地方都市クラークとバコロドに来る生徒の傾向と特徴(後編)
前編ではバコロドとクラークのエリアについて概要を比較と、それぞれの都市の私が滞在経験のある語学学校OKEAとEG Academyの概要を比較しました。
フィリピン滞在歴4年弱の経験からもっと詳細に、より多くの情報を綴りたいのですが私の性格がかなりの面倒くさがりで全てに触れることは無理です。
なので、多くの方が気になるポイントを絞って、今回は以下の3点にフォーカスしていきたいと思います。
私は留学生たちと話すことが基本好きなので、留学目的や留学前後のヒストリーと展望、どこの留学エージェントを介して、どんなカウンセラーさんだったのか、なぜこの学校を選んだのか、と色々と個人の想いや情報を聞き出します。
「こんな事をしてどんな効果があるのか?」というと、一人では行動出来ないヒトが同志を見つける事で行動に移せるかもしれない、漠然とした展望や白紙の展望に好奇心をそそる情報が入り、将来の選択肢の幅が拡大するかもしれないからです。
多くの留学生と話していると思っている以上に「何となく留学しに来た。」、「フィリピン留学後はワーホリに行くけど、その後は考えていない。」というヒトが本当に多いのが事実です。
そのような人々を見ていると、留学中でも漫然と留学生活を過ごして英語力を多少アップさせていい思い出にしているだけです。
「その程度の行動で自分を変えられると思っているのか!?」とも言いたくなるほど日本と同じ生活を過ごしてる生徒は、結局留学に来ても大きな進化はないです。
逆に、海外に出て一歩踏み込んで自分の気になる事をとりあえず単独でやってみるヒトは、何かを掴んで次の行動に移しているのが目に映ります。そうゆうヒトは時にみんなと行動し、時には自分で考え、単独で行動に移しています。ここの差はかなり大きいです。
統計的に漠然と過ごすヒトが9割、積極的に行動するヒトが1割未満の世界。
だからこそ見えてくる勝ち組と負け組の差。
「勝ち負けはヒトに当てはまらない。」という意見もありますが、漫然と時間を費やすヒトは負けるヒト、自分で考え行動出来るヒトは勝てるヒトだと私は思います。
せっかく留学という大きなお金と時間を費やす大きな自己投資なので、多くの人が変化できるためにも後編突入します。
どんな日本人が留学来ているの?
OKEAとEG Academy(以下EG)にマネージャーとして働いていて、見えてくるものってホントに多いです。
例えば、就労していないと見えないオフィスサイドでは、まず送客してくれる留学エージェントさんもかなり異なります。正直OKEAに居た時には接点の全くなかったエージェントさんや聞いたこともないようなエージェントさんがEGにはバンバン送客してくれている。
OKEAではお客様情報の管理も紙ベースでのマニュアルだったのが、EGでは全てシステム管理されて効率的に情報が社内でシェアされている。社内の人件費の内訳も全く異なったりして、「学校変わるとこんなにも違うもんなんだなー。」と一か月経過した今でも感嘆しています。
上述のように留学エージェントさんが異なると、送られてくる生徒の年齢層の違いがあることに気づきました。その点も含めて、どんな日本人がOKEAとEGに留学来ているのかを紹介します。
OKEAに来る留学生の特徴
・法人からの生徒はゼロだが学校団体のウケが良い。元々法人からの生徒もいましたが、ドミトリーの不具合が頻発していたので、もう2年間は来ていません。しかし、地元の私立大学とのコース内容が充実しているため、中高からの反応が良く新規問い合わせも増加中。
コース内容としては現地大学生とバディシステムがあり交流が完全自由、大学の聴講も必須のためフィリピンの大学の授業を体験、共同実験もあり、「コト」を現地大学生と共有できるのが非常に刺激的な点で帯同してるだけでもかなり楽しい!
