コロナウイルスのフェイクニュースに騙されていない?「インフォデミック」とは? | 留学・ワーホリ・海外留学・語学留学は留学ドットコム

カテゴリー:ニュース

コロナウイルスのフェイクニュースに騙されていない?「インフォデミック」とは?

公開:2020/04/22 著者:河端 健司 1132 Views

こんにちは!フィリピン留学のかわけんです。

フィリピンでも新型コロナウイルス関連のニュースが毎日、毎時間のようにアップデートされています。

情報が溢れすぎていて、どれが最新情報なのか、どれが正しい情報なのかがわからなくなることがあります。

 

皆さんは、「インフォデミック(infodemic)」という言葉を聞いたことがありますか?

 

実際、インターネット上には新型コロナウイルスに関する多くの情報が流れていますが、そのどれもが「正しい情報」とは限らずに、「フェイクニュース」も多く流れています。

「トイレットペーパーの買い占め」騒動も発端は誤った情報からでした。私たちはウイルス自体とも立ち向かわなければいけませんが、同時にそこから派生する様々な情報とも向き合わなければいけません。そして、私たち一人一人が冷静に行動しなければいけません。

このコラムでは、「インフォデミック」とは何か?新型コロナウイルスに関連したどのようなフェイクニュースが流れているのかを紹介したいと思います。

インフォデミックとは?

まず、「インフォデミックとは何か?」から説明します。

 

ネットなどで噂やデマも含めて大量の情報が氾濫し、現実社会に影響を及ぼす現象を指す。「情報(Information)」と、感染症の広がりを意味する「エピデミック(Epidemic)」を組み合わせた造語だ。

 

出典:日本経済新聞 / インフォデミック 氾濫するデマ、社会に影響
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO57689830V00C20A4NN1000/

 

上記で説明されているように、「インフォデミック」は造語なんですね。シンプルに表すとこうなります。

 

Information + Epidemic = Infodemic

 

日本語だとこうですね。

 

情報 + (病気の)流行 = 情報の(病的な)流行

 

この「インフォデミック」に関しては、世界保健機関(WHO)が2月に新型コロナウイルスそのものの感染拡大に合わせて、世界に警戒を呼びかけました。

世界保健機関(WHO)は、現在私たちが毎日耳にする「パンデミック」(感染症の世界的な大流行)を宣言した機関ですね。

そのWHOが「インフォデミック」に関しても世界に警戒を呼びかけているんです。

 

国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長も4月14日(火)に「誤情報の危険な蔓延(“a dangerous epidemic of misinformation”)」について警鐘を鳴らしています。
引用: The Associated Press / UN chief: world faces misinformation epidemic about virus
https://apnews.com/7682565123bc9092ec51e9ee957d0f62

 

どうしてWHOや国連といった世界の主要な国際機関が、このようにインフォデミックや誤情報に関して警戒を呼びかけているのでしょうか?

 

インフォデミックの何が問題なのか?

その一つの大きな問題は、誤った情報をきっかけに社会に様々な悪影響が生じるからなんですね。

例えば、ある国では中国からの帰国者が新型コロナウイルスに感染しているというフェイクニュースが流れ、暴動が起こったという報道がありました。

この例のように、インフォデミックが原因で偏見や差別、暴動、不適切な行動などが起こり社会が混乱してしまう可能性があります。

 

そのため、新型コロナウイルスの世界的蔓延というパンデミックが生じている今、世界保健機関(WHO)や国連(UN)も世界に警戒を呼びかけているワケです。

 

さらに、今の時代はそれに追い打ちをかけるような問題があります。

それは、「情報の拡散スピード」です。一昔前と現代で違うのが、この点です。

世界中のほとんどの人たちは、スマホを持っているのが今の時代です。

 

SNSやインターネットなどで世界中の人たちと繋がり、あらゆる情報を瞬時に得ることができるからこそ、以前とは比べ物にならないほどのスピードで情報が拡散されていきます。

 

→ 今や誰もがスマホを手にする時代。

 

たとえ、日本ではなく海外からのフェイクニュースの投稿であっても、その誤情報は時差なく日本に届き、瞬く間に拡散されていきます。

また、そこには厄介とも言えることがあります。それは、必ずしも意図的に「誤った情報を流そうとしているわけではない」人が多いことです。

少しでも役に立てばと思い、善意で「〇〇がウイルスに効果がある」といった(しっかりとした根拠はない)情報を流して、それが拡散してしまうことがあります。

 

