フィリピン留学で捨てチケットは不要?搭乗拒否の真実と対策をご紹介
「フィリピン留学へ、いざ出発!」と日本の空港でチェックインをする時に搭乗拒否のトラブルがあるという事はみなさんご存知でしょうか?
なんとフィリピンの入国条件(ビザ)や航空会社のルールで、きちんと飛行機チケットを購入しているにもかかわらず、飛行機に乗れないことがあるのです!
そこで、このコラムではなぜそうした事が起こるのか、トラブルを防ぐためにはどうすれば良いのかというのを事例を含めて解説していきます。
渡航前に知っておくべきルールと状況
まずは渡航前に知っておくべきルールと状況について押さえていきましょう!
フィリピンの入国条件
まずは、フィリピンの入国条件を整理します。
日本人がフィリピンへ留学(渡航)する際には、事前にビザを申請する必要はありません。
ビザがない状態(ノービザ)でも入国することが可能です。
しかし、フィリピンも無条件で「誰でも入国OKですよ~」というわけではありまません。
この「ビザがない状態(ノービザ)」でフィリピンへ入国するためには、下記の条件を満たす必要があるのです。
入国の際は、1)有効な往復航空券または、第三国へ出国する航空券を所持していること、2)パスポートの有効期限が滞在日数+6ヶ月以上であることが条件です。
[フィリピン大使館ウェブサイトより: https://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/services/visa/visa-free-entry-for-temporary-visits/ ]
ちなみに、上記の文章にある”下記の国籍の方”という部分には、フィリピン大使館ウェブサイトの該当か所にしっかり「69. JAPAN」と明記されていますので、日本人はバッチリ該当しています!
また、条件1の「有効な往復航空券または、第三国へ出国する航空券を所持」は、第三国へ出国する航空券であれば大丈夫です。
そのため、必ずしも日本への往復チケットである必要はありません。
具体的には下記のような「フィリピンから出るチケット」であればOKとなっています。
【フィリピン入国時のチケット例】
〇:フィリピンから日本へ帰国するチケット
〇:フィリピンからシンガポールへ出国するチケット
〇:フィリピンからマレーシアへへ出国するチケット
✕:フィリピンのセブからマニラへ行くチケット
→4番目のようにフィリピン国内のチケットはNGとなります。
航空会社の飛行機搭乗条件
上記のようにフィリピンとしては下記の「2つの条件を満たしていれば入国は問題ないですよ」という立場です。
+
②十分なパスポート期限
しかし、航空会社は上記フィリピン側のルールとは別のルール(航空会社側のルール)で飛行機の運航を執り行っています。
そのため、いくらフィリピンの国側のルールを満たしていても、航空会社のルールに合致しない場合には搭乗拒否されてしまう場合があるんですね。
具体的には、航空会社が定める飛行機の搭乗条件は下記の通りです。
or
②「30日以内にフィリピンの国外に出るチケットの所持」
上記の「いずれか」となっているためです。
通常、フィリピンへの留学生は「フィリピンへビザなし(ノービザ)での渡航」となりますので、①の「ビザの所持」は満たせません。
そのため、飛行機に確実に搭乗するためには、もう一つの条件②「30日以内にフィリピン国外へ出るチケットの所持」を必ず満たす必要があります。
そして、この条件が満たせないと搭乗ができない(搭乗拒否)となってしまうのです。
搭乗拒否されるかどうかは運次第
上記のように、フィリピン留学で確実に飛行機に搭乗するためには条件②「30日以内にフィリピン国外へ出るチケットの所持」を満たす必要があるというのが分かりました。
しかし、こうしたチケットの所持はチェックインの際に全員をしっかり確認しているわけではなく、実はランダムで確認されています。
チェックされる人もいれば、チェックされない人もいるという状況なんですね。
また、航空会社側でも「お客さんがたくさんいてチェックインカウンターが特に忙しい時」などは、細かくチェックできずに、そのまま普通に搭乗できてしまうこともよくあります(笑)
一方で、お客さんが少ない時(行列がないとき)にチェックインカウンターに並んだりすると、航空会社もこのあたりをしっかりチェックしてきたりします。
そのため、あなたがもしチェックインをしようと列に並んだ時に、運悪く下記のような状況となると搭乗拒否となってしまうのです。
↓
・持っていたチケットは「フィリピンへのチケット」+「3ヶ月の留学を終えた後に日本へ戻るチケット」の2枚だけ
↓
・「あなたは、ビザも30日以内にフィリピン国外へ出るチケットを持っていない人」なので、飛行機に乗せられませんよ!
また、これまでの経験上、一度搭乗拒否を言い渡されたら、窓口でどれだけ交渉をしても乗せて貰えないケースがほとんどです!(彼らもルールに従って、責任を持って業務を行っているため)
航空会社はなぜそうしたルールを?
ではなぜ航空会社は「30日以内にフィリピン国外へ出るチケットを持っていないと飛行機に乗せませんよ!」とフィリピンの国側よりも厳しいルールを設けているのでしょうか?