しかもコースによっては認定留学(日本の大学で単位が取得可能)にもなるので、大学生からするとより嬉しい。
・個人の留学生は20代中盤の転職組が多く、折角留学するのだから日本人の少ない環境で勉強に集中することができ、信頼出来る学校という理由で来るヒトがほとんど。反対に大学生の留学は夏に数人来る程度。
・性格も俯瞰して見ていると、多くの方が独自の考えや信念を持つ個性的なヒトが多いので、お互いを尊重し合えるマイノリティが集まる。
・個性的ではあるが具体的な将来設計を持っているヒトは多くないので留学後はとりあえずワーホリか、帰国して転職を考えているヒトが多い。また、とにかく留学先に日本人が少ないところを重視している。
・独自の考えと行動力を併せ持つヒトも来ているので、生徒主体で考案されるボランティア活動やパーソナルアクティビティも行われる。
・数学の塾講師が現地の中学で、英語で数学の授業実施
・聴覚に障害のある生徒がフィリピンの聾学校にてインタビュー
・現地のJICA隊員とディスカッション
・現地NPOと国内最貧困エリアにスタディツアー
EG Academyに来る留学生の特徴
・法人や学校団体の受入れ実績多数という事から、施設とコスパ面において満足されていることが伺える。
・法人の生徒は、20代中盤のキャリアアップに繋げるための研修組と40代の留学後に海外支店駐在員の準備組が来ていて、お互いの職を話して異業種を知り合う機会となっている。
個人の学生に関しては、学期休みを利用して多くの大学生が来ており、この時期には日本人の約半数以上が大学生を占める。
・大学生だがセブ以外でコスパのいい学校を留学エージェントと相談して来ている方が多いので、平日は学習に集中、週末はしっかり遊ぶというメリハリのある留学生活を送っている生徒が集まっている。
・アンヘレスというエリアで最も勘違いされるのが「遊学」になるのではないかという懸念疑念。確かに「ウォーキングストリート」言われる大きな歓楽街風俗街が存在するが、EGからは車で約30分は掛かるので毎日行ける所ではない。
・ネイティブ講師が多数在籍しており、ネイティブコース受講者も多い。留学後は多数がワーホリを考えている訳ではなく、帰国して英語を使った仕事に就きたいといったいわゆる転職組も多いのが現実。
・コスパ重視で選んでいるせいか、独創的な考えを持っているヒトというよりかは、まずは英語力の向上を目的として留学している。そのため、ボランティア活動に参加するようなOKEAに来る個性的な生徒は少ない。
OKEAとEGの留学生の特徴を総括すると、OKEAはとにかく日本人が少ないところで留学できる点でのプライオリティーが高いため、留学中に自分を変える努力、変える行動力を兼ね備えるヒトが集まる傾向がある。そのため、一体感が生まれやすく、帰国後も繋がっている生徒が多い。
客観的に見ていても何かをしたいという思いはあるけど、その何かが見つけられていないヒトも多いので、とにかく外国人学生と積極的にコミュニケーションを取り、一緒に外出し様々な異文化を捉える行動を取っている。
運良く行動力の高いヒトが集結し、コトを起こした時のOKEA生は周囲を巻き込んだアクティビティを自分たちだけで作ってしまうので、感化される非常に良い環境だと言える。
過去には日本人二人だけで孤児院にボランティアしに行くというプランからスタート。
その後、他の日本人や台湾人も合流し、計10人程で訪れて体育と数学の授業を全員で行うなど、少人数では出来なかったコトを実行。
さらに内一人は、その時に感化されてか留学後JICA隊員となり現在ブラジルで活躍中。
EG生はとにかくコスパ重視で勉強に集中したいというヒトが多いので、珍しい活動はすることは見られないが、毎日の日記提出が義務付けられているので皆必死こいて勉強しています。
また、全室ウォシュレット付きや日本式エアコン完備といった施設も売りという事から、女性の割合が高いのも特徴の一つ。男性はこれを逆手に取るしかない。
先に話した歓楽街についてですが、特別近い訳でもないのでイメージ先行してしまいます。
しかし、2校の生徒を見て来て分かることは、遊学になるかどうかはエリアではなく「ヒト」次第ということ。
海外にいても日本にいても遊ぶ人は遊ぶし、バコロドだから遊べない、クラークだから遊学になるというイメージを持つのは愚の骨頂です。そうした、短絡的なイメージで片付けるのは、現場をしっかりと見ていない、知らないだけです。
私はOKEA生とEG生を間近で見ています。歓楽街に毎週末行く人も勿論いるし、外出したとしても外食して終わりというヒトも存在します。
