フランス、ヨーロッパにおける新型コロナウイルスの影響は?時系列を追って
世界的に新型コロナウイルスの影響は、大きな問題になってきました。
最初は中国、韓国とアジアからでしたが、ここ数週間の最大被害国はイタリア、スペイン、フランス…とヨーロッパに広がってきています。
日本でコロナウイルスの報道を見ている皆さんも、ヨーロッパ諸国の惨状は目の当たりにしているかと思います。
現在私の住むフランスでは、3月17日(火)正午から2週間の外出禁止令も出ているような状況です。
外出禁止令とは言え、必要最低限の外出は外出許可証を所持しての外出は可能です。現在私は、フランスの中でもアルザス地方在住していますが、特に状況が深刻な地域でもあります。
今回は、在ストラスブール日本国総領事館から届くメーリングリストの内容紹介と、他の資料から得た数値などを元に、3月下旬までのアルザス地方の新型コロナウイルス感染状況やフランスの規制状況などをお送りしたいと思います。
フランスにおけるコロナウイルスの現状
4月3日(金)の時点で、アルザス地方があるグランテストと呼ばれる地域では1,178人の死亡が確認されています。フランス全土で、この日の死亡者が471人、これで合計4 503 人の死亡者が出ています。
最期に在ストラスブール日本国総領事館からきたメールでは、3月26日(木)だったのですが、現在の状況はと言うとニュースで観た限り1,977人が入院、そのうち480人が意識なく、呼吸器を付けた状態、そして271人の死亡が確認されています。
また、フランス全土では19,856人の感染者、死亡者数は360人、この日のうちだけでの感染者増加数は3,838人でした。
もちろん、その間に完治している人数も多いのは確かですが、それでも感染者数が日に日に増加していることが分かっていただけるかと思います。
この状況の中、ヨーロッパ各国が閉鎖及び入国制限が出され、日本からの入国も難しい状況になっています。フランスは3月17日(火)正午から2週間の外出制限が出され、その後更に2週間の外出制限がなされています。
また、外国人がビザを取得できない国も出てきていますし、海外にも行き難い状況になっています。もちろん、このご時世では日本から留学予定だった人たちにも大きな影響が出ていると思います。
日本もそうですが、早いうちから手を打てばある程度防げることだと思っています。以下からは、フランスでの状況を時系列でお送りし、コロナウイルスの感染の恐ろしさをお送りしたいと思います。
最初はもちろん少人数の感染者が…
日本での感染者数を見ても、「まだ大丈夫」、「自分は大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。ですが、この感染者数は日に日にびっくりする勢いで広がっていきます。
在ストラスブール日本国総領事館からの情報を元に、時系列でその様子をお送りしていきたいと思います。これはあくまでもフランス全土ではなく、グランテスト地域圏と呼ばれる東フランスの一部の地域だけでの感染状況です。
その一部だけでもこんなに感染して言っているということを知ってもらいと思います。
3月1日(日)の時点でアルザス地方では、新たに4件の新型コロナウイルス感染症例が確認されました。3月2日(月)時点で、アルザス地方において確認された新型コロナウイルス感染症例は8件になりました。
また,お隣のナンシーでは、3名が新型コロナウイルス感染で入院。グランテスト地域圏では、計11件の新型コロナウイルス感染症例が確認されました。
これが今から1か月前グランテスト地域圏の状態でした。1日で人数は倍になったものの、1週間前はたった11件の感染者数だったんです。
きっかけはアルザス地方、オラン県で開催された宗教の集会…
アルザス地方は、オ=ラン県、バ=ラン県という2つの県を指すのですが、3月6日(金)11時にはオ=ラン県で81件、バ=ラン県で49件合計130件の新型コロナウイルス感染症例が確認されました。
