や留学、就職など言語を学ぶ理由がはっきりしているのが望ましいでしょう。
特に資格試験合格が目標の場合、試験対策専用のテキストがあるくらいなので勉強すべき項目が明らかです。勉強すべき内容を把握していないと、いざ机に向かっても何から手をつければいいのか分かりません。
さらに言語を学習する理由だけでなく、デッドライン(締め切り)がある状態がベストだと思います。
例えば、資格試験合格を目標とするならば試験日、留学なら渡航日がデッドラインとなります。
「○○年の○月○日までに言語をマスターしなければならない!」という具体的な日付があることで、そこに向けて集中しやすくなるはずです。
この感情は、みなさんも受験や仕事を通じて経験したことがあるかもしれません。
② リスニング練習は動画でなく音声で
リスニング練習としてYouTubeで海外アーティストのインタビュー動画を見たり、Netflixで海外ドラマを見たりする方法があります。
これらは言語学習のひとつとしては非常に良い方法でしょう。
しかし、さらに上級レベルを目指すために私の生徒が取り組んでいることがあります。
それは、Podcast(ポッドキャスト)やVoicy(ボイシー)を用いたリスニング練習です。
PodcastやVoicyはいわゆる「インターネットラジオ」です。YouTubeやNetflixが映像とともに配信を楽しむ媒体なのに対し、これらのインターネットラジオでは音声だけで聴くのが一般的です。
音声ラジオの何がリスニング練習に良いかと言うと、音だけが頼りなので耳を鍛えやすいという点です。
映像配信の場合は音声だけでなく、話者の表情やジェスチャー、口の動きも内容を理解するヒントになります。
ですから、動画を使用した独学はリスニング練習としては少し弱いでしょう。
私もカナダに来てから、対面での会話はネイティブとのやりとりに問題がないのに、電話での音声通話になった途端、聞き取りが難しいと感じる瞬間が多々ありました。
それは、音声以外にヒントが何もないせいで難易度が上がったからだと言えます。
③ インプットだけでなくアウトプットも
言語習得において、話者や筆者の主張を理解するだけでなく自分の考えを言葉にすることも必要です。
そのため、語学学校での学習はスピーキングやライティング練習がカリキュラムに盛り込まれています。
けれども、独学の場合は、教科書や映像、音声素材から文法や表現を取り入れるばかりになりがちです。
そこで、私の生徒は言語交換アプリやSNSを活用して、文章を書いたり話したりするようにしています。
言語交換アプリであれば、通話やテキストメッセージでネイティブと会話できます。
いきなりネイティブと会話するのはハードルが高いと感じる人は、SNSで言語学習専用アカウントを用意して日記や作文を書く練習をするのもいいかもしれません。
④ ボキャブラリー(語彙)の増やし方を工夫する
次は私の体験談も踏まえて、ボキャブラリーの増やし方についてお話ししていきます。
語彙(ごい)はただ漠然と単語帳を丸暗記するのではなく、リーディングやリスニングなどの文章をもとに新出単語を覚えていく方法が身につきやすいように思います。
英語を学習しているのであれば、英語のニュースやコラムを読んでそこに出てくる単語の意味を調べながら定着させるのが有効でしょう。
またその際は、日英辞典ではなく英英辞典を使用するのがおすすめです。
そうすることで、難しい単語を簡単な表現に言い換えるための知識がつきますし、「英語で英語を学ぶ」ことで記憶が長く続く気がします。
私は日本語で英語を学んだ経験と、英語で英語を学んだ経験の両方があります。
日本語で英語を学ぶというのは、先生が日本人であったり日本語で説明されている教科書を使ったりすることです。
一方、英語で英語を学ぶというのは、ネイティブの先生から英語でレッスンを受け、やさしい英語の解説つきの教科書を使うということです。
日本では日本語、カナダでは英語で英語を学びましたが、ボキャブラリーとその意味が今でも記憶により定着しているのはカナダに来てから習った新出単語です。
少し話が逸れますが、私の生徒で14ヶ国語を勉強しているアメリカ人がいます。
彼はまず英語で日本語を、今度は習得した日本語で中国語を、そしてその次は中国語で韓国語を学ぶ…といったように、母国語以外の言語で新しい言語を習得しています。
これも日本人が英語で英語を学ぶ作業と似ていて、母国語を使わずに物事を考察することで新言語の定着率が上がるように思います。
⑤ とにかく毎日、対象言語に触れる
最後も日本語の上達が早い生徒全員に共通している点ですが、とにかく毎日対象言語に触れるということです。
当たり前ですが、私たちが母国語を習得した過程もそうだったと思います。
日本で暮らしている日本人の場合はテレビから聞こえてくる音声、両親との会話、外で目にする看板、学校での教育も全て日本語でした。
私たちは、日本語に触れなかった日は存在しないはずです。
そのような環境で生活したからこそ、私たちは日本語ネイティブになりました。
ですから、ある特定の言語をマスターするためにはそれに近い環境で学習する必要があります。日本に住みながら英語ネイティブになるのは難しいでしょう。
けれども、1週間に1回数時間まとめて勉強するよりも、30分ずつでも良いから毎日コツコツ学習する方が早く上達するはずです。
なぜなら、間を開けてしまうと学習したことを簡単に忘れてしまうからです。
しかし、学習を毎日続ければ完全に忘れてしまう前に復習できます。
一度覚えた内容もすっかり忘れてしまうとまたゼロから学習せねばなりませんが、毎日簡単な復習から各日の学習を始めることでスムーズに勉強を進められます。
【まとめ】 言語学習はバランスも大切
実は私の生徒には、アニメだけで日本語を学んできた人が数人います。耳がそれなりに鍛えられているせいか、発音はとても良いと感じます。
しかし、彼らはアニメ中に出てくる日本語のフレーズと英語字幕をそのまま丸暗記しているので、「お前は元気か?」などと先生に質問してきたりします。(笑)
私たち日本人からすると、「お前」は先生に対して使う言葉ではありません。
けれども、彼らは状況に応じた日本語の使い分けを学んでいないので、「お前=You(あなた)」だと思い込んでいるのです。
この現象は、海外ドラマのみで英語を勉強している学習者にも起こり得ます。
ネイティブが話す英語にできるだけ近づくためには、本コラムでお伝えしたような方法でバランスよく学習を進めるのが良いでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。