なのでクラークに来たからといって、遊学になるって事は自分への言い訳作りですね。そんな弱いヒトは、そもそもどこ行っても失敗する可能性が高いので、自己投資しないほうが賢明なんじゃないかなと個人的に強く思います。
そう言っても自分を取り巻く人々は選んだほうがいいですね、私もそうですが皆がこれやろう、行こうとなると自然と行きたくなってしまいます。人間だもの。
なので、遊学にしたくないヒトは、エリアと言うよりも留学先で関わるヒトを選ぶ事が自身の留学を左右します。
ヒトはどんな環境に置かれても育つヒトは育つ、光るヒトは光る。
一か月間の留学費用の差
2エリアとも地方都市の一つなので、セブの超絶キレイな学校と比較すると安くなります。4週間一人部屋、マンツーマン4コマ+グループクラス2コマの基本的なコースで価格を比較すると、セブの平均的な学校とEGを比較すると約2万円前後EGが安くなります。
OKEAは、EGよりさらに2~3万円安くなります。見積もり額は、受講するコースの種類や学生寮の部屋タイプによっても変動しますが、大体これくらいの価格差です。
これだけの料金差があるので、安かろう悪かろうは正直存在します。
やはり安い学校では、施設がやや古くボロかったり、留学開始後に施設の不備が発生し易いドミトリーであったりする可能性があります。
OKEAを見てきたからわかりますが、老朽化が進行しているので修復後も故障が再発生し易いところが難点。
さらに食事も期待値を下げて行けば問題無く食せますが、どうしても日本人の舌からすると学食の味がまあまあ落ちるのは否めません。悪くはないが良くも無いくらいのレベルです。
しかし、地方都市中の地方都市であるバコロドは市内の様々な物価もローカル価格据え置きなのは嬉しいところです。移動手段でよく使うトライシクル(バイクタクシー)にも人数制限が緩く、価格も安く10分程の距離で1台約40ペソ(約100円)と非常にリーズナブル。
その他フィリピンフードも小さな1小皿が平均15ペソなので、小皿3皿とご飯を食べても合計90ペソ未満で成人男性の胃袋を満腹にしてくれます。そのため、週3日で外食したとしても、一か月約3万円あれば豪遊出来ます。
先日驚いたのが、今述べたフィリピンフード。EGの先生たちが昼間によく食べに行っている全く同じスタイルのフィリピンフードを目にしました。自分も食べようかなと思い、念のため値段を聞くと1小皿(全く同じサイズ)が平均50ペソ!耳を疑いましたね、これは!
同じ商品で同じ地方都市なのに3倍以上も価格が違うなんてぶったまげました。バコロドの感覚が染みついているので、50ペソと聞いた瞬間「高すぎる…。」と思ってしまい、結局学食に戻りました。
また、EG周辺ではジプニーも多く走っていますが、多くの生徒は何故かやたらとトライシクルを多用しています。しかも1トライシクル最大3名までしか乗車出来ない!そのうえ5分程の距離で1台約40ペソだったので、バコロドのトライシクルと比較するとほぼ倍の価格!
これまた「高ぇー。」と今でも感じています。人間の慣れと染みついている金銭感覚は怖いもんです。日本から来たヒトは、EGの価格でも激安く感じるでしょうが、バコロドで3年育った私からするとアホみたいに高く感じてしまい、財布の紐が最近かなり固くなっています。
EGの生徒に聞くと、豪遊までしなくても週2日、普通に外食してる程度で月に約3万円は消費しているようです。確かに外出時の交通費が地味に効いてきそうです。
EGは確かにOKEAと比較して、授業料が3万円弱高くなります。しかし、EGのあるクラーク空港には、日本からの直行便があるのでそもそも航空券の総額でバコロドよりも安くなります。
しかも全室ウォシュレット完備や日本式エアコン、1フロアに3機のWi-Fiといった最新設備が整っているのでホントに日本と変わらず留学生活を過ごせます。
食事面においても多くの留学エージェントがトップクラスと評価するほどメニュー数も豊富で味も申し分なく、ほぼ失敗の食事が無い(稀に失敗はある)これには本当に驚かされています。
EGに来て一か月と一週間が経過しましたが、体重が4キロ増量しました。食い過ぎてます。
よって、料金面において多少の価格差はありますが、いずれも生活する分には問題ありません。
ただ古いか最新施設かということです。ただ、最安値の語学学校はパンフレットやサイトからは見えない、施設がボロい、食事が酷すぎるなどの裏事情が存在している可能性が高いので注意しましょう。
どんな人が向いているのか?
