英語留学でコスパがいいのは?「安い学校で16週間」vs「高い学校で12週間」
アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの主要英語圏には、数多くの語学学校があります。多くの語学学校でメジャーな一般英語コースには、学習時間もコース内容も似通った設定になっていますが、授業料は各学校により千差万別です。
安いより高い語学学校の方が、「質は高そう」な感じは受けます。
実際のところ、語学学校の費用差によって、学校設備やそのサポート内容などは変わる傾向にあるのは事実です。
費用面がネックで高い学校は厳しいので、安い学校を選ぶ方は実際います。また、少しでも長く勉強したいからと、「安い学校で少しでも長く通う。」ことを希望される方もいます。
では、授業料の差によって、英語力向上に影響があるか検証してみます。
費用の違いが学習状況に与える影響とは?
実際にイギリスのロンドンにある語学学校で、同じ授業時間で費用が異なる2校を例に英語力アップに差があるのか検証したいと思います。
なお、語学学校の営業妨害にもなる側面がある情報公開となるため、学校名は伏せさせて頂きます。
費用が安い学校A | 費用が高い学校B | |
最大クラス人数 | 22名 | 12名 |
平均クラス人数 | 15名 | 10名 |
カウンセリング | 4週間に1回 | 最低週に1回 (必要に応じて随時可能) |
アクティビティ | 平日毎日 | 最低週に3回 |
無料クラス | 週に1回 | 平日毎日 |
費用の最大差の要因は、1クラスあたりの最大人数!
費用が高い語学学校は、1クラスあたりの人数が最大12名であるのに対して、安い学校では最大22名とその差は10名もあります。1クラスあたりの生徒数が少なければ少ないほど講師は各生徒の様子に目が行き届くだけでなく、生徒一人あたりの発言回数も増えます。
1クラスあたりの人数が少ないことでクラス全員と打ち解けやすく、人数が多いよりもクラスで発言する時にも緊張しにくいなど、授業を受ける側の生徒にとっても配慮された環境だと言えるでしょう。
1クラスに大勢の学生を詰め込むことで、当然先生1人当たりの人件費が浮きます。あまり1クラスの生徒数はチェックしない部分だと思いますが、英語力の伸びにも影響する大切な部分です。
語学学校で行われるカウンセリングは必要?
留学費用の違いは、学校で行われるカウンセリングの回数にも表れています。
安い学校では4週間に1回のカウンセリングですが、高い学校の方は必要に応じていつでも対応すると学校パンフレットにも明記されています。さらに、毎週必ず個別面談は実施されます。
カウンセリングでは学校生活の悩みだけではなく、日頃の授業の理解状況、学習目標設定やその目標達成への進捗状況をなども確認します。
学習効率をあげるためには、個別面談で目標を設定し、定期的にその進捗について確認することが大事です!
プロのトレーナーがついてアドバイスを受けながら勉強するのと、自己流に勉強するのとでは、勉強に対するモチベーションも変わりますし、結果として学習効果が大きく変わってきます。
さらには個々の生徒で苦手な項目は異なり、その解消に向けた学習プロセスも異なります。カウンセリングでは、日々の授業では細かくケアし難い個々の問題に着目して指導し、生徒の目標が達成されている時にはそれを評価してくれます。
逆にカウンセリングを行わない学校では、目標設定や振り返りは生徒個人の裁量に任せられます。自立していて、やる気があれば問題ありません。しかし、目標設定の無い(薄い)留学生は、ただ学校に毎日通って、出された課題をこなすだけの生活になりがちです。
定期的なカウンセリングは、学習効率の向上には必要な要素です!
留学生活は誘惑も多いので、誘惑に流されそうになる場合もあるでしょう。
カウンセリングを受けることによって、学校側に現状を分析して貰って、足りない部分をアドバイスして貰ったり、モチベーションを高めて貰ったりすると、学習効果の向上が期待できると言えます。
費用が高い学校は授業以外の学習サポートも充実
今回比較したどちらの語学学校も授業以外の英語学習サポートとして、無料のワークショップを開催しています。ですが、その参加方法に大きな違いがあります。
例えば、以下の通り。
・費用が高い学校 B: 参加必須で、学校がある日は毎日開催
さらに、費用が高い学校では、無料ワークショップ以外に以下のサポートも行っています。
・ 毎週15分チューターによるマンツーマンレッスン
・ 語学学校終了後の進路相談(大学進学なども含む)
また、一部の費用が安い語学学校では、授業終了後生徒がすぐに帰宅してしまうことから、授業が終わって個別に質問しようとしても嫌がられる、もしくは授業後の質問は積極的に受け付けてくれないといった話もお客様から時折耳にすることがあります。
そのため、マンツーマンの時間が必ずあるというのは学ぶ側としても、大切な時間だったりします。
またビデオ撮影により自分が話す姿を客観的に観ることは、英語の発音やイントネーション、抑揚の付け方などの改善に非常に効果的です。
費用の違いは学校の設備にも表れる!
