海外に住みたい、働きたい!どうやって海外に滞在するのか。【フランス編】
私は今フランスに住んでいますが、実は私はフランスに住みたい、フランスに永住したいと思って、ここに来たわけではありませんでした。
他の色んな理由が重なって、フランスの地方都市に来ました。実は今回の滞在では最初1年ほどの滞在予定だったのですが、気が付けば10年を超えそうな勢いです。
では、なぜ私はフランスに来たのでしょうか?実はフランスには行ったり来たりを繰り返し、今回の滞在で3回目になります
3回目となると、やはり多少馴染みのある場所に…という気持ちはあったのですが、最初の最初に来た理由は本当にたまたまでした。
今回は私がフランスにいることもあり、フランスという外国に暮らす、働くことに関してお送りします。
フランスに住みたい、フランスで働きたい人達
たまに、日本に一時帰国していた時や、もちろんフランスに来られている留学生の方などから「フランスに住みたい。」、「フランスで働きたい。」と話される日本人の方に会いました。通常は女性が多いイメージです。
また、日本で日仏交流会のような飲み会に参加したフランス人の友人も、同じように言っていた方々と話をした、と言っていました。
では、日本人がフランスに住む、フランスで働くというのは簡単なことなんでしょうか?
今回はフランスに住みたい、フランスで働きたい方に実際の状況や、住んでいる方々の事を踏まえてお伝えしたいと思います。
先ほどの日仏交流会で日本人の方に会ったフランス人の友人は、「でも、やっぱりまずはフランス語ができないと…仕事はできないよね。」と言っていました。もちろん、フランス語ができなくても、フランスに住むことは可能です。
それでは、先ず一番簡単にフランスに住む方法をご紹介します。
フランスに住む – 短期留学の学生
毎年、日本の大学から交換留学で来られる留学生の方も多くいます。彼らからも「できれば将来的にフランスに住みたいです。」、「こっちに残ってフランスの大学に編入、正規留学をしたいです。」なんて話していた方もいました。
また、一度交換留学で渡仏し、その後改めてフランスの大学修士課程へ留学して、「修士課程が終わったらこっちで働きたい。」と言っていた学生さんにもお会いしたことがあります。
中には本当に戻って来られて、2度目の留学をしている学生さんにも毎年数名います。
フランスに住む – 学生VISA
留学生として外国に滞在する場合、その期間にもよりますが、長期の場合は学生VISAで滞在することができます。また、これも国によりますが、例えばフランスであれば時間制限付きではありますが、就労もできます。
海外の国に滞在しながら仕事もできる、と言うとワーキングホリデーを考えますが、実は学生でも国によっては就労もある程度可能な場合もあります。もちろん就労不可能な国もありますが、フランスは可能です。
フランス学生VISA取得の概要は、以下のキャンパスフランスのサイトに掲載されています。
という事で、私は正規留学生としてフランスに来ましたが、勉強をしながら仕事も多少していました。
例えば、この規定なんですが、年間964時間と言うと、年間を通してパートタイムで働くこともできますが、最初の半年は働かず、後半半年フルタイムで働くことも可能です。
私は学生の時、最初半年間は大学の授業で忙しくしていましたが、夏休みを含めた後半はフルタイムで、図書館で働いていたこともあります。
語学のこともありますし、知らない国に滞在するのであれば、語学学校などに通って友達を作ったり、生活の基盤を作ったりすることは大事なことです。
もちろん、ワーキングホリデーVISAで海外に行き、最初の数カ月語学学校に通われる方もいます。
語学面をより重視するなら、ワーキングホリデーVISAでなくても「学生VISAでも良いんじゃないのかな?」と思う事もあります。
フランスの大学へ交換留学と正規留学の違い
次に「大学留学」ですが、留学方法は2種類あって、交換留学と正規留学になります。私は正規留学生としてフランスの大学院に入学(編入)しました。私は交換留学を経験したことがありませんが、私の大学でも多くの交換留学生の方がいます。
中にはフランスに交換留学をしてから、正規留学をする日本人学生さんもいますが、交換留学の時と正規留学の時は状況が全く違います。
交換留学の時は、大学同士の提携であるので、大学で寮の提供もされるし、授業も交換留学生は意外と試験に合格しやすい傾向があります。
ですが、正規留学の場合は宿も自分で見つけなければならないし、大学の授業も課題も試験も現地の学生と同じ条件で受けて行かなければなりません。
もちろん、交換留学生の場合も語学レベルの規定がありますが、正規留学の場合はそれ以上に高い語学力が必要とされる場合があります。
フランスの語学学校へ留学
通常、留学というと語学学校への留学というのが、最も一般的な留学かもしれません。
