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1歳までは英語教育不要!日本語で育てる赤ちゃんの脳

公開:2018/11/26 著者:中山 大輔 11553 Views

「これから生きていく上で英語をしっかりと身に付けて欲しい!」親御さん全員の願いだと思います!

 

さらに、欲を言えば「赤ちゃんのうちに英語耳や英語脳を育ててあげて、できるだけ子供の役に立ちたい!」という思いもあると思います。

 

英語独特の発音が聞き取れる英語耳、英語をそのまま理解して英語で話す英語脳。どちらも魅力的な単語ですよね。

このコラムでは赤ちゃんの英語耳、英語脳を育てるためにできる事を脳の仕組みを含めて分かりやすくご紹介します!

生後7ヶ月から本格的な母国語の勉強がスタート

実は、赤ちゃんの脳は生後6ヶ月までは「赤ちゃんがあらゆる音を聞き分けながら、自分の母国語はどれかを探り、決めていく。」という期間になっています。

この時は英語脳、日本語脳、英語耳、日本語耳という区別がありません。

 

ちなみに、なんと生後6ヶ月までは世界中の言語に存在する800種類もの「音」の種類を全て区別、聞き分けられるというものすごい状態だったりします。

そして、7ヶ月目から1歳までは「これが母国語だぞ!と思う音をどんどん耳にして、脳の中でその音を一つ一つ細か~くチェックをしていく期間(統計学習=データ収集)」になっています。

 

 

7ヶ月目から1才までの赤ちゃんは当然言葉の意味や文法、それにどれが単語なのかという事はさっぱり分かりません。

 

そのため、7ヶ月目から1才までの赤ちゃんの脳は「どんな音が頻繁に聞こえるのか」、「どんな音が何回聞こえたか」、「どの音と音が繋がっていて単語になっているのか」などを実は一つ一つ地道にチェックをしています。

 

この時に、例えば英語が母国語である赤ちゃんの脳は、「L、R」の区別をしながらチェックをし、「L、R」の情報をどんどんデータとして積み上げていきます。

一方で、日本語が母国語である赤ちゃんの脳は「L、R」の区別はしないで、単純に「ら、り、る、れ、ろ」という情報をどんどんデータとして積み上げていきます。(赤ちゃんの脳が自分の母国語は日本語だ!と判断をしたら、L、Rの区別は行わなくなっていきます。)

 

ちなみに、生後8ヶ月から10ヶ月の間は、まだ赤ちゃんの「音を区別する能力」がまだ少し残っていたりします。

この時期に日本語が母国語の赤ちゃんに非母国語である英語のテストをすると「L、R」の区別できます。

しかし、1才になる頃にはこの能力がなくなり、母国語の音だけをより正確に区別できるように変化していきます。

 

マクドナルド?マクダァナルズ?

実は、ワシントン大学の学習脳科学研究所の所長で言語能力研究者であるパトリシア博士の研究とは別に、2010年に面白い研究発表がありました。

独立行政法人の理化学研究所とフランス国立科学研究センター(CNRS)が行った研究です。

「日本人は、生後14ヶ月後にフランス語の音を日本語ベースでリスニングする。」という内容です。

 

これはどういう事かと言うと、「生後14ヶ月後には赤ちゃんの耳と脳が日本語ベースとなるので、フランス語の細かな音の違いが区別できずに、全てを日本語の音として捉えてしまう。」という内容です。

フランス語ではちょっとわかりにくいので、分かりやすく英語で置き換えてみましょう。

 

例えば、英語のマクドナルド [ Mc・Don・ald’s ]は、[マク・ダ・ァルズ]と3音節ですが、日本語では[MA・KU・DO・NA・RU・DO] と6音節になります。

生後14ヶ月後になると [マク・ダ・ァルズ]という音が聞こえてた場合でも、赤ちゃんは[MA・KU・DO・NA・RU・DO]とでしか聞けないというものです。

 

これはパトリシア博士の「1歳ごろになると母国語の音だけを正確に区別する(外国語の音は正確に区別できなくなる)」という研究ともほぼ同じ内容と捉えることができます。

 

また、英語教材などの宣伝文句でこの「1歳ごろまでに日本語耳ができあがってしまうから、その日本語耳になる前の1歳頃までに英語をたくさん聞かせましょう!教育してあげましょう!」という意見もあります。

しかし、過度な早期英語教育は脳へのストレスやダブルリミテッド、そして母国語成長の鈍化へ繋がる可能性もあります。

※ダブルリミテッドとは「どちらの言語発達も一定レベル以下(未発達)で、どちらの言語力も通常より低くなり、どちらの言語もうまく使えない中途半端な状態」を指します。

こうした早期英語教育のデメリットに事に一切触れず「英語教育をとにかく早く、とにかく多く行うと良いよ!」というような教材や宣伝文句は少し注意深く見るべきでしょう。

 

言葉を覚えるのは人からの言葉だけ

じゃあ、具体的に子供が0歳から1歳になるまでに言語学習上、どんなことをすれば一番良いのでしょうか?

その答えは、「赤ちゃんにとにかくたくさん話しかけてあげましょう!」という回答になります。

パトリシア博士の研究でも特に面白いのが、7ヶ月から1歳までに行われる脳の統計学習(どんな音が何回聞こえたか、どんな音が頻繁に聞こえるのか、どの音と音が繋がっていて単語になるのかという情報)は、「人による言葉だけ」というものです。

 

つまり、録音された声やテレビは1歳までの赤ちゃんの言語学習には残念ながら役に立たないというのです。

 

 

この研究結果からすると英語の教材CDなどを1歳になるまで、赤ちゃんにいろいろ聞かせる事はあまり意味がない事になりますね。

また、赤ちゃんに対する言葉(マザリーズ)は、「食事=まんま、イヌ=わんわん、自動車=ブーブー」などがありますが、こうした1トーン高く独自の言葉遣いは赤ちゃんの注意を引きつけるので、赤ちゃんがより認識しやすくなります。

 

「こうした赤ちゃん言葉(マザリーズ)で話しかけられた赤ちゃん」は、「赤ちゃん言葉で話しかけられなかった赤ちゃん」に比べて2倍もの単語を覚えたという研究結果もあります。

 

ちなみに、赤ちゃんは親の目線にも非常に敏感で、音だけではなく親の視線も駆使しながら言葉を覚えていきます。

例えば、親がおもちゃに視線を向けて「おもちゃ」と発音すると、その事を赤ちゃんは敏感に察知して、「これはおもちゃなんだな!」という情報を赤ちゃんの脳が少しずつ積み上げていきます。

今、7ヶ月から1才のお子さんをお持ちの方は、どんどんとお子さんに話しかけてあげましょう!

 

まとめ

改めて情報をまとめるとこんな風になると思います。

 

・生後6ヶ月までは脳が母国語を決める期間
・生後6ヶ月までは英語だけでなく、どんな言語の音も聞き取れる
・生後7ヶ月目からは母国語が決まり、その母国語の音をベースに聞き取りをする
・言語学習上は、直接の話しかけ、マザリーズ(赤ちゃん言葉)が有効

 

また、英語のCDなどは言語学習や脳科学上はあまり効果がないかもしれませんが、子供が英語の音自体を好きになる可能性はあります。

そのため、もし親御さんが洋楽などが好きでれば聞かせてあげても良いかもしれませんね。

 

1歳頃までは特に英語教育については気にしないで、たくさん日本語で声を掛けてあげて、話してあげるのが一番だと思います。

 

また、1歳から(ベビーシッターを利用)留学できる親子留学プログラムもあるため、ご興味のある方はぜひ下記のコラムもチェックしてみてください!

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