どの語学学校でも言うフレーズ「教育の質の高さには自信があります!」は本当なのか?
留学フェアに参加すると、語学学校のスタッフと話ができる機会があります。どの学校スタッフも、「当校は教育の質が高いです!」と口を揃えて言います。営業をしてるのですから、当然と言えば当然ですが…(笑)
そもそも「質の高い教育」とは、どういう意味なのでしょうか?
何かモノサシとなるような基準があるのでしょうか。どこか他校と比べて、自校が優れていると表現してるのでしょうか。または、どこかの教育団体が全ての語学学校を公平に審査して、評価を下してるのでしょうか。
実は、明確な基準はありません!
営業トークと言ってしまえば、それまでです。。。
「質が高い」という言葉は、極めて曖昧です。学校側の考える基準が異なる中、何を根拠にしているのか考察してみましょう。
「教育の質が高い」の定義とは?
「質が高い」と言っても、学習内容、学習環境、学校のレベル、教員のレベル、プログラム…など、思いつくだけで様々な要素を挙げることができます。
例えば、ユニセフでは質を構成する要素として、「学習者」、「環境」、「内容」、「プロセス」、「成果」の5つを挙げています。
しかし、ベトナムでは教育の質の定義は少し異なっており、「教員の質」、「カリキュラムや教材の質」、「教授法」、「学習者の意欲」、「人生で役立つ教育」が、教育の質に大きく関わると考えられています。
このように、教育の質とは価値観によって異なり、多数の要素があります。そして、学校毎に価値観は異なります。
学校側が自主努力をしていたとしても、他校の事情までは分かりません。極めて冷静に表現するなら、「当校は素晴らしい!」と自画自賛しているとも言えるでしょう。
では、フィリピンのMMBSとマルタのNSTSという学校をリサーチしましたので、この2校について検証していきたいと思います。
フィリピンの語学学校「MMBS」の質を検証
フィリピンのセブではなく郊外エリアにある、 MMBS(Man To Man Boarding School) という語学学校も質に自信を持っていると自負する語学学校の1つです。
MMBSへのクチコミ投稿では、学習者の質について調べると、ほとんどの方が「真面目」といった感想を述べています。学習者の質の高さが期待できるようです。
学校周辺はフィリピン国内でも比較的治安が良く、誘惑の少ない落ち着いた雰囲気の学校です。しっかりと学習に集中したい方に最適な環境のようです。講師陣の中にはTOEICテスト満点を保持者がいるなど、学習環境や教師の質の高さの面でも期待できそうです。
授業内容は、様々なニーズに応えられるようコースを豊富に用意されており、問題なさそうです。気になる成果ですが、片ごとの英語力でも、約1年以内にはビジネスシーンで問題ない英語力まで成長しています。また、TOEIC800点以上の取得者も数多く排出している実績があります。
つまり「質の良い授業の提供」は、ある程度期待できる語学学校だと判断して良さそうです。確かに人気国の有名校ならば、質の高い教育であって当たり前なのかもしれません。ただし、下記で事例を紹介しますが、完璧な学校というワケではないことも補足しておきます。
マルタで質の高い教育を提供すると言う「NSTS」
次に、マルタの語学学校で見てみましょう。「教育の質は確かである」と自信を持って運営している NSTS(NSTS English Language Institute) ではどうでしょうか。
学校周辺は学生が多く活気のある地域に位置しており、リゾート地としてのマルタを漫喫できる環境のロケーションで、環境面には非常に満足度が高いです。
学習面はそれほどまでに力を入れていないのかと思いきや、NSTSはマルタで最初に設立された老舗の語学学校で、長く指示されていると言うことからも、一定の安心感はありそうです。
追加費用無しで少人数制クラスの授業を受講することができる他、教師はCELTAなど資格保有者を揃えています。老舗校ならではの経験豊富かつポジティブな講師が授業を提供しているため、学習面や教員の質も高いと感じる学生が多いです。
また、日本人留学生の数もあまり多くはないので、英語漬けの日々になれると感じる方が多い学校です。結果として、英語を話す機会が多く作れるため、短期間でも成果を残すことが期待できそうです。
アメリカやカナダ、オーストラリアと異なるマイナーなマルタですが、リゾート気分を味わいながらも、しっかり勉強できると感じているようです。ただし、「マルタに行きたい!」という条件が、満足の大前提としてあるように思われます。
「教育の質」という1点で、語学学校を決めてはいけない
上述のMMBSやNSTSに通った学生の中には、誰しもが満足であったわけではありません。数は少ないものの、満足できなかった方もいらっしゃいます。具体的にどういったところが合わなかったのかを紹介しましょう。
学校が合わなかった事例1
MMBSのある郊外エリアは、落ち着いた環境で勉強には最適と言えそうです。日々がつまらないと感じる方がいました。MMBSのエリアは大型ショッピングモールもあり、生活の不便さはありませんが、セブのように気軽に遊ぶ場所がたくさんあるエリアではありません。
学校が合わなかった事例2
日本人留学生が少ない環境が良いとのことでNSTSを選びました。英語力初心者で海外もはじめてと、不安が大きい方だったのです。日本人留学生が殆どいない学校で不安になり、英語も話せないので友だちもできなく、この方にとっては不満足の結果に終わりました。
学校が合わなかった事例3
授業内容が自分の求める内容でなかったケースもありました。その方は、会話とTOEICを同時進行で勉強したかったのです。しかし、学校側に事前に対応可能かの確認せずに入学し、学校側は学生のイレギュラーな希望に対応できず不満足な結果になりました。
このように、多くの学生は満足していたとしても、一部のニーズの異なる方には合わないという結果も実際にあるのです。完璧な語学学校は存在しないため、自分の求める希望条件をしっかり整理し固めてから、語学学校を絞っていくべきであることが分かります。
「教育の質」とは抽象的で、明確な基準はない!
「教育の質」とは、定義をつけることが困難で、価値観によってかなり左右されてくるものであることが分かります。
「質の高い教育」に自信を持っていると自負する語学学校は、あくまで自分たちの価値基準に過ぎません。
「学習面よりも、文化に関して多く学びたい!」という方や、「明るい雰囲気より、静かに勉強したい!」という方など、個々がイメージする基準や環境が存在します。
結局のところ、良いか悪いかは、皆さんがイメージする学習環境に合うかどうかで変わってしまうのです。
今回、「教育の質の高さには自信があります!は本当なのか?」という検証をしました。「自信がある!」は、営業トークとして流しましょう。
そして、「人気国だけが教育の質が高い」という考えや、「安いから教育の質が低い」といったことは、一概には言えません。
人気国や語学学校のランキングや口コミは、あくまで参考程度に!友だちが「良かった!」という国や学校も、そのまま受け入れてはいけません。
「自分が行きたい国」、「自分がイメージする学習環境や生活環境」、「留学予算」などで語学学校を絞り込んで行きましょう!