どんな良いと言われる学校でも、ヒトによって向いてる向いてないが必ずあります。これこそが、「語学学校はどこでも一緒ではない!」と言われる所以です。
以下では、OKEAとEGの向き・不向きについてまとめてみました。
OKEA向きの人
・まず自分で英文が作れない、文法を意識して話せないビギナー。
・TOEICスコアの向上が目的ではなく、スピーキング重視の方。
・留学後はワーホリや旅する予定がある方。
・自分は個性的な方だと思うヒト。
・留学中、日本人とは極力コンタクト取りたくない、日本人が少ない環境に身を置きたいとお考えの方。
・いわゆるアジアな雰囲気を感じたい、好きな方。
・まだ、将来の方向性が定まっておらず何かを探している方。
・留学中に一時の恋愛さえ楽しみたい方。
・多少の虫が出てくるのはへっちゃらな方。
・生活レベルが日本より多少落ちても大丈夫な方。
EG向きのヒト
・まず自分で英文が作れない、文法を意識して話せないビギナー。
・留学後はワーホリや旅する予定がある方。
・フィリピン人だけでなく、ネイティブスピーカーとも話してみたい方。
・留学中でも日本人との交流を楽しめる方、日本人比率にそこまでこだわらない。
・日本の生活環境と変わらないキレイな生活環境で留学したいヒト。
・留学後、まだ何のプランも見つかっていないヒト。
・渡航時、乗り継ぎに絶対の自信がないヒト。
・日本人スタッフによるサポート体制が整っているなど、より良い環境を求めるヒト。
・12週間以上といった長期留学検討中のヒト。
2校ともにビギナーから始めやすい学校となっており、実際全く話せないTOEIC200点以下の生徒が多く来ています。自分だけが「こんな低いスコアや…。」と落ち込んでしまいがちですが、実は皆同じスタートラインだから安心して大丈夫です。
このような維持つは私も生徒の時に感じていたので、初っ端から生徒には伝えて、不要なストレスを無くさせています。
あとは端的に言うと、アジア的な雰囲気や施設で生活出来るか、それとも日本の様な環境下で生活したいかという点に行き着きます。
外国人留学生の留学に対する思いは刺激になる!
今回は前編後編に分けて、私の経験からバコロドとクラークの街の雰囲気からOKEAとEGの料金比較や留学生の傾向を伝えてきました。
「なぜこれらの情報を今発信したかったか!?」というと、EGに移籍して一カ月弱が経ち色々な側面が見えてきました。当然のことながらOKEAとどうしても比較している自分がいて、この比較って自分にしか出来ないことだと知っているので、情報発信したかったからです。
私はフィリピンで再び起業を画策していますが、SNSを散見しているとクラークエリアに対してネガティブなツイートがあったりします。実際、クラークの中に入って初めて分かってくる本当の留学生事情は私自身が掴んでいますが、正直SNSの情報は盛っている内容も存在します。
如何なる情報も疑ってかかるのが重要だと実感しています。
OKEAとEGで日本人が留学する人数は、5~6倍は異なります。(EGの方が圧倒的に多い。)EGに来る学生のタイプは、以下のように本当に幅広い客層だと感じます。
勿論平日から遊びに行く男性女性も稀にいます。これはこれで現地にお金を落としてくれるし、目的がはっきりしているのでこれはこれでありかなと。
留学とは、ホントに色んな人たちが自分の将来のために切磋琢磨している空間です。しかもそこには同じような、むしろ日本人より強い気持ちを持ってきている外国人もいます。
台湾、ベトナムは日本より物価も総所得も低いのにも拘らず、留学費用はほぼ同じ金額です。(学校により国籍別に料金を変えている場合もある。)彼らに聞くと1~3年間バイトしてこの留学に来ているという声もあります。
この時点で留学にかける想いは、彼らの方が圧倒的に大きいんじゃないかなと私は考えてしまいます。
留学中はスクールメイトですが、卒業後は就職活動中のライバルになる可能性もあります。また、就職後には競合他社の社員になる可能性だってあります。彼らと仕事という土俵で競い合う場面が出てくるかもしれないんですよね。
ここで言える事は、彼らの様な本当の意味での必死の人間がいて、同じ時間を生きていることを知ると、自分たちも鼓舞させられるかもしれない好機に遭遇するかもしれないという事。
恐らく、コラムで表現しても読者に伝わるのは私の気持ちの20%程度だと思います。
例えば、もの凄く感動するような風景を写真で共有しても、伝わる感動というのはせいぜい20%程度かなと思います。それは、留学や海外生活も同様です。
つまり、やってみないとわからない事が多いんです。
よく聞く言葉かもしれませんが以下の4文は、人生において重要且つ、一歩踏み出す時の指針にしたいです。
「百聞は一見にしかず」
「百閒は一考にしかず」
「百考は一行にしかず」
「百行は一果にしかず」