留学最初のスタンダードな滞在手段ホームステイって実際どうなの?メリットとデメリットを解説!
留学先での滞在方法としては、ホームステイ・学校寮・ルームシェアが大多数です。いずれの場合も、新しい場所での少しドキドキな他人との未知の共同生活です。
私の場合、語学学校からコミュニティカレッジ卒業までに渡る2年半の間、複数のホストファミリー宅を転々とし、計5つの家族と生活を共にしました。大学留学となると、ホームステイより寮やルームシェアを選ぶ学生の方が多いので、もしかしたら珍しいケースかもしれません。
留学生の中でも、ホームステイに関しては、そこそこ語れるだけの経験値はあるホームステイマスターなのではないかと勝手に思っています。(笑)
結論から言うと、私にはホームステイが合っていて、とても貴重な経験が出来たと思っています。
しかし一方で、ホームステイと聞くと、ホストファミリーとのトラブルなどネガティブな話も耳にすることもあると思います。実際のところ、どうなのか気になりますよね。
ホームステイが良いのか、その他の滞在方法が良いのかは、完全にその人自身の性格や生活スタイルによるので、「どちらが良い」と断言できるものではありません。
これから私がご紹介する「ホームステイ体験談」と「メリットとデメリット」の話を、ご自身に合った滞在方法を決める際の判断材料にしていただけたら幸いです。
多様なホストファミリーのタイプ
ホストファミリー側にも、様々なタイプがいます。私が滞在していたカルフォルニアの場合は、白人家庭だけではなく、東南アジア系や、ラテン系アメリカ人の家庭も多くありました。アメリカに限らず、多くのメジャーな留学国も移民が多いため、白人家庭以外のファミリーは現在では一般的です。
家族構成も様々で、子供がいない家庭もありますし、独身の方の場合もあります。ホストになる事情としては、副業として完全にビジネスとして割り切ってやっている人、国際交流を求めている人、収入目的ではなくボランティア目的でやっている人、など目的も様々です。
とてもフレンドリーで優しいホストファミリーもいる一方で、周囲の留学生の話によると、プライバシーを尊重してもらえない、食事の内容が酷い、突然追い出された、生活の事で揉めた、などアンラッキーなケースもあるようです。以下、私のホームステイ体験談を3つ紹介します。
ホストファミリーA: 住環境・食生活は△だが、心優しいファミリー
渡米最初のホームステイ先は、ワシントン州シアトル郊外のあるお宅でした。家族構成はフルタイムワーカーのホストファザー、パートタイムワーカーのホストマザー、中学生と高校生の姉妹2人でした。暮らしぶりは、経済的に裕福というわけではないようで、副収入としてホストファミリーをしているようでした。
しかし完全にビジネスと割り切っているわけではなく、色々と私の身の周りの面倒を見てくれて、家族の一員として大切にしてくれました。必要があれば車で送迎してくれたり、お買い物へ連れて行ってくれたり、休日も姉妹たちとモールや教会へ連れて行ってくれたり、部屋にこもらずにリビングにおいでと声をかけてくれたり、色々と気にかけてくれるアットホームで温かいファミリーでした。
ただ、住環境・食生活はとても「快適!」とは言い難いものでした。食事は朝・夜の2食付で、昼はキッチンにあるものをご自由に、というスタイルだったのですが、食事が全く合いませんでした。アメリカの家庭は、食に対する意識が高い家庭と、そうでない家庭の格差が大きく、まさにピンキリです。
アメリカは、「富裕層ほど野菜の摂取量が多く、貧困層ほど肥満が多い」という話をよく耳にしますが、まさに食生活と収入レベルが顕著に比例する傾向にあるのだと思いました。
健康意識の高い家庭は、オーガニック、ビーガン、ノンファットなど徹底的にこだわります。
一方で、そうでない家庭は、晩御飯にピザをワンスライスだけ、など両極端なのです。そして、家の設備が古く、暖房がうまく機能しないこともありました。
また、タンク式のウォーターヒーターが不調で、シャワー中に突然お湯が出なくなり、震えながら水シャワーを浴びたことが多々ありました。
ホストファミリーB: 高級住宅街に住む、少し厳しい高齢夫婦ファミリー
カリフォルニア州オレンジカウンティにあるニューポートビーチという高級住宅街に住む、リタイヤ後の高齢夫婦のホストファミリーでした。ホストファザーは元パイロット、ホストマザーは元CA。オーストラリア出身の方で、オージーアクセントが強めだったのが印象的でした。
朝・夜の2食付だったのですが、ホストマザーがとってもお料理が上手でした。しかし、ルールに大変厳しいホストマザーでした。入居した際に、まず5ページにも渡り細かいハウスルールが記載されたマニュアルを渡されました。