安い語学学校は大抵、授業が行われる教室とマネジメントのための管理室、広めのスペースや管理室の一角にソファが置いてあるだけの簡単休憩コーナーがある簡素な造りが多くなります。授業が終わった後、生徒が学習できるスペースがないことが多くなります。
しかし、費用が高い語学学校は、授業の前後に生徒が自由に使えるラウンジやカフェ、図書館があるなど施設が充実しています。また、校内で比較的リーズナブルに軽食が取れる学校もあったりします。
校内に生徒が集まれるスペースがあれば、自然と英語でのコミュニケーションが生まれますし、一緒に学習もできます。
限られた留学生活の中では、授業が終わった後もどう英語を使用して行くのかによって、英語力向上のスピードが変わります。
英語を使う機会が多い環境や、自習できる環境が充実していることは、英語力向上にとって重要な要素です。
費用が高い語学学校は、授業以外の時間でも英語を使用する機会を増やすため、色々と考えられた試みを行っていることが分かります。
高い学校と安い学校、通っている生徒に違いはある?
安い学校に通う生徒の中には、実は勉強目的ではなく、就労(アルバイト)目的の方もいます。そういう生徒は真面目に授業にも出ず、仕事を優先する姿も見かけます。
たまに授業に来ても、授業に付いていけないため、不真面目な態度で授業の雰囲気も悪くなる場面もあります。
逆に費用が高い語学学校は、敢えて高い費用を支払って入学して来ます。つまり、多くの学生はあくまでも勉強目的で入学してくるため、不真面目な生徒は少なくなります。
安い語学学校が不真面目な生徒が必ず集まるという訳ではありませんが、安いからこそ勉強以外の目的を持った方も集まりやすいのです。
特にワーキングホリデービザの方は、海外に来た目的がひとそれぞれバラバラです。勉強目的の方もいれば、海外旅行の延長戦のような方、マリンスポーツを楽しみに来た方、海外生活を経験してみたい方、などなど。
英語力向上が主の目的でない方々が多ければ、勉強に対する意識やモチベーションも当然変わってきますし、生徒のモチベーションは学校側で100%コントロールしきれない部分だったりします。
ワーホリビザの方に多いパターンとして、どうしても費用を抑えたくて、安い語学学校を選ぶ人もいます。例えば、安い学校を選ぶ代償として自習スペースが無い場合もあります。
もちろん、近くのカフェで勉強することも可能ですが、自習スペースが無い環境には、意識の高い学生が集まりにくい環境だと言えるでしょう。
自分の意識次第で学習効果を上げることはできますが、強い気持ちを持っていなければ周囲に簡単に流されてしまいます。
一緒に学ぶ仲間も学習環境を構成する重要な要素です。海外生活で大きく影響を与え合う友人にもなるため、お互い励まし合って切磋琢磨して勉強するとモチベーションも維持しやすくなります。
高い語学学校には、勉強に強い思いを込めて入学して来ますので、高いモチベーションの学生が集まります。周りの友だちが頑張って勉強していれば、「自分も勉強しないと置いて行かれる!」という緊張感を常に持って生活できます。
費用が安い学校になればなるほど、自己管理が一層求められることになるのです。
「安い学校で16週間」か「高い学校で12週間」かの結論は?
授業を受ける時間だけ単純に比較すると、仮に週15時間のコースだとして、16週間で240時間、12週間で180時間と60時間の差があり、16週間通った方が良いことは明白です。
しかし、「安い学校で16週間」だとカウンセリング回数は4回、高い学校だと12回とその回数には3倍の差がでてきます。
また既述のとおり、カウンセリングの効果と12週間で参加必須の18時間の無料ワークショップ、ビデオに録画することで得られる改善効果など滞在期間4週間の差があったとしても、高い学校での12週間は非常に学習密度が高いことがわかります。
安い学校に通う場合は、高い学校では得られないサポート分を留学生自らが補う工夫と自習で足りない部分を補う必要性があります。
学習密度の観点で言えば、高い学校に12週間の方がベターかも知れません。
また、実際学校を選ぶ時は、2択ではなく選択肢はたくさんあります。留学費用が限られている方は、学習環境が充実しつつも、費用はリーズナブルと言う学校を探すのがポイントになってくるでしょう。
主要都市であれば、学校の選択肢も増えるので、選択肢が多い都市を選ぶことも大事です。
ちなみに、今回取り上げた2校の比較では、授業料を比較すると、BはAの2.5倍です。
この費用差と大きな学習サポートの差をどう捉えるのかは、個人の性格と好みもあるため、どちらが正解とは言えません。安い学校でも問題なくやっていける方は、誘惑に流されない強い性格が必要になるでしょう。
多くの日本人は最初英語が伝わらないことで積極的になれず、慣れるために時間が掛かります。そのため、学習サポートがしっかりしている方が、日本人は学校に早く慣れることができて、学習に取り組みやすくなります。
今回、具体的に客観的な項目で見比べていくと、具体的な学習サポートが多く、留学先での学習環境が整っています。
ちなみに、費用の高い学校が、全てにおいて秀でているワケではありません。どちらかと言えば、英語学習に集中するためには、高い学校の方が適していると言えるのではないでしょうか。