フィリピンの伝統の乗り合いバス「ジプニー」がなくなる? | 留学・ワーホリ・海外留学・語学留学は留学ドットコム

カテゴリー:現地生活情報

フィリピンの伝統の乗り合いバス「ジプニー」がなくなる?

公開:2023/03/20 著者:河端 健司 641 Views

こんにちは!フィリピン・バギオのかわけんです。

フィリピンの「ジプニー」をご存知でしょうか?上写真がジプニーですが、デザインが非常に個性的ですよね!

ジプニーは、フィリピンで通勤や通学などの移動の際に利用される15人前後が乗車できる乗合タクシーです。日本で言うと、バスに近いものです。フィリピン留学中に一度は体験してみる人が多い乗り物です。

 

このジプニーは見た目がカラフルでなかなかクールですが、時代に即していないような「問題」もあります。その「問題」が原因で、旧型のジプニーがなくなる可能性があります。

 

このコラムを書いている今現在も議論がされている、このジプニー問題についてフィリピン現地よりお届けします。

 

「ジプニー」って何?

ジプニーはフィリピンのマニラ、セブ、バギオなど、国内のどこの地域でも見ることができる乗合タクシーです。

英語では「Jeepney」と表記しますが、私の周りのフィリピンの先生やスタッフさんは「ジープ」と呼ぶ人が多いです。

車体のデザインはカラフルなものが多く、街を歩いていると遠目からでもすぐにジプニーに気づくことができます。

この派手できらびやかなデザインはジプニーのオーナーさんが独自のデザインセンスで装飾しているので、基本的には全てのジプニーはそれぞれ異なるデザインとなっております。

 

→ 多種多様なカラフルなデザインが特徴的です。

 

このジプニーの多くが小型貨物自動車からの改造で造られていて、各部品は中古品が使われており、見た目はクールですが性能としてはかなり古いです。

そして、「フィリピン人の足」とも言われるジプニーは運賃が安いです。最近は値上がりをしていますが、それでも10~15ペソぐらいなので、日本円で30円前後です。

手頃な価格のため、地元の人たちの毎日の通勤や通学に利用されています。日本のバスと全く異なる点は、時刻表がなく停車場所が決まってないことです。

 

「時刻表がない?」、「停車場所が決まってない?」そう思われるかもしれませんね。まず出発時刻についてですが、始発地において「ある程度人が集まれば発車する」というスタイルです。なかなか大雑把ですよね。

次に停車場所ですが、走行中にジプニーの天井を叩いて運転手さんに降りることを告げればそこで降ろしてくれます。運転手さんに声が届かなければ、別の乗客さんが大きな声で伝えてくれます。ジプニー車内ではこういった「共同作業」のようなものが見られます。

運行ルート沿いで自宅などの目的地に最も近いところで降ろしてもらえるメリットはありますが、その分色んなところで突然停車することになります。

 

ジプニーを道中で捕まえる際は、決められたバス停のような場所は基本的になく、道端でタクシーを捕まえるように手を挙げて停まってもらうのがセオリーです。

乗るときは道端で捕まえることができ、降りる際は目的地の近くで降ろしてくれるのは便利ではありますが、乗客全員に対してそのようにしているので移動時間は読みづらいです。

地元の人たちの生活に溶け込んでいるジプニーの運行スケジュールがこのようなスタイルということもあってか、フィリピンでは予定の時間通りに人が集まらないということが普通です。(笑)

 

学校の先生もジプニーで通勤

「市民の移動手段」とも言えるジプニーは、語学学校の先生やスタッフさんも日常的に通勤で利用しているようです。

筆者が働く語学学校のPINES(パインス)にはフィリピンのバギオにキャンパスが2つあり、先生は100人以上も在籍しているのですが、ジプニーを使用して通勤する人が半数以上です。

フィリピンは日本に比べると、タクシーの乗車料金が安く、買い物などで利用する人が多いのですが、タクシーを毎日の通勤で使用するという先生はあまりいないです。

 

家族の方に車やバイクで送ってきてもらうケース、また始業時間に間に合いそうになく急がなければいけない時にタクシーを利用するケースもありますが、それ以外はほとんどがジプニーを利用しています。

