コロナウイルス対策で禁酒令?日本ではあり得ないフィリピン政府の厳しいコロナ対策の数々を紹介!
こんにちは!フィリピン留学のかわけんです。
今、フィリピンのバギオからこのコラムを書いているのですが、フィリピンは新型コロナウイルス対策で現在も相変わらずのロックダウン中です。
日本では4月7日(火)7都府県を対象に「緊急事態宣言」が出されて、4月16日(木)には全国に拡大されました。ちなみに、緊急事態宣言とロックダウンの違いが分からない方は、以下の記事も併せてご覧ください。
フィリピンに住んでいて感じるのは、新型コロナウイルス対策の内容が日本よりも厳しいということです。
あともう一つ付け加えれば、前触れなく突然新しい政策が決まっていきます。(笑)
もし、日本で新型コロナ対策のために「お酒禁止!」って政府が言い出したら、皆さんどう反応しますか?
ちょっと日本じゃ想像できないかもしれませんが、それが実際に起きるのがフィリピンです。
この独裁とも言えるような対策のお陰もあってか、フィリピン国内でのコロナウイルスの拡大は諸外国と比べても抑え込まれている印象があります。特に地方都市に関しては感染の拡大は殆ど見られていません。
今回のコラムでは、「お酒禁止!」を含めた日本ではあり得ないフィリピンの厳しめの新型コロナ対策について3つを紹介します。
「リカーバン」という名のお酒販売禁止令
「Zoom飲み会」、そんな言葉が日本では流行っているらしいですね。フィリピン・バギオで生活する身としては、これに参加するにあたり、一つ懸念事項があります。
それはフィリピンの「インターネット環境」です。
日本に住んでいて、「YouTubeが止まる」ということはなかなか経験しないでしょう。しかし、それを経験できるのがフィリピンです。
ネット環境がいい場所も当然ありますが、そうでないところの方が多いのがフィリピンの現状です。
フィリピンは昔の日本みたいに大家族で住む人たちが多いから、自宅で家族と食事やお酒を楽しんで生活しています。
フィリピンは現在ロックダウン中なので、外出は基本的に許されません。それがゆえに、家の中での娯楽は大切です。
私のフィリピン人の友人たちも外出はできませんが、それぞれが自宅で家族との時間を楽しんでいるようです。
そんな中、突然の「ある」お達しがバギオ市から届きました。
その名も「リカーバン」(LIQUOR BAN)。リカーバンとは「お酒禁止」のことです。
現時点で予定されている4月30日(木)までの自宅隔離の期間中は、お酒の販売が禁止となりました。
ちなみに、セブでは3月16日(月)から、マニラでは3月30日(月)からスタートしたリカーバン。バギオ市でもリカーバンは4月7日(火)に何の予告もなしに突然決まりました。
早速、近所のセブンイレブンに行ってみました。
「LIQUOR BAN」と張り紙がされていて、早くももうお酒を買うことができません。
「何日後にリカーバンになりますから、必要な人は備えておくように!」なんて事前のアナウンスがないのが、フィリピンっぽい。
しかし、どうしてこうなったのだろうか?その理由の一つが健康面への配慮だそうです。以下がバギオ市からアナウンスされた文章の一部。
“City legislators pointed out that drinking alcohol, which is one of the major components of liquor, reportedly lowers the resistance and makes person susceptible and vulnerable to pneumonia and respiratory illnesses that could eventually compromise the health of the said individuals who frequently drink liquor.”
