アメリカ留学の準備 ~本気なら教科書を閉じるべし!~
「アメリカ」という国について、人によって色んなイメージがあると思う。世界の経済の中心地、エンターテイメントの国、好きなアーティストがいる国、綺麗な顔立ちとスタイルの人がそこら中にいる国、とにかくなんでもデカイ国、などなど。
自分が16歳の時、高校留学を決めた時に抱いていた印象はそんなところだった。なんなら5年経ってアメリカに戻って来た今もそんなに変わっていない。
アジアンのあなたにはあなたなりの、ラティーノ、ブラック、ヒスパニック、ホワイト、ミックスの彼らには彼らなりのアメリカがあるのです。
それを全部正解として受け入れてくれる、心も土地も大きな国がアメリカなのです。
前述の通り、16歳から3年間バージニア州の高校に留学し、2年経った今はロサンゼルスに滞在しています。
高校留学で人生が変わったし、今の人生が本当に大好きだ。留学は、それぐらい貴重で大切な経験だった。
ここでは自分が初めて留学した時の準備を参考にして、皆さんに紹介できたらと思います。
留学に行く目的
現地に着いてどんな嫌な事があろうが、意地悪な人に会おうが、最高の恋をしようが、テストでいい点を取ろうが、結局は行く目的が大切になってくる。
ここでは当たり前だと思う人がほとんどだと思うけど、新しい環境で新しい生活になると、そんな当たり前のことも忘れてしまうものである。
アメリカには本当にいろんなものやカルチャーがあるから、沢山の選択肢があると思う。
俳優、歌手、ダンサー、コメディアンになりたい人、ゲームを作りたい人、ファッションの勉強をしたい人など、もう具体的にゴールが決まってる人もいるだろう。
また、なんとなくアメリカかっこいい、本物の自由の女神を見てみたい、可愛い・かっこいい海外の人に会ってみたいとか、本当にざっくりしてて、一見くだらないって学校の先生から言われてしまいそうな理由まで様々だと思う。
ただひとつ断言できるのが、くだらない理由なんて無いっていうこと。
どんな理由であっても、その思いを大切にしてほしい。
例えば、あなたが今アメリカ人と付き合うことを目標だとするなら、それを大きく紙に、力いっぱいに「本気で」書いてほしい。
そうしたらそれに付随して、「英語を話せるようにならなきゃ。」とか、「学校に行ったら頑張って勉強して良いところを見てもらおう。」とか、学校の先生が拍手してくれるようなモチベーションが自然と湧いてくると思う。
自分の場合は、11歳の頃から狂ったようにマイケルジャクソンが好きだった。その時もう彼は亡くなってしまっていたのだけれど、悲しみなんかより好きの気持ちの方が断然強かった。
親も学校の先生も、挙句の果てには親友にも呆れられる(そしてしつこすぎて怒られる。)ぐらいに好きだった。
彼の言ってる事を理解したくて、英語に興味を持ったのは自然な流れだったと思う。
それから5年後、その熱が冷めるどころか更に上がって留学前に決意した目標。
それが、「英語を話せるようになる!」というものだった。
そこからは、「まずは授業をしっかり受けなければ。」とか「曲の歌詞の英語を読んでみよう。」とか、自然と日常の生活が変わって来た。
まずは、これが大切な準備なんだと思う。
情報を集めよう
今の時代、手のひらに沢山の情報が溢れていて、かえって「調べる」ということが難しく感じてしまうと思う。
だからこそまずは、興味がある事からでも調べてみるといい。
ロサンゼルスは電車が通っているんだなとか、ここのビーチは有名なんだなとか、ここの公園はこの間観た映画のロケ地だったんだなと、本当になんでも良いから調べてみて、イメージを膨らませて勉強のモチベーションにすればいい。
そして、留学会社を見つけるのが第一歩だ。