実は、これは航空会社も単に意地悪でやっているわけではなく、ちゃんとした理由があるのです。
その理由とは、もし航空会社が下記のような状況に直面してしまうと、航空会社側に責任が発生してしまうのです。
この航空会社側の責任というのを、より具体的に言い換えると…
「もし搭乗者(お客さん)が万が一フィリピンで入国拒否をされた場合には、その人を乗せてきた飛行機会社が日本まで責任を持って送り返さないといけない」というルール(責任)があるという事です。
航空会社も、入国拒否されたその人をポンっと空港に置き去りにするということはできません。
入国拒否が合った場合には、航空会社が自腹で復路のチケット費用を負担して、日本へ連れ戻さないといけないんですね。
つまり、航空会社としては「そうした費用負担や責任は絶対に取りたくない」という深い事情があるのです。
こうした状況があるため、航空会社も搭乗時には執拗にビザの所持や、30日以内にフィリピンから出て行くチケット所持をチェックしているんですね。
搭乗拒否を回避する捨てチケット
フィリピンの国、航空会社側での事情はなんとなくわかりましたでしょうか?
その上で、こうした航空会社の搭乗拒否を回避する方法があります。
それがいわゆる「捨てチケット(実際には使わない飛行機チケット)」になるのです。
捨てチケットとは、この航空会社側の搭乗拒否を回避するために準備するチケットで、実際には使いません。
この捨てチケットは、単にフィリピンから国外へ出るチケットであれば大丈夫なので、フィリピンから近くて安い国(例えばマレーシアやシンガポールなど)のチケットを買うケースが多いです。
また、搭乗時の保険として使う実際には使わないチケットなので、「オプションなども全部外し、出発時間や場所なども考慮しないでてとにかく安いもの」を準備します。
もちろん搭乗時に捨てチケットの提示を求められない場合もありますので、「せっかく準備したのに使わなかった…」となる可能性もあります。
しかし、運悪く搭乗拒否となってしまったら、空港カウンターの列をいったん離れ、スマホなどで急いでその場でチケットを探して予約をしなければいけません。
もし搭乗時間が迫っていて、チェックインカウンターが大行列となったら、最悪搭乗に間に合わない可能性も出てきます。
こうしたリスクをできるだけ避けるために留学ドットコムでは、「フィリピン入国から30日以内にフィリピン国外に出国する航空券」を購入するようにご案内をしています。
イメージとしては、捨てチケットが搭乗を確実に行うための保険のようなになる感じですね。
もちろん捨てチケットは必ず準備しなければいけないというものではないので、最終的には留学する渡航者が最終判断する所とはなっています。
捨てチケットを使わない方法も
「搭乗拒否は怖いけど…実際使わないチケットをわざわざ購入するのも気が引けるなぁ…」という方もいらっしゃると思います。
そうした場合には、「日程変更できるチケットを購入する」という方法がオススメです。
基本的に「格安航空券は日程変更ができない」というのがルールになっているのですが、購入時に「日程変更ができる」という有料の追加オプションを付ける事で日程変更が可能になります。
例えば、フィリピン留学される方に人気のLCCであるセブパシフィックでは「GO Flexi」という無料でキャンセルできる有料オプションがあります。
ただ、セブパシフィックの「Go Flexi」を使う際には、下記の2つは注意しておきましょう。
また、旅行サイト(航空券予約サイト)でも独自のチケットの日程変更ができる有料オプションもありますので、もし捨てチケットの手配に抵抗がある人はこうした方法も試してみましょう。
留学期間によって選択肢も変わる
航空会社側の搭乗ルールは「30日以内にフィリピンを出るチケットを所持」ですので、30日以内の短期留学の場合にはそもそも捨てチケットの準備は不要になります。
そのため、留学期間別に捨てチケットについて情報をまとめると下記のようになります。
→復路が30日以内のチケットになるため
→捨てチケットは渡航前に準備が必要だけど、復路はフィリピン到着後に手配でもOK
→渡航前に「捨てチケット」と「復路」の2つを事前手配する
3つ目の「選択肢C」については、なぜ渡航前にも「フィリピンから出て行く復路チケット」も必ず準備が必要になるのでしょうか?
