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留学したら語学が話せるようになるのか? ~留学しても語学ができなかったケース~

公開:2019/08/21 著者:小松 久里子 457 Views

留学をしたら語学ができるようになる、留学が語学上達の最適な方法だ、と言われてもいますが、本当にそうなんでしょうか?

留学をすれば現地の人と交流ができ、学習言語を使う機会が多く、それが言語学習上達につながると言えます。ですが、そういう環境にいても、語学上達につながらないこともあります。

今回は、そんな筆者の体験談を元にお送りしたいと思います。

留学は語学上達に最適な方法か?

上記で現地に行けば現地の友達ができ、学習言語を使用する機会が多くなると言いました。

留学は自国にいる時よりも、行ったその国の人と交流ができ、自分の言語学習を使ってコミュニケーションする機会が多く取れることがメリットです。

 

ですが、コミュニケーションを取れることは、ある程度その語学ができてこそ、留学が有効だという事にもなります。

 

現地に行って、すでに学習した言語を使えるという点で留学は有効な方法です。

しかし、現地に行って、これから初めてその言語を勉強するとなると、最初の数カ月はその言語の基礎を学ぶ事に集中することになります。

要するに、現地の人とコミュニケーションを取るという事ができない時間を過ごすことになります。せっかくの留学時間なのに、机上の勉強が主になってしまい、目立った言語上達が見られないという現象が起きてしまうのです。

 

言語の基礎は日本で勉強してから、外国に行く方が有効だと言えるでしょう。

 

語学の基礎は留学前に行うのがセオリー

一人で勉強するのも大変ですが、なるべく留学前に勉強しておく方が、留学成果を短期間で出すことに繋がります。

 

日本で語学スクールに通うこともできますが、大抵は週1回、1~2時間ほど学校に通うケースが多いと思います。

 

これが留学で語学学校に行くとなると、最低毎日3~4時間、毎日学校に行くことになります。

留学して語学学校に毎日行くと、1週間で日本の語学スクールで勉強する10週間分に相当するのです。

つまり、コミュニケーション(会話)の部分は、留学してから行うのが最も効率的です。

 

言語の基礎である「単語」や「文法」は、自宅でコツコツ勉強を進めるのが良いでしょう。そして、それは語学スクールで学ぶべきものではありません。

 

日本で語学スクールに通うのが良いのか?

留学前に3カ月語学スクールに通っても、実はあまりレベルアップは見込めないかもしれません。それは、言語に触れてる時間が圧倒的に短いためです。

それを考えると、しっかり留学して語学を勉強したほうが効果的です。また、日本の方が語学スクールは高いですし、留学の方がコスパは高いと考えるのが一般的です。

しかし、語学を学ぶのは語学スクールだけではありません。自分で勉強することはもちろん、テレビの語学学習番組や今ではYOUTUBEなどでも英語学習のビデオなども多く存在します。

 

語学は留学に行ってから勉強を始めるのではなく、行く前にもなるべく勉強しておきましょう。

 

語学スクールに行くのもモチベーションを保つのには有効です。しかし、語学スクールの授業時間数を考えると、それだけでは充分ではありません。

留学前に時間の許す限り、自宅ベースで基礎部分の学習を積み上げておくことが大事です。

 

留学するだけでは語学はできるようにならない

語学上達には留学が有効的手段ではあると思いますが、海外に行ったから語学ができるようになるわけではないことを覚えておきましょう!

 

海外に行っても、誰とどう時間を過ごすのかで語学上達も変わってきます。

語学学校に行けば、先ほど書いたように単純計算すれば1日3~4時間英語に触れられます。毎日語学の勉強をするので、それだけその学習言語のインプットがあります。日本にいる時よりは、十分集中して語学学習ができるでしょう。

ただし、学校の授業以外の時間を、どのように過ごすのかで語学上達は変わってきます。先ほども述べたように、留学の意義は学習言語の母語者とコミュニケ―ションを取り、学習言語を使用するという事にあるためです。

 