この感染の増加は、2月17日~24日にオ=ラン県ミュールーズでキリスト教関係の集会に参加した多数から新型コロナウイルス感染症例が確認され、これがアルザス地方で起こったクラスターとされています。
オ=ラン県では感染症例数が拡大を受けて、3月6日(金)~19日(木)までの間に50人以上の集会を禁止、企業活動、飲食店、公共交通機関、スポーツ大会の禁止などの防止対策を強化しました。また、感染者が出た学校を閉鎖はされましたが、大学はまだ閉鎖されていませんでした。
オ=ラン県では上記のような防止対策が打ち出されました。しかし、この時点では県レベルでの規制です。
私の住むストラスブールはバ=ラン県だったので、まだこの時点ではここまで深刻ではありませんでした。
この時点では、フランスはかなり穏やかな雰囲気だったかと思います。私は個人的に大ごとになるんじゃないかと予想し、食べ物の買い置きなどした方が良いのでは…と考え始めました。
3月12日(木)には、マクロン大統領が新型コロナウイルスに関するテレビ演説を行い、国民の連帯を呼びかけつつ、複数の政策や方針を発表しました。
3月16日(月)から保育所、小中高、大学は、全て新たなアナウンスがあるまで閉鎖となりました。企業に対しては、テレワークの促進を推奨しました。
この時点でも、まだ外出規制ではなく自粛というレベルでしたが、急激に状況が変わってきました。お気づきのように、3月12日(木)の時点では『まだ初期段階』という見解でしかありませんでした。
コロナウイルス被害はどんどん拡大
3月14日(土)にフランス政府は,国内の新型コロナウイルス流行の加速度的な感染拡大として、ステージ3への引き上げを行いました。
3月6日(金)時点では数人だった感染者数も、3月15日(日)15時時点でオ=ラン県で688件、バ=ラン県で323件の新型コロナウイルス感染症例が確認されました。グラン=テスト地域圏全体では、1,378件となりました。
3月14日(土)の報告でフランス全土4,499人,91人死亡と発表されました。このうち重症例は300人ほどで、高齢者とは限らず半数以上は60歳未満です。また、91名が亡くなり、このうち71名が75歳以上でした。なお、98%の方は回復しているという状況でした。
たった10日足らずですが、物凄い感染者数に広がったことが伺えます。
そして、フランス政府は,3月14日(土)の24時から,新たな指示があるまで,国民生活に必須のものを除き,全てのお店を閉鎖する措置を取りました。閉鎖の対処となったのは、レストラン、カフェ、映画館、ディスコ等になります。
まだこの時点でも外出禁止(制限付き)ではなく、フランス政府からは移動を少なくし、都市間の移動を避けることが出されました。また、集会を最大限に避け、家族や友人との会合も制限し,公共交通機関の利用は職場に出勤する時のみ利用という内容でした。
また,真に必要な買い物や運動などを除いて,外出しないでほしいと述べています。
この時点ではまだ「自粛」というレベルだったので、フランス人の認識は現在の日本の状況ともあまり変わらなかったのではないかと思います。
また、被害が大きいと言われ、ドイツとの国境にあるアルザス地方は、この後3月15日(日)にはフランスからドイツへの入国が制限されました。
とうとう外出禁止令が出たものの…
3月16日(月)のマクロン大統領テレビ演説で、3月17日(火)の正午から少なくとも15日間の外出禁止令が出ました。また、規則に反した者は罰則を受けると厳しい内容が発表されました。
しかし、いくつかの事項については例外と見なされ,事前に証明書を取得しておくことでテレワークが不可能職場への移動や、近場の商店での必需品の買い物、制限付きですが運動などが許可されていました。
なので、フランス国内では「外出禁止令」ではなく、「外出制限」とも言われています。けれど、この証明書を所持していないと罰金など罰が課せられるようになりました。
この「例外」というところが、個人主義のフランスでは個人の見解も多く、多くの罰金者が現れ、さらに少量の買い物でも外出する人、公園内にて複数名でたむろする人たちや団体スポーツをする者の姿もニュースで放送されていました。
