【フィリピンの英語】ローカルで働いてみてわかった英語力の高さ
こんにちは!フィリピン・バギオのかわけんです。
私は語学学校のスタッフをしながら、フィリピンの友人と小さなローカルコーヒーショップをしています。上写真は実際のコーヒーショップです。
「語学学校の外」に出てみて気付いたことの一つは、フィリピン人の英語力の高さです。
私がフィリピン留学をしたのは2018年で、その当時はフィリピン留学の認知度が上がってきているとはいえ、まだ周りには「フィリピン人って英語喋れるの?」と聞いてくる人が多かったです。
今もフィリピン留学をしたことがない方、フィリピン人と話したことがない方はそのように思っている人も多いのかもしれません。
フィリピンのローカルな環境で働いてみて、語学学校の先生だけではなく、街の人も普通に英語を喋れるということを知ることができたので、今回はフィリピン人の英語力の高さについて書きます。フィリピン留学を検討している方はご参考にされてみてください。
フィリピンは第二言語が英語
フィリピンでは第一言語がフィリピノ語で、英語は第二言語として用いられています。フィリピンの歴史を簡単に振り返ってみると、1898年から1946年までの間はアメリカの統治下にありました。
そのアメリカの植民地時代に、アメリカがフィリピン全土に学校を設立して英語教育を積極的に行ったことから、フィリピン人のほとんどは英語を話すことができます。
また、フィリピンの公用語については1987年に制定された憲法においても以下のように制定されています。
単にフィリピンの人の多くが英語を話せるから、第二言語は英語と言っているのではなく、憲法においてもこのように英語が公用語であることが定義されているんですね。
フィリピン人がどうして英語を話すことができるのかということについては、歴史的背景が関係し、さらに憲法でも公用語として正式に定められているということを知っておくといいでしょう。
レストランのメニューは基本英語
フィリピンには180以上もの言語があるとされています。「方言」ではなく「言語」です。日本人からしてみるとなかなかイメージが湧きにくいですよね。私が住む「バギオ」というところではタガログ語が公用語として使用されています。
余談ですが、バギオの近くにある「イロコス地方」ではイロカノ語が公用語として使用されており、語学学校の先生の中でもタガログ語が公用語の人と、イロカノ語が公用語の人がいるなど、第一言語が違う人たちが集まっているという興味深い環境にいます。
さて、ローカルの人同士の会話は基本的にはタガログ語ですが、興味深いのはレストランのメニューや街で見かける看板などは英語が多いです。私がフィリピン人の友人と運営しているコーヒーショップでは、その友人がメニューを書いてくれたのですが、表記は全て英語です。
そして、この英語のメニューをフィリピンのお客さんは何も疑問を持たずに普通にメニュー名やその説明を見て、内容を理解します。他のカフェも同様です。
PINESチャピスキャンパスの近くにローカルな「Café de Angelo」というカフェがあるのですが、こちらのメニューの表記も全て英語です。
地元の人たちが通うスーパーマーケットも同じです。下の写真はベイキングコーナーにある小麦粉や砂糖などの原材料のプライスリストですが、こちらも英語表記です。
子どもも年配の方も英語のメニューやリストを普通に理解しています。レストランやスーパーマーケットでこういう場面を見ていると、「英語が公用語」ということに納得できます。
タガログ語から瞬時に英語に切り替わる?
前述しましたが、私の住むバギオという地域では、第一言語としてタガログ語が使用されています。語学学校の先生やスタッフさんの会話を聞いていると、英語ではなくタガログ語で話していることが多いです。
コーヒーショップで接客をしていると、お客さんは自分がタガログ語を話すことができると思い、タガログ語で話しかけてくることが多くあります。その時に何を聞かれているかわからなかったら、「タガログ語喋れないんです」とお客さんに英語で伝えます。
すると、「Oh sorry!」みたいな感じで、軽く謝ってくれてその後は英語で会話を続けてくれます。この「タガログ語→英語」への切り替えは、ほとんどのフィリピンのお客さんが自然に行います。
たまに英語を使うことにためらいがあるような人や英語をほとんど喋れないような人もいますが、9割以上のお客さんは英語での日常会話は問題なくできます。
お客さんの中でもご年配の方もいらっしゃるのですが、そのような方も普通に英語を話される方が多いです。また、小さいお子さんについても同じで、子どもが親に英語で話しかけている風景もよく目にします。
接客をしている中で、このような場面に何度も出くわすと、フィリピンの人たちの言語能力は高いなぁ…といつも感心しています。
英語の上手い下手はある
フィリピンの人たちのほとんどが第一言語に加えて、英語も話すことができることを述べました。その人たちがとても流暢に英語を話しているのかというと、必ずしもそうではなく、上手な人とそうでない人はいます。
普段、英語を使わないような環境で過ごしている人もいるので、そのような人たちは発音が聞き取りづらい場面や、こちらの説明を理解してもらうのに苦労することもあります。
しかしながら、逆に考えてみると、そのような普段の日常生活で英語を使っていないような地元のおじちゃんもある程度の英語は理解し話すことができるということです。
日本の場合は、全くと言ってもいいほど英語でコミュニケーションが取れない人が多いと思いますので、それに比較するとすごいなぁと感じます。また、普段から仕事や学校で英語を使っている、または高い英語力を求められるような環境にいる人の英語力は高いです。
コーヒーショップのお客さんの中でも語学学校の先生と全く変わらないぐらい綺麗な英語を話す人が結構います。仲良くなったお客さんと仕事の話をするようなこともあるのですが、友人の中の1人はアメリカの企業に所属をしていて、もう1人はオーストラリア人の上司の元で働いているそうです。
フィリピンには首都のマニラを中心に英語圏の国の企業のブランチが多くあり、また最近はオンラインでの仕事も多くあるため、英語力が高いといい仕事を獲得しやすいようです。海外の企業で働くことは給与などベネフィットの面でもメリットがあることが多いので、英語力をしっかりと身につけて海外の会社での勤務を目指す人たちが数多くいます。
ちなみに、フィリピンは人口の約1割にあたる1,000万人ほどの人が出稼ぎなどを理由に海外に居住していると言われていますが、海外に移住し仕事を得るためにも英語力は必要となるため、そのために英語を学習している人たちも多くいます。一方で英語を学ぶ日本人留学生はどうでしょう?
