留学生活と音楽の深い関係 ~NZ留学思い出の楽曲たち②~
前回記事に引き続き、「音楽」について、考えてみたいと思います。
記憶と音楽は密接に結びつきます。全ての出来事を頭の中に記憶しておくことは不可能ですが、その時に聞いていた音楽を耳にすると、当時シンクロしていた出来事が蘇ってきます。
今回は私のニュージーランド留学の思い出の第二弾として、印象深い音楽と当時の出来事について紹介します。
「カントリー・ロード」
ニュージーランドでの留学生活が始まって1ヶ月が経った頃、学校生活にも徐々に慣れてきて、クラスメイトとの交流も盛んになってきていました。
語学学校での学生生活はというと、留学開始から1ヶ月が経った頃はちょうど中間試験の真っ只中。
試験の内容は、自分が興味のある分野を一つ選んで、それについてプレゼンテーションと質疑応答を行うことと、ニュージーランドにおける「砂糖税」賛成か反対かについて意見を述べるアカデミックライティングでした。
日本でも英語系の大学に通っていた私は普段から英語のクラスを履修しており、英語でプレゼンやライティングをする機会はありました。しかしながら、英語圏の学校で他の留学生を前にして、教授たちから質疑応答を受ける体験はしたことがありません。
アカデミックライティングのテーマである「ニュージーランドの砂糖税に関して」というテーマで英作文を書くためには、ニュージーランドの税に関する予備知識と世論、そして自分の立場の表明とその根拠について論理的に書かなければいけない大変な作業でした。
毎日試験準備に追われ、朝から夜まで勉強をしていたこの時期に、唯一私が息抜きできた時間があります。
それは、「友人たちと過ごす時間」でした。特に留学開始から1ヶ月たったこの時期は学習面での悩みが出てくる頃で、同じ大学から派遣された日本人の友人たちとの悩みや思いの共有の時間はとても大切でした。
そんな中間試験の準備期間中の放課後に、久々に日本人の友人たち全員が集まる機会がありました。近況を報告しあった後、日本の大学生活について話が盛り上がります。
以下は、その当時の私たちの会話の内容です。
この日私たちがたどり着いた答えは、「みんなでニュージーランドの空の下でアカペラを歌うこと」でした。そして、私たちがカバーする曲として選んだのが、「カントリー・ロード」だったのです。
「カントリー・ロード」の歌詞とその意味
英語版の歌手であるオリビア・ニュートン・ジョンが歌っている原曲や、ジブリ映画「意味をすませば」では本名陽子さんによる日本語版が使用されているこの「カントリー・ロード」。実は、さまざまなアーティストがこの歌をカバーしているんです!
私がお勧めするこの曲のカバーは「Goose house」というアカペラのバンドによるもの。YouTubeの彼らの公式チャンネルには、そのアカペラの演奏が動画で公開されています。
バンジョーやリコーダー、ギターやピアノなどを伴奏に、メンバー8人が本当に楽しそうに歌っている姿が印象的です。
私自身、留学先でこの動画を初めて聴いてインスピレーションを受けました。この動画をきっかけに、みんなでこの曲をカバーしたいと思ったのです。
また、この曲に惹かれた理由の一つに、この曲の歌詞の意味が自分の留学生活中の気持ちとリンクするところが挙げられます。ポップで軽快なメロディー、リズムに対して少し切ない歌詞が心を締めつけるような曲です。
それでは早速、「カントリー・ロード」の歌詞をみてみましょう。今回は私がニュージーランドで聴いて歌っていた日本語バージョンと英語バージョンの両方のカントリー・ロードの歌詞をじっくりと味わっていきたいと思います。
カントリー・ロード この道
ずっと 行けば
あの街に 続いてる 気がする
カントリー・ロード
ひとりぼっち 恐れずに
生きようと 夢見てた
寂しさ 押し込めて
強い自分を 保っていこう
カントリー・ロード この道
ずっと 行けば
あの街に 続いてる
気がする カントリー・ロード
歩き疲れ 佇むと
浮かんでくる 故郷のまち
丘を巻く 坂の道
そんな僕を 叱っている
カントリー・ロード この道
ずっと 行けば
あの街に 続いてる
気がする カントリー・ロード
どんな挫けそうな時だって
決して涙は見せないで
心なしか 歩調が速くなっていく
思い出 消すため
カントリー・ロード この道
故郷へ 続いても
僕は 行かないさ
行けない カントリー・ロード
カントリー・ロード 明日は
いつもの 僕さ
帰りたい 帰らない
さよなら カントリー・ロード
Almost heaven West Virginia
Blue ridge mountain
Shenandogh river
Life is old there
Older tha the trees
Younger than the mountains
Growin’ like a breeze
Country road take me home
to the place I belong
West virginia mountain momma
Take me home country roads
All my memories
Gather ‘round her
Miner’s lady
stranger to blue water
Dark and dusty
painted on the sky
Misty taste of moon shine
Teardrops in my eye
Country road take me home
To the place I belong
West virginia mountain momma
Take me home country road
I hear her voice
in the mountain hours
She calls me
the radio reminds me of my home
far away
and driving down the road
I get a feeling
That I should have been home
Yesterday, yesterday
Country road take me home
To the place I belong
West virginia mountain momma
Take me home country road
私の留学生活と「カントリー・ロード」
日本を離れて、ニュージーランドで憧れの留学生活をスタートしました。でも、憧れていた国で生活が始まったからといって、毎日が楽しくて理想的かと言うと、そうとは限りません。
自分が思っていたよりも英語が聞き取れなかいことも多く、言いたいことを上手く英語に落とし込んで伝えられなくて、相手と気まずくなることもしばしば。
親切で暖かい人たちに囲まれて生活をしていても、どこかいつも緊張していて心から休むことができなかったり、文化の違いによる衝突が起きたりすることもありました。時には日本の生活が恋しくなることも。 (これに関して私はほとんどありませんでしたが…。笑)
そんな時に、この曲を聴いて口ずさむとなんだかホッとして、「明日はいつもの私になっているはず。」と、気持ちを切り替えることができたのを覚えています。
歌詞の中に、「歩き疲れ 佇むと 浮かんでくる 故郷の街 丘を巻く 坂の道 そんな僕を 叱っている」とあります。
私が住んでいたアイランドベイから大学へ行く時に通る道が、まさに丘を巻くようにできた坂の道でした。
今でもこの曲のこの部分を聴くと、当時毎朝通っていたあの坂道の景色と、その時感じていた気持ちを思い出します。
留学生活中のワクワクした気持ちはもちろんのこと、当時感じていた焦燥感や不安、寂しさなどの気持ちをこの曲と一緒に今も思い出せるのは有難いことです。
そして、切磋琢磨していた友人たちと表現したこの曲のアカペラは、今も、そしてこれからも私の宝物であり財産です。