仮に「〇〇がウイルスに効果がある」とは決して言っていなくて、「健康を保つためにもビタミンを積極的に摂るようにしましょう。」と言っただけとします。

それがSNS上で伝言ゲームのように言葉が足されていき、いつの間にか「ビタミンはコロナウイルスに効果がある。」と内容が変わる可能性もあります。

善意で発信したことや、意図していないことがフェイクニュースになってしまうことがあるのです。フェイクニュースが伝播することで、さらに別の問題も生じてしまいます。

 

それは、正確な情報が伝わりにくくなるということです。

 

誤った情報が拡散されることで、本来であれば必要のある正しい情報が埋もれてしまう事態が生じる可能性も高くなります。

インフォデミックによって生じる誤った情報の拡散は、私たちの行動や生活にも影響を及ぼします。

実際に日本でもそれは既に生じています。

 

→ 情報化社会の中で正しい情報の取捨選択が求められる。

 

「トイレットペーパー買い占め」もインフォデミック

 

実は日本で「インフォデミック」を起因とした混乱は既に起こっています。記憶に残る有名な出来事でいえば、「トイレットペーパー買い占め」騒動でしょう。

 

どうして多くの人が慌ててトイレットペーパーを買い占めしようとしたのでしょう?

 

「マスクとトイレットペーパーは原料が同じ」
「トイレットペーパーの多くは中国から輸入されている」
「トイレットペーパーが今後なくなる」

 

そういった根拠のないフェイクニュースが流れたことが原因の一つです。この類の情報は、SNSやインターネット等を通して、瞬く間に拡散していきました。

そして、その情報を信じた人は、トイレットペーパーを購入するために急いでお店に行きました。

信じていない人でも中には「念のため買っておこう。」と買った人もいるはずです。

 

なぜ「念のため」買うのかというと、その人たちはその情報を信じていないけれど、信じて急いで買い占める人がいるから、それによって今後購入できなくなる可能性があるからです。

 

このように誤った情報が拡散し、その情報を鵜呑みにした人が増えることによって、誤情報を信じていない人の行動も変わってしまうのです。

そして、こういった買い占めのような事態が起こったときの何が問題かというと、「本当に必要な人に行き届かなくなる」ということです。

仮に人口全体に対する全体数が足りていたとしても、一部の人たちが買い占めることによって、全員に行き届かなくなってしまいます。

 

トイレットペーパーと同じようにマスクも買い占めや転売の問題が起こりました。

 

マスク問題でも感染をされている方、医療に従事されている方、その他マスクが必要な方の手元に十分な量が届かなくなりました。

この他にも、インフォデミックに繋がりかねないフェイクニュースが実際に生まれています。

「えっ?」と思うものもありますが、こういった危機的な状況下では「本当なのかも?」と不安になることもあります。どういったフェイクニュースがあったのか、以下見ていきましょう。

 

実際にネット上に流れたデマ情報の数々

冷静に考えれば「ウソでしょ?」と思うようなことでも、ウイルス自体が未解明な部分が多いこともあり、あたかも本当のような情報が流れれば、信じてしまうことがあります。

前述のトイレットペーパー以外にも、インフォデミックに繋がる可能性のある様々な情報が私たちの周りに点在しています。

ここでは、世界保健機関(WHO)が根拠のない情報だということで、ウェブサイトに掲載し注意を促しているものを5つ紹介します。

 

参照: World Health Organization(WHO)
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/advice-for-public/myth-busters

 

(1)5Gは新型コロナウイルスを拡散しない

これはさすがに信じない人がほとんどだとは思いますが…。

 

 

“ウイルスは電波やモバイルネットワーク上を移動できません。

新型コロナウイルスは5Gネットワークを持たない多くの国でも蔓延しています。

新型コロナウイルスは感染者からの咳やくしゃみ、会話をした際に呼吸器の飛沫を介して拡散されます。

また、汚染された目や口、鼻などに触ることによっても感染する可能性があります。”

 

