語学学校スタッフ・学生インターンが留学コラムを書くメリットとデメリットを紹介!
こんにちは。フィリピンのスービックにあるiYES Language School(以下iYES)で学生マネジャーをしている鈴木です。
前回のコラムでは留学ライターとしての活動がライター自身にとって、どのようなメリットとデメリットがあるのかを詳しくレポートしました。
今回のコラムでは、語学学校が留学ライターを募集するメリットとデメリットを詳しくレポートしたいと思います。
私が学生マネジャーを務めているiYESは、生徒様が常時5~10名程度のアットホームさを売りとしている小規模な語学学校です。学校ロケーションは、スービックという日本において地理的に知名度の低いところに位置しています。
このような環境で留学ドットコム様の留学コラムを通じ、SNSマーケティングを行ってきました。その実際の運用に基づくメリットとデメリットを詳細にレポートしたいと思います。
全ての語学学校の関係者に役に立つであろう内容だと思っていますが、特にiYESのような小規模校あるいはフィリピンの英語留学でメジャーとされるセブ島、バギオ、クラーク、マニラ以外の語学学校の関係者の方には有益だと思います。
現在世界で猛威を振るうコロナウイルスの影響で、フィリピンの英語留学は大変難しい局面を迎えていると思います。
このような時だからこそ皆で協力して、正しいフィリピン留学の現地情報をインターネット経由で提供し、コロナウイルス収束後にまた活気のあるフィリピン留学を取り戻せたらと思います。
メリット1: 多くの潜在的なお客様にアプローチができる
当たり前の話のように思うかもしれませんが、コラムの連載を開始してからこのメリットの大きさについて身をもって感じました。冒頭でも簡単に紹介をさせていただいた通り、私が学生マネジャーを務めるiYESはフィリピンのスービックという場所にある小規模な語学学校です。
スービックという場所を皆さんご存知でしょうか?ご存知ない方が大半で、ご存知の方はよっぽどのフィリピン通だなと思います。日本では、「フィリピン留学=セブ島」のようなイメージを持たれがちだと思います。
そのようなイメージが先行している中、地方の小規模な語学学校はどのように現地の情報を日本国内の潜在的なお客様にお届けするのかという点でコラムの連載は大変有効だと思いました。
語学学校の既存のSNSなどを連動して拡散をした結果、現在までに約2,000ビューを得ることができています。私自身ライターとしての経験が全くなく、スービックという日本ではほとんど知られていないエリアのコラムにも関わらずです。
当然全員が新規ビューアーではないと思います。もしその内の10%読者の方が留学を検討していれば、200人の潜在的なお客様に読まれていることになります。当然、学校独自のホームページもありますが、マイナーエリアや小規模校にとっては露出に限界があるので、小さな語学学校ほどこの数字のインパクトは大きいと思っています。
留学ドットコム様の既存のネットワークと、語学学校独自のSNSを用いることで新規のお客様へのリーチ数を上げることが可能だと思っています。
メリット2: パンフレットを補足することができる
各語学学校で、お客様用の独自パンフレットをお持ちだと思います。留学事業に関しては、一般的にお客様が日本にいるので、コミュニケーションはメールやオンライン面談ベースになると思います。その際にパンフレットをお配りすることが、一般的な方法ではないでしょうか。
お客様とコミュニケーションをとる中で、パンフレットには書いていないけれどお客様が知りたい情報が存在することが分かりました。
例えば、現地のレジャー情報やレストラン情報、実際に語学学校に在籍された生徒様の感想などです。しかし、これらの情報全てをパンフレットに情報を盛り込むことはできません。
私はお客様からのお問い合わせなどを精査し、パンフレットだけではお届けできない疑問点をコラムで取り扱うにするように心がけてきました。
地道な作業を進めることで、お客様からのお問い合わせへの返答の質が高まったと感じられました。
顧客満足度を高めるという観点から、コラムを通じて現地の細かな情報を提供するのは有効な手段の一つだと感じました。
メリット3: 学生インターンの業務を可視化、評価出来る
フィリピンでは、多くの語学学校で学生インターンを募集されていると思います。採用後、どのように学生インターンの業務をマネジメントしていますか?学生インターンの主な業務は、生徒様に関する対応や事務作業が多いと思います。
可視化が難しい業務内容のため、各語学学校の経営者や社員の方々は、その質や達成度に関して関与や評価が難しいという実情があるのではないでしょうか。