中には語学留学生の中には先ずフランスの語学留学で1~2年過ごし、それからフランスの大学に正規留学する方もいます。
特に大学付属の語学学校では、日本人学生以外の生徒は、その先の大学や専門学校進学を念頭に語学留学をしている学生も多くなります。そのため、大学付属の語学学校は、大学で勉強することを想定した授業内容(プレゼンテーションやレポート課題)が多くなります。
フランスの大学に正規留学する
フランスの大学に正規留学する場合は、日本の高校卒業資格がフランスのバカロレアと言われる高校卒業資格として認められます。
なので、日本人の場合はフランス語の資格が必要になります。ヨーロッパの規定で言うと、学部にもよりますが、B2~C1のレベルを求められます。
また、日本で大学を卒業、既に入学をして2年、3年生である場合、自分が今まで勉強してきたことと同じ学部に行くのか、他の学部に行くのかでも入学(編入)状況が異なることもあります。
フランスに住む – ワーキングホリデーVISA
勉強はしたくないけれど、フランスに滞在したい、できれば就労したいという場合はワーキングホリデーVISAがあります。
フランスのワーキングホリデーVISAは、比較的取りやすいイメージがあります。
他の国では同じようなケースもありますし、異なる規定の国もあります。フランスの場合、VISA有効期限は入国日から1年間で、就学期間も就労期間も制限はありません。
ただし、労働時間はフランスの労働規定に従い週35時間までになっています。フランス語力も不問です。なので、フランス語初心者でもこのVISAで渡仏し、1年間仕事をすることが可能です。
私の知っているケースでは、ワーキングホリデーVISAで渡仏し、パテイシエの修行がしたいと思って来られた方や、WOOFINGと言って農場や畑などで働きながら、宿と食を提供してもらえるシステムを利用する方などにも会いました。
通常は数カ月語学学校に通って、その後にバイトを探して仕事をしている方が一番多いケースかもしれません。
その場合は、飲食店で働いている人が多かったイメージです。これはあくまでも私が出会ってきたワーキングホリデーの方々なので、他のケースもあるかもしれません。
ただ、「フランスに住みたい、フランスで仕事がしたい。」と言うだけでは、何となく時間が過ぎていきがちです。もう少し具体的な目的や目標がある方が、しっかりとした時間を過ごし、同じワーキングホリデーでも有意義な時間が過ごせると思います。
仕事に語学力は必要か?
それでは、外国で仕事をする場合、語学力は必要なのでしょうか。
YESかNOかで言えば、「YES」ですが、時と場合によっては「NO」です。でも、コミュニケ―ションという事を考えれば、できれば英語だけでもできる方が有利です。
日本語だけでもできる仕事がありますが、その場合はやっぱり日本語でコミュニケーションが取れる場所、日本食レストランの厨房などになってしまいます。せっかく「海外で暮らす。」のであれば、語学学習は大事な要素の一つです。
駐在で来られている方は、フランス語はできないけれど、英語と日本語で仕事をしている方も少なくありません。けれど、駐在で来られると言うのは、なかなか難しい事かもしれません。会社に希望駐在国を伝えても、そこに行けるという確率は低いからです。
現地企業で仕事をするためには、やはり語学力は必須です。
以前、パテイシエさんの卵の方が、フランスの有名パテイスリーで修行として仕事がしたいという依頼のアテンド通訳をしたことがあります。
そこで、現地のパテイシエさんに言われたのは、「とりあえず、技術は良いから、語学力だけは必要だ。周りとのコミュニケーションが大事だから。」と念を押して言われていました。
やはり周囲とのコミュニケーションという事を考えると、語学力は最低条件だと言えます。
フランスに住む – 仕事をするには語学力から
学生VISAでも、ワーキングホリデーVISAでもある程度の仕事をすることは可能ということになりますが、やはり大切なのは語学力です。
仕事をするにはやはり語学が重要なポイントになります。その国で生活する、仕事をするということは、かなりの覚悟が必要になります。
また、語学力向上には現地での就労は最適な方法の一つではありますが、やはりその場合は基礎的な語学力がなければ、そもそも採用してもらえません。
その学習言語を使用できる職場環境が目の前にあったとしても、コミュニケーションが取れなければその輪の中には入れてもらえないのです。仕事を通じて語学力を伸ばすと言う考えは、基礎力が固まっている中級以上の方に限ります。
海外に住むにあたり、やはり語学力というのは大事な要素の一つです。その国での滞在を少しでも楽しくするためには、語学力が大事な要素だとだと思います。
