充実した留学生活のヒミツ ~日本語・日本人の友人の有難さ~
皆さん、こんにちは!ニュージーランド留学経験者の美沙季です。
突然ですが、これから語学留学や海外大学進学、もしくはワーキングホリデーに行くことを検討している皆さんに質問です。海外に長期滞在中、自分の母語を使用することについてどう思いますか?
そして、二つ目の質問です。海外に長期滞在中、一緒に留学にきた日本人の友人や現地で出会った日本人と一緒に過ごすことについてどう思いますか?
ずっと目標にしていた海外留学。いよいよこれから現地へと旅立つ皆さんは、現地で話されている言語や文化、社会に溶け込もうとワクワクしていることだと思います。そこであえてこんな二つの質問をしてみました。
現地で母語である日本語を話すことや、母語の通じる日本人と関わることについては人によって様々な意見があると思います。
「現地の言葉を習得するためには母語で話していたらいつまでも上達しないだろう」、「母語の通じる人たちと関わっていたら、せっかく現地で過ごしているのに勿体無い」という意見を持つ方も多いですよね。
でも、約4ヶ月間の留学を終えて私が心から感じたことは、「同じ場所から目標を持って留学に来た日本語の通じる仲間がいて、本当によかった…!」という気持ちでした。
もちろん私は留学中に英語を上達させたかったので、長時間日本語だけで会話をすることや常に日本人の友人たちと過ごすことはしませんでした。ですが、同じ大学ら派遣されて一緒にニュージーランドにきた友人の存在無しでは、私の留学生活は充実していなかったと断言できます!
「日本語禁止」や、「日本人と過ごさない留学生活」を過ごすことで英語力の向上や現地に溶け込むことはできるかもしれません。しかし、英語力向上のために私たちなりのルールを作って工夫をすることで、むしろ母語が通じるもの同士の交流は有意義なものになります!
「日本語禁止の生活」や「日本人とは過ごさない生活」を選択するより、ずっと素敵な財産を得ることができたと確信しています。
今回の記事では、そんな私の留学生活を支えてくれ一緒に盛り上げてくれた日本人の友人たちとのエピソードを紹介します。
そして、留学生活と母語使用、母語の分かる人たちと過ごすことの大切さをご紹介したいと思います。
もしかしたら、留学中の母語使用や母語のわかる人との交流に対するみなさんの価値観が変わるかもしれませんよ。
留学中の母語使用と日本人コミュニティーとの交流についての研究結果
皆さんは、留学中に自分の母語を使ってコミュニケーションを取ることに対してどんな意見を持っていますか?賛成ですか?それとも反対ですか?時と場合によりますか?
この質問に対しては様々な意見が存在すると思います。私の場合、留学前は相当、英語力をつけるために意気込んでいたため、現地ではとにかく日本語ゼロで母語での会話は極力しないぞと決めつけていました。
この質問については様々な意見があっていいと思います。ただ今回は、「現地では絶対に母語は使わない!」と決めてしまう前に、こんな興味深い研究結果を紹介したいと思います。
なんと、留学先で外国語を学ぶ際に母語を使うことのメリットがあるんです!
