便利屋さんとしてのコンビニ!日本とアメリカのコンビニの違いとは!?
引っ越す時には、たくさんの項目をチェックしていかなければならない。駅からの距離、日当たり、近所の静かさ、子供を育てるのであれば、近くに公園はあるのかなど、いくら家や部屋がよくてもそれ以外でチェックしなければならない。
そんな中で大事なチェック項目の一つとして、「近くにコンビニがあるか?」という条件があると思う。特に日本では歩いて移動することが多いし、よくコンビニを使っていた。不思議なことに日本に住んでいた時は、同じコンビニチェーンが家から歩いて5分もないところに複数あった。
そんな近くにコンビニがあると、やっぱり頻繁に行ってしまう訳で。特に高校卒業後に住んでいた家は、駅から家への帰り道にコンビニがあったので、ついシュークリームやらアイスやらを夜勤の後に自分へのご褒美として買っていたことを思い出す。週に3回はコンビニに行っていた。
ところがアメリカに来てから、めっきりコンビニに行く回数も減った。
またまた不思議なことに、日本にいた時と同じコンビニチェーンが、ロスで最初の家の近くにあった。家からコンビニの距離感は日本にいた時とあまり変わらなかったが、めっきり行かなくなった。
理由としては、おそらくアメリカのコンビニの場合、ホームレスの人が高確率で小銭をせがんでくるからというのもあるだろうが(コンビニはちょっと怖い人が集まりやすいのか…。)、恐らく品揃えの違いもあるだろう。
とは言っても、やっぱり24時間いつでも何かが買える場所があるというのは、どこの国にいても実に心強いものである。急にお腹が空いたが、家のカップヌードルが切れた時、急に友達が来るとなったはいいが家に何もない時、どれだけコンビニにお世話になったか分からない。
住んでいない場所でも、コンビニにはたくさんお世話になっているんじゃないだろうか。例えば、旅行先のホテル内で何かを買うには割高だけど、少し歩けばコンビニがある。そんな時に友達と行くコンビニは楽しいし、ひたすらに青春だった。
こういう時に行く、いつも行かないコンビニは本当に面白く見えてしまう。いつも見ないアイスがあると、つい買ってしまう。友達がコンビニに行って、何か買い出しをしてくれる時にドツボなお菓子やおつまみのコンビネーションを出されると、「あぁ、こいつは本当に自分のことを分かってくれているな。」とまで思ってしまう。
あれだけたくさんの商品がある中で、自分や友達のツボを抑えてくれると、なんだかその人の株まで上がってしまう。そんな不思議なコンビニ。今回はいつも身近にあるコンビニについて、日本とアメリカの違いを紹介していきたいと思う。
品揃えと基本的な違い
コンビニと言えば、食べ物を買いに行くことが多いのではないだろうか。そこはどうやら日本もアメリカもあまり変わらないらしく、メインの商品は食べ物が中心となっている。日本とそこはあまり変わらず、普段スーパーで見かける商品が多くあり、値段もあまり変わらなかった。
お菓子や飲み物などコンビニ限定商品もあり、どこの国でも限定商品に惹かれてしまうのは、もはや人間の特性なのではないかと思ってしまう。ただやっぱりここでも、まず初めの違いとして挙げられるのは店内外の清潔さである。言うまでもなく日本の清潔さは群を抜いている。
24時間営業していて、深夜12時に女性だけでも普通に行けるのは当たり前のようで当たり前ではない。確かに日本でも場所によっては、怖いお兄さんたちが店の前に集まっているかも知れないが、そこにホームレスがたむろっていることはまず少ないだろう。
自分の行くアメリカのコンビニは、昼の12時だろうと夜中の12時だろうとホームレスの人がいた。警備員がシフトを交代して、誰かしらが店の前に立っているように…。
アメリカはよくコンビニとガソリンスタンドが一緒になっていることが多い。さすが車社会アメリカだ。確かに日本にもガソリンスタンドには売り場があるが、それはコンビニのそれとは少し違っている。だがアメリカのガソリンスタンドには、いつものコンビニがある。
だから一度アメリカの友達に、「〇ブン〇レブンのチーズケーキが好き」と言ったところ、「Ew ガソリンスタンドのチーズケーキがおいしい訳がない。そもそも私はチーズケーキ好きじゃない。」というアメリカンかつパーソナルな答えが返ってきたことがあった。
もちろんその後、彼女とチーズケーキを食べることはなかったことは言うまでもない。そんな違いから、日本のコンビニの食べ物が美味しいなんていうのは信じられない様子だった。
店内の清潔さにも、もちろん大きな違いがある。日本のコンビニはやや雑多かも知れないが、どこに何が置いてあるかが分かるようになっている。どこのお店もそうだが、そういった細かな配慮がよく見られるのが日本の良さではないだろうか。
アメリカの「雑さ」は、良くも悪くも大きな特徴である。一度アメリカのコンビニでアイスを買おうと思って手に取ったら、袋が空いていて、イチゴのソースが垂れてその下の段の商品がイチゴまみれになっていたことがあった。
商品が空いているということに関しては、さほど珍しいことではない。だが「いくらなんでも雑すぎじゃないか?」とツッコミたくなってしまう。というか突っ込んでしまった。こういう小さなところで、日本のホスピタリティーのすごさを実感するのである。