フィリピン留学に来ている日本人生徒の英語を学ぶ目的は海外大学進学や就労に限らず、海外旅行した時に現地の人とコミュニケーションをもっと取りたい、洋画を字幕なしで観たいなど、必ずしも学業や仕事とは直結しないような理由の人も多いです。
幼い頃からの教育環境などに違いはありますが、フィリピンの場合は、仕事のため、海外移住のためなど生活のために英語力に磨きをかけている人が多いので、英語を学ぶ目的が日本人とフィリピン人との間では異なることは興味深いです。
普通に英語の動画を見ている
フィリピンでは仕事や移住のために英語のスキルを高めている人が多いとのことですが、「娯楽」の場面ではどうなのでしょうか。
コロナ前の調査ではありますが、2019年に発表された(CNN)世界各国別のインターネット利用の消費時間に関する調査報告書によると、2018年のフィリピンの1日当たりの平均は10時間2分で、世界で最も消費時間が長い結果となっていました。
特にソーシャルメディア経由が目立っており、フィリピンは1日当たり4時間12分という結果でした。
なお、日本は1日当たりのインターネット利用時間は3時間45分(世界での平均時間は6時間42分)で世界での平均時間よりも短く、ソーシャルメディア経由は36分(世界での平均は2時間16分)でした。
これはコーヒーショップのお客さんや現地での生活の中で周囲を観察していても、納得の結果です。というのも、フィリピンでは暇さえあればほとんどの人がスマホをいじっています。
最初の頃は驚きましたが、レストランや売店などのお店のスタッフや警備員でさえ時間があればスマホで動画を見たりしているのです。日本ではちょっと考えられないですよね…。
YouTubeやインスタ、TikTokなどで様々なジャンルの動画を見ているフィリピンの友人たちを観察していると、英語の動画を見ている人が多いということに気付きます。ドラマや英語、コメディなどはフィリピンの作品もありますが、アメリカなど海外のものを好んで見ている人が周囲には多いです。
また、Adobeのソフトを使った動画制作を始めた友人は編集方法について英語で解説している動画を見て勉強していました。
コーヒーショップにおいても、フィリピンのスタッフはお菓子作りやコーヒーに関する動画は英語のものをごくごく自然に見ています。
このように、英語の動画で学習する、字幕なしで英語の映画を見るなどといった行為をフィリピンの人たちは言葉通り普通に行っています。
さらに、フィリピン人のお客さんや同僚が英語でネット検索しているのを見ていると、コーヒーにしても動画編集方法にしても、日本語よりも英語の情報の方が圧倒的に多いということにも気付かされます。
まとめ
今回は、「【フィリピンの英語】ローカルで働いてみてわかった英語力の高さ」というテーマでお届けしました。フィリピンはアメリカの植民地時代の影響により、英語教育が普及し、1987年に制定された憲法においても英語は公用語として定められています。
そういった歴史的、制度的な面のみならず、バギオという人口40万人ほどの街に実際に住んでいると、フィリピンの人たちが普通に英語を話せるということに気付きます。
語学学校の先生は生徒に英語を教えるために、英語の専門的なトレーニングを受けていますが、そうでない人も問題なく英語でのコミュニケーションを取ることができています。フィリピン国内の観光地にはたくさんの海外観光客がいますが、ホテルやレストラン、案内所などのスタッフさん達は皆さん英語で接客をしています。
留学先の国を選ぶ時に「フィリピンの人の英語はネイティブ英語じゃない。」と言われることもありますが、これに関しては英語を学ぶ目的やゴール、現在の英語レベルなどにもよると思います。
また、英語という言語がネイティブよりも非ネイティブの人からの方が使用されていますし、アメリカとイギリス英語にも異なる点があるように、一概に言えない点は多くあります。
文章だけですと、伝わらない部分もあると思いますので、実際に留学したり、あるいはオンラインレッスンを使たり、フィリピン人のYouTubeを観てみたりするなどしてフィリピンの英語にも是非触れてみてください。
他のコラムではフィリピン留学、特にバギオのことを中心に執筆していますので、よろしければご覧ください。