内容は、シャワーは19時から21時までの間のみ1日1回、シャワーは1回10分以内、洗剤は1プッシュまで、家で通話禁止、朝食は決められた種類のシリアル(種類を変更したい場合は要申告)、シリアルに使うミルクはコップ一杯分、ドレッシングはワンスプーンまで、夜18時以降は冷暖房禁止、など非常に細かいルールがびっしり書かれていました。
その他にも、生活している中でいろいろと窮屈だと感じるシーンが多々ありました。住ませてもらう側として、ハウスルールにはもちろん従わなければいけません。しかし、こうしてびっしりとルールが書かれた書類として渡された時は、正直ちょっと大変そうだな…と感じてしまいました。
お家は綺麗で広いしお料理は美味しいし、決して悪い人ではなかったのですが、細かいルールや注意事項が多く、ホームステイの良さであるフレキシブルさとアットホームさが欠如していました。
そのため、家にいてもあまりリラックス出来ず、これだったら部屋を自分で借りて住む方が自由で気楽でいいな…と思いました。
ホストファミリーC: インテリ・健康志向な理想的ファミリー
同じくオレンジカウンティにある、プール付きの大きな戸建てに住む4人家族のホストファミリーでした。ホストファザーは弁護士で、ホストマザーは4か国語を操るマルチリンガル・院卒のワーキングママ。3歳の男の子と、6歳の女の子がいるご家庭でした。
ご両親ともにインテリかつ経済的にも裕福で生活水準も高く、子供達への教育にも大変熱心なご家庭でした。子供たちに対しては勉強だけでなく食育にも熱心で、オーガニック、ホームメイド、グルテンフリー、ビーガン食材等にこだわっており、子供たちのカロリーコントロールも徹底していました。
ホストマザー自身、院卒生・外国語学習者だったということもあり、私の学業に対する理解も深く、私の宿題を一緒に見てくれることもありました。また、会話の中で私が不自然な英語表現をすると、指摘して正しい表現などを教えてくれたりしました。
生活面でもとても良く面倒を見てくれて、他のファミリーとのホームパーティなどの家族行事にも連れて行ってくれ、家族の一員として大切にしてもらったことを今でも心から感謝しています。
ホームステイのメリット
まずはホームステイをすることのメリットを挙げていきたいと思います。
① その国のリアルな文化を体感出来る
一番の魅力はまさにこれだと思います。家族の一員として、アメリカの家庭で過ごすことでしか得られない体験が沢山あります。
伝統行事、食文化、習慣、価値観など、多くの事を知り、経験することができました。
Easter(復活祭)、Fourth of July(独立記念日)、Thanksgiving(感謝祭)、Halloween、Christmas等の数々のイベントに、家族の一員として参加し、アメリカの伝統・文化を体験することができました。
ホームパーティなどにも一緒に参加させてもらい、ホストファミリー以外とのアメリカ人ファミリーと触れ合う機会にも恵まれました。
長い時間生活を共にすることで、外部から知ることが出来ないリアルな家庭事情や、家庭環境の違いも知ることが出来て、勉強になりました。
各家庭によって全く異なる、健康・食生活に対する意識、子供の教育方針、政治観などを含めた価値観の多様性を、日常生活の中で知ることが出来た事も、ホームステイならではの貴重な体験だと思います。
② ネイティブスピーカーとのコミュニケーションを増やせる
ホームステイ滞在は、ネイティブとの会話量がぐっと増やせるのも大きなポイントです。一方、ルームシェアや寮は、多くの場合留学生同士でシェアすることになります。現地学生とのシェアも稀にあるかもしれませんが、やはり学生は学業に忙しいので、ゆっくりコミュニケーションを楽しんでいる時間は少ないだろうと思います。
その点、ホストファミリーは、一緒に出掛けたり、ランチやディナーで会話をしたり、一緒にテレビや映画を観たり、気兼ねすることなく普段の日常生活の中で十分なコミュニケーションの機会が得られます。
私がお世話になったホストファミリーは、常時留学生を受け入れていて、留学生の語学学習に対する理解度も高く、意識的にコミュニケーションを増やしてくれていました。
私の英語学習の良き理解者でありサポーターで、間違った言い方などがあれば指摘してくれました。
アメリカはノンネイティブスピーカーが非常に多いので、普段の生活で発音や表現が不自然でも、あまり周囲は気にしないし、間違っているとしてもわざわざ指摘してくれることなんてありません。
そのため、英語学習者である私達にとっては、指摘・訂正してくれる事はとてもありがたいことなのです。
③ アパートより生活費が節約できる
留学当時、「一度ルームシェアをしてみたい!」と思い立ち、ルームシェア事情などを調べてみた事もあります。しかし調べてみたところ、ルームシェアよりホームステイの方が家賃・生活費を安く抑えられると思い、結局ホストファミリーにお世話になることになりました。