ちなみに、フィリピンのタクシーは、移動時間10~15分ぐらいの距離であれば100ペソぐらい(日本円で大体250円ぐらい)です。

ジプニーは10~15ペソ(日本円で30円前後)なので、毎日の通勤で使うとなれば、ジプニーの方がかなりお手頃な値段ですね。

 

留学生にも人気のジプニー

語学学校の先生やスタッフなど地元の人たちが日常的に利用するジプニーですが、留学生にも人気です。日本では見ることのできない車のデザインやローカル感漂う車内は、せっかくなので留学中に体験してみたいものです。

私自身もフィリピン留学した際は先生にも「一度乗ってみた方がいいよ!」と言われチャレンジしました。生徒さんをみていると、一回だけで満足する人もいれば、地元の人のように一人で何度もジプニーを利用する人まで様々です。

PINES(パインス)ではパンデミック前に定期的にバギオの「シティツアー」をしていたのですが、この時にジプニーを貸し切っていました。

 

→ ジプニーを使ってバギオの観光地を散策。

 

参加した生徒さんはジプニーの中や外で写真を撮ったりして、ジプニーに乗ることがフィリピンでのいい思い出になったようでした。

YouTubeやブログをしている生徒さんも国籍を問わずおりますが、そんな人たちの中でも写真映えするジプニーはとても人気でした。

 

秀逸すぎる?支払い方法

見た目がクールなジプニーですが、外見だけでなく、その「システム」もなかなか秀逸です。何が秀逸なのかと言うと支払い方法です。

日本のバスであれば乗車と降車時にICカードでの支払い、または現金を運転手さんに支払いますよね。一方、ジプニーの場合はというと、「運賃を隣の乗客に渡す」です。

乗ったことがない人はイメージが難しいかもしれませんが、ジプニーでは横一列に乗客は座っているんですね。車の天井はとても低く、バスみたいに車内を歩くことはできません。運転手の他に運賃を集めるようなスタッフもいません。

 

ジプニーの後部座席に座ると、運転手さんに運賃を直接届けることができません。じゃあどうするか?ということで、隣の乗客に運賃を渡すんですね。

そして、その渡された隣の乗客は、さらに隣の乗客に渡すといった具合で、最終的に運賃が無事に運転手さんに届くのです。さらに、面白いのはお釣りがある場合です。

お釣りがあれば、先ほどの逆パターンで運転手さんから乗客さん、その隣の乗客さんというように流れ作業で最終的に自分の手元に届きます。

 

初めてそれを経験した時は、「ちゃんとお釣りが返ってきた!」と変に感動しました。

この、いわゆる「共同作業」はジプニーでの一つの醍醐味でもあり、それを楽しむ留学生も多いです。

確かに、このシステムは不便ではありますが、それによってコミュニケーションが生まれるし、ある意味で「フィリピン」を感じることができる瞬間だとも思います。

 

ジプニーが抱える深刻な問題

地元の人からも毎日利用され、留学生や観光客からも人気のジプニーですが、深刻な問題を抱えています。それは「排気ガス」で、とにかく排気ガスがやばいんです。

日本では最近見ないようなとんでもなく灰色の排気ガスがジプニーから排出されます。日本では廃車となるレベルの古い車やエンジンが使用されており、車体から排出される排気ガスの問題は深刻です。

私が留学した時この排気ガスに驚いたのと、それが直接的な原因かはわかりませんが、数週間に一回喉を痛めていました。

 

パンデミックにより、フィリピンは一時期大々的なロックダウンが敢行されていたのですが、その間に驚くべきことがありました。

ジプニーがほとんど街中を走っていなかったので、空気がきれいでした。それくらい毎日大量にジプニーが街を走り回ることは、環境的によくないということです。

フィリピンのバギオは、たくさんの緑に囲まれた自然豊かな場所です。排気ガスの影響がなければ空気は澄んでいて、外を散歩するのがもっと気持ちいい環境のはずなので、この問題は早く解決しなければいけないと思っています。

 

→ 排気ガスがなければバギオの空気はもっと綺麗になる。

 

ジプニーがなくなる?

