「授業が恋しい…」ロックダウン中のフィリピン人先生に現状をインタビュー
こんにちは。フィリピン留学のかわけんです。
このコラムを書いているのが5月上旬ですが、フィリピンはロックダウンが開始してから1ヶ月半が経ちました。この間、多くのフィリピン人の先生たちも自宅待機となっています。
日本にいて留学を控えている人たちはこの時間を使って英語学習やスキルアップの勉強をしている人が多いと思います。
一方、普段語学学校で英語を教えているフィリピン人の先生たちは、このロックダウン中をどのように過ごしているのかってイメージできますか?
フィリピンは元々のライフスタイルも日本と異なるため、日本とは違った過ごし方をしています。
今回のコラムでは自分がPINESの生徒時代にリスニングを鍛えてくれた大好きなJonnalyn(ジョナリン)先生に、ロックダウン中どのように過ごしているかなど、Messengerを使ってインタビューしてみました。
フィリピン人先生のロックダウン中の過ごし方や生活面で困っていることなど、なかなか普段知ることができないリアルな内容を知ることができます。フィリピン留学を検討している方は是非ご覧ください。
Jonnalyn(ジョナリン)先生の紹介
まず、今回インタビューを受けてくれたT.Jonnalyn(ジョナリン)先生は、自分が生徒の時のリスニングの先生でした。
Jonnalynのリスニングクラスはただ聞くだけじゃなくて、発音もIPAや舌の動き、ブレンディングなどを細かく教えてくれました。どのように発音されているのか、どうして聞き取れないのかを理解することができ、リスニング力を向上させることができた授業でした。
教えるスキルに加え、性格もとても明るく元気で、生徒からの信頼がある先生です。
Jonnalynは大学で英語(中等教育)を専攻していました。バギオの語学学校「PINES(パインス)」及び姉妹校の「CEBU BLUE OCEAN(セブブルーオーシャン)で約5年間英語を教えています。
好きな言葉は映画「3 Idiots」で出てきた「Make your passion your profession.(あなたの情熱を仕事にしなさい。)」とのこと。この言葉が先生を志すこと、自分の仕事を好きになることに影響を与えてくれたとのことです。
今回のインタビューにもすぐに返信をくれて、快く対応してくれました。
ロックダウン中は外出した?
それでは、Jonnalynとのインタビュー開始です。
まずは最初の質問です。
ちなみに文章にある「ECQ」とは「Enhanced Community Quarantine」の略語で、「強化されたコミュニティ隔離」いわゆる「外出禁止」のことを指します。 ※これ以降のやりとりでも頻繁に出てきます。
フィリピンは3月17日(火)からロックダウンが開始しました。ロックダウン開始後きっちりとルールを守って、ずっとステイホームをしているとのことです。
ロックダウン中のフィリピンは食料品の買い出しなど、認められた理由や時間に外出をすることができます。
外出するためには各家庭に配られる外出許可書の携行をしなければいけません。
それらの条件が満たされていれば、決められた範囲内で外出をすることができます。
ということで次の質問がこちらです。
なんと1ヶ月半のロックダウン期間中、外出したのはたったの2回だけとのことでした。日用品等を買いにスーパーに2回行っただけで、それ以外はしっかりとステイホームを守っているとのこと。
これは彼女だけに限ったことではなく、バギオの人たちは外出制限等のルールを遵守している人がほとんどです。
ロックダウンに対してデモや抗議が発生している地域も一部で見られますが、バギオではこういった動きは起こっておらず平和に過ごすことができています。
どのようにステイホームを過ごしてる?
