【ロスの足】ロサンゼルスの移動方法はどうする?
旅行などで新しい土地に行く時、「どうやって目的地にたどり着くか。」って結構大切だなといつも思う。
時間をかけて歩いて行けば、道のでこぼことか脇の細い水路とか、コンクリートに咲く綺麗な花に目がいく。ここは坂になっているんだなとか、このレストランめちゃくちゃいい匂いがするなとか、車で通っていたらわかりづらいこともたくさんある。
じゃあ逆に、車でしか分からないことは何か?となる。早く目的地に着くだけじゃなくて、窓を開けた時に香る草木の匂いとか、早いスピードで流れる景色は、歩いている時とは違うものが目を奪うものだったりする。だから同じ道でも行き方が違うだけで面白い。
自分は車やバス、電車で目的地に行くのも好きだけど、歩くのが好きだ。街を楽しめるのは旅行の時だけかと言われたら、もちろんそうとは限らない。日本でアメリカに行くために、いくつもアルバイトを掛け持ちしていた時は、本当にたくさん歩いた。
渋谷で昼のアルバイトをしていたから、渋谷までの定期券があったにもかかわらず、わざわざ時間を見つけて中目黒から渋谷まで歩いたりした。日曜日にJ-WAVEの「TOKIO HOT 100」を聴きながら、寄り道していく散歩は楽しかった。
電車では、その駅でどんなタイプの人が乗車してくるのかを見るのが好きだった。だけど電車ではもちろん分からないその場所の「空気」を、歩くことで感じることができた。夜には建設現場でのアルバイトに渋谷から向かうのだが、その時にはもちろん、また街の空気は変わる。
電車の中の人たちは酔っ払っていたり、口を開けて寝てしまっていたり、休日を満喫仕切ったらしき笑顔の女子二人組が笑っていたり、まぁ色んな人がいるものである。建築の現場は毎回変わるため、高校時代をアメリカで過ごした自分にとって、新しい東京の場所を知れる眠くも楽しい時間だった。
作業が始まるのは、大体周りのお店が閉まってからの遅い時間だから、いつも来ていた街でも人がいなくなると来たことのない場所に思える。
明け方か朝日が登る前の時間に仕事が終わると、電車がないから歩いて漫画喫茶なり24時間営業のレストランに向かうのだが、そこで見かける人たちも好きだった。
自分と同じく仕事を終えたらしき人や、飲み歩いてゾンビみたいになっている人、これから仕事に向かうらしき人など、本当にいろんな人たちがいた。月明かりと街灯に照らされていた場所が、朝日に照らされ始めるとこんなに表情を変えるのかと驚いた。
六本木での夜中のアルバイトを終えて、次の日朝番の渋谷でのアルバイトに向かう午前3時の道を歩いたのは、誰もいない街を独り占めしている気がして楽しかった。
アメリカの高校留学を終え、再びアメリカに渡航するまでの日本で過ごした2年という少しの時間でも、沢山の場所に行って沢山の空気を知った。
自分ももちろんそうだったのだが、「アメリカでの移動方法はどうしよう?」という疑問を持っている人は多いんじゃないだろうか。
「噂では日本ほど便利じゃないとか聞くし、車社会だって聞くし…。」といった印象を持っていることだろう。結論から言うと、案外なんとかなるし、「住めば都」である。中には日本よりも便利だと感じる時もあった。
自分はまだ車を持っていないし、なんなら免許もないがなんとかやっていけている。その分、たくさんの移動方法を活用しないといけなくなるし、そのおかげでそれぞれの良いところや不便なところを見つけることができた。
今週はロサンゼルスでの移動方法について、これからロサンゼルスに留学予定、旅行に来る予定の人たちに向けて書いていこうと思う。
日本とはかなり雰囲気の異なる「地下鉄」
子供の頃、自分にとって地下鉄はレアだった。普段家族で電車に乗る時は地下鉄に乗ることは少なかったからか、たまに用事があって東京メトロに乗る時はその閉鎖感、鳴り響く電車が通る音、薄暗い空間、サラリーマン、それら全てがいつまでも新しくて面白かった。