環境にとって決して良いとは言えないジプニーですが、フィリピン政府も真剣に考え始めたようです。

政府の運輸交通当局によると、人体へ悪影響をもたらす恐れのある排気ガスのほか、頻発するエンジントラブルや危険な運転による交通事故や渋滞に加え、窓ガラスやドアがないという安全性の不備などを理由に、旧型のジプニーを廃止し近代的な車両へ転換しようとしています。

現在、ジプニーの運行形態に関しては、個人経営者の運行も許可されていますが、今後は組合か法人に加入する必要があります。2023年2月22日のニュースによると、同年6月30日までに加入しなければ、その後の運行が認められないとされています。

 

そして、組合か法人の一員になった者は、ジプニーの運行権限が12月31日まで延長され、その後は新型もしくは政府基準を満たした車輌への移行が求められる予定となっております。(フィリピンはこういった計画が変わることが多いので、あくまで現時点での予定ですが…。)

この一連の政府の動きに対して、ジプニー会社経営者や運転手などは反発をしており、マニラ首都圏などでは1週間のストライキも計画されています。6月30日までの組合または法人への加入については、これまでに既に3回の延長が行われており、今後もどのように計画が進むのかは不透明な状態です。

旧型のジプニーを運転することで生活費をまかなっている方々の反発の気持ちもわかりますが、現地に住んでいるとその排気ガスの深刻さはずっと感じているので、計画全体がいい方向でまとまることを願っています。

 

ジプニーに代わるバス

廃止が計画されている旧型のジプニーですが、将来的には環境に配慮した電気ジプニーやソーラージプニーの運行計画もあるようです。最近、バギオの街でも増えてきたのは、以下写真のようなバス型の新ジプニーです。

「ジプニー」というよりも、普通にバスの見た目ですね。車内は清潔感があり、また街を走っているところを見ても旧型ジプニーのようなひどい排気ガスは排出されていません。

ちなみに、この新型ジプニーでも車内は乗客でぎゅうぎゅうな状況であることも少なくなく、そこは旧型と変わらないんだなと思って見ていました。

 

→ 新型のジプニー。

 

こちらの新型のジプニーについては、パンデミック中に街で見かけるようになり、最近はますます車数が増えていっています。

街からあのカラフルな旧型ジプニーがなくなるのは寂しい気もしますが、環境のことを考えれば、間違いなくこの新型ジプニーの方がいいです。

旧型ジプニーは観光目的に広場などに展示して、記念撮影等できるようにするのもいいんじゃないのかなと個人的には思っています。

 

まとめ

今回は、フィリピンの伝統でもある「ジプニーがなくなる?」というテーマで現地からの最新情報をお届けしました。フィリピン留学を検討している方は、フィリピン留学に関するブログや動画を参考にすることが多いと思います。

その際に「旧型のジプニー」の写真を目にすることが多いと思います。あの独特なカラフルなデザインは、「フィリピン」をイメージすることができますし、実際に街で見かけても写真を撮りたくなります。

個人的にも旧型のジプニーは街から消えてほしくないですが、散歩が好きな私はジプニーが横を通り過ぎるたびに息を止めるなどして、排気ガスを体内に吸い込まないように対策しています。

 

フィリピンのバギオは標高1,500mという高さに位置していて、言葉通り緑が豊かなとてもリラックスできる素敵な場所です。

 

バギオ留学で、初めてフィリピンのバギオを訪れるという人が多いのですが、バギオの住みやすさ、治安の良さ、天候の過ごしやすさに居心地の良さを感じる留学生は多いです。(ちなみに私もその一人でした。)

フィリピンには綺麗なビーチなど豊かな自然環境がたくさんあり、バギオ含めフィリピン全土の素晴らしい自然環境を守るためにも、環境保全を目的としたジプニーの新型への移行がスムーズに進めばと思っています。

環境に目を向けるためには経済的にもある程度の余裕が必要になります。経済発展を続けるフィリピンが環境問題にも取り組み、「フィリピン留学」がさらにいい環境で経験できるようになるといいですね。

 

他のコラムではフィリピン留学、特にバギオのことを中心に執筆していますので、別の記事についても是非ご覧ください。

 

 

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