出典: The City Government of Baguio / Baguio imposes Liquor Ban
http://www.baguio.gov.ph/content/baguio-imposes-liquor-ban
要は、アルコールを頻繁に摂取していると、抵抗力が低下して肺炎や呼吸器疾患にかかりやすくなり、健康を損なう可能性があると指摘されたということです。
さすがの徹底ぶりです。上記の通り、このリカーバンはセブやマニラで一足先にスタートしていました。それもあり、「バギオもいつかは…」と思っていたところ、4月上旬に遂に来たかという感じであった。
もし日本で政府が急にこのようなことを発表したらどうなるでしょうか?色んな方面から様々な反対意見が出ることは必至です。日本人の間隔ではあり得ないと思うことでも、実際に適用されてしまうのがフィリピンです。
バギオの人は穏やかな人が多いこともあり、特に混乱はなく割と普通にこの決まりに従っています。
日本では恐らくこんなことは経験できません。海外に住むのは、本当に面白いことが多いとつくづく感じます。
コロナウイルスの感染拡大は世界中どこでも同じ問題ですが、「国によってこうも対応が変わるのか!?」という驚きと共に貴重な体験でもあります。
マスクしなかったら罰則?
次にマスクの話ですが、日本ではインフルエンザや花粉症対策でマスクは日常に馴染みのあるものですよね。
特別「マスクをしなさい!」と言われなくても、自主的にマスクをする日本人は多いです。むしろマスクをするのが当たり前という認識だと思います。
一方、フィリピンではコロナウイルスの拡大初期には、街中でマスクを着けているフィリピン人はほぼ皆無でした。
フィリピンは欧米諸国と同じで、マスクを日頃から付けるという習慣は定着していません。
しかし、新型コロナウイルス対策でバギオは、「No mask, No entry」ポリシーが3月より運用されました。
これは何かというと、コンビニエンスストアやレストランなどといった人が集まる施設に入る際は必ずマスクの着用をしなければいけないというルールです。
以下の写真は学校横のホテルですが、このように「No mask, No entry」の張り紙が貼られており、警備員もチェックしています。
マスクを着用していないとどうなるかというと、単純に「お店に入れない」ということです。要は「マスクしてないから、お店に入れませんよ。帰ってください。」となります。
しかし、バギオではこのポリシーがまたまた急に変わりました。4月10日(金)からは、マスクをしていなかったら何と「捕まる」ことに…。
このルールはバギオ市長が命令を下したもので、外出時のマスクの着用を義務化し、違反した場合はバーナムパークというバギオの大きな広場に拘留すると発表しました。
これもまた、なかなか豪快です。この政策も日本では考えることができないでしょう。
ただ、一つ勘違いして欲しくないのは、新型コロナウイルス対策にバギオ市長をはじめ政府やあらゆる人たちが一生懸命になっているということです。
普段はマスクを着用している人を見ることが日本よりも少ないバギオですが、今はこのような徹底した対策の甲斐あって、誰もがマスクを着用しています。それはそれで、街全体としてのバギオの結束力を感じることができます。
門限まであるのか?
「お酒の販売禁止」と「マスク着用義務化」のこの2つだけでも日本に住んでいる人からすれば十分厳しいと言えます。
この2つの政策は4月に入って、新型コロナウイルス対策を強化するために新しく導入されたものです。
実は外出制限が開始された3月中旬より運用開始された厳しいルールがもう1つあります。
それが「門限」です。なんと市民全員に対して門限があるのです。
「そもそも外出制限されているのだから外出できないのでは?」と疑問を持つ方もいるかもしれないので、念のため補足しておきましょう。
基本的に外出は禁止ですが、外出許可書を持参すれば食料品の買い物など、生活に必要な外出を行うことができます。
また、一部営業が許可されている飲食店やコンビニなどの店舗で勤務している人たちは、その店舗まで足を運ぶことができます。そういった外出を認められているケースも含めての門限設定です。
時間は夜21時~朝5時まで、この時間帯は外出禁止となっています。
