ニュージーランド英語とオーストラリア英語の間に違いはあるかを検証
同じオセアニアに属するニュージーランドとオーストラリアですが、それぞれの英語に違いがあることはご存知でしょうか?
よくオーストラリア英語はオージー訛りがあり、ニュージーランド英語にはキウイ訛りがあると良く言われます。
留学生やワーキングホリデーされる多くは、英語力を伸ばすことが第一目的としている方が多いのではないでしょうか?どちらの英語の方がより学びやすいかによって、留学する国を決めたいと思っている方も実際多いです。
今回は、よく比較されるこの2か国の「英語の違い」に焦点を当てたいと思います。
どちらの国へ行こうか迷っている方は、まずはぜひそれぞれの英語の違いを知ってもらえればと思います。
オーストラリアの英語とは?
オーストラリアとニュージーランドの英語を比較すると、「オーストラリア英語(オージーイングリッシュ)には訛りがある!」というイメージを持っている方が多いかもしれません。
オーストラリア英語はイギリスからの移民によって開拓されていますので、イギリス英語がベースとはされています。
皆さんご存知の「発音が違う!」という主な理由の一つは、先住民族のアボリジニが大きく影響しています。
例えば、オーストラリアを代表する動物である「カンガルー」や「コアラ」って、英語にしては少し独特な発音ですよね?日本人には発音しやすいと感じていた方もいるかもしれません。これらはアボリジニの言語を現在でもそのまま使用されている単語だからです。
このようにオーストラリアの英語は、アボリジニの歴史、そしてその後のオーストラリアの文化や環境、そして現在のように移民国家となったプロセスが大きく影響しています。
オーストラリア英語では「OK(オッケー)」を「アウケー」、「Good day」を「グダイ」のように発音するなど、口の動きを最小限で済ましている(?)と感じられることがあります。
これは一年を通して温暖な地域が多いオーストラリアにおいて、口を開いたときに小さな虫や砂ぼこりが侵入することを防ぐようにこのようになったと言われています。
諸説ありますので実際はわかりませんが、そう理解しておくとモゴモゴと「アウケー」と返事をされてもなんだか愛しく感じられちゃいますよね。(笑)
皆さんが「訛っている」とよく感じてしまう理由は、やはりこの独特な発音にあると思います。
その中でも特に代表的な、オーストラリア英語ならではの発音をご紹介します。
・Today(トゥデイ) ⇒ トゥダイ
・Mate(メイト) ⇒ マイト
またオーストラリア英語では、語尾を「-ie」または「-y」の発音で終わらせたり、単語を短縮して発音したりといった特徴もあります。
オーストラリア英語のことを「オージーイングリッシュ」というのも、この語尾を変化させる特徴がわかりやすく表れている単語の一つです。
・Australian(オーストラリア人、オーストラリアの)⇒Aussie(オージー)
→ これはまだ何となく分かる気もします。
・BBQ(バーベキュー) ⇒ barbie(バービー)
→もはや意味が変わってしまいますね。
・Biscuit(ビスケット) ⇒ biccy(ビッキー)
・Chocolate(チョコレート) ⇒ choccy(チョッキー)
→現地の子供たちが使っていそうなイメージです。
・University(大学) ⇒ uni(ユニ)
・Avocado(アボカド) ⇒ avo(アヴォー)
・Kangaroo(カンガルー) ⇒ roo(ルー)
→日本でも「チョコレート」を「チョコ」と言ったりするので、そのような感覚でしょうか。
フィリピン留学で英語を学んでから、オーストラリアにワーキングホリデーした方の記事もあるので、以下の記事も併せてご覧下さい。記事内では、オージー訛りが聞き取れなくて苦労したエピソードが紹介されています。
多くの留学生の意見を聞くと、オーストラリア英語やニュージーランド英語よりもフィリピン英語の方が聞き取りやすいと答える方の方が大半です。
ちなみに、フィリピンにもフィリピン訛りは多少ありますが、訛りの度合いからしたらオーストラリアやニュージーランドよりも随分と軽く理解しやすいと思います。
ニュージーランドの英語とは?