語学学習に大切なのは何よりも「環境」

これは自身の経験ですが、私は中学の時3年間フランスに留学していました。

そう言うと、必ず「フランス語ができる。」と思われがちですが、実は私はフランスにある全寮制日本人学校に通っていました。授業もほぼ全部日本語で、先生もほぼ日本人、クラスメートも全員日本人でした。

フランス語の授業は週3時間、他に体育と美術の授業はフランス人の先生でした。要するに、残り90%の時間は日本語での環境だったのです。そして、門限も午後6時だったため、あまり外に出て現地のフランス人の方と接する機会があまりありませんでした。

 

語学学校内は多くの日本人がいる環境でもありますし、授業以外でも日本人同士で一緒過ごすケースも少なくありません。

 

海外にいても、現地の方とあまり一緒にいる時間がない、というケースもあるのです。

ワーキングホリデーの方で、語学学校で出会った日本人同士でつるんで、全然英語を使わない生活をしている失敗例を耳にしたことは、一度はあるのではないでしょうか?

まさにそれと一緒で、海外に行ったからと言って、その国の言語のシャワーを浴びて生活しているかどうかは、また別の話だったりするのです。

 

→ フランスの母校の廊下。

 

私がフランス語を学習していた時の体験談

それでは、私がフランスに留学した時の状況を例にします。

私の通っていた学校は文部科学省認定の学校でしたので、中学1年生から通常英語の勉強も始めます。なので、英語とフランス語を同時に勉強しないといけない環境になりました。

せっかくフランスに住んでいるからと授業以外も頑張ってフランス語の勉強をしていました。しかし、学校の勉強と宿題、そして英語との両立はかなり大変なものでした。

 

→ フランスの母校の校庭。

 

現地の人との交流はあったのか?

それから中学3年間、英語とフランス語を両方勉強しながら、外出するとフランス語という環境にいました。

しかしながら、外で友達を作る機会は少なく、また外出時間なども決まっていたため、あまり現地の人とは交流が持てませんでした。

買い物などに行けばもちろんフランス語も使うのですが、それは旅行会話程度のもので、それ以上の会話に発展することはありませんでした。

 

なるべく現地の人とも交流しようと、現地のテニスクラブとか水泳クラブとかにも入ったりしたのですが、それでもなかなか友達を作るというのは難しかったです。

 

もちろん、これは普通に語学留学した時も同様です。学校外で外国人、現地の人と一緒に過ごすためには、かなりの積極性と行動力が求められます。

それができない人にとっては、語学学校で出会う日本人同士で固まるようになり、いくら海外にいても日本語でのコミュニケーションが中心になっていきます。

また最近では、高校や大学から団体で短期語学留学や語学研修に行く学校も多くあります。団体で留学をした場合、顔見知りの日本人留学生と団体行動を取っているので、自分一人だけ現地の人と交流しようとしても、なかなかそういうワケには行きません。

 

→ 母校の外の雰囲気。

 

現地人との交流を求めてホームステイ体験

そんな日本語に環境にあった私は、現地の人と交流を持って語学上達がしたいと、中学2年生の夏休みには現地のフランス人家庭でホームステイも経験しました。

ここでやっと語学力が多少上達したことを実感しました。5週間で2軒のファミリーにお世話になりました。

最初のホームステイ先では、私がフランス語を理解できない時、たまに英語で会話をしてくれました。私も英語もフランス語もどちらもまだまだのレベルだったので、2言語を混ぜて話していました。結局、どっちつかずになったのか、フランス語の語学力はあまり伸びませんでした。

 

2軒目のホームステイ先では、英語ができない家庭でした。そのため、ずっとフランス語で会話していたこともあって、その時の方がフランス語が上達しました。

やはり、1言語のみがベスト。フランス語漬けになるということは、それが例え1か月ほどの短期間でもかなり語学力上達に繋がった気がします。

やはり外国語のインプットが多いと語学力が伸びるんだと実感しました。短期間ではありましたが、毎日フランス語という生活のお陰で語学力も伸びた気がしました。

 

語学力よりコミュニケーション力

最初のホームステイは13歳の時で、まだ英語もフランス語も1年3カ月しか勉強していない時期だったこともあり、語学力にもかなり限界がありました。ただ、この時に養った力は、コミュニケーション力が大きかったように思います。

ホームステイ先に私と同じ年くらいの子供もいて、一緒にコミュニケーションを取ろうと、辞書を片手に一生懸命会話しました。

語学力がまだまだでも、相手に自分の想いを伝えようというコミュニケーション力だったと思います。年齢も幼なかったので、外国人の方とのコミュニケーションも物怖じせず、できるようになったとは思います。

 

フランス留学3年間の語学力は!?