今回約4ヶ月間コラムを定期的に執筆したことで、雇用主である語学学校側は私の業務に対するパフォーマンスを一定程度計測することが出来たと思います。定期的なコラムのリリースから私のスケジュール管理能力を評価できたと思いますし、インタビュー形式のコラムのリリースから生徒様との信頼関係を評価できたと思います。
学生インターンは英語レッスンの受講をするケースが大半なため、生徒様と一番近い距離にいる存在だと思います。学生インターンの業務の質や達成度の評価は難しいにも関わらず、語学学校の顧客満足度に大きく関わってくることと思います。
業務の可視化や評価の手段の一つとして学生インターンに留学ライターをお願いすることは、語学学校側に大きなメリットを生むと思います。
メリット4: 学生インターンのモチベーションを維持できる
学生インターンの業務が重要なことは前述の通りですが、語学学校では、彼らを常に高いモチベーションで業務に取り組ませることが出来ているのでしょうか。他校で学生インターンをしている友人たちの話を聞くと、現実的には難しいケースが多いようです。
私の経験で大変恐縮ですが、学生インターンの立場からすると長期滞在中はモチベーションの維持が難しくなりがちです。どうしても生活や業務へのルーティーンが生じ、新規性が乏しくなってしまうからです。
しかし、コラムの執筆においては取材活動やインタビューを行う必要があるので、新しい刺激を常に得続けることが出来ます。
また、執筆したコラムはリリースされることで明確な成果物となるので達成感を生み出します。これらコラムの執筆スケジュールや内容などの業務の進捗度合いを留学ライター・語学学校側と確認し合うことができ、適切なフィードバックを得ることが出来るので成長欲求を満たすこともできます。
様々な要因が組み重なった結果として、私は常に高いモチベーションで約4ヶ月間業務に取り組めたと思っています。この経験から、留学ライターという業務を通じて学生インターンのモチベーションの維持、その結果として顧客満足度の向上ができると考えています。
メリット5: 学生インターンの業務への戦力化が早期化する
意外と盲点になっているポイントだと思いますが、コラムを通じて学生インターンのノウハウの蓄積が進み、その結果として学生インターンの業務への戦力化が早期化します。その理由は主に3つあります。
① 採用のミスマッチが減り戦力化が早まる
学生インターン希望者に自校のコラムを読んでもらうことで、校風や業務内容をイメージしてもらいやすくなります。一般企業であれば、採用のためのパンフレットやウェブサイトを所有していると思います。
しかし、語学学校の場合はパンフレットやウェブサイトは一般的には生徒様向けのものがほとんどだと思います。
実際、学生インターンがどんな業務をしているのか正確に伝わらないことには、雇用者・被雇用者共にミスマッチが生じる可能性が高くなるのではないでしょうか。
しかし、コラムで情報を開示しておくことができれば校風や業務内容、あるいは在籍するインターン生の傾向などを知ってもらうことが出来ます。
その状況の中で書類審査や面接という採用プロセスの実施ができれば、雇用者・被雇用者のミスマッチが生じる可能性が減少すると考えられます。
ミスマッチが少ない状況且つ、渡航前にある程度自校の情報を持った状態で業務を始められるので、業務の戦力化に大きな差が出てくると考えられます。
② 留学ライターを核に情報拡散が生じる
ライター業務の場合はインタビューや取材の必要性があるため、通常の業務よりもスケジュール調整が重要となります。
語学学校業務は生徒様の対応が大部分を占めるため、もし学校を離れる必要がある場合は、他の学生インターンなどとしっかりと情報共有をする必要があります。その説明の過程で同僚に納得してもらい、協力を得るためには明確な説明が求められると思います。
その際、目的やコラムの内容などを伝えることで、自然と情報が拡散していきます。結果としてライターだけでなく、周囲のスタッフも含めて情報のインプット機会が増え、それが業務へとつながります。
③ 情報への感度が向上する
留学ライターは、常にコラムのためのネタ探しをすることになるため、多くの情報を手に入れることになります。それが結果として、生徒様のご要望に応えられるケースが多いのです。
例えば、オススメのレストランを聞かれる場合、そのようなコラムの計画があればすぐに答えられます。レジャー関連なども同様です。また、日本からのお問い合わせなどに関しても、スムーズに答えられることができるようになります。
通常学生インターンに関しては、長期間の研修を用意していることは稀だと思います。1~2日程度の研修を行う程度が大半なのではないでしょうか。
それは言い換えると、学生インターン自体が主体的に動いてくれることが、学校業務の質に直結すると言えます。
生徒様の対応や日本からのお問い合わせ対応は、一般的には受け身な業務と言えます。