それは、フィリピンで現地到着時に取得するSSP(特別就学許可証)の申請でフィリピン移民局側で下記のような指示があるためです。
→SSPについて詳細を知りたい方はこちらのコラムもご参考下さい。
つまり、例えば5ヶ月の長期留学を予定している方の場合には、入国直後に取得するSSPの申請のために、「私は5ヶ月後にフィリピンをちゃんと出て行きますよ」という証明としてチケットの提示が必要なのです。
ちなみに、前述した日程変更が可能な有料オプションを利用すれば、下記のように捨てチケットとSSP申請時のチケットの両方を上手に準備する事も可能です。
日程変更オプションと捨てチケットの値段を上手に使って、できるだけ安く押さえられるように工夫していけると良いですね^^
キャセイパシフィック航空に搭乗拒否の問い合わせしてみた
少し前の事例ですが、2018年にキャセイパシフィック航空に対して搭乗拒否について直接尋ねてみた時の情報も参考までにお伝えします。
その時、キャセイパシフィック航空からの回答は…
「ビザを持っていないといけない」
「30日以内に出て行くチケットを持っていないと搭乗できない」
「この搭乗ルールは航空会社によらず、どの航空会社でも守るべきルールになっている」
…という回答でした。
ちなみに、もし予め日本でフィリピンの観光ビザを申請する場合、手間とお金が掛かってくるため、日本国内で観光ビザを取得する方法は現実的ではありません。
実際の搭乗拒否の事例を紹介
また、留学ドットコムのリサーチでは、過去に搭乗拒否に遭ったと確認できている航空会社は以下の通りです。(ほぼ全ての航空会社です)
デルタ航空、アシアナ航空、大韓航空、ジェットスター航空、マレーシア航空、セブパシフィック航空、バニラエア、全日空、キャセイパシフィック、などなど。
以下、具体的に3件実際あったケースをご案内します。
事例1: 全日空(ANA)
2018年4月の日曜日、全日空を利用し関西空港から羽田空港に移動。
そして、羽田空港からマニラ空港行きの飛行機に搭乗予定でした。
搭乗拒否に遭ったのは、羽田空港でではなく最初にチェックインした関西空港で起こり、結局その方は一旦自宅に帰宅し、後日再出発となりました。
事例2: バニラエア
2017年3月、バニラエアを利用した生徒が捨てチケットを所持していたにも関わらず、搭乗拒否に遭いました。
お客様の状況としては、フィリピン留学半年間の予定で、日本帰国便の航空券は手配せず、下記2点のみ用意して出発する予定でした。
航空会社職員に「これらの航空券(行きの航空券 + 捨てチケット)だけでは搭乗させられない」と言われました。
Eチケットも提示した上で、職員に理由を尋ねたところ「フィリピン国内線の移動をする航空券では出国の証明にならず、往復を持っていることにならない」とスタッフは続けます。
実際はフィリピンから「マレーシアに出国する航空券」を所持していたのですが、何故かフィリピン・マニラ発、マレーシア・コタキナバル行きチケットをフィリピン国内線の便だと判断されてしまいました。
本件は職員の勘違いによるものだと推測できます。
今回、生徒は留学できないかもしれないという焦りから判断力を奪われ、バニラエアの職員にその場で提案された一番安い日本帰国便の航空券(約15,000円)を購入し、渡航することになりました。
事例3: 全日空(ANA)
全日空を利用したお客様が、搭乗時間ギリギリに受付カウンターで搭乗拒否に遭いました。
学校スタッフが説明し、納得した時には既に搭乗手続きのカウンターが閉まってしまいました。
その方は、結局翌日での出発となりました。
確実に飛行機に乗るための方法
確実に飛行機に搭乗するためには、やはり「フィリピン入国から30日以内に他国に出国する航空券」すなわち「捨てチケット」の準備が確実です。
ただし、捨てチケットを購入しないまま渡航し無事搭乗できている方も事実いらっしゃいますし、留学生から留学ドットコムへ30日以内にフィリピン国外へ出て行くチケットの提示や提出義務もありません。
あくまで各々の判断で、「購入するかどうか?」をご判断頂いています。
捨てチケットの手配時の注意点
また、捨てチケットの値段や注意点についても見ていきましょう。
まず捨てチケットの費用は、時期によっても値段が変動しますが、6,000円程度を想定していればと思います。
例えば、セブパシフィック航空のマニラ発、マレーシア着便が時期によっては6,000円程と安価なチケットとなります。(キャンペーンなどが適用されればもう少し安くなる事もあります!)
ちなみに、セブパシフィックのチケットはオンラインで簡単に手配できるのですが、購入時に下記のようなトラブルもありましたので、もしチケット手配が不安な場合にはオンラインでの直接手配するのではなく、旅行代理店経由で手配すると安心です。
事件が起きてから焦っても遅い
搭乗拒否が起きるかどうかは運次第ですので、留学エージェントとしてもなかなかご案内が難しいというのが正直な所です。
ただ、過去に搭乗拒否で飛行機に乗れなかった留学生は実際にいることを、頭の片隅に置いて考えて頂ければと思います。
チェックインの際、搭乗拒否を言い渡されたら、皆さん頭がパニックになります。
自分の後ろにはチェックインの行列で待ってる人がいます。
また、国際線の場合、チェックインの時間から飛行機離陸までの時間は、わずかな時間しかありません。
冷静に対処できる人の方が珍しいでしょう。
搭乗拒否を言い渡され、万が一当日に飛行機に乗れなかった場合は、飛行機チケットも買い直しとなり、精神的&金銭的負担は大きなものになります。
捨てチケットは必要なければ、名前の通り捨てるだけになってしまいますが…搭乗拒否のリスクと保険としての安心感、そしてチケットの値段と比べてみて後悔しない判断してくださいね。
入国のルールやビザ情報については、今後変わる可能性があります。最新の情報は、大使館や航空会社にもご確認をお願いします。