また、帰国後のことも考えれば、語学力は一応+αにはなるでしょう。もちろん語学力以外の経験も重要になりますが、どんな経験ができるかも周囲とコミュニケーションが取れるか取れないかでも大きく変わってくるでしょう。
「フランスに住みたい!」だけでは仕事は得られない
先日、駐在で海外に来られている日本企業の社長の方とお話をする機会がありました。彼の元には他にも日本から来られている駐在の方います。
その部下の方は元々1年の予定で来られていたそうですが、「もっとフランスにいたい。」と駐在期間を延長したいと言われているそうです。
そして、その時に社長の方が言っていたことがとても印象に残っています。
でも、『フランスにいたい。』という理由では、彼をフランスに残すことはできない。
会社のことを考えた時、「ただただその国に居たいという人物をこの国に残ってもらって仕事を任せられるか?」という事です。何よりも大事なのは『どこにいたいか。』ではなく『何がしたいか。』なのです。
その社長は続けて「もしフランスに残りたい理由が、ここでしができない仕事があって、その仕事をするためにもう少しここにいたい、というのであれば良いのだけれど、『フランスにいたい』というのではフランスに残る理由にはならない。」と言っていました。
会社からしたら、本人の希望ではなく、「その人がその国にいて、どれだけその会社に貢献できるのか?」と言うことなのです。
同様に外国に来た皆さんも、漠然と「海外に住みたい。海外で働きたい。」という目的ではなく、「海外で(できればきちんと決めた国で)〇〇がしたい。」という目的がある人の方が、その国でも良い経験ができ、その先の将来にも大きく影響していくと言えるでしょう。
私のフランス滞在
「どこに住みたいか。」ではなく、「どこで何がしたいかが人生を変える。」なんて言うとちょっと大袈裟かもしれませんが、「どこの国で何をしたいか?」は大事なことなのです。
私は今フランスに住んでいますが、それはフランスに住みたいからではなく、フランスでやりたいことがあるからここにいます。
私は元々大学院で勉強したいと思っていました。けれど日本も含め、英語圏の大学は学費も高いです。奨学金などもなく、金銭的援助もなく自分だけで海外の大学院で勉強を続けたいと思ったことと、語学のことの2点で、フランスの大学院に行くことにしました。
と言うのは、フランスの大学院は学費が安いということと、文献は英語で読んで勉強できる(担当教官や学部によっては論文も英語で書くことも可。)ので、フランスに行くことにしました。
一番の理由は、やはり金銭的問題がありました。
また、専門は『日本語学習』なのですが、研究を始めるにあたり、研究の興味が『インフォーマル日本語学習』でした。これは、日本のアニメやマンガ好きな日本語学習者は、授業以外でどれだけ日本語に触れているのか、という研究です。
ヨーロッパで考えると、フランスは日本語学習者も多い国です。また、フランスは日本の次にマンガ消費国であり、JAPANE EXPOなど延べ20万人以上の来場者がある日本に特化した見本市が開催される国です。
自分の研究に関しても、ある意味最適な国でもありました。この観点から考えると、日本語学習に関する研究はフランスを対象にするのは悪くないと思いました。
私の最初のフランス滞在
私は元々フランスに12歳の時に来ました。以前の記事でも説明していますが「私が通っていたエスカレーター式の学校が、フランスに分校を創ったので、そこに行くことにしたから。」でした。
なので、創立国がアフリカだったら、アフリカに言っていたかもしれませんし、それが南米だったら、南米に行ったかもしれません。たまたま自分の通っていた学校が、フランスの田舎アルザスという場所に学校を設立したためにフランスに来てしまいました。
この理由で言えば、先ほど述べたように「〇〇がしたくて、フランスに来た。」という、国ではなく、目的が大事という事には多少外れてしまいます。
しかし、「日本で自分が通っていた学校の分校に転校した。」という意味では、国そのものを選択していないのは確かです。ただ、その最初の渡仏が、今の渡仏にも関係したことは確かです。
海外に住むという事は、ある程度の覚悟が必要
海外に住むことに憧れることもありますが、ある程度決まった期間や短期でない場合は、それなりの覚悟も必要です。
他国に住むということは、そんなに簡単なことではありません。特に、海外の国で働こう、その国でその国と人たちと同等に暮らしていこうと思うとかなり大変です。
郷に行っては郷に従えではないですが、やはり言葉はコミュニケーションツールとしても、仕事の幅を広げるにも重要な要素であることは言うまでもありません。
しっかりした意思を持って、海外暮らしをすれば、その後の将来にも大きく影響します。
そして、大事なことは「どこの国に行きたいか。」ではなく、「どこで何をしたいか。」なのです。