これに伴い、通常24時間営業のコンビニエンスストアも営業時間を短縮しました。
ちなみに、著者が住んでいる近所のセブンイレブンは朝5時~夜20時までの営業となっています。
21時までの営業ではないのは、その時間まで営業していたら家に帰る頃には門限時間を過ぎてしまうからです。要するに、20時でお店を閉めて、1時間以内に帰宅するというイメージです。
この門限については、首都マニラでも適用されています。門限違反者はもちろん捕まってしまいます。
どれくらいの違反者がいるかというと、4月7日(火)のCNN Philippinesの記事によると、75,000人以上もの人が門限違反で捕まったとのことです。
不要不急な外出を避ける、日々の健康を維持するというためにも門限の設定は一定の効果があるように思います。
実際に日本では、夜の繁華街でクラスターが発生したケースも報道されています。
「門限まで設けるのか…。」と思うかもしれないが、フィリピンでこのような厳しい取り組みのもとで生活をしていると、これが普通になってしまいます。
逆に日本のように門限の設定もなく、外出制限やお店の営業禁止措置が緩い状況には、不安を感じることもあります。
厳しい政策の成果か!?13日間新規感染者ゼロだったバギオ
今回ご紹介した「お酒販売禁止」、「マスク着用義務」、「門限」の3つの政策ですが、これらを聞くと厳しい政策だなと感じますよね。
ただ、一定の成果は今のところ出ているようにも感じます。
バギオがロックダウン開始したのは3月17日(火)でした。
この時点でバギオに新型コロナ感染者は何人いたかというと、「ゼロ」でした。つまり、早い段階からコロナウイルス対策に取り組んでいたのがバギオです。
このコラムを書いている4月16日(木)時点では合計感染者は17人。
フィリピン全体では、およそ5,500人にも及ぶ人数の感染者が発生していることを考えても、この数が圧倒的に少ないことがわかります。
バギオが「留学に適している」と言われる理由の1つに治安の良さがあります。
バギオに住む人々は、穏やかで温かい人が多い。だからこそ、このような厳しい政策に関しても協力的な人が多いです。
その甲斐もあって、3月29日(日)からの13日間は新規感染者がゼロでした。
とは言え、全く油断ができない状況に変わりはありません。数日前にはおよそ2週間ぶりの感染者が発見されて、再び緊張感が走っています。
新たに感染者が発生したら、バギオは年齢等の属性の他に滞在場所や(外出をしたのであれば)外出先等も公開し、市民に注意を促しています。
また、マーケットに足を運んでいた場合は、その場所を消毒したり、閉店させたりとウイルス拡散の封じ込めを徹底しています。
バギオ市長をはじめとした政府の決断力と徹底した取り組み、そしてそれに対する市民の理解と協力体制が、現在のような有事には非常に大事になるんだな…としみじみと感じています。
ロックダウン開始からおよそ1ヶ月が経ち、この生活環境に慣れてきた今だからこそ、今一度気を引き締めなければいけないと感じています。
緊急事態には多少破天荒な対応も必要か!?
以上、今回のコラムでは、禁酒令をはじめとしたフィリピンの厳しいコロナウイルス政策3つを紹介しました。
以下、今回記事の内容をおさらいです。
私の住んでいるフィリピンのバギオでは、現在これら3つの政策が新型コロナ対策として行われています。なお、「ソーシャルディスタンス」など他にも行われているものもあります。
今回ご紹介したような破天荒な政策は、日本でも同じように適用できるだろうかと考えると、難しい気がします。
フィリピンでは、政府がこれらの政策をハイスピードで決断していきます。
確かに政策自体は厳しいものが多いです。しかしながら、少しでも感染のリスクを低減させるために、あらゆる対策を速いスピードで決めていく政府には、個人的に頼もしさを感じています。
もし日本で外出自粛や休業要請等で不自由を感じている人がいれば、海外ではこういうもっと厳しい制限を課せられている国や地域もあるんだなと知ってもらえれば幸いです。
現在、ロックダウン中のフィリピンより、現地の情報をこの留学コラムとYouTubeで更新しているので、こちらの状況を気にしてくださっている方はご覧いただければ幸いです。