日本と全然違う!?女性が活躍するフィリピンの職場環境
フィリピンのバギオの語学学校でスタッフをしているかわけんです。
フィリピンで生活をしていると、様々な場面で「日本とは違うなぁ」と感じることがあります。その1つが男女の役割です。
私が働いている語学学校にも夫婦のフィリピンの先生がいるのですが、子どもがまだ小さいということで、男性の先生が家で家事や育児をし、女性の先生が学校で働き続けています。
日本ではその逆のパターンが多いですが、フィリピンではこのような光景を割とよく見かけます。
と言うことで、今回はフィリピンの男女の役割や日本との違いについて書きたいと思います。
フィリピン留学に行かれた際は、英語の勉強だけでなくこういった社会環境等の違いについても是非目を向けて知見を広げましょう。
男女平等ランキングでASEAN1位
世界経済フォーラムより「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート 2022」が2022年7月に発表されました。(参照: https://www.weforum.org/reports/global-gender-gap-report-2022/)
本調査は男女平等の達成度を数値化したもので、日本でもこの調査が発表されると毎回のようにその結果がニュースになります。
調査項目は4つあり、「経済活動への参加状況とその機会」「教育の到達度合い」「健康と寿命」「政治への関与」となっています。
この調査で日本は何位だったかというと、146カ国中116位でした。この順位は残念ながら、前回調査に続き主要7カ国の中で最下位という結果でした。近隣国の韓国や中国と比べても、低い順位となっています。
全ての項目で数値が低いわけではなく、「教育の到達度合い」では1位となっています。しかしながら、「経済活動への参加状況とその機会」は121位、「政治への関与」は139位となるなど、仕事や政治に関してはまだまだ女性が活躍しやすい環境となっていないというのが現状です。
一方のフィリピンは何位だったのかと言うと、結果は19位でした。
日本の116位に対して、フィリピンはとても高い順位に位置しています。
2020年は16位、その前の年は8位だったので、実は順位が若干下がり気味ではあるのですが、それでも高い位置を保っています。
そして、この順位はASEANの中でもトップの位置となります。
このランキングのトップ5を見ると、1位から順にアイスランド、フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデンと続いており、私たちのイメージとしても男女平等が定着しているような国がランクインしています。
上位20位のうち12カ国はヨーロッパとなっているこのランキングで、フィリピンはアジアで唯一20位以内にランクインしています。
項目別では、日本が121位だった「経済活動への参加状況とその機会」でフィリピンは16位。「政治への関与」については、日本が139位なのに対し,フィリピンは35位。日本が1位にランクインした「教育の到達度合い」に関しては、フィリピンは46位。最後に「健康と寿命」については、日本は63位、フィリピンは30位でした。
全4項目のうち「教育の到達度合い」を除いた3項目で、フィリピンは日本よりも高い数値となっていました。
女性の管理職割合は日本の3倍?
日本について皆さんの周りを見ても、働いている女性が少ないというわけではないと思います。
内閣府の調査によると、就業者に占める女性の割合は日本が44.5%で、フィリピンは38.8%です。
この調査では日本の方がフィリピンよりも女性の就業者の割合が大きいです。しかし、この調査にはもう1つ別の項目があります。それは、管理的職業従事者です。
この項目を見ると、日本は14.8%で、フィリピンは50.5%となり大きく差が開きます。上記の図からもわかりますが、管理的職業従事者の割合はフィリピンが一番高いです。
私自身、日本で働いていた時の職場は上層部の人たちの性別は圧倒的に男性が多かったのですが、日本はそのような組織が多いのではないでしょうか。
フィリピンは管理職に就く女性の割合が多いという結果がこのデータから読み取ることができます。
データの他にも私が今働いている語学学校でもその傾向は見られます。
次の章ではこのことについて触れていきます。
語学学校の先生も女性ばかり?