インターネットで留学会社と打つだけで、本当に沢山の会社が出てくる。電話を直接してみて、説明会の予約を何社かとってみると良い。
会社の雰囲気も分かるし、実際脚を傾けてみるとそれまで思い付かなかった入学のプロセスとか、準備する書類とかの事が一気に襲ってくると思う。
でもそこはやっぱり向こうはプロに任せて、説明会やオリエンテーションに行って直接聞いてみるのがおすすめ。その中で、自分と合う会社が見つかってくるはず。
あとは、留学情報誌や体験談に目を通してみると良い。そこから新たな疑問が生まれて、それをまた次の留学会社での面談で解決していく、という一連のプロセスを繰り返す事が何より大切。細かな疑問や質問は人によって違うはずなので、それらの答えをここでは書かないでおく。
以下で紹介する内容は、全て自分で実際にやっていた事である。今振り返ると、会社に行ったり、図書館にアメリカや留学についての本を借りに行ったりと、脚で集めた情報が身になっていると思う。
学校を決める
ある程度の情報が集まったら、学校を具体的に決める必要がある。
どれぐらいの期間滞在するのか。予算がまずは大切な要素になってくる。
もちろん、長く滞在するようであれば予算も上がっていくが、選ぶ学校の種類によっては値段も大きく変わる。
語学学校
最短で一週間から滞在可能で、アメリカでは学生ビザを取らなくても通うことが出来る。値段は地域や学校によって変わるが、自分の行っているロサンゼルスの語学学校、Language Systems International(LSI)の、夏のセクションの一週間の最安値は$330だった。
語学学校の利点の1つは、朝、昼、夜と時間を選べるというところ。サーフィンをやっている友達は、朝サーフィンをして、昼は友達と遊び、夜から学校というスケジュールの人もいたから、自分のやりたい事と両立しやすいのは語学学校かもしれない。
選ぶプログラムや滞在する期間によって値段は変わるから、場合によっては一番安くアメリカの学校に通う手段だろう。
高校
多くの人が一年は最短でも滞在している。一年間の滞在であれば、現地の公立高校に通うことができるから、値段も田舎の地域を選べば100万円以下で通えるところもある。
一年以上の滞在になると、公立高校ではなく私立学校でなら継続して通える。こちらも地域によって値段は大きく変わるが、自分が高校に行く時に調べた値段は、バージニア州の学校では学費とホームステイ代で1年200万円。一方、ロサンゼルスの学校は、同じ条件の値段が500万円だった。
現地の高校に通うということは、当然授業やコミュニケーションは全て英語。始めはもちろん大変だけど、その分英語の吸収は早いと思う。よく海外ドラマや映画に出てくるプロムやホームカミング、そして何よりアメリカのカルチャーを若いうちから体験できるのは高校留学の大きな魅力。
大学
大学は自分は全く体験した事がないので、正直なところ個人で調べてもらった方がいいかもしれない。多くの人がこちらも最短で一年は滞在していて、田舎の学校でも語学学校や高校よりも規模も大きい分、値段も高い傾向がある。こちらも公立校は私立校より値段は抑えられるが、学校のレベルも値段と比例する傾向にある。
学ぶ内容も高校よりも更に細分化していくし、レベルも上がっていくから、既に勉強したいことが決まっていたりする人には最適だと思う。現地の友達によると、やっぱり映画みたいなパーティーがあり、1パック$1のインスタントラーメンに囲まれた生活も楽しんでいる。一方で、毎週のテストやエッセイに悪戦苦闘しているようだ。
高校、特に大学はTOFELなどの英語力証明のテストを受けて、スコアを提出する必要がある。学校によって求めるスコアも変わってくるが、現地の学校に行くにあたっては避けられない要素になってくる。
どこに滞在するか?