ではオーストラリアの「オージーイングリッシュ」に対し、ニュージーランドの英語は何というかわかりますか?ニュージーイングリッシュ?正解は… “キウイイングリッシュ(Kiwi English)” です!
ニュージーランド人は自分たちのことを「キウイ」と言います。なぜキウイなのかということについて深堀すると長くなりますが、「国鳥のキウイ」と「果物のキウイ」から来ているようです。
そこから、ニュージーランド人の英語は「キウイイングリッシュ」と言われています。
ニュージーランドの英語もオーストラリア同様イギリス英語がベースではあります。こちらも先住民族であるマオリの影響を受けているため、アメリカ英語でもなければ完全にイギリス英語というわけでもない、独自の英語とされています。
ちなみに前述の「キウイ」も、マオリ語の呼び名がそのまま英語として使われるようになったものの一つです。綴りに関しては、イギリス英語になります。
ニュージーランドに留学した方で、キウイアクセントに苦戦した留学生の記事を以下に紹介しておきます。
イギリス英語とアメリカ英語の綴りの違い一例
日本語の意味 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
色 | colour | color |
劇場 | theatre | theater |
中心 | centre | center |
味 | flavour | flavor |
免許 | licence | license |
「-or」⇒「-our」、「-ter」⇒「-tre」と微妙に綴りが異なります。ややこしいですね…。(苦笑)
ニュージーランドにおける英語の綴りはイギリス英語がベースということもあり、ニュージーランドの語学学校で取り扱う教科書は、イギリス英語になっていることが多いです。
ただし、発音はイギリス英語とは異なるものもあります。(アメリカ英語・オーストラリア英語とも異なります。)発音の違いの例は下記の通りです。
・Fish(フィッシュ) ⇒ フッシュ
・Chips(チップス) ⇒ チュップス
→ ニュージーランドでも人気の「Fish & Chips」の発音は「フッシュ&チュップス」みたいな感じでしょうか。
・Pen(ペン) ⇒ ピン
・Bad(バッド) ⇒ ベッド
・Rain(レイン) ⇒ ライン
ここまでになるともはや意味が変わってきますね…。口頭の場合、前後の文脈から理解するしかない場合もあります。
こうした違いも現地でキウイイングリッシュに接しているうちに英語に慣れてきます。
オージーもキウイも「訛って」いるのか?
留学の相談を受ける上で、「オーストラリアは訛りが心配です…。」、「ニュージーランドは訛っていますか?」、「発音が綺麗なアメリカ英語を学びたいです。」といったご意見をよく聞きます。
私はこれまで「英語を公用語とする国」に7か国以上行きましたが、私は英語ネイティブではないので、訛りがどうかなんてほとんど気になりません。
よほど英語の発音が良い人でなければ、どれだけアメリカ英語を学んでもやはりアメリカ人から見たら「日本人の英語の発音」でしかないのです。(もちろんネイティブスピーカー並みの英語を話せる日本人の方もいらっしゃいますが。)
確かに英語初心者にとっては、「オージーイングリッシュ」や「キウイイングリッシュ」のいずれの場合も、今回ご紹介した独特の言い回しに慣れるまでに時間が掛かったと言われる方が多いです。
移民国家であるオーストラリアやニュージーランドでは、国内だけで何百通りの英語を話す国民が混在しています。そのため、どの英語が正しい、どの英語が訛っている、という概念は基本的にはありません。
オーストラリアやニュージーランドに留学して幅広い英語に触れて英語耳が鍛えられた結果、アメリカ英語やイギリス英語が聞き取りやすくなったと言われる方もいます。
むしろ自分の好きな国・興味のある国で英語を学べることほど楽しいことは無いと思うので、ぜひ「〇〇英語」に捉われることなく、ご自身の興味や関心のある国を留学先に選んでもらえればと思います。