(2)飲酒は新型コロナの予防にならず危険な影響を及ぼす可能性がある

根拠なく「お酒は体を除菌してくれる」と思う人もいるかもしれませんが、飲み過ぎは免疫力を低下させるとのことです。

 

 

“頻繁あるいは過度なアルコールの摂取は健康上のリスクを高める可能性があります。”

 

(3)寒い気候や雪は新型コロナウイルスを殺さない

冬の北海道や北欧、ロシアなど寒い地域でも感染が拡大していますね。

 

 

“寒い気候が新型コロナウイルスを殺すという根拠はありません。

人間の体温は外気温や天候に関わらず、36.5~37度前後を保ちます。

新型コロナウイルスから身を守る最も効果的な方法は、頻繁に手をアルコール消毒し、石鹸で手洗いすることです。”

 

(4)にんにくを食べたら新型コロナ予防になる?

「にんにく=スタミナ」というイメージがありはしますが、感染症の予防とは関連していないとのことです。

 

 

“にんにくはいくつかの抗菌作用を持つといわれる健康食品です。
しかし、にんにくを食べることが新型コロナウイルスの予防につながるという証拠は今現在ありません。”

 

(5)ハンドドライヤーは新型コロナウイルスに効果的?

ハンドドライヤー自体にはウイルス予防の効果はないとのことです。

 

 

“ハンドドライヤーは新型コロナウイルスに対して効果的ではありません。

新型コロナウイルスを予防するためには、頻繁に手をアルコール消毒し、石鹸で手洗いすることが必要です。

手洗い後はペーパータオルや温風ドライヤーを使用して、手を完全に乾かす必要があります。”

 

どうでしょうか?ちょっと信じてしまいそうなものもあれば、いやいやさすがにそれはあり得ないでしょ…と思うのもありましたね。

この他にもWHOのサイトには「熱いお風呂に入ることや日光浴は、新型コロナウイルス予防につながらないこと」など、様々な情報が記載されています。

 

【まとめ】 情報源をしっかり確認すること!

以上、「インフォデミックとは何か?」をテーマに紹介させてもらいました。

最後に内容をおさらいします。

 

1. インフォデミックとは、「Information(情報)+ Epidemic(病気の流行)= Infodemic(情報の(病的な)流行)」の造語。
2. インフォデミックは、誤った情報をきっかけに社会に様々な悪影響が生じることが問題。
3.「トイレットペーパー買占め」もインフォデミック。「トイレットペーパーが今後なくなる」といった誤情報を発端に、情報を信じている人も信じていな人も含め、買い占め行動に走るなど混乱が生じた。
4.世界保健機関(WHO)が根拠のない様々なデマ情報をサイトに掲載し、注意を促している。

 

SNSを開けば、新型コロナウイルスに関する情報をたくさん見ることができます。友人やフォローしている人の情報、どこから来たかわからないような情報など様々です。

情報が氾濫している状態だからこそ、自分でどの情報が正しいのか見極める必要があります。その際に、目安になるものの一つが「公式の情報」であるかどうかです。

「誰でも発信できる」時代だからこそ、悪意がないとしても根拠のない情報が拡散してしまう恐れがあります。

 

「どこから発信された情報なのか?」という情報元は常に気にかけた方がいいでしょう。

 

また、記事や投稿を見る際も情報の「参照元」等を提示しているかどうかも重要です。データや記事のエビデンスを提示している内容であれば、信頼度は高まります。

とは言え、新型コロナウイルスは今現在ではまだ未解明な部分も多く、公的機関からの情報であったとしても、後に内容が変わることもあります。

とても難しい状況に面しているからこそ、冷静に情報を見極め、行動していくことが必要になります。

 

このような状況下で、「インフォデミック」という言葉、その影響を知っておくだけでも参考になるのではと思い、今回この記事を書かせてもらいました。

 

以上、少しでもお役に立てれば幸いです。

私の住むフィリピンのバギオでは、市長やバギオ政府がFacebook(https://www.facebook.com/pio.baguio/)を通して、毎日積極的に情報を発信していますので、バギオの正確な情報をチェックしたい方はご覧ください。

このような情報を含め、フィリピン留学を控えている人に関係のある情報は本コラムやYouTubeを通して発信していますので、そちらもよろしければご覧になってください。

 

 

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