ここまではデータからフィリピンの男女平等について見てきましたが、次に私の身の回りの仕事環境を見ていきます。
フィリピンのバギオにあるPINESという語学学校に勤務しているのですが、今現在(2022年7月)150名を超える生徒が在籍しており、講師も同じぐらいの数の方が在籍しています。
男女の割合を観ると、圧倒的に女性の先生が多いです。
冒頭にも書きましたが、私が生徒の時に授業を担当してくれた先生で、今も仲のいい夫婦の先生がいるのですが、その2人には小さいお子さんがいます。
こう書くと、日本では女性の方が家事・育児をして、男性が学校で働いているのかな?と想像してしまいがちですが、フィリピンではその逆です。
男性の先生が家事や育児をして、女性の先生が学校で今もオンラインやオフラインの授業を持ち続けています。もちろんケースバイケースですが、フィリピンではこのようなパターンを私の身の回りでよく見かけます。
また、面白いのが女性の管理職が圧倒的に多いという点です。PINESは大規模校といわれますが、規模が大きいこともありマーケティング部署やマネジメント部署、IELTSなどのテストモジュールのチームなどいくつか専門部署がある中で、フィリピン人スタッフに関しては女性の役職者が圧倒的に多いです。
女性のヘッドティーチャーが男性の先生に指導をするというような場面は普段から当たり前のように目にします。
先生やスタッフさんのみならず、役職者の人たちも女性が多いPINESを見ていると、フィリピン全体としても女性の管理職が多いというのに納得です。
現地生活からの所感
ここでは、データではなく私の身の回りのフィリピン人の友人を見ていて感じる日本とは違う男性と女性の役割について書きます。
日本では「料理男子」という言い方をすることがありますが、これはひと昔前までは男性が料理をするのがあまり一般的ではなかったから生まれたような言葉だと思います。
フィリピンでは男性が家族の食事を作るシチュエーションをよく見かけます。
私の仲のいい男性フィリピン人の友人は、家でいつも家族の食事を作っていました。
先ほど、私が働いている語学学校では女性の先生が多いと書きましたが、「夕食は帰宅してから作るの?」と聞くと、「いや、旦那(またはお父さん)が作ってくれる」と言う先生が結構います。
また、日本では一人暮らしや核家族が多いですが、フィリピン(私のいるバギオ)では家族や親戚と一緒に暮らしている人が多いので、家事についても家族みんなで分担されている印象があります。
家族内だけでなく、近所の人同士がそれぞれ助け合ったりするような光景もよく見るので、日本の昭和のような雰囲気に近い面もあるのかもしれません。
一緒に働いている女性のフィリピン人スタッフさんの中には、まだ小さいお子さんがいる人も結構いるのですが、他の家族のメンバーが面倒を見たりしているので、安心して働けているようです。
やりたい事をするために働くというより、家計を支えるためにも働かなければいけないなど、そういった理由もあるとは考えられますが、このような家庭内外の環境が、女性が働き続けることを後押ししているような印象を受けます。
他には、フィリピンは目上の人やお客さんなどに対して「sir」「ma’am」と呼ぶ傾向にあります。
職場やレストラン、ショッピングモールなどで、男性が「ma’am」と女性の上司やお客さんに話しかける場面もよく目にし、呼び方だけでなく態度からも女性を敬っている様子が伺えます。
政治の場面においては、今年の5月に実施された大統領選で、大統領候補と副大統領候補の両方で男性候補者と女性候補書が最後まで競っていましたし、あらゆる場面で女性の活躍をみることができます。
まとめ
今回は、フィリピンでの女性活躍について書かせていただきました。
私自身、フィリピン留学をする前は、フィリピンの労働者は女性よりも男性の方が多いイメージがありましたし、女性が働く環境があまり整っていないのでは?というイメージを持っていました。
しかし、留学をしてみると、先生やスタッフさんは女性の方が圧倒的に多いですし、ホテルやレストランでマネージャーを務めるスタッフが女性であることもよく見かけました。
本文でも紹介した「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」では男女平等について日本よりも順位が非常に高いことを知り、これについても驚きました。
留学をすると、働く環境の男女比率の他にも、年齢比率や勤務スタイルなど、日本では当たり前のことが海外では当たり前でないというようなことは頻繁に目の当たりにするはずです。
留学では語学だけでなく、そういった社会環境等の違いについても学んでいきましょう。フィリピン留学をされる方は、是非このようなテーマに関しても興味関心を持って留学生活を充実させましょう。