1ヶ月半もの間で、買い物に出かけた2回を除き、ずっとステイホームをしているJonnalyn。
そんなにも長い間家にずっといるとなると、気になるのは「何をして過ごしているか?」ですね。
それに関して聞いてみました。
聞いた感じだとなんか楽しそうですね。写真も送ってくれました。
家族や親戚大勢でビンゴゲームをしていて楽しそうですね。
TikTokもたくさんの子どもたちと一緒に踊っていて、とってもキュート。
ちなみにロックダウン中、フィリピン人先生たちの間でTikTokはかなり流行ってます。(笑)
上2つの写真は、フィリピンのお菓子ですが、どれも美味しそうですね。子どもたちも喜んで食べたでしょうね。
家族でゲームしたり、ダンスしたり、お菓子作りしたりと、ロックダウンというよりバケーションみたいですね。(笑)
単身世帯の多い日本では、ステイホームで問題になっていることの一つに、「孤独」があります。家に引きこもった状態だと、誰とも会えなくて気が沈んでしまうことがあります。
一方、私の周りのフィリピン・バギオの先生たちのほとんどは、家族と一緒に住んでいます。
兄弟の数も多ければ、Jonnalynのように親戚の家がすぐ隣という人も多いです。そして、みんな友達のように仲がいい。
そういう点においては、外出はできないけれど、家族や親せきと楽しく過ごすことができているようです。
NHK連続テレビ小説で映し出される昭和の日本に似たような家族や、近所付き合いの風景を見ることができるのがフィリピンです。一方で、自分一人で過ごす時間はどうしているのかも気になりました。
なんと、YouTubeを見て、自分でマスクを編んだらしい。しかも、かなり上手です。
Jonnalynとは生徒の時からの仲ですが、こんな才能があるとは知らなかったです。(笑)
一人でいる時は、ネットを見ながら時間をつぶすことが多いようです。
ただ、フィリピンの場合は、Jonnalynも言っているようにネット環境が問題で、通信速度は日本と比べかなり遅いです。
これはフィリピン全般に言えることで、動画もサクサク見るのは難しいです。
Wi-Fiがない家もまだまだたくさんあるので、そこは日本とは大きく異なります。
ステイホームは飽きてないの?
ロックダウン中でも家族と楽しい時間を過ごしている様子のJonnalyn。
とは言え、さすがにロックダウンがこれだけ長引けば退屈するのでは…と思いますよね。
「家族とゲームしたりして過ごしているよ!」と言った後に続けて、以下のようにも言っていました。
そうですよね。数日間だけなら、ビンゴゲームしたり、料理したりして家族で楽しめるけど、何週間も続くとなると、やることが無くなりますよね。
先ほども言ったようにフィリピンはネット環境が整っていない場所も多いので、映画を見たり、ビデオ通話をしたりすることを快適にできない人も多いです。
普段よりも時間があるのが今の時期なので、何か新しいことを始めるには十分な時間がありますので、以下の質問をしてみました。
Jonnalynはロックダウン前にも「エクササイズしたい。」ってよく言っていました。今の自由な時間を利用して、たくさんのエクササイズ関連のビデオを見ているようです。
しかし、肝心の実行には全く移っていないようです。(笑)
その代わりに料理は楽しんでいるようです。料理を作りすぎて、インプットの方がアウトプットより充実しすぎないといいですが。(笑)
早くロックダウン解除してほしい?
ロックダウン開始から1ヶ月半も経ち、退屈な時間が増えてきた様子の彼女。
ロックダウンに関して飽き飽きとしているのでは?と思い、それについて聞いてみました。
現在もコロナ感染者の増加が落ち着かない地域があるので、そういった地域はロックダウンやECQは継続されるべきだと思うとのことでした。
続けて、以下のようにも言っていました。
これは私もバギオに住んでいて良く理解できますし、他の先生も同じ意見を持っている人がいます。
現時点においては、フィリピンのコロナ感染状況としては、首都圏や一部の地域に固まっている傾向があります。
現状は、バギオを含めて感染者がそれほど出ていない地域についてもロックダウンやECQの措置が取られている場所がほとんどです。
ロックダウンが2ヶ月を越えると、今以上に人々の生活に支障が出てくる可能性は十分に考えられます。
ですので、コロナのリスクが低いエリアに関しては段階的にでも緩和していくのがいいのではと感じています。バギオは現時点でコロナに関して比較的安全といえる地域です。
また、Jonnalynの言うように、ECQが解除されたとしてもバギオの外から人の出入りが行われるのは、まだ危険を感じるというのが正直なところです。
「早くロックダウン解除してほしいか?」という質問に対する上記のJonnalynの回答には、私も同意見です。インタビューをした時点で、バギオの累計感染者数は30人(アクティブな患者数は15人)でした。
特段大きい数というわけではありませんが、JonnalynのようにロックダウンやECQなどの措置に対して理解を示している人たちがバギオには多く、そのおかげで私たちも大きなトラブルなく過ごすことができています。
オンラインクラスはしないの?