また、悲しいことに、そういう状況の中、外に買い物に行く姿などを動画配信するようなフランス在住日本人の方などもいて、私も本当に心を痛めました。
そういう動画を観て、今のフランスが分かることは良い事かもしれませんが、『外出禁止令』と言われている中、外出中の様子をSNSやYouTubeで流すのはどうかと思うのです…。
病院関係者まで感染
そんな中、3月26日(木)には、ついにアルザス地方・ミュールーズ市で21~6時の間,夜間外出禁止となりました。買い物、運動、ペットの散歩など外出は一切禁止。また,同時間帯は配達を含むすべての商業活動も停止となりました。
結局、「外出禁止」が出されても外出をする市民がいるため、どんどん規制が厳しくなってきています。また、悲しいことに、同日のニュースではアルザスの3名の医療関係者が亡くなったというニュースも入ってきました。
3月26日(木)現在の状況は、アルザス地方では1,977人が入院、そのうち480人が意識なく、呼吸器を付けた状態、271人の死亡が確認されています。また、フランス全土では19,856人の感染者、死亡者数は360人、この日のうちだけでの感染者増加数は3,838人でした。
フランスの状況しか詳しくは分かりませんが、この数字を見て、あれだけ少人数だったものがあっという間に増加していき、状況が悪化していくことを少しでも多くの方に知ってもらいたく時系列でまとめてみました。
もちろん、これはクラスターが起こったことも1つの原因でもありますが、どこでいつクラスターが起こるか分かりません…。
感染の拡大を止める手立ては、現在のところ不要な外出は避けるしか方法がありません。
実は自分も新型コロナウイルス感染かも?!
そんな私も前回記事でご紹介した通り、「コロナウイルスに感染したかも?」と思った1人です。
幸い、1週間高熱と疲労感、体の痛みがありながら、その後2週目にも熱が多少ある状況が数日続き、10日くらいである程度日常生活に戻れるようになりました。
それでもこんなに長期に渡って寝床にいたことも人生でなく、感染症だったことは確かだと思っています。
救急に電話しても重症で呼吸困難の症状がないと検査もしてくれないし、病院にも行ける状況ではありませんでした。それくらい今フランス、アルザス地方は人手不足、器材不足なのです。
こんな時だからできること
日本も今後どうなるか、他の国もどうなっていくかわかりません。けれど、今私たちができることは、「家にいること。」それだけです。
恐らく私のように感染しているかも、けれど検査ができていないという人も多く存在すると思います。
若い方は特に感染し難いし、感染しても症状が出にくいと言われています。けれどだからこそ逆に他の人に感染させてしまう恐れもあります。自分が知らないうちに感染して、そこから誰かに感染し…その先の誰かが亡くなってしまったら…。
この状況なので、医療関係者が感染しても働き続けなければならない状況だと、病院で仕事をするフランスの友人が言っていました。
この先さらに人手不足や資源不足にもなっていくことも予想されます。日本でも休校中に海外に行って新型コロナウイルスに感染した学生さんや、海外からの帰国者の中に感染者がいるケースもあるとニュースで観ました。
病院務めの方々は、自分が感染するかもしれないリスクを負いながらも患者さんのために働き、悲しいことに亡くなっていく方もいます。若い方が感染し、知らずに家に戻って家族が感染し、家族が亡くなるケースもイタリアのニュースで放送されていました。
そんな中、一人でも多くの方が今の状況の深刻さを理解し、家から外出しないようにすることが一番の解決策なのです。
この状況を阻止すべく今多くの方々ができることは、「外出しない。」ことと「手を洗う。」こと。今頑張って外出しなければ、早いうちに終息するかもしれません。
私もその日が早く来ることを祈っています。
【参考サイト】
在ストラスブール日本国領事館メール
LE JOUNAL DES FEMMES( https://sante.journaldesfemmes.fr/maladies/)