高校を出て日本に帰った時も、今までよりぐんと地下鉄を使う機会が増えたが、やっぱりまだ少し楽しかった。そんなことをアメリカの友達に話した時、バージニアの田舎育ちの彼らにとってそのシステムはとんでもなく複雑で、得体の知れない迷路に思えたらしく、その複雑さに驚いていた。
それもそのはず、アメリカでは都市部しか地下鉄はおろか電車も通っていないのだ。高校留学時代のバージニアにおいては、バスもほぼなかった。一度ニューヨークに5日間旅行で行った時も地下鉄に乗ったが、あまり沢山動き回らなかったので利用回数は少なかった。
これから紹介するロサンゼルスの地下鉄や、これまた旅行時に利用したワシントンD.C.の地下鉄と似ているところは沢山あるだろうが、もちろん日本の地下鉄より断然単純だった。
それは、アメリカの地下鉄システムほぼ全てに言えることなんじゃないだろうか。その二都市は地下鉄などの公共交通機関のイメージがあったが、車のイメージが強かったロサンゼルスにも意外と地下鉄は通っていて、今も路線を拡大している真っ最中である。
日本との大きな違いと特徴を紹介したいのだが、まずは料金だ。これは本当にシンプルで、片道1.75ドルでどの駅までも行ける。いくら遠くに行こうが、乗り換えを何回しようが、値段は変わらない。なんとシンプルなのだろう。定期券的なものも一応あり、学生証や社員証と一緒に申請すると、30日間乗り放題のパスが100ドルのところが40ドルになる。
よくあるクイズ番組の「最後の問題は得点が5倍!」と同じぐらい、「どうしてこうもいきなり変わるのか?」感が凄いが、語学学校の学生でも適用されるので良しとしよう。日本でいうPASMOのような、TAPカードを1枚3ドルほどで買うことができて、そこにお金をチャージして使うのだ。
とはいっても日本のシステムよりずっと単純で、改札から出る時もカードを改札にタップする必要はない。日本もこのシステムを適用したらいいのに。でもここまで安くて単純なのは、そのクオリティが日本より遥かに低いのも理由の一つだ。
座席は一つの方向を向いていて、いわゆる新幹線みたいな並びになっている。だから座れるスペースも少ないし、夕方の帰宅ラッシュで立って乗車しないといけない時はけっこう不便である。つり革も、「もう掴まらせる気はないんじゃないか?」と思う程、日本と比べて少ない。
ホームレスの人も寝床としてメトロを愛用しているので、車両によっては正直かなり臭う。これも怖いもので慣れてしまう。ロサンゼルスは本当にホームレスが多いので、慣れなければやっていけないところもある。いい距離感を保って行動するのがベストである。
日本との大きな違いの一つが、アメリカのメトロは本当に賑やか。デカイスピーカーと一緒にいかつい男の人たちが乗ってきたと思ったら、スペースを見つけて踊りだす。もちろんその後スムーズに慣れた手付きでチップを帽子に貰いにくる。ギターやバイオリンでパフォーマンスする人もいるから面白い。
「本当にこんなことをやっているのか…。」と、初めて見た時は驚いた。そして気付いたらお菓子や水を車内で元気よく売りに来る人が周りにいる。もうなんでもありである。
「やっちゃダメ」と言われてないことはなんでもやってしまうのが、アメリカンなんだなぁ…と感じさせられた。
そしてもう一つアメリカンなのが、駅によってその場所にちなんだ内装になっているのである。
ハリウッドの駅のホームには、映画のフィルムが壁中に敷き詰められていたり、実際に使われていた映写機が置いてあったりと、なんとも楽しい。
ロスでは移動手段として重宝する「バス」
一つ忘れて欲しくないことが、アメリカの公共交通機関はゲトー(スラム街などの貧困地区を指す言葉)である。日本の公共交通機関は本当に綺麗だし、お年寄りや子供一人でも安心して利用できるのが当たり前となっている。そんな世界的に見たら奇跡のようなことでも、その中で育ってしまったら「当たり前」になってしまうのはなんだか少し怖くもある。