日本ではこの状況下で、学校や塾などでオンライン授業が急速に普及していっています。語学学校でも欧米圏を中心にオンラインクラスの充実化を図っている学校が多いです。
ちなみにPINESは元々講師の採用基準が厳しいんですが、オンラインクラスはさらに別のトレーニングを受けて基準をクリアする必要があります。
PINESでは、「11Talk(http://11talk.net/ja/)」という名称でオンラインクラスを提供しています。
Jonnalynは十分にオンラインクラスの「11Talk」で教えるスキルがあるんですが、今は家庭の事情等もあり自宅待機をしています。
教えるスキルが高いし、何よりいつも楽しそうに授業をする先生なので、プライベートでオンラインクラスをする予定はないのか聞いてみました。
やっぱりそうなんです。繰り返しになりますが、大きな問題がネット環境なんですね。
今の自宅待機の機会を利用してオンラインクラスをしたいけど、パソコンなどの機材が自宅にないし、あってもネットが遅い…。スマホだけでもできるけれど、通信環境が安定しません。
機材といった「モノ」の問題と、ネットという「環境」の問題の2つの問題が障壁になっています。「11Talk」のように学校の施設や設備を利用していれば、ネット環境も機材の問題もクリアできますが、家庭でやるとなると難しいのがフィリピンの現状です。
先進国では「外出ができないからオンライン授業へ移行」という流れが比較的簡単にできます。
しかし、フィリピンではそれがなかなか簡単にできません。
ロックダウンやECQが解除されて学校に通勤ができるようになれば、「11Talk」でオンラインクラスを持つことができるので、そうなることを願っています。
授業が恋しい?
最後の質問です。
ズバリ「授業が恋しい?」と聞いてみました。
というのも、Jonnalynは人気の先生なだけにロックダウン前は授業をたくさん持っていて、とても忙しい毎日を過ごしていました。
時には「休暇を取りたい。」って言うこともあるくらい、日々忙しくしていました。
ロックダウンが続いている期間は授業から離れているわけで、どのような心境になっているのか気になり聞いてみました。
生徒も先生も誰も予測していなかった事態でしたからね。
そうなんですよね。
多くの先生たちも現在は仕事がない状態なんです。
新型コロナの影響で多くの生徒が帰国し、今も外国人の入国はできない状況のフィリピンではありますが、PINESは現時点では先生方に対して契約を継続するなどのサポートを伝えています。
こういったサポートに対してもありがたいと言っていました。
今のロックダウンという状況は、単にみんなの安全を保つということだけでなく、身の回りのことなど深く考え直す時期でもあると感じているようです。
Jonnalynもそうであったように、ロックダウン前は生徒数も定員いっぱいの状況がずっと続いていて、忙しい日々の連続だったので「休みたい」っていう先生もいたんですね。
そして、今の状況になってみて、「やっぱり教えることが好き。授業が恋しい。」っていう先生が自分の周りにたくさんいます。
そういう意味でも、Jonnalynの言うように色んなことを改めて考え、再確認する時間でもあるのかな…と思いました。
1日も早い復旧を祈るばかり
今回のコラムでは、自分が生徒時代からずっとお世話になっているT.Jonnalynへのインタビュー内容を記事にしました。
自分がこういったフィリピン留学に関するコラムを日本人向けに書いていることは知っていて、インタビューの話をすると、「少しでも役に立てるなら是非!」と喜んで受けてくれました。
Jonnalynの返信内容を見てもわかるように、皆さんがこの記事を読んでくれることを想定して、一言二言だけではなく長い文章かつ率直な気持ちをストレートに伝えてくれました。
バギオに限らず、フィリピン全体で語学学校は現在難しい状況に直面しています。それに伴って、仕事をなくしている先生方もいます。一方、個人でオンラインクラスをやりたくても、Jonnalynのようにネット環境の問題で物理的に難しい先生もいます。
ロックダウン中にフィリピンの先生が今どのように過ごしているのか、リアルな様子をお伝えできたらと思い、今回のコラムを書かせていただきました。
以下、YouTubeチャンネルでは、PINESの先生の美しい歌声をアップしましたので、是非ご覧ください。(Jonnalynは出ていません。)
Thank you for your cooperation Jonnalyn!!