新しい環境で、新しい人と会って、新しい事をして「家」に帰ってくる。だから家選びは本当に大切。その帰ってくる場所も、「家」と思えるかどうかは本当に環境次第。
もちろんリラックス出来る環境を選びたいし、創れる環境を選びたい。だけど内見なんて出来ないから、陽当たりがどうとか隣の家の子供が走り回ってるとか、そんな事は分からない。
こればっかりは、行ってみないと分からない。だからフットワークを軽く滞在出来るところをお勧めする。「でも、どうやって?」という声が聞こえてきそうなので、そこも踏まえて場所ごとに説明していきたい。
ホームステイ
高校とか、短期の語学学校滞在をする人にとっては一番ポピュラーなチョイスだと思う。
ホームステイ先を決める前に、その家族の家族構成、週末の過ごし方、それぞれの趣味は何かといった情報を教えてもらえるから、そこでチョイスがあれば自分に合いそうな家族を選び、チョイスがなければ心の準備をして…といった具合である。
家族との相性は凄く大切である。周りにも凄く良かった、あの家族でよかった、という人達がいる反面、本当に合わなかった、家にいるのが嫌だった、という人達の二極化だった。
正直、一度住んでしまったらなかなかすぐに変えづらいのがホームステイである。
だからこそ、自分自身と、そしてもちろんお世話になる家族と向き合える場所だと思う。
本場の英語を教えてもらえたり、どこかに足が必要な時に車を出してくれたりと、仲良くなれば本当に家族の様に接してくれるから、それは一生の経験になるに違いない。
学生寮
語学学校や大学に通う人にポピュラーなチョイス。値段もホームステイよりは抑えられるし、ほとんどの場合は学校のすぐそばか近くにあるから、交通手段もラクなのが利点。
近くにスーパーマーケットがある寮も多く、ロケーションがいい寮も多い。
ここでもルームメイトとの相性が本当に大切になってくるし、寮生活を経験した人にはその人それぞれのストーリーがあるはずだ。自分も台湾から来た最初のルームメイトと全く反りが合わず、凄く悩んでいた時期があった。
そんな彼の愚痴を寮のフロントにいる女の人に話していたら、最終的にはフロントの彼女のファミリーディナーにお邪魔するまで仲良くなったりしたから、本当に何があるか分からない。
ルームメイトと反りが合わない場合に、相談して変えてもらったり、現地で仲良くなった友達と一緒に住んだり出来るから、気持ち的に少し楽かもしれない。
ルームシェア/ハウスシェア
これも大学、語学学校に通う人に多いチョイス。特に今自分がいるロサンゼルスなんて高すぎて、とても1人じゃ住めないから、自分も含めてかなりの人がハウスシェアをしている。
値段は本当にピンキリで、個人の部屋があるかないか、アパートであればジムやプールなどがついているか、駅から近いか、などによって変わってくる。
自分の今住んでいるところは駅から歩いて15分、個人の部屋無し、光熱費とWi-Fi込みのハウスシェアで、月$520で住まわせてもらっている。
これはかなり安い物件で、一般的には$1,000出せばかなりいいアパートをシェアすることが出来ると思う。
この場所は、既にロサンゼルスにいた先輩から紹介してもらった場所だ。留学生の立場だと、自分の名前でアパート等を借りるのは難しいから、紹介してもらうか、現地の友達の名前で借りて一緒にシェアするのが一般的。ハウスメイトともやっぱり相性だが、このシェアという滞在方法は一番フットワークが軽い手段だと思う。
誰と住むにもやっぱり相性だし、どんなに相性が良くても目につくところは必ず出てくるもの。それをどれだけ向き合って、歩み寄るかで住みやすさが変わってくると、これらの場所に住んでみて思った。それがかなり難しいんだけどね。
携帯のはなし
「スマホがなかったら…。」と思うと本当に恐ろしい。
もしスマホ無しでアメリカに来ていたら、行きたかった所、食べたかった物、会いたかった人、受けたかったダンスクラス、行きたかった美術館を経験出来てなかったかもしれない。
そんな悲劇を避ける為にここでは携帯はどうやって準備したかを幾つか紹介したい。
SIMフリーの携帯 + 現地のSIMカード
これは長期・短期滞在どちらの人にも多く見られる。そもそも携帯の中には、SIMカードという携帯会社の回線を使う為に必要なカードが入っていて、そのカードが取り出して入れ替えの出来ないものと、そうでないもの(SIMフリー)がある。最近は日本国内でもSIMカードだけを契約する使い方が増えてきているから、このやり方がお得かもしれない。
アメリカの携帯会社もSIMカードだけの契約もできるし、スーパーに行ったらプリペイド式のSIMカードなんかが$20前後から売っている。プリペイド式はデータを使い切ってしまえばお終いなので、短期の方におすすめ。
携帯会社によっては、月$25でデータ使い放題というプランもある。
Softbankのアメリカ放題を利用する
これは今Softbankを使っている人にオススメで、SoftbankのiPhoneユーザーはネットで手続きをすれば日本で使っている携帯をそのままアメリカでも使えるというサービス。
このサービス自体にお金はかからないのも嬉しいところ。年に一回は日本に帰ってくる人や、短期滞在の人には日本に帰ってきてもすぐに携帯が使えるのでオススメだ。
さぁ、教科書を閉じよう!