さて、気になる留学後の語学力ですが、ホームステイ体験のお陰である程度フランス語ができるようになったかなと実感できたのですが、それでも日常会話ができるレベルにまではいきませんでした。

フランスでのホームステイも中学2年生の夏休みのみで、それ以外にはイギリスにホームステイするなど、英語とフランス語の両言語を勉強し続けました。

2言語を同時進行で勉強するのも大変でしたし、ある意味どっちつかずになってしまったところもあった気がします。

 

結局、3年留学経験があるとは言えないレベルのフランス語力と英語力でした。

 

フランスに3年間留学をして、旅行会話レベルほどのフランス語力だったと思います。

 

→ 英語とフランス語の両立は大変だった…。

 

留学中も日本語環境で生活してしまうケースは少なくない

例えば、ずっとホームステイをしていられたのであれば、それだけ語学力が向上しただろうなと予想はできます。

一方、語学学校で知り合った日本人同士で過ごして、フランス語を使わないでも生活ができる環境にいると、フランス語上達には繋がらなくなってしまいます。

 

これは留学中にどこでも見られるケースですが、自身の語学力が低い場合は、ホームステイでもしない限り、言葉の話せない自分を相手にしてくれるネイティブはいません。

 

結果、日本人同士で固まって、日本語環境の中で生活してしまうということが実際に起こり得るのです。

…と言うことは、実は留学が必ずしも語学向上に有効的とは言えないことが分かります。

語学向上のためには、ネイティブとある程度対等にコミュニケーションができるレベルになってから、真の意味での留学生活がスタートすると言えます。

 

留学をするだけではなく、留学で何をするか?

留学するだけでは、外国語の向上にはつながらないことは、分かったかと思います。

 

自分の置かれた環境、もしくは自分で自分を置いた環境によって、外国語の上達は変わってくるという事です。

 

私はその後、現地の大学に入ってフランス語をやり直し、今はフランス語が話せるようになりました。

フランスの大学で、フランス人の学生に囲まれ、フランス語の授業を受け、フランス語で宿題をし、フランス語漬けの生活になって、やっとフランス語ができるようになりました。

そのような環境に入って行くためには、最低限フランス語を使ったコミュニケーションができなければいけないのです。

 

【まとめ】留学しても語学上達に繋がらないケースもある!

私は現在、大学院で語学学習や留学に関する研究をしています。その研究の結果、「留学 = 語学上達に有効的とは一概に言えない」という見方をしています。

それは自分の大学院での研究からだけではなく、実は自分の実体験からも言えることで、それを踏まえて学術的に調査していこうというのも研究目的の一つの理由でした。

 

留学したら、せっかくのその機会を有効的に使って、なるべく現地の人との交流を持てるような環境作りが必要だという事です。

 

最初のフランス留学では、語学力が伸びませんでした。その後、イギリスの大学とフランスの大学に行き、語学だけではなく大学の学位も取得して、やっと英語とフランス語ができるようになったと実感しました。

今でもフランスに12歳の頃から留学していると言うと、「だから語学ができるんだ。」と言われてしまうことがあります。

実はそうではなく、その後に行った勉強が語学力上達に反映されたという事実を強調しておきたいと思います。

 

つまり、目的を持った留学を実行することが重要です。

 

留学をしただけ、外国に行っただけでは語学ができるようにはなりません。

その国で自分が何をしたくて、どうして語学の勉強がしたいのか。

目的を明確に持って留学前から勉強を始め、なるべく有意義な留学生活を送れるようにしましょう。

 

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