World Englishesとしての日本人英語を考えてみよう
こんにちは、英会話講師のいとうです!今回はこんな質問から始めてみましょう。
「正しい英語とは、何ですか?」
おそらくほとんどの人が、「ネイティブスピーカーが話す英語かなぁ?」と思ったのではないでしょうか。
確かに、ひと昔前まではイギリスやアメリカ、オーストラリアなどでネイティブスピーカーたちが使っている英語が正解とされてきました。しかし最近は少し流れが変わってきているようです。
それが、今回一緒に考えていきたい「World Englishes」なんですね。World Englishesとは何なのか?私たちがこれからのグローバル社会で目指すべき英語のレベルはどれくらいなのか?時代と共に代わる英語の捉え方をキャッチしていきましょう!
World Englishesとは何か?
World Englishes、直訳すると「世界の英語」、複数形になっているところがミソでしょう。世界には、大きく分けて3種類の英語があると言われています。
第二言語と外国語の違いは、日常的に使われているかどうか。インドやフィリピンなら第二言語としての英語ですが、日本では外国語というわけですね。
さて、これまで正解とされていたのは当然「母国語としての英語」です。少しでもネイティブスピーカーに近づく学習が正しく、ネイティブから遠ければ遠いほど「英語が下手(恥ずかしい)」と認識されてきたのは皆さんも実感したことがあるでしょう。
しかし最近では、第二言語や外国語としての英語を含め、英語の多様性が認められつつあるのです。
文科省のデータでは英語を公用語・準公用語として使う人口が21億人であるのに対し、母国語として英語を使う人口は4億人と発表しています。つまり、そもそもネイティブスピーカーよりもそうじゃない英語使用者の方が実はずっと多いのです!
こうした背景もあり、「いやいや、いろんな英語があっていいんじゃないの?」と、世界がお互いの英語を認め合い始めているんですね。
これって、すごく素敵なことだと思いませんか?
フィリピン英語に注目してみよう
オンライン英会話など、最近はフィリピン人から英語を習う機会も多いですよね。彼らの英語は決してネイティブではありません。発音にもクセがありますし、人によって文法レベルにも差があります。
しかし、フィリピン人の英語は、もはや「フィリピン英語」として確立されているんです。フィリピンでは小学校3年生から授業のほとんどが英語で行われ、公開される映画に字幕はつきません。
ビジネスの面においても、フィリピンは世界一のコールセンター拠点として知られています。数えきれない人材を雇用する上で、多少の英語研修はあるとしても、いちいちネイティブレベルを求めているとは考えにくいですよね。欧米諸国の企業は、「フィリピン英語」を信頼して業務委託しているのではないでしょうか。
もう一点加えておきたいのが、訛りについて。フィリピン英語の訛りに触れましたが、アメリカにだってイギリスにだって訛りはあります。もっと言えば、世界数十億人が話す英語は、きっと訛りだらけでしょう。
世界中の英語が電話ごしに飛び交うフィリピンのコールセンターは、一体どんな感じなのか、日本で暮らす私にはまだちょっと想像が追い付きません。
もしかしたら、「訛りのある英語だから恥ずかしい…。」なんて思っているのは、もはや時代遅れなのかも?
通じない経験が大事!訛りがあっても通じる英語へ
私たち日本人が外国語として話す英語も、World Englishesのひとつです。とは言え、「いやいや、自分の英語はまったく通じないし…。」と感じる人もいますよね。
そう、そこなんです!いろんな英語があって良い、訛りも残っていても良い、でも「まったく通じない」のはちょっと問題ですよね…?
旅行や短期留学程度であれば、「まったく通じない」のレベルでも楽しめるでしょう。それはなぜか?相手が耳を傾けてくれるからです。
しかし、長期的に欧米で生活をしたり、ビジネスの場で英語を使ったりとなれば、そうはいきません。相手が皆、耳を傾けて理解しようと歩み寄ってくれるとは限らず、「あ、この人は英語ダメなんだな。」と距離を置かれることもあります。
これはあくまでも私個人の考えですが、訛りはあっても通じる英語にしていけるかどうか、が日本人英語における課題ではないでしょうか。
では、通じる英語にしていくために、どんな学習が必要になるのか?
発音練習や文法ももちろん大切です。しかしそれ以上に、「通じない理由」を見つけて潰していくことが重要です!
自分の英語が通じなかった時、ショックですよね。恥ずかしくて自信を失くして、もう人前で英語を話したくないと感じますよね。私もたくさん経験があります。
しかし、そこで「自分の英語は下手だから通じないんだ…。」とふさぎこむのではなく、「なぜ通じなかったのか?」を考えることが、通じる英語へのステップなんです。
例えば、私はsoccerやpubなど、簡単な単語が通じないことがよくありました。すごくショックでしたが、その後も通じない単語を振り返るとスペルにOやUが使われていると気付き、自分の苦手な発音が分かりました。
今でも通じないことがあるのですが(笑)、もう苦手だと分かっているので「スポーツのサッカー」や「お酒飲むパブ」など、あえて回りくどい言い方で伝えています。
自分の弱点が分かれば、カバーはいくらでも出来ます。しかし弱点が分からなければ、何も対処できず、いつまでも通じない英語のままです。
もうお分かり頂けたと思いますが、「通じない経験」こそ、英語力を高めてくれるんです。下手だから通じないのではなく、知らないから通じないだけなんです。
通じない経験をして、通じる発音や通じる文法を1つひとつ身につけていけば、おのずとあなたの英語もWorld Englishesとして確立されるはず。
「英語に自信がない…。」とコンプレックスに感じている方、通じない経験が不足していませんか?「英会話を続けているのに伸びない…。」と悩んでいる方、通じなかったときのふり返りが不足していませんか?
正しくなくても、訛りがあっても、通じる英語を目指すなら、どんどん通じない経験を積むことが重要です!
【まとめ】グローバルで通用する英語力を手に入れよう!
英語はどんどん、幅広い言語になりつつあります。ネイティブレベルを目指すのはもちろん良いと思います!私も多分永遠に目指しています。(笑)
しかし、日本訛りの英語であっても、もっと世界を視野に入れて良い時代なんです。
まずはたくさんの英語を聞いて、話して、通じない経験をしてください。あなたに必要なコミュニケーションレベルに到達すれば、確実に大きな武器になりますよ!