私の住んでいた地域では、ホームステイの場合、3食・光熱費などすべて含めて月700~900ドルが当時の相場でした。家具などを新しく揃えたりする必要もなく、一緒にお買い物に行って、必要な生活雑貨や食品はリクエストすればホストファミリーに買ってもらえたので、プラスアルファで衣食住にかかる費用ほとんどありませんでした。
地域にもよると思いますが、私が住んでいた地域は人気エリアでアパートの家賃も高かったため、ある程度綺麗で、セキュリティ面でも安全なアパートを選ぶとなると、家賃だけでもホームステイ代よりも高くなりました。
④ 安心感
アメリカの生活にも不慣れで土地感もなく、知り合いもあまりいない場所で、1人で生活をスタートするのは、やはり大きな不安を伴うと思います。
いくら安全な地域とは言え、家族と離れて1人で海外生活をする以上、日本と同じ感覚で生活してはなりません。日本にいるよりも、犯罪や事故に巻き込まれる可能性は高いです。体調を崩す等、病気や怪我のトラブルもあるかもしれません。
そんな困った時に頼れる存在として、ホストファミリーが側にいてくれることは、とても安心な事です。地域のことも熟知しているし、生活の知恵も持っているので、困ったときに何度も助けてもらいました。
私は車の運転免許を持っていなかったということもあり、日が落ちてから出掛けたり、夜の授業がある時には危ないからと心配してくれて、車で送り迎えをしてくれたりもしました。
ホームステイのデメリット
次にホームステイ滞在のデメリットを紹介します。
① 共同生活のストレス
お家に住まわせてもらう以上、そのホストファミリーのルールや生活に合わせなければなりません。私が経験したホストファミリーのように、非常に細かいルールを課す人もいると思います。
またはお家に小さいお子さんや、赤ちゃんがいて、あまり落ち着かないので、家で勉強できないという友人もいました。他人と生活する以上、ある程度のストレスや我慢は必要です。
完全にビジネス目的で、あくまで家主というスタイルでコミュニケーションをあまり取ってくれないホストファミリーもいれば、逆に干渉気味なホストファミリーもいます。1人の時間を大切にしたい、勉強だけに集中したいという方には、少しストレスになってしまうがあります。
② 食事が合わない
充実した留学生活を送るためには、健康的な食生活も重要です。食事が合わないことが、大きなストレスとなってしまう場合もあります。前述した通り、私も正直食事が合わない家庭もありました。
短期間だったら貴重な異文化体験ということで済みますが、長期留学では我慢し続けるのは厳しいですよね。せっかく作ってくれたのに、残すのも悪いと感じてしまうと思います。
ただでさえ、慣れない欧米の食生活の上に、栄養不足でアンバランスな食事だと、生活に悪影響を及ぼしてしまう可能性もあります。
充実したホームステイライフの秘訣
私は、ホームステイを通して、リアルなアメリカ人家庭の生活、異文化を学ぶことが出来ましたし、ホストファミリーに幾度となく助けてもらい、私にとって彼らは本当の家族のような大切な存在となりました。
いろんなところへ連れて行ってくれたり、一緒に映画を観たり、スーパーボウルを観てエキサイトしたり、誕生日パーティーを開いてくれたり、バレンタインのお菓子を一緒に手作りしたり、進路の相談をしたり、卒業祝いパーティーを開いてくれたり、まるで本当の家族のように接してくれました。
もちろん、どんなに良いファミリーでも生活の中で多少の不一致はあると思います。しかし、それは自分の家族以外の他人、ましてや文化・習慣の異なる外国人と共同生活をする以上、仕方のないことです。こちらがお邪魔をさせて頂く立場なので、謙虚な姿勢でいることが大切です。
ただ、日本人は必要以上に遠慮してしまう傾向にあるので、肩の力を抜いてリラックスして過ごすことが相手も自分も快適に過ごせるのではないかなと思います。
生活の事で、もし「こうしてほしい。」という要望があれば、相談してみる勇気も必要です。相談することによって、信頼関係も深まります。ホストファミリーになる人は、基本的に人と接することが好き、世話好き、フレンドリーな人が多いと思います。
頼りたいと思う時は、遠慮しすぎずに素直に甘えさせてもらうと、距離が縮まるのではないかな、と思います。ホームステイは学生時代にしかできない貴重な体験です。これから大人になって、海外旅行や出張に行くことがあっても、現地ファミリーと生活を共にする機会はなかなか無いと思います。
大学留学を考えている皆様、是非ホームステイを検討してみてください。きっと、有意義な学びの機会を得るとともに、一生ものの貴重な体験ができると思います。