何を言っているんだと思う人も多いだろう。
ここまで沢山準備をして、やれ行く目的がどうだとか、どこに住むかとかを話しておいて、「やっとやる気になって英語を勉強しようと思ったのに…。」と思っている人がほとんどだろう。だけど、英語より何倍も大切なことは、教科書には載っていないのだ。
それは、「あなたは何者か?」ということ。
英語なんて正直なところ、日本人のいない所に放り込まれたら一年後には、嫌でも話せるようになっている。他の人が出来ていることだから、あなたに出来ない訳はないのだ。
だけどあなたが何者なのかは、あなたにしか分からない。そしてそれを分かっているかどうかで、アメリカでのあなたの生活はかなり変わってくる。
アメリカには本当に色んな文化が混在していて、人種や宗教、根本的な考え方も、日本人のそれとは比にならないくらい違う。
だからあなたは一体何が好きで、どんな人に憧れていて、どんな服が好きで、何についてであれば誰にも負けないくらい好きなのか、知らないといけない。
でないと、周りに潰されてしまって、自分の言いたいことや思っていることが伝えられなくなってしまう。
こんなに沢山の人が世界中から志をもってやってくる場所で、すぐにリングの外に追いやられてしまう。
だからこそ一度、自分の事を見つめ直してほしい。
自分はダンスを学びにロサンゼルスに来ていて、ダンスのスキルでは怪物級な人達が自分と同じかそれ以上の志と一緒に世界中から集まっている。正直そんな人達と戦える程のスキルはまだ自分にはないし、まだまだここでそれを学ばないといけない。
出来ない事が多すぎて、参りそうになる事もあるけれど、一つの強みと自信が自分を起き上がらせてくれる。それは、マイケルジャクソンへの愛は、他のどのダンサーにも負けないということ。
彼の曲でなら絶対に皆を楽しませることが出来るという自信があるから。この自信は、アメリカに初めて来て英語も話せない時に、友達を作ってくれた。ここロサンゼルスでも、どんな凄いダンサーの前であろうと、身体を突き動かしてくれている。
どんな小さな事でも良くて、一つでも胸を張れることがあればそれでいい。
このことを16歳の自分はまだ知らず、どこか周りに馴染もうとしたり、ポピュラーな方に自分を寄せていったりしたものだ。しかし、どれだけそれを頑張っても、凄く仲の良いと思える友達が出来ず、本当に悩んでいた。
だけどある時、それを諦めた。周りなんてどうでもいいと思うようになり、他の誰かが話していようが上から被せてでも自分の意見を言い、クラスがどんなに中断することになろうが分からないことは質問しまくった。
その頃から段々と友達が出来て、初めて会ってから5年経つ今もほぼ毎日連絡を取るまでの友達ができた。
自分にここまで出来たのだから、これをここまで読んでくれたあなたにも出来るはずだと信じている。
ここまで長々と暑苦しく書いたけど、要は楽しめばいいのだ。
自分も楽しみます。