日本のコンビニにしかないもの
先述の通り、日本は本当に綺麗で清潔な国である。そのことに対して誰も否定はしないだろう。海外の人でも、日本の清潔さにインスパイアされる人は多い。いい意味でいつも無駄がない「質素」な感じは、日本のカルチャーとして誇りだ。
世界的なブランドになった「ユニクロ」や「無印良品」、皮製品を作らせたら世界トップレベルの日本発ブランド「Hender Scheme」などなど、例を挙げたらキリがない程のファッションブランドが日本の「清潔さ」を継承している。
日本のコンビニがテーマパークかのように、欲しいものが何でも揃う存在である。アメリカ人の友達と日本のコンビニに行った時、彼も日本に住んでもうしばらく経つのにも関わらず、その整頓されてLEDライトがピカピカの床に反射する空間に未だに驚くと共に、おにぎりやサンドウィッチの高いクオリティに驚いている様子だった。
確かに自分も、日本の友達に「アメリカの食事のレベルはどう?」なんて聞かれた時にはよく、「すごく美味しいコンビニ弁当みたいな味が、レストランで出てくることがある。」と答えていた。レストランによっては、本当にそういった感じなのである。
日本のコンビニには、独自のプラスポイントがある。それは「何でも揃う」品揃えの良さにあると思う。世界中のコンビニと同じように食べ物や飲み物、タバコはもちろん。
さらには、裁縫道具、靴下、下着、タオルなど急に必要になる物から、洗剤、豊富な種類の筆記用具、ご祝儀袋などといったものまで揃っている。
これはアメリカのコンビニやガソリンスタンド、キオスクにはない品揃えである。
普段生活していると、「帰りにコンビニで入浴剤を買って…」という風に、そこに入浴剤があるのが当たり前だというような考えでいるが、アメリカに来てから日本の豊富な品揃えに遅ればせながら驚いた。
アメリカのコンビニに、食品や飲料以外、便利用品が置いていないのかと言われればそんなことはない。ちょっとダサい帽子、ボンド、手袋などなど、なぜか少しアウトドア系の用品がざっと並んでいるが、「買っておこうと思ったもの」はあまりない。
あなたが今日本にいるのなら、これを読み終わったらコンビニに行ってみて欲しい。いつもは気にも留めてなかった商品が「お、確かにこれは便利かも!」と思うかも知れない。
日本とアメリカ、どちらのコンビニもいつも近くにある「便利屋」なのは変わりないが、日本は「必要なものが何でも揃う」という意味での「便利」に特化しているのではないかと思う。
ではアメリカのコンビニは、一体どんな「便利」に特化しているのかを見てみよう。
アメリカのコンビニにしかないもの
「アメリカのコンビニは、日本に比べて不便なのか?」そんなことはない。確かに「欲しいものが何でも揃う」という点では負けるかも知れないけど、自分たちは時々Tシャツや靴下、ノートや洗剤以上に欲しいと思うものがある。
それはやっぱり食べ物じゃないだろうか。家事をしようにも、買った本を読もうにも、コロナで街がロックダウンされていようとも、どんな状況でもお腹が減る。アメリカでは、”Hungry”と”Angry”をかけて”Hangry”という言葉がある。これは「お腹が空いてイライラしていること」を意味する造語である。
元は造語だったが、今では一部の英語辞典にも載っている言葉だ。これは本当に納得できる単語で、自分たちはどんな状況でもお腹を満たすことが必要なのだ。だからアメリカのコンビニの食料品の充実具合は何とも嬉しい。
ただ、日本のようにお弁当やサンドイッチが美味しいというものではなくて、「バイキング感」がすごいのだ。
まず飲み物は、コーヒーやソーダ類を豊富な種類から自分で選んで、ドリンクバーのように注ぐスタイルだ。カップの大きさによって値段が変わってくる。さらにセブンイレブンでは、「スラーピー」というスムージー状になったアイスドリンクが有名である。これもソーダやオレンジなど様々なフレーバーがある。
これは夏の暑い日とかに不意に飲みたくなるタイプの飲み物で、まぁ中毒性が高い。肝心の食べ物はというと、まずはレジの横にピザ、ホットドック、エッグロール(揚げ春巻のような食べ物)がドンと置いてある。そして、その横にはチキンウィングやポテトなど、ホットスナック類が充実している。
これら全て種類が充実しているから、お気に入りのフレーバーを見つけるのも楽しい。ホットドックに至っては、様々な種類の熱せられたソーセージを自分でパンに挟み、ピクルスなどをトッピングできる。
これは軽いレストランじゃないのかというレベルで、ホットスナックテーマパークである。
現地の友達と、「ロスのレストランで、どこのピザが一番美味しいか。」という話をしたことがある。
ダウンタウンのあのレストランがいいとか、いや意外とコリアタウンのあそこも結構いけるとか色々話した挙句、やっぱり安定して美味しいのはセブンイレブンのピザという結論に至った。「あぁ、これこれ」感があるピザがおすすめ。
そして最後は透明なプラスチックケースに入った、あまーいドーナツもお勧めだ。これを深夜に友達と罪悪感たっぷりで頂くのは、最高の贅沢である。アメリカのコンビニの「便利」は、「いつでも腹ごしらえができる」という便利さである。