海外の公共交通機関をまだ利用したことのない人からしたら、ホームレスの人が同じ電車に乗っているなんて想像できないと思うが、こちらではそれも日常である。最初はきついと思っていたそのニオイも、怖いもので慣れてしまう。
2月下旬の最近は、日本からの大学生らしき団体を電車の中で見かけるが、彼らが夜のダウンタウンで降りていったりする。
自分もそうだったが、彼らは夜も安全な日本の都会に慣れてしまっているので、暗くなったダウンタウンを歩くことが危険という意識がないのだろう。
それは仕方がないことではあるのだが、やっぱり何かあってから、「知らなかった…。」では済まされない。脅す訳ではまったくないのだけれど、感覚の違いは忘れて欲しくないなと思う。
前置きが長くなってしまったが、バスである。電車の駅よりバス停の数の方がはるかに多いし、電車が通っていないところでもバスであれば行くことができる場所もたくさんあるので、有効活用できたらすごく便利である。
まずは気になる料金だが、これも電車と一緒で片道1.75ドルである。電車でも使えるTAPカードを使って乗車もできるが、もちろんバスに乗る際に現金で支払うことも可能である。これは海外あるあるだとも思うが、お釣りが返って来なかったりするバスもあるので、現金で乗る場合はぴったりで持っていくことをおすすめする。
ちなみに「.75」ドルというなんとも微妙な数字をアメリカではよく見かける。日本人にはあまり馴染みがないが、25セント硬貨の存在が大きい。コインランドリーでも、ストリートパーキングでも、クレーンゲームマシーンでも、「クオーター」と呼ばれるその25セント硬貨のみ使えるところが多い。
さあ料金を最初に支払って乗ったら、もうラクちん…かと思ってしまってはいけない。日本のバスでは次のバス停がどこかに表示されていることがほとんどだから、気をつけていれば乗り過ごすことはない。
だが何とも不便なことに、こちらのバスはこれから停まるバス停をアナウンスしている時だけ、電光掲示板にそのバス停の名前が表示される。その名前を毎回すぐに消してしまう意味が分からない。それをつけていることによって、いったい何に支障が出るというのだろうか。
一体何回、ミレニアムダンススタジオを通り過ぎたか分からない。だからか分からないが、現地の人でも携帯のGoogle マップを片手にバスに乗っているのを目にした。きっと彼もその電光掲示板のことを不便に思っていることに違いない。
彼と一緒に言うところに言ったらその問題は改善するのだろうか。このモヤモヤをどこに発散したら良いのか分からないので、皆さんへの注意という形でここに書かせてもらった。
ただ、気を付けた方が良いのはそれぐらいで、何もそんなに難しいことはない。車両が二台繋がったバスもあったりして、我々の大切な脚になってくれるのは間違いない。
時間によってはバスがなかなか来なかったり、大幅に遅れたりもするから、Googleマップなどでバスの時間をこまめに確認しておくのも知恵の一つである。
電動スケーターの「ライム」
国によっては、日本で見ない交通手段がたくさんある。バージニアは田舎なのでほぼ車しか移動方法がなかったが、サンフランシスコではディズニーランドに走っているような路面電車が未だに現役で走っていたりと、同じ国でこうも違うのかと驚きだ。
さぁロサンゼルスはというと、やっぱりここでも見たことのない移動方法があるものである。それは「電気スケーター」だ。ロサンゼルスの街至るところに乗り捨てられていて、中にはかなり乱雑に道に横たわっているものにも遭遇する。
が、管理している会社が夜中のうちにそれらを回収して、一定の場所に充電されたスケーターをまとめて置いている。彼らを見ると自分が散らかしたものを片付けさせているようで申し訳なくなってしまうのは自分だけだろうか。
その形は子供の頃に遊んだスケーターのようなもので、地面を蹴って前に進んでいたがこれは違う。いろいろな会社がこのタイプの乗り物を同じスタイルで出しているが、正直あまり大きな違いはないように感じる。ここでは自分がよく使うライムという会社のタイプについて紹介していこうと思う。