まず一つ目として、授業中や講義中に聞く内容理解度を確かめる際には、日本人同士で母語で確認し合うことが一番だということです。私たちは生まれた瞬間から大量の母語のインプットを取り込んで、無意識に習得をしてきました。
ある程度英語のリスニング力がついていて、内容を理解するのに時間がかからなくなっているとしても、より深い部分まで思考をする際には母語にかなう言語はありません。
クラスメイトの中に同じ母語を話す友人がいて、内容理解に苦しんだ時はその人に「講義の内容確認」をさせてもらうのはいい方法なんだそうです。
また、様々な国籍やバックグラウンドを持つクラスメイトの集まりの中で、自分の母語や文化について誇りを持って紹介したり、リラックスしてアクティビティをする際に使ってみたりすることは場の雰囲気を良くしてくれます。
そして、多種多様な人々の中で生活しているという素晴らしさをクラス全体で共有できます。
完全に母語禁止としてしまう排他的なクラスの雰囲気を作るのではなく、活動の内容理解やルールの確認のために母語を用いることや、場の雰囲気を良くするために母語を紹介してあげることはむしろいい方向に働くと言います。
日本語の分かる人たちとの交流は、様々な精神的ストレスのかかる留学生活においてとても大切な時間です。特に現地について間もない頃はホームステイ先でも緊張し、学校に行けばハイレベルな英語の授業が待っています。
とっても充実して楽しいはずなのに、知らないうちに日本語で思っていることを吐き出したくなる瞬間が訪れます。そんな時、同じような境遇の日本から来た友人たちに救われます。
留学中に疲れた時、弱音を吐いたり悩みを相談したりするのに母語を使うことに躊躇してはいけませんよ。母語は自分のアイデンティティであり、一番落ち着いて話のできる言語です。いざという時には、安心できる相手と母語で会話をしてみましょう。
私の母語使用の割合と日本人との交流の頻度
上記で紹介した研究結果では、授業中の内容理解の確認のために母語を用いることや、授業中の課題やタスク、問題について深く考える作業をする時は必然的に日本語を介入する必要があると述べられていましたね。
また、様々な国のバックグラウンドを持つクラスメイトが一緒に学んでいる教室では、むしろ自分の母語や文化について紹介や会話が喜ばれました。また、多種多様な人種、文化、歴史などを認め合い尊敬し合う雰囲気が、教室に生み出す効果もありました。
実際に私がニュージーランドのビクトリア大学附属の語学学校で勉強していた時も、様々な国から留学生が来ていました。お互いの国の母語を教えあって挨拶したり、文字の書き方を教わったり。朝教室に入って初めて会った時の挨拶を日替わりで国を変えて挨拶をしたこともありました!
では実際に、私が留学生活中にどのくらい日本語を使用していたのか。そして、母語の通じる日本人の友人たちと過ごした頻度と割合をざっくり紹介したいと思います。
まず、母語である日本語の使用頻度と割合について。1日の中で日本語を使用していた機会は、思い出せる限りありません。
ただし、先ほども述べたように学校の勉強のことで悩みがある時や、将来のことについて日本人の友人に相談したい時など真剣に話をしたい時に日本人の友人と会って日本語だけでじっくりと話をするという時間をとっていました。
その決まった時間に限り、日本語をガッツリ使う感じでした。そのため、その時の日本語の使用割合はもちろん100%です。
次に、日本語の通じる友人との交流の頻度についてです。それは、主に一緒に派遣されてきた大学の友人たち、現地で出会った他大学から派遣されてきた日本人の友人たちです。
彼女たちのうちの一人とは、ホームステイ先が最も近く、毎日同じバスで大学に向かっていました。大学までは約40分かかっていたので、毎朝のその時間はお互いの近況報告や自分のクラスで出ている課題、プレゼンテーションの内容について、クラスで起きた面白いことなどを話す大切な時間でした。
英語学習のために私たちが決めた日本語についてのルールは、次のセクションでお伝えします。
また、同じ大学から派遣されてきた友人たちとは本当に気があって、考えていること、興味があって挑戦したいこと、行きたい場所、好きな映画や音楽が共感できる仲でした。
そのため月2~3回は休日に集まって洋楽のアカペラに挑戦したり、ガーデンでピクニックをしたり、ステイ先のファミリーを含めてお泊まり会をしたりと交流が盛んでした。
彼女たちと交流する際は、テンションが上がった時や反応をする時に自然に英語が出てしまう…といった気を張らない英会話を心がけていました。
現地の語学学校のクラスが一緒になって知り合った、日本の別の大学から派遣されてきた友人たちもまた、たくさんの刺激をくれました。
彼女、彼らたちとは毎日同じクラスで授業を受けるため、交流頻度で言うと毎日です。(笑)
ですが、もちろん語学学校の授業中は英語でコミュニケーションをとりますし、そのまま放課後や休日も英語で自然に会話をしていました。日本語はほとんど使わない仲でしたね。
こんな時は母語で話してもいい!