主体的な業務であるコラムの執筆を通じ、語学学校や留学に関する情報を学生インターンが蓄積することで、学校業務への戦力化が早まると感じました。
デメリット1: 継続的にコラムを執筆する人材の確保
学生インターンの中から担当できる人材を確保するのか、正規スタッフの中から人材を確保するのか、あるいは生徒様の中からライターの募集をかけるのか、など様々な方法で留学ライターを募集することができると思います。
語学学校の正規スタッフや経営者の方が直接コラムを執筆するのも一つの方法です。しかし、正規スタッフや経営者の方の場合はすでに業務を多く持っているでしょうから、新規でコラム執筆に費やす時間の確保が難しいケースが多いと思います。
留学コラムの執筆にあたり、ある程度の信頼性も担保しながら、小回りが利くのは学生インターンであることは間違いありません。しかし、学生インターンや生徒様に留学ライターを依頼する場合、年間を通じて確実に採用できる保証がないのがネックです。
学生インターンの場合は休学しての渡航する、あるいは会社を退職して渡航する場合が多く、労働市場の状況が基本的に語学学校側で予測できるものではないからです。
生徒様の場合は語学学校というビジネスモデル上、留学期間中に限定されますので長期間の連載が難しいでしょう。また、生徒さんは学校内部のことは細かく把握しているワケではありませんので、詳細な学校情報を発信することには不得手です。
そのような状況を踏まえた上で、どのように人材を確保するのかは非常に難しいのではないかと感じます。
デメリット2: クオリティーのコントロールが難しい
デメリット1で記載した通り、様々なパターンで人材を集めることは可能です。その場合、どのような人材を採用するべきかが大きなポイントとなると思います。
期日通りにコラムを確実にリリースできるか、生徒様への取材などで問題が出ないように振る舞えるかなど、留学ライター個人の責任感や資質による部分が大きいと思っています。
各語学学校では今までのノウハウから、カルチャーフィットしやすい人を学生インターンとして書類審査や面接を通じて選ばれていることと思います。
その一方で、語学学校側には、ライターとしての適性を測るノウハウに関しては全くないというのが実情ではないでしょうか。
そのため、一旦採用をしてから留学ライターとしての教育をしていくというのが現実的な方法になると思います。実際どのような形で留学ライターをマネジメントするのか、実体験を元に想定できることを書いておきます。
学生インターンの場合は、通常の業務中のコミュニケーションを通して、コラムの執筆状況のマネジメントができるでしょう。また、通常業務での生徒様との関わり方を見ることで、取材状況などの把握もできるでしょう。気になる点があれば、その都度アクションを起こしやすいのが特徴です。正規スタッフの方も同様です。
その一方で、生徒様が留学ライターになる場合を想定する場合は、マネジメントが難しいと思います。生徒様ご自身がどのような人物なのか分からない部分があること、スケジュールなどをしっかり守るのか、取材などを通じて語学学校の名前を毀損しない状況を保てるかは判別が難しいでしょう。
そのため、通常の生徒様以上にスタッフなどを通じでコミュニケーションを取る必要が出てくるかと思います。基本的には生徒様の主体性と自己責任のもと、留学ライターをしてもらうことになります。
しかし、語学学校に関わる内容を発信されるケースが生じると思うので、こまめなケアをしておいて損はないはずです。
このような難しさが想定される中、留学ライターの採用をしなければいけないことを事前に知っておいていただければと思います。知っておいていただければ、マネジメントができる範囲だと思います。
小規模校ほど留学ライターを募集した方が良い!
私の経験から、語学学校が留学ライターを募集するメリットとデメリットを詳細にレポートしました。募集に対するデメリットがないわけではないです。
しかし、それ以上にメリットの方が多いと思うので、留学ライターの募集を検討してみてはいかがでしょうか。
小規模な語学学校であればあるほど、多くの潜在的なお客様にアプローチできるのは非常に大きなメリットです。そのメリットを活用しないのは勿体無いと思います。
現在コロナウイルスの影響により、非常に大変な状況にある語学学校の方が多いと思います。このようなタイミングだからこそ、留学コラムを通じて語学学校の特色などを整理し、SNSで発信することで「ポストコロナ」に備えるのも一つの方法かなと思っています。
今回のコロナウイルスに限らず、数年単位で訪れる経済危機や自然災害のリスクもあります。語学学校としては情報発信できるチャンネルを、自社媒体以外にも開拓しておくことが今後の重要な課題になるでしょう。
この世界的に危機的な状況を皆の力で乗り越え、またフィリピンの語学学校にたくさんの生徒さんとその笑顔が集まる日を願っています。