まずは、専用のアプリを携帯にインストールする。そこで自分のアカウントを制作する。クレジットカードでの支払いになるので、現地で使えるカード情報もそこで入れる。するとアプリの画面上には地図が表示され、青い点が自分で、スケーターのマークが表示されている場所に実際にスケーターがある。
「乗ってから電池が切れてしまわないか?」という心配も何のその、ここでしっかり画面にスケーターの充電も表示されているから、この時点でよく確認しておけば大丈夫。そしてスケーターにそれぞれQRコードがあるので、それをアプリから携帯でスキャンすると使うことが出来る。
そこからは簡単で、まずは地面を蹴って勢いをつけてから左手側にあるアクセルレバーを押して自動で前に進んでいく。右手側にブレーキもあるので、そのあたりは直感的に運転できるものになっている。
かなりスムーズに進むので、気付いたら時速20キロまで出てしまうから気を付けたい。これが結構楽しくて、一時期その楽しさのあまり一駅分をわざわざライムで移動していたりもした。
気になる料金だが、まずスケーターを起動させるのに1ドル、1分毎に0.15ドルというなんとも判断しづらい値段設定である。長距離であるならUberの方が安いか、同じ値段でもUberの方が早かったりもする。
使い方としてベストなのは、「歩くのはちょっと大変だけど、Uberを呼ぶほどでもない。」という微妙な距離ぐらいが良いと思う。
これが日本にあったらかなり流行りそうだが、まだ道路交通法の関係で実用化はされていない。ヨーロッパ等の国によっては、運転免許がないと利用できない国もあるらしい。実際電気スケーターによる事故も多い。
車と同じで急に止まれないにもかかわらず、歩道を運転してくるチャレンジャー(無謀者)も中にはいるので、こちらも道路の端のバイクレーン等を使うなどマナーを守って運転していかなければならない。
短距離移動に重宝する「ペニーボード(スケートボード)」
「〇〇と言ったら…」という代名詞はたくさんあると思うが、「ペニーボードと言ったらオーストラリア」とイメージする人は少ないんじゃないだろうか。もはや「ペニーボードと言ったらカリフォルニア」とイメージする人の方が多いと思う。
そんな様子で、すっかり西海岸のイメージが定着したのはオーストラリア発祥の、スケートボードを小さくした持ち運びしやすい横乗り好き愛用品がペニーボードである。自分はこちらでお世話になっている先輩が昔使っていたものを、先輩の引越しを手伝った時に譲ってくれたものを使っている。
日本の道は狭くて細い場所が多いので、いざ日本で普段の交通手段として使おうとするとかなり怖いと思う。だけどアメリカはそもそもと土地も広ければ道も広い。なので、舗装された道はボードを使うにはもってこいなのだ。
海が近いロケーションといい、ボードが漕ぎやすい道といい、カリフォルニアは横乗り派にめちゃくちゃ優しい土地なのである。そして車を持たない自分としては、さすがにどこにでも歩いていくのには無理があるし、かといってUberを呼ぶ程でもないし、ライムをいつも使うのももったいない。
そんな距離感で生きる貧乏留学生である自分たちの強い味方がスケートボードなのだ。自分の周りにもロサンゼルスに来てからスケートボードを始めた人もたくさんいる。正直自分は運動神経に自信がないし、怪我もしたくなかったので始める気はあまりなかった。だが、あまりに歩き疲れて毎日足が取れそうだったのでトライしてみたら、意外といける。
何でもトライするのが大切なんだな…と当たり前のことにも気付かされたし、転んでも立ち直って前に進んでいくのは自分次第である、という少しキザだけど前向きな事実にも気付かされる。そうすると日々の移動も練習になり、楽しくなったのを覚えている。そうして移動を楽しむことで、毎日をより楽しく過ごしていけると信じている。