実際、留学中に母語である日本語を使っても良い機会について紹介したいと思います。
① 留学生活に慣れるまで
先ほどお伝えした通り、母語を使って母語で会話をお勧めするシーンの1つが、留学先に着いたばかりの頃です。これから始まる現地での生活に、どんなにワクワクしていても、ガラッと環境の変わる生活に最初は戸惑います。また、知らない間に緊張して、ストレスが溜まることは誰でもあり得ます。
私自身は知らない間にホストファミリーやクラスメイトに気を使って緊張をしているタイプで、現地についてから最初の一週間は、毎日最高に楽しいにも関わらず気疲れがすごかったです…。(笑)
一緒に派遣された私の友人たちの中にも、日本にいる時はどんなことが起こっても基本的に動じないタフな子がナーバスになり、「本当に疲れてしまった…。」と嘆いていたことを思い出します。個人差はありますが、現地の生活に慣れるまでは、留学って本当に疲れるんです。
そんな時には、思い切って母語のわかる人同士で時間を作って、思っていることを吐き出し合う時間が本当に大切です。
自分と同じ境遇の人がいて、お互いに頑張っているんだと知るだけで、気持ちが楽になります。
もちろん生活の中のほとんどは英語で会話をしているはずなので、1日のうち友達と会える1時間でいいです。辛い時は安心できる母語で話しましょう。
② 将来に関わる大切な話をする時
もう一つ、私自身が留学中に母語を使って話したことで重要だったエピソードがあります。それは、帰国が1ヶ月間に迫っていた頃のエピソードです。
帰国後は大学卒業後の進路決定をする時期が来ており、大学院進学と就職のどちらを取るか悩んでいた私は、一緒に派遣されてきた一人の友人に連絡し、時間を作って貰って相談しました。
現地に住み始めてから相当時間も経ち、英語での生活も不自由なく生活できるようになってきた頃で、日本語で深い話をするのが久々でした。
友人に自分が今何に興味があるのか、何をしたいのか思っていることを全て正直に日本語で話しました。
日本語で話して意見を貰うことで、それまでいろんなアイデアや選択で雑多としていた頭の中がスッキリしました。
しっかり母語を使って言葉にし、伝えることで自分がこれから何をしたいのか、シンプルに考え気づくことができました。
生まれた瞬間から聞こえている母語の、私たちの思考、理解、発見のプロセスを辿る際の影響力は計り知れません。
第二外国語がネイティブレベル近くまで習得したとしても、母語による思考レベルには叶わないことが多くあります。
この経験から、誰かと面と向かって大切な話をする時、その際に深く考える必要がある時は、留学中だとしても母語を使ってコミュニケーションを取ることに意味があると思いました。
日本人同士で英語力向上のために工夫したこと
とは言っても、やはりせっかくの留学生活なので、できるだけ母語が通じる相手とも現地の言葉を使ってコミュニケーションをとりたい気持ちはよーくわかります。私も常にそう思っていました。
そこで、母語が通じる相手と話す時にはお互いにルールを作るんです。私が友人たちと決めて実践していたルールはたった一つです。それは、「緊急時と悩み相談の時以外は、英語で会話しよう!」というものです。
特にこのルールは、毎朝40分間通学するバスが一緒だった友人と実践していました。母語が通じるという安心感を「日本人同士で英語で会話するなんて恥ずかしい。」と思わないこと。
「万が一英語が通じなくても最終手段として日本語で補足できる。」といったように、発想の転換をすることが大事です。
このようなルールを決めて実践することで、せっかくの留学中に「母語だけ」で会話をすることがなくなりました。
その結果、先ほど紹介した留学生活に慣れるまでの期間や、大切な話をする時だけ母語を使うことができます。
後の時間は、全て現地の言葉を使ってコミュニケーションを取ることに専念できるんです。
【まとめ】母語使用と日本人との交流に対する価値観の変化
留学中に語学力をつけるため、現地の言葉のみでコミュニケーションを取ることはもちろんとてもいい試みです。でも、現地滞在中に心身ともに健康で、できるだけポジティブに生活をするためには自分の心のケアがとっても大切です。
心のバランスを崩したり、何だかもやもやしたりする中、勉強を頑張るにはかなりの労力と気力が必要です。頑張りすぎて気持ちが落ち込んだら、通常の心理状況に回復するには時間を要します。
だからこそ、毎日ハッピーで前向きに留学生活を送りたいものです。そんな心のメンテナンスのために、必要に応じて母語を用いることはすごく良いことです。
母語を少しでも用いることに罪悪感や焦りがあるなら、今回紹介した「ルール」を、母語が通じる相手同士で作って実践してみてください。
「母語禁止」なんていう画一的な価値観は捨てましょう。モチベーションを高く保ちながら留学生活を送るために、母語の効果的な使い方